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20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて | ヴァイオリン掲示板

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[41264]

20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年09月26日 23:23
投稿者:catgut(ID:QhNBB4k)
20世紀前半の奏法といっても非常に漠然とした話ですが、レオポルド・アウアーやカール・フレッシュの弟子、指導書の影響力が大きかった20世紀前半の奏法と、ジュリアード出身者のソリストが増えた20世紀後半以降のヴァイオリン奏法では傾向の違いがあるように思われます。このスレッドでは、両者にどのような違いがあるか、あるとすればその原因がどこにあるかといった点について議論させて頂きたいと思います。
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【ご参考】
[42245]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月19日 07:34
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
pochiさま、

弓毛を平たく張るのはトゥルテの発明と言われますが、1850年頃までは当時の本によると80本から100本が標準の毛の量でした。これは2重ではなくまさに「一列並び」の量に当たります。

[42188]
[42188]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月13日 20:39
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
弓の毛の本数の変化を調べてみたところ、面白いことが分かりました。
20世紀初頭には、毛の量も平均的には現在より少なかったと考えられます。

弓毛の数の変化はモダン弓の場合でおよそ以下の通りです。

19世紀初頭-20世紀中頃 80本-160本程度までの大きな幅が存在
20世紀後半以降 150本-200本程度が標準

私が現在使用している弓の毛の数を数えてみたところちょうど200本でした。シュポアは1832年に100-110本が標準と書いているそうです。

著名なヴァイオリン製作者のAugust Riechers(1836-1893)が書いた
The violin and the art of its construction : a treatise on the Stradivarius violin(1895年刊) には以下の記述があります。

ttp://www.archive.org/details/violinartofitsco00riecuoft
Tourte used from 80 to 100 hairs for each bow, but now from 150 to
160 are taken.
(トゥルテはもう少し多く毛を使ったという説もあるようです)

驚いたことに、この本を日本語訳し、編者が多少のコメントを付けた本が存在します。

ヴァイオリン製作保持説明書 薗兼明編 東京:須賀楽器店,大正9(1920)で、近代デジタルライブラリーで本文を読めます。上記の英文に当たる内容が以下に変化しています。

而シテトウルテ氏ハ八十乃至百本位ノ毛ヲ常ニ張タリ毛ハ可也的少数ヲ用ヰテ平垣ニ張ヲ良トス

原書の版が違うのか、それとも当時の日本ではまだより少な目の毛が一般的だったのでしょうか。

Popular Mechanics 1939年5号にはヴァイオリン弓の製作紹介記事があり、ここでも”a bow requires 100 to 110 hairs”と100年前のシュポアと同じ数となっています。
で紹介しましたが、ヴァイオリン製作保持説明書 薗兼明編 東京:須賀楽器店,大正9(1920)にも「而シテトウルテ氏ハ八十乃至百本位ノ毛ヲ常ニ張タリ毛ハ可也的少数ヲ用ヰテ平垣ニ張ヲ良トス」という記述があります。

Popular Mechanics 1939年 5号(googleの英語を含む書籍検索で”popular mechanics bow hairs 100”で検索できます)には、ヴァイオリンの弓製作記事で”a bow requires 100 to 110 hairs”とあります。

もっとも先に紹介したように、一部の職人は最高160本程度までは使っていたようです。 これでもぎりぎりで2重という量です。

カルボナーレさま、ハイフェッツとエネスコは、松任谷由実と中島みゆきくらいの差はあるのではないでしょうか。
[42246]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月19日 09:25
投稿者:コゲ(ID:QpCDEQg)
遅レスになってしまいますが・・・

[42236]
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月18日 19:29
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
コゲさま、
木質加工によって「オールドの音」になることは、実際にヴィヨームが複数の楽器で行っていることや、峯沢峯三の証言、複数のプロヴァイオリニストの証言などで確実です。ただ、加工後の状態を従来の技術では長く保てなかったということです。ヴィヨームは恐らく加工した木材でヴァイオリンを作ったのではなく、完成したヴァイオリンに熱を加えるといった無理なことをしたのでしょう。
しかしすでに紹介したようにギターではLandola社やヤマハが木質加工を行った木材でギターを製作し、販売を開始してから何年も経過しています。

カルボナーレさま、
ヴァイオリンの演奏技術は「進化」しているのではなく「変化」しているのだと思います。弓だけ見ても、20世紀前半には54g-58g,弓毛100-150本が標準、現在は58g-62g,弓毛150-200本が標準ですから、20世紀前半の奏者が我々の弓を見ると、我々の感覚では「ヴィオラ弓に300本の毛を張って
ヴァイオリンを弾いている」のと同様な印象を持つでしょう。
catgut氏

何をおっしゃっているのか解りません。

[42230]
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月18日 04:30
投稿者:コゲ(ID:QpCDEQg)
>catgut氏

仮定の話に過ぎませんね。

例えば私が子供の頃「未来予想図」として、将来は様々な新技術が実現して、
もっと生活が便利になると言われていたものですが、
実際に現在もなお実現していないものはいくらでもあります。
常温超伝導しかり、サイボーグ技術しかり、月面基地旅行しかり。

仮に将来、フェルナンブコなみのカーボン弓や耐久性の高いプレーンガット弦が開発されたとして、
それを製品化するのに何年かかりますか。
奏者の間に広まるのに何年かかりますか。
それが聴衆に認められるのに何年かかりますか。

とくにプロ奏者の場合、そんなものを悠長に待っている間に全盛期を過ぎてしまう危険を考えれば、
現状のモノや技術でベストを尽くす事を否定される謂れはないと思います。

山田耕筰の「待ちぼうけ」じゃないんですから。






での私の質問に対し、貴方は[42233]
[42233]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月18日 08:07
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
pochiさま、グラマラス女優しか存在しない世界は勘弁してください。

先に紹介したようにギトリスは以下のようにストリング誌のインタビューで語っています。

「例えば、最近の傾向はやたらと大きな音を出すのが好まれているようですが、人は本当に親密に何か伝えたい時にはむしろ小声になりはしませんか?決して無駄に叫んだりはしないものです。演奏技術というものはそういう側面も多分に含んでいます。誰かを本当に愛していてそれを伝えるのに、むやみに叫んだりはしないはずです・・・。」

いわゆるベルカント唱法は、肉声が大きなホールで聴衆に聞こえるようにするために生まれた面があります。「ささやく」時にまでベルカント唱法でなければならない世界にも住みたくありません。

カルボナーレさま、鈴木秀美氏は先に紹介した「時代の音」という論文で以下のように書かれています。

-----
p17
スチール弦の音質も良くなってはきたとはいえ、当然のことながら基本的に金属的な音質、音色の悪さや変化の乏しさと、絶え間なくかかるヴィブラートの流行とはどうも無関係ではないように思われる。発音の仕方や音の減衰の仕方もガット弦とは異なることから当然ボウイングの技術も変化し、ヴィブラートは徐々に、熱病ではなく、最も美しいこととされるようになってゆき、「歌うこと」とは即ちヴィブラートをかけることと解され、音楽のなかにある「言葉」は美音追求の名の下にないがしろにされ、人々はその揺れた音で何を語るかを忘れがちになっていった。
-----

コゲさま、上記の論文に以下の指摘がありますよ。

-----
p18-p19
ドミナントというナイロン弦は1974年頃来日したイツァーク・パールマンが使用していたもので、彼と共に日本に上陸したといってもよいようなものだが、彼の演奏の素晴らしさも手伝ってあっという間に拡がり、今まで聴いたことのない音質のヴァイオリンがどんどん一般的になっていった。
-----
でパールマンとドミナントの話を出されましたので、
私は[42234]
[42234]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月18日 09:01
投稿者:コゲ(ID:QpCDEQg)
>catgut氏

それは結果です。
過去の前例がこうだからといって、
まだ出来てもいない物にまで同じ展開が起きるなどと、
何故言い切れるのでしょうか。
で、
「『品質がスーパーソリストのお眼鏡に適って愛用され、それが世界中に広まる』といった特殊な事例が、
未だ出来てもいない、新技術を使った弓や弦にまで起こるなどとおっしゃるのですか?」

という主旨の質問を致しました。

どこの世界に、そんな甘っちょろい予測を立ててモノ作りをする人や企業があるでしょうか。

それに対して何故[42236]
[42236]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月18日 19:29
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
コゲさま、
木質加工によって「オールドの音」になることは、実際にヴィヨームが複数の楽器で行っていることや、峯沢峯三の証言、複数のプロヴァイオリニストの証言などで確実です。ただ、加工後の状態を従来の技術では長く保てなかったということです。ヴィヨームは恐らく加工した木材でヴァイオリンを作ったのではなく、完成したヴァイオリンに熱を加えるといった無理なことをしたのでしょう。
しかしすでに紹介したようにギターではLandola社やヤマハが木質加工を行った木材でギターを製作し、販売を開始してから何年も経過しています。

カルボナーレさま、
ヴァイオリンの演奏技術は「進化」しているのではなく「変化」しているのだと思います。弓だけ見ても、20世紀前半には54g-58g,弓毛100-150本が標準、現在は58g-62g,弓毛150-200本が標準ですから、20世紀前半の奏者が我々の弓を見ると、我々の感覚では「ヴィオラ弓に300本の毛を張って
ヴァイオリンを弾いている」のと同様な印象を持つでしょう。
の様な答えが返って来るのか訳が解りません。

更に言えば[42236]
[42236]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月18日 19:29
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
コゲさま、
木質加工によって「オールドの音」になることは、実際にヴィヨームが複数の楽器で行っていることや、峯沢峯三の証言、複数のプロヴァイオリニストの証言などで確実です。ただ、加工後の状態を従来の技術では長く保てなかったということです。ヴィヨームは恐らく加工した木材でヴァイオリンを作ったのではなく、完成したヴァイオリンに熱を加えるといった無理なことをしたのでしょう。
しかしすでに紹介したようにギターではLandola社やヤマハが木質加工を行った木材でギターを製作し、販売を開始してから何年も経過しています。

カルボナーレさま、
ヴァイオリンの演奏技術は「進化」しているのではなく「変化」しているのだと思います。弓だけ見ても、20世紀前半には54g-58g,弓毛100-150本が標準、現在は58g-62g,弓毛150-200本が標準ですから、20世紀前半の奏者が我々の弓を見ると、我々の感覚では「ヴィオラ弓に300本の毛を張って
ヴァイオリンを弾いている」のと同様な印象を持つでしょう。
の内容のお話は、おっしゃる通り既に別スレで貴方が出しておられ、いわば今回のお話はその蒸し返しです。

それに関して私は[42108]
[42108]

Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月19日 15:07
投稿者:コゲ(ID:NCB3UYk)
徳永氏のお話の中にも薬品を使用したという記述はありませんね。

要するに、「ヤマハの」乾燥技術を使った「ヴァイオリン」が「一流の演奏家の演奏に長年耐え得るかどうか」のデータは無いわけですね。

銘器とは、一流演奏家が一生、あるいは人生の貴重な何分の一かを共にする気にさせる、という点も大きな要素だと思いますが、
ヤマハの主張はどうあれ、現状はヤマハ主催のコンサートなどで単発的に弾くのみにとどまっているのではありませんか。
つまり銘器と較べる為のスタートラインにも立てていないわけです。
こんな現状で銘器と並び称すなどは時期尚早かと。

漆原啓子さんもブログで、
「プロの演奏家が使える物が出来るまでには、まだまだ時間がかかるとは思いますが」
と感想を述べられています。


で以下の様な回答を既に出しており、
それに対し貴方からは明確な反応は有りませんでしたので、それ以上追求はしませんでした。

[42108]
[42108]

Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月19日 15:07
投稿者:コゲ(ID:NCB3UYk)
徳永氏のお話の中にも薬品を使用したという記述はありませんね。

要するに、「ヤマハの」乾燥技術を使った「ヴァイオリン」が「一流の演奏家の演奏に長年耐え得るかどうか」のデータは無いわけですね。

銘器とは、一流演奏家が一生、あるいは人生の貴重な何分の一かを共にする気にさせる、という点も大きな要素だと思いますが、
ヤマハの主張はどうあれ、現状はヤマハ主催のコンサートなどで単発的に弾くのみにとどまっているのではありませんか。
つまり銘器と較べる為のスタートラインにも立てていないわけです。
こんな現状で銘器と並び称すなどは時期尚早かと。

漆原啓子さんもブログで、
「プロの演奏家が使える物が出来るまでには、まだまだ時間がかかるとは思いますが」
と感想を述べられています。



『要するに、「ヤマハの」乾燥技術を使った「ヴァイオリン」が「一流の演奏家の演奏に長年耐え得るかどうか」のデータは無いわけですね。

銘器とは、一流演奏家が一生、あるいは人生の貴重な何分の一かを共にする気にさせる、という点も大きな要素だと思いますが、
ヤマハの主張はどうあれ、現状はヤマハ主催のコンサートなどで単発的に弾くのみにとどまっているのではありませんか。
つまり銘器と較べる為のスタートラインにも立てていないわけです。
こんな現状で銘器と並び称すなどは時期尚早かと。

漆原啓子さんもブログで、
「プロの演奏家が使える物が出来るまでには、まだまだ時間がかかるとは思いますが」
と感想を述べられています。』

それとも[42233]
[42233]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月18日 08:07
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
pochiさま、グラマラス女優しか存在しない世界は勘弁してください。

先に紹介したようにギトリスは以下のようにストリング誌のインタビューで語っています。

「例えば、最近の傾向はやたらと大きな音を出すのが好まれているようですが、人は本当に親密に何か伝えたい時にはむしろ小声になりはしませんか?決して無駄に叫んだりはしないものです。演奏技術というものはそういう側面も多分に含んでいます。誰かを本当に愛していてそれを伝えるのに、むやみに叫んだりはしないはずです・・・。」

いわゆるベルカント唱法は、肉声が大きなホールで聴衆に聞こえるようにするために生まれた面があります。「ささやく」時にまでベルカント唱法でなければならない世界にも住みたくありません。

カルボナーレさま、鈴木秀美氏は先に紹介した「時代の音」という論文で以下のように書かれています。

-----
p17
スチール弦の音質も良くなってはきたとはいえ、当然のことながら基本的に金属的な音質、音色の悪さや変化の乏しさと、絶え間なくかかるヴィブラートの流行とはどうも無関係ではないように思われる。発音の仕方や音の減衰の仕方もガット弦とは異なることから当然ボウイングの技術も変化し、ヴィブラートは徐々に、熱病ではなく、最も美しいこととされるようになってゆき、「歌うこと」とは即ちヴィブラートをかけることと解され、音楽のなかにある「言葉」は美音追求の名の下にないがしろにされ、人々はその揺れた音で何を語るかを忘れがちになっていった。
-----

コゲさま、上記の論文に以下の指摘がありますよ。

-----
p18-p19
ドミナントというナイロン弦は1974年頃来日したイツァーク・パールマンが使用していたもので、彼と共に日本に上陸したといってもよいようなものだが、彼の演奏の素晴らしさも手伝ってあっという間に拡がり、今まで聴いたことのない音質のヴァイオリンがどんどん一般的になっていった。
-----
のドミナントのお話の様に、パールマン級のスーパーソリストにヤマハのヴァイオリンがお眼鏡に適い、
メイン楽器として選ばれ、長年に亘って世界の檜舞台で演奏され、聴衆を魅了し、
世界中のソリスト達がこぞってヤマハのヴァイオリンを使用する様になったという事実でも有るのですか?
ギターの話もされている様ですが、ギターの世界ではそのような展開になっているのですか?

あとこの話題を蒸し返されるのであれば、[42202]
[42202]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月16日 12:41
投稿者:コゲ(ID:QpCDEQg)
貴方は最新技術で作られた楽器を紹介する時に、
プロ奏者の評価を引き合いに出されたはずです。

貴方が嫌う大きな音を出す現代の奏者の下す評価を、
なぜ貴方が信じることが出来るのか納得がいかないだけです。
の私の疑問も再度参照を。

貴方は現代の奏者の演奏を嫌っておきながら、
現代の奏者が下した楽器の評価の方は支持するのですか?
[42247]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月19日 10:30
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
>カルボナーレさま、ハイフェッツとエネスコは、松任谷由実と中島みゆきくらいの差はあるのではないでしょうか。

この例では、外国人が聴けば、日本人の女性であまり本格的には歌の勉強をしていない人が歌っていて、結構に似ているな、くらいの感想になるのでしょう。

私は、そのヴァイオリン曲をその奏者による演奏であると意識しながら聴いた事、が一度もない曲が流れた時、そのヴァイオリン演奏が誰の演奏であるかどうかを当てる事はできません。(候補を2~3人挙げる事はできるかもしれませんが。)
2つの演奏を聴きくらべると、違うということはわかります。どのように違うかも、その特徴も述べる事もできます。しかし、誰が弾いているかを聴いただけで特定する事はできません。

また、時代により録音機材、技術の変化のためまったく違う音作りとなっていますので、その差も気になります。というより、それが演奏そのものとは関係がないところで、いつ頃の演奏かという重大なヒントになっているような気がします。

catgutさんは、聴いただけで、それが誰のヴァイオリン演奏であるかわかるのですか。それはすごい特技ですね。
[42248]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月19日 23:35
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
maestronetの掲示板にJosh Henry氏というプロの弓製作者が興味深いことを書かれていました。現在でも軽い弓はそれに合う奏法の奏者には適切なのだと思いますが、作っても売れないようです。

要点だけ訳してみます。

ttp://www.maestronet.com/forum/index.php?s=&showtopic=318351&view=findpost&p=408182

I certainly don't think that "the original bows must have been out of
balance or many people play today with badly balanced bows" but
rather, in my opinion, the "accepted standards" of weight and balance have changed. Many earlier bows did indeed come with lightweight
lappings (silk, silk & tinsel, baleen), and weighed 52 to 57 grams for
violin bows. I think that the bows that were made with the light weight
lappings were made to accommodate the instruments and music of
the day.

私の見解では、以前とは弓の重さとバランスの標準が変わったのです。
かつてヴァイオリンの弓は52gから57g程度で、軽い素材(絹、絹と銀糸、鯨のヒゲ)でラッピングされていました。

I think that just as the violin evolved (longer neck, stiffer bassbar, higher tension strings, etc.) to more demanding music in larger
performance halls and more demanding players (like Pagannini), the
bow so too had to evolve. Generally (there are always exceptions),
we start to see heavier, stiffer, and more cambered bows about the
same time that violins were modernized. Today, bow weights are
often 5 grams more than bows from 19th century France, and there
is also a slightly lower balance point in many older bows.
To 'modernize' some of these bows, unfortunately, some dealers
today stuff lead in the head mortise and under the thumb grip to
make a bow like that more salable, but often sacrificing the sound
& playability.

ヴァイオリン本体を大きなホールでの演奏のために「進化」させたように、弓も「進化」させねばならなかったのだと思います。一般的に言ってより重く、より固く、より反りが強くなりました。弓の重さは19世紀フランスの弓
に比べて5グラム重くなり、バランスポイントは少し低めになりました。
残念なことに一部のディーラーは、古い弓を(標準の重さに近づけて)売りやすくするために鉛をヘッドのほぞ穴やグリップに詰めて、音色や操作性を犠牲にしています。

In bow restoration (and making) the very last thing that I do is to install the grip. I do this even after the hair is in the bow so I can 'dial
in' the balance point to where it needs to be. With silver wire, I can
vary the thickness of the wire (.25,.30, and .35mm) and the length of
the lapping to get exactly the right balance point. Final weight is of
course a factor as well on older bows, but in my opinion, the balance
is far more important. In restoring old bows, it is common to see
weights 56 - 57 grams, but properly balanced. If I were to make a
56 gram violin bow today, I'd never be able to sell it, even if it were
properly balanced, because the 'accepted standard' today is around
60 grams. I think that many people do accept old bows that
are lighter because they were made by the old French Masters.

もし私が56グラムのヴァイオリン弓を作っても(それが適切なバランスでも)現在の標準である60グラムでないので決して売ることができないでしょう。私は多くの人は古い弓は軽くても、それがかつてのフランスの名匠が製作したゆえに容認するのだと思います。
[42249]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月20日 00:18
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
オールド弓を扱う弓製作者やディーラーには常識なのでしょうが、19世紀後半からおよそ100年の間に弓が4,5gも重くなっていること(弓毛の量もかなり増えていること)は意外と意識されていないようです。私も弓毛の量がこれほど増えた(トゥルテは80-100本の毛を前提として弓を製作していた)ことは今回初めて知りました。

一部の弓製作者はトゥルテオリジナルと同様に56g程度/弓毛100本の弓が現在でも操作性や音色の良さにおいて優れていることが分かっていても、「60gが常識」という比較的最近に出来た固定観念によって作っても売れないことに矛盾を感じているのでしょう。オールド弓も現在ではラッピングで製作時より重くされているものが多いのでしょう。

ちなみにガラミアン門下の代表的なヴァイオリニストであるズーカーマンは、65-67g程度の重い弓を愛用しているようです。19世紀のヴァイオリニストから見るとまさにヴィオラ弓のような重さです。

ttp://www.violinist.com/discussion/response.cfm?ID=6323
I know that Zukerman apparently uses very heavy modern bows (like
65-67 grams).
[42250]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月20日 02:22
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
弓の重さについて実際はどうなのか、SOTHEBY'Sのオークションカタログには幸いな事にグラムで重さが書かれているので、眺めてみました。
(眺める前の期待値は、catgutさんが言うような55g前後の名弓が沢山掲載されていること、でした。)

カタログ自体は10冊程度あるのですが、まず試しに2~3冊を見てみました。
まだサンプル数は少ないですが、比較的、重さにばらつきがないのが、Voirinであり58~62gくらいです。6~8本出品がありましたが、ほぼその範囲におさまります。
有名な方のTourteは、メニューインの遺品では、57g、65.5g、66gとなっています。
TUBBSやPAJEOTの弓でも、64gとか66gというものが平気でありますね。(ヴィオラ弓ではなく、ヴァイオリン弓となっています。)

軽い弓も存在し、かなりばらつきが大きくて、結局、昔は標準という枠は存在せず、お客の要望などでかなり重さに幅を持たせたのではなかろうか、というのが私の結論です。
大きな音を出すために、楽器のボディーサイズさえ大きなものを作ってしまう国で作られていた弓ですので、フィーリング重視で、なんでもありだったのでしょう。

ばらつきが非常に大きいものに対し、平均値を云々すること自体馬鹿らしいですし、もし平均を求めようとするのであれば、相当数のサンプルが必要となります。

さらには、弓は巻皮やラッピングは頻繁に、また古いものではフロッグなどを、交換していきますので、毛も含め、「その弓の重さとはいったい何ぞや」ということを明確に定義して、その条件に合致するものを、条件をあわせてサンプリングしていかないと、意味のあるデータがとれません。
著名な弓の専門書に、サイズの記載はあっても重さの記載がないのは、そのような理由かもしれません。

>19世紀後半からおよそ100年の間に弓が4,5gも重くなっている
というのは、上記より一旦眉唾とさせていただきます。今のところ、誰かが言った事を鵜呑みにしているだけのようですので、信じるに値するだけの、無作為に抽出した多数のデータを提示していただけなければ、今回も”思い込み”で片付けさせていただきます。
仮説としては面白いので、ぜひ納得できるデータを準備の上、理論武装をして反論してください。信じるに値するデータがそろっていれば、私はそれを信じます。
なお、”誰々が言った”ということを根拠にするのはもう結構です。例えば、現在の政界のトップである”鳩山さんが言った”とか”小沢さんが言った”とかという内容については、catgutさんは無条件で信じるのでしょうか。またそれが唯一無二の正解として持論を展開するとしたら、説得性はありますか。
[42252]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月21日 00:29
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
とりあえずソースを示しておきます。
19世紀にはあまり「ヴィオラ弓」としてヴィオラ弓が作られたわけではないので実質的にヴィオラ弓として使われた弓がヴァイオリン弓として通用していることがあります。また、多くの軽い弓は銀線などのラッピングで重くしているのではないでしょうか。

ストリング誌 1987年4月号 p22
Rudolf Neudorferへのインタビュー(インタビューア 沢和樹)

沢 弓の重さというのは今も昔も変わらないのですか。
R(Neudorfer) 絃は今のようにスチールではなくガットを使っていた
こともあって56-58gくらいの軽さの弓が多かったのですが、このごろは
音を出すためか60g以下の弓がむしろ売れなくなってきて、売るために
は60g以上でなくてはならない、という状況です。私自身の弓はだいたい
60-62gくらいの重さです。

カール・フレッシュ ヴァイオリン演奏の技法 上巻 p8 (1930年頃の著作)
弓の重さは、52グラムから62グラムの間である。58グラムが最も有利な
重さだと思う。軽すぎる弓(54グラム以下)は、弓の先で圧力を加えるときに、過度の力の消費を必要とするから、無条件に排除されねばならない。
[42253]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月21日 00:45
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
[42249]
[42249]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月20日 00:18
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
オールド弓を扱う弓製作者やディーラーには常識なのでしょうが、19世紀後半からおよそ100年の間に弓が4,5gも重くなっていること(弓毛の量もかなり増えていること)は意外と意識されていないようです。私も弓毛の量がこれほど増えた(トゥルテは80-100本の毛を前提として弓を製作していた)ことは今回初めて知りました。

一部の弓製作者はトゥルテオリジナルと同様に56g程度/弓毛100本の弓が現在でも操作性や音色の良さにおいて優れていることが分かっていても、「60gが常識」という比較的最近に出来た固定観念によって作っても売れないことに矛盾を感じているのでしょう。オールド弓も現在ではラッピングで製作時より重くされているものが多いのでしょう。

ちなみにガラミアン門下の代表的なヴァイオリニストであるズーカーマンは、65-67g程度の重い弓を愛用しているようです。19世紀のヴァイオリニストから見るとまさにヴィオラ弓のような重さです。

ttp://www.violinist.com/discussion/response.cfm?ID=6323
I know that Zukerman apparently uses very heavy modern bows (like
65-67 grams).
で書かれていた、
>19世紀後半からおよそ100年の間に弓が4,5gも重くなっていること
と、
[42252]
[42252]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月21日 00:29
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
とりあえずソースを示しておきます。
19世紀にはあまり「ヴィオラ弓」としてヴィオラ弓が作られたわけではないので実質的にヴィオラ弓として使われた弓がヴァイオリン弓として通用していることがあります。また、多くの軽い弓は銀線などのラッピングで重くしているのではないでしょうか。

ストリング誌 1987年4月号 p22
Rudolf Neudorferへのインタビュー(インタビューア 沢和樹)

沢 弓の重さというのは今も昔も変わらないのですか。
R(Neudorfer) 絃は今のようにスチールではなくガットを使っていた
こともあって56-58gくらいの軽さの弓が多かったのですが、このごろは
音を出すためか60g以下の弓がむしろ売れなくなってきて、売るために
は60g以上でなくてはならない、という状況です。私自身の弓はだいたい
60-62gくらいの重さです。

カール・フレッシュ ヴァイオリン演奏の技法 上巻 p8 (1930年頃の著作)
弓の重さは、52グラムから62グラムの間である。58グラムが最も有利な
重さだと思う。軽すぎる弓(54グラム以下)は、弓の先で圧力を加えるときに、過度の力の消費を必要とするから、無条件に排除されねばならない。
での引用、
>56-58gくらいの軽さの弓が多かった
 *これについては、昔が意味する年代は不明
>58グラムが最も有利な重さ
 *これは19世紀後半ではなく、1930年の記述
がどう関係あるか私にはわかりません。

現在よく言われる標準の重さは60gであり、もし引用をそのまま信じたとしても、単純に引き算すると、2gあるいは3gの差だと思うのですが。
論理的で明快な説明をお願いします。
[42254]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月21日 07:33
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
3たびの紹介ですが鷲見三郎が「ヴァイオリンのおけいこ」(音楽之友社刊)p73で以下のように述べています。

-----
(問)弓の重さは、どうでしょう。
(答)だんだん重いので弾く傾向にありますね。
今(1980年頃)は62gくらいが標準です。昔、カール・フレッシュは彼の
著書に「58gが最高だ」、と書いていますが、このごろは大きいホールが
ふえて来て、大きいホールでは余程強く弾かないと音が通らないんで
す。それで重めの弓で弾くのが世界的に流行ってきているんですが、
あまり重すぎると指弓が使いにくくなりますね。
-----

Neudorferも「絃は今のようにスチールではなくガットを使っていたこともあって56-58gくらいの軽さの弓が多かった」と書いているので、20世紀中期に4,5g重くなったということでしょう。

その背景はこれも紹介済みですが以下の通りです。

Strings Magazineによる”Violin owner's manual” p22に以下の記載が
あります。googleの書籍検索で以下の全文が読めます。

The evolution of the bow by Yung Chin
(弓の発展)
The impact of schools and playing styles on bow design
(流派と演奏スタイルによる弓のデザインへの影響)

An American school of playing, based on some of the Franco-Belgian
and classic Russian styles, has held sway for the past 40 to 50 years.
One of its best-known teachers was Ivan Galamian(1903-81).
A characteristic of his teaching was a firmer bow grip, with the index
finger more extended, leading to firmer contact between the bow
hair and string.This grip requires a more rigid bow (although if the
grip is exaggerated, the freedom of sound may be lost). Generally
speaking, such bows are heavier, with denser wood; the frog and
head heights are lower; and the camber is quite full, especially
behind the head of the bow.

大意:「アメリカ奏法」が過去40-50年間主流となっている。最もよく知
られた指導者の一人がガラミアンである。彼の指導の特徴は弓をより
しっかり握り、人差し指をより伸ばすことで、弓毛と弦をしっかりと接触
させるさせることである。この弓の持ち方では、より腰の強い(rigid)
弓が必要となる(グリップが強すぎると音の自由が失われるかもしれ
ない)。
一般的に言って、このような奏法で使う弓はより重く、密度が高い木が
適している。フロッグとヘッドの高さはより低く、弓の反り(camber)は強
いほうがよい。
[42255]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月21日 08:18
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
実際そうであるかはおいといて、引用の数字が正しいと仮定し、1980年が62g、1930年が58g、昔は56~58gとすると、今2010年の標準的な弓の重さは、ずばり何gでしょう。
50年で4g増えたのだから、64g~65gでしょうか。
ちなみに1700年頃の弓(変化はしていますが、バロック弓と呼ばれる範疇)は50g程度です。

また4.5gを算出した、引き算の式をお示し下さい。それで、catgutさんの考えがわかります。
次回は、そのcatgutさんの思われる現在の標準の重さに関する根拠について質問しますので、その論理的説明も考え始めておいてください。
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