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20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて | ヴァイオリン掲示板

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20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年09月26日 23:23
投稿者:catgut(ID:QhNBB4k)
20世紀前半の奏法といっても非常に漠然とした話ですが、レオポルド・アウアーやカール・フレッシュの弟子、指導書の影響力が大きかった20世紀前半の奏法と、ジュリアード出身者のソリストが増えた20世紀後半以降のヴァイオリン奏法では傾向の違いがあるように思われます。このスレッドでは、両者にどのような違いがあるか、あるとすればその原因がどこにあるかといった点について議論させて頂きたいと思います。
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【ご参考】
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月10日 22:42
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
全然矛盾していませんよ。
20世紀前半の奏者が常に現代の奏者より速いボーイングをしているわけではありません。

・ボーイングで音色を変えるためには、圧力を弱く、かつ弓速を速くする必要がある。

という点をより20世紀前半の奏者は理解し活用していると思います。プレーンガット弦は圧力をかけると音が潰れやすく、クライスラーは我々が考えるより困難なコントロールをしていたようです。

すでに指摘した通り、弦の違いもあり、1950年頃までは弓の重さは54g-58g前後が最善とされ、現在では58g-62g前後が最善とされています。約4gも重い弓が好まれるように変化しています。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月11日 12:02
投稿者:江戸川凡人(ID:I4FjNAU)
レス感謝ですが、すると
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年09月26日 23:33
投稿者:catgut(ID:QhNBB4k)
私自身は以下のような相違があると考えています。

(1)イントネーションの違い
20世紀前半は多様性(しかし各奏者によって一貫したポリシーがある)が
あり、現在は差が少なくなっている。
   
(2)ボーイングの違い
20世紀前半では速く軽めの弓づかいで音量と音色をコントロールする
比率が高い(クライスラーは例外)。

(3)旋律演奏のポリシーの違い
20世紀前半は声楽(歌)に似せる意識が強い。声楽的ポルタメントや、
声楽的な音色の模倣を行う。弓使いも人間の息遣いを極力模倣する。
ヴィブラートも歌でヴィブラートがかかる場所のみでかける。

(4)プレーンガット弦の音色の違い
のスレ主氏のテーゼ(1)~(4)のうちで
(2)は到底意を尽しませんね。
ニキシュ時代のボーイングなどを考慮し、再度掲げていただけると有難いと思いますよ。
:::
スレ主さんのテーゼ再掲

(1)イントネーションの違い
(2)ボーイングの違い
20世紀前半では速く軽めの弓づかいで音量と音色をコントロールする
比率が高い(クライスラーは例外)。
(3)旋律演奏のポリシーの違い
(4)プレーンガット弦の音色の違い
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月11日 22:51
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
私が「速く圧力の弱い」運弓が現在と比較して当時は相対的により多く使われていたと考える根拠はすでに多数示しました。

ミルシテインがあれだけ速い弓づかいをしているのに、複数の職業的ヴァイオリン評論家から「音が小さい」「弓圧が弱い」などと指摘されている理由を考えてみてください。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月12日 20:46
投稿者:江戸川凡人(ID:I4FjNAU)
単純な疑問になかなか答えて頂けないので苦しんでいます。

定量的な調査を、catgutさんはなさいましたか?
アーノンクールの見解をどう考えますか?
「根拠は多数示した」というが、それと異なる見解にどう答えますか?
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月13日 00:14
投稿者:通りすがり(ID:GHYzKJc)
c氏から反応がない場合は、
肯定しているか、
分からないか
理解できなかった場合です。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月13日 01:02
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
弓の重さ・強さは「定量的な証拠」ではないのでしょうか。
音量さえ妥協すれば一弓でより多くの音を弾くことができます。

すでに紹介しましたが鷲見三郎が「ヴァイオリンのおけいこ」(音楽之友社刊)p73で以下のように述べています。

-----
(問)弓の重さは、どうでしょう。
(答)だんだん重いので弾く傾向にありますね。
今(1980年頃)は62gくらいが標準です。昔、カール・フレッシュは彼の
著書に「58gが最高だ」、と書いていますが、このごろは大きいホールが
ふえて来て、大きいホールでは余程強く弾かないと音が通らないんで
す。それで重めの弓で弾くのが世界的に流行ってきているんですが、
あまり重すぎると指弓が使いにくくなりますね。
-----

Strings Magazineによる”Violin owner's manual” p22に以下の記載が
あります。googleの書籍検索で以下の全文が読めます。

The evolution of the bow by Yung Chin
(弓の発展)
The impact of schools and playing styles on bow design
(流派と演奏スタイルによる弓のデザインへの影響)

An American school of playing, based on some of the Franco-Belgian
and classic Russian styles, has held sway for the past 40 to 50 years.
One of its best-known teachers was Ivan Galamian(1903-81).
A characteristic of his teaching was a firmer bow grip, with the index
finger more extended, leading to firmer contact between the bow
hair and string.This grip requires a more rigid bow (although if the
grip is exaggerated, the freedom of sound may be lost). Generally
speaking, such bows are heavier, with denser wood; the frog and
head heights are lower; and the camber is quite full, especially
behind the head of the bow.

大意:「アメリカ奏法」が過去40-50年間主流となっている。最もよく知
られた指導者の一人がガラミアンである。彼の指導の特徴は弓をより
しっかり握り、人差し指をより伸ばすことで、弓毛と弦をしっかりと接触
させるさせることである。この弓の持ち方では、より腰の強い(rigid)
弓が必要となる(グリップが強すぎると音の自由が失われるかもしれ
ない)。
一般的に言って、このような奏法で使う弓はより重く、密度が高い木が
適している。フロッグとヘッドの高さはより低く、弓の反り(camber)は強
いほうがよい。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月13日 07:49
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
ちなみにトゥルテは平均で56g前後だそうです。
ルドルフ・ノイドルファーも、かつては56-58g程度の軽い弓が好まれたと指摘しています。

20世紀前半の代表的ヴァイオリン教師であるアウアーやフレッシュが弓で圧力をかけてはいけない(速度を使え)と強調していることも考えれば、平均的に20世紀前半のヴァイオリン奏者は現在より弓圧が低かったと考えられます。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月13日 20:39
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
弓の毛の本数の変化を調べてみたところ、面白いことが分かりました。
20世紀初頭には、毛の量も平均的には現在より少なかったと考えられます。

弓毛の数の変化はモダン弓の場合でおよそ以下の通りです。

19世紀初頭-20世紀中頃 80本-160本程度までの大きな幅が存在
20世紀後半以降 150本-200本程度が標準

私が現在使用している弓の毛の数を数えてみたところちょうど200本でした。シュポアは1832年に100-110本が標準と書いているそうです。

著名なヴァイオリン製作者のAugust Riechers(1836-1893)が書いた
The violin and the art of its construction : a treatise on the Stradivarius violin(1895年刊) には以下の記述があります。

ttp://www.archive.org/details/violinartofitsco00riecuoft
Tourte used from 80 to 100 hairs for each bow, but now from 150 to
160 are taken.
(トゥルテはもう少し多く毛を使ったという説もあるようです)

驚いたことに、この本を日本語訳し、編者が多少のコメントを付けた本が存在します。

ヴァイオリン製作保持説明書 薗兼明編 東京:須賀楽器店,大正9(1920)で、近代デジタルライブラリーで本文を読めます。上記の英文に当たる内容が以下に変化しています。

而シテトウルテ氏ハ八十乃至百本位ノ毛ヲ常ニ張タリ毛ハ可也的少数ヲ用ヰテ平垣ニ張ヲ良トス

原書の版が違うのか、それとも当時の日本ではまだより少な目の毛が一般的だったのでしょうか。

Popular Mechanics 1939年5号にはヴァイオリン弓の製作紹介記事があり、ここでも”a bow requires 100 to 110 hairs”と100年前のシュポアと同じ数となっています。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月14日 00:38
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月13日 07:49
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
ちなみにトゥルテは平均で56g前後だそうです。
ルドルフ・ノイドルファーも、かつては56-58g程度の軽い弓が好まれたと指摘しています。

20世紀前半の代表的ヴァイオリン教師であるアウアーやフレッシュが弓で圧力をかけてはいけない(速度を使え)と強調していることも考えれば、平均的に20世紀前半のヴァイオリン奏者は現在より弓圧が低かったと考えられます。
でのcatgutさんの発言、
>ちなみにトゥルテは平均で56g前後だそうです。
ですが、
- 出典はどこですか。誰が計測したのですか。
- どれだけの本数を計測した結果ですか、現存する全部のトゥルテを同じ条件で計測するのは、非常に大変で不可能に思うのですが。
- 重さには、どれくらいのばらつきがありますか
- 弓の毛等は、どのような条件に固定してはかった物ですか
- 弓の経年変化による水分量減少により、200年で重さはどれくらい減少するものですか。
- 現在の奏法にとって軽すぎるトゥルテは、もう見向きもされずに暴落しているのでしょうか。それならぜひ私は購入したいです。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月14日 07:37
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
トゥルテは"The optimum weight was approximately 56g."としたと”
Violin Technique and Performance Practice in the Late Eighteenth and Early Nineteenth Centuries”にあります。もし毛を含まない重さとしても、100本の毛であればせいぜい+2gでしょう。実際に、大阪音楽大学
が所有するサントリーコレクションのF.トゥルテの重さは52.5g,57.8g,57.7g(おそらく毛を含む重さ)です。

ttp://www.daion.ac.jp/museum/kankohbutsu/index2.html
弦楽器初級から上級に至るまでの、弓が与える影響とその過程における考察

著者の松田淳一氏はこのうち52.5gの弓を最良と評価していますが、これは奏法との相性もあるでしょう。
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