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20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて | ヴァイオリン掲示板

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20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年09月26日 23:23
投稿者:catgut(ID:QhNBB4k)
20世紀前半の奏法といっても非常に漠然とした話ですが、レオポルド・アウアーやカール・フレッシュの弟子、指導書の影響力が大きかった20世紀前半の奏法と、ジュリアード出身者のソリストが増えた20世紀後半以降のヴァイオリン奏法では傾向の違いがあるように思われます。このスレッドでは、両者にどのような違いがあるか、あるとすればその原因がどこにあるかといった点について議論させて頂きたいと思います。
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【ご参考】
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月24日 00:47
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
1インチが25.4ミリに定められたのは比較的最近のことだそうです。
もともと”nearly half an inch"という大ざっぱな言い方のなので、
厳密に取る必要はないでしょう。

以下のソースをつき合わせて真実が何か考察してみてください。

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ストリング誌 1987年4月号 p22
Rudolf Neudorferへのインタビュー(インタビューア沢和樹 現・芸大教授)
沢 弓の重さというのは今も昔も変わらないのですか。
R(Neudorfer) 絃は今のようにスチールではなくガットを使っていた
こともあって56-58gくらいの軽さの弓が多かったのですが、このごろは
音を出すためか60g以下の弓がむしろ売れなくなってきて、売るために
は60g以上でなくてはならない、という状況です。私自身の弓はだいたい
60-62gくらいの重さです。
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鷲見三郎が「ヴァイオリンのおけいこ」(音楽之友社刊)p73
だんだん重いので弾く傾向にありますね。今(1980年頃)は62gくらいが標準です。昔、カール・フレッシュは彼の著書に「58gが最高だ」、と書いていますが、このごろは大きいホールがふえて来て、大きいホールでは余程強く弾かないと音が通らないんです。それで重めの弓で弾くのが世界的に流行ってきているんですが、あまり重すぎると指弓が使いにくくなりますね。
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カール・フレッシュ ヴァイオリン演奏の技法 上巻 p8 (1930年頃の著作)
弓の重さは、52グラムから62グラムの間である。58グラムが最も有利な
重さだと思う。軽すぎる弓(54グラム以下)は、弓の先で圧力を加えるときに、過度の力の消費を必要とするから、無条件に排除されねばならない。
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弓製作者Josha Henry氏の発言
ttp://www.maestronet.com/forum/index.php?s=&showtopic=318351&view=findpost&p=408182
私の見解では、以前とは弓の重さとバランスの標準が変わったのです。
かつてヴァイオリンの弓は52gから57g程度で、軽い素材(絹、絹と銀糸、鯨のヒゲ)でラッピングされていました。ヴァイオリン本体を大きなホールでの演奏のために「進化」させたように、弓も「進化」させねばならなかったのだと思います。一般的に言ってより重く、より固く、より反りが強くなりました。弓の重さは19世紀フランスの弓に比べて5グラム重くなり、バランスポイントは少し低めになりました。
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Strings Magazineによる”Violin owner's manual” p22
The evolution of the bow by Yung Chinより
「アメリカ奏法」が過去40-50年間主流となっている。最もよく知られた指導者の一人がガラミアンである。このような奏法で使う弓はより重く、密度が高い木が適している。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月24日 01:49
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月24日 00:47
投稿者:catgut(ID:QUCIGJM)
1インチが25.4ミリに定められたのは比較的最近のことだそうです。
もともと”nearly half an inch"という大ざっぱな言い方のなので、
厳密に取る必要はないでしょう。

以下のソースをつき合わせて真実が何か考察してみてください。

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ストリング誌 1987年4月号 p22
Rudolf Neudorferへのインタビュー(インタビューア沢和樹 現・芸大教授)
沢 弓の重さというのは今も昔も変わらないのですか。
R(Neudorfer) 絃は今のようにスチールではなくガットを使っていた
こともあって56-58gくらいの軽さの弓が多かったのですが、このごろは
音を出すためか60g以下の弓がむしろ売れなくなってきて、売るために
は60g以上でなくてはならない、という状況です。私自身の弓はだいたい
60-62gくらいの重さです。
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鷲見三郎が「ヴァイオリンのおけいこ」(音楽之友社刊)p73
だんだん重いので弾く傾向にありますね。今(1980年頃)は62gくらいが標準です。昔、カール・フレッシュは彼の著書に「58gが最高だ」、と書いていますが、このごろは大きいホールがふえて来て、大きいホールでは余程強く弾かないと音が通らないんです。それで重めの弓で弾くのが世界的に流行ってきているんですが、あまり重すぎると指弓が使いにくくなりますね。
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カール・フレッシュ ヴァイオリン演奏の技法 上巻 p8 (1930年頃の著作)
弓の重さは、52グラムから62グラムの間である。58グラムが最も有利な
重さだと思う。軽すぎる弓(54グラム以下)は、弓の先で圧力を加えるときに、過度の力の消費を必要とするから、無条件に排除されねばならない。
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弓製作者Josha Henry氏の発言
ttp://www.maestronet.com/forum/index.php?s=&showtopic=318351&view=findpost&p=408182
私の見解では、以前とは弓の重さとバランスの標準が変わったのです。
かつてヴァイオリンの弓は52gから57g程度で、軽い素材(絹、絹と銀糸、鯨のヒゲ)でラッピングされていました。ヴァイオリン本体を大きなホールでの演奏のために「進化」させたように、弓も「進化」させねばならなかったのだと思います。一般的に言ってより重く、より固く、より反りが強くなりました。弓の重さは19世紀フランスの弓に比べて5グラム重くなり、バランスポイントは少し低めになりました。
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Strings Magazineによる”Violin owner's manual” p22
The evolution of the bow by Yung Chinより
「アメリカ奏法」が過去40-50年間主流となっている。最もよく知られた指導者の一人がガラミアンである。このような奏法で使う弓はより重く、密度が高い木が適している。
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での発言に対し、コメントします。

>Rudolf Neudorferへのインタビュー
”昔”がいつかわからない。
また、60g~62gとはNeudorferの作る弓の重さの話です。

>鷲見三郎が「ヴァイオリンのおけいこ」
>カール・フレッシュ ヴァイオリン演奏の技法 上巻
単に、ヴァイオリンの一教師である鷲見三郎が思う1980年頃の標準は62g。カール・フレッシュは彼の著書に「58gが最高だ/有利な重さ」と書いているがそれは彼の好み。そのような弓が当時の標準だとはどこにも書いていない。
以上、2名の私見の積み重ねであり、それを引き算することに意味はない。

>弓製作者Josha Henry氏の発言(maestronetへの書き込み)
最初から”私の見解”と書いてありますね。具体的にデータや裏付けから導かれた論理的な結論であれば、そのような言い方はしません。
また、私は弓製作の著名人として、残念ながらJosha Henry氏を存知あげませんし、彼が実際に数多くのオールド弓を扱い、測定した上での見解かどうかはわかりません。彼のWebでのプロフィールを見る限り、弓職人に弟子入りしたのが10年前、やっと店を構えたところという状況ですので、常識的には経験値は低いはずです。従って、公式見解ではなく、一個人のその人の少ない経験からの見解にすぎません。これがラファンやミランクラスの弓の鑑定等を長年行ってきた権威の発言であれば、私見であってもかなり信頼できるでしょうが、もし彼らが見解を出すとすれば、きちんと膨大なデータの蓄積からの公式見解として、このような会議室以外の方法で示すでしょう。

>Strings Magazineによる”Violin owner's manual”
なぜそうなのか、理由が書かれていない。また、19世紀以前の弓の方が密度の高い木が使われており、20世紀も中頃になると、以前のように密度が高い木での弓製作は非常に困難となっており、矛盾がある。剛性を得るためには、太く重くせざると得ないというのが20世紀中頃以降の現実。また、この記載も単なる一意見である。さらには、ガラミアンは一世を風靡したがすでの過去の教師であり、とくに今その奏法が主流というわけでもない。

以上より、すでに書き込ませていただいた通り、今までソースとしてあげられたものは、とくに根拠が示されたわけでもない散発的な私見の羅列であり、単なる参考情報でしかありません。

それから、「昔より、今の弓は重くなった」ということくらいは、多くの人から合意が得られるでしょうが、catgutさんが展開されたそれ以上の細かい仮説に関しては、まだ思い込みや想像の域を脱していない、としか言いようがありません。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月24日 23:00
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
この後はこのスレッドをご覧になった方がご自身で考えて頂けばよいと思います。

ズーカーマンのように弾きたければ、重い弓を使ったほうが良いでしょうし、
20世紀前半の(クライスラーなど一部を除いた)ヴァイオリニストのように弾きたければ、プレーンガット弦、軽めの弓、少なめの毛などを試してみる価値があるでしょう。もちろん、それに適合する奏法を行うための条件に過ぎませんが。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月24日 23:58
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
トルテでも、フロッグや巻き線等が取り替えられると、メニューインの遺品のトルテ(Hill商会でフロッグ等交換されたようです)2本のように、平気で65g程度のものが存在します。(遺品として残された弓から見る限り。ハイフェッツより一回り若いメニューインも、とても重い弓使用派と推定いたします。)
弓の重さはもともとの製作者からは判断できませんので、ハイフェッツや、ミルシュタインが、実際にメインで使っていた弓の重さが具体的にわかれば、面白いですね。
catgutさんの検索力で、事実が明確になることを期待します。(ハイフェッツの遺品の弓は、どの製作者のもので重さは**gとか、今はそのまま誰が使っていてその重さは**gとか。)
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月26日 16:24
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
ハイフェッツはキッテルの弓を好んだと言われますが、キッテルについては以下の評価がありました。
著者はRoland Herrera氏です。
ttp://www.wps.pwp.blueyonder.co.uk/roland_resume.htm

All about Bows & Bow Makers

ttp://www.wps.pwp.blueyonder.co.uk/bows_makers.htm
Kittel bows are nearly always quite light and flexible.
キッテルの弓はほとんど常にまったく軽くてフレキシブルです。

Tourte, Francoise Xavier の項目では平均約56gと書かれています。
The weight averaged at around 56 grams.
[42290]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月26日 23:18
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
私が知りたいのは、ハイフェッツが使っていた弓の重さと、ミルシュタインが使っていた弓の重さです。
少なくとも、メニューインの遺品のトルテが2本も65g程度あったのは、オークションカタログに書かれた重さですので、事実です。ハイフェッツやミルシュタインのものはそうでない、という証拠がどこにあるのでしょう。

なお、平均というのは、すべてを足して、その総数で割ったものです。トルテのすべての弓の重さをどうやってその筆者は計測したのでしょう。結局はたまたま身近にあったものを数点計っての平均か、あるいは聴いた事、他の文献でみたことの受け売りではないでしょうか。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月26日 23:38
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
毛が100本と200本では2gから2.5g程度重さが違いますね。当時の正確な重さを知るのは当時の計測データが見つからない限り難しいでしょう。

ただ、前掲の情報が正しければ、オリジナルのトゥルテのラッピングは
絹・銀糸・鯨のヒゲなどの軽い材質で、金属線のものは後日重くするた
めに巻きなおされた可能性が高いということになります。
[42292]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月27日 19:24
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
クリスティーズのオークションを検索してみると、48g-54g程度のモダン弓も結構ありますね。もっと重い弓もあったでしょうが、ロマン派の楽曲はこんな弓でも演奏されていたのですね。

ttp://www.christies.com/LotFinder/lot_details.aspx?intObjectID=4451865
A nickel-mounted Violin Bow by W.E.Hill & Sons Weight: 48g. (no hair)

ttp://www.christies.com/LotFinder/lot_details.aspx?pos=2&intObjectID=586036&sid=
A violin bow silver-mounted, stamped Paul Jombar Paris, weight - 50g.

ttp://www.christies.com/LotFinder/lot_details.aspx?intObjectID=668110
Two violin bows nickel-mounted, one stamped Wiren, weight - 54g.
the other indistinctly stamped, weight - 50g. (2)

ttp://www.christies.com/LotFinder/lot_details.aspx?pos=2&intObjectID=3717410&sid=
A silver mounted violin bow by Victor Petique, stamped on the frog, weight - 52g.

ttp://www.christies.com/LotFinder/lot_details.aspx?intObjectID=4254294
A SILVER-MOUNTED VIOLIN BOW Stamped: C.Thomassin à Paris Weight: 52g.

ttp://www.christies.com/LotFinder/lot_details.aspx?pos=1&intObjectID=586034&sid=
A violin bow silver-mounted, by Alfred Lamy, branded A.Lamy à Paris, weight - 53g.

ttp://www.christies.com/LotFinder/lot_details.aspx?pos=10&intObjectID=586033&sid=
A violin bow silver-mounted, by Herm. Albert Hoyer, stamped, weight - 54g.

イザイが所有していた弓は、毛が一部切れた状態で56gだそうです。
ttp://www.christies.com/LotFinder/lot_details.aspx?intObjectID=1434053
[42293]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月27日 23:51
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
ついでにsothebysの弓もチェックしてみましたが、20世紀に入る頃にも
53g程度の弓は作られていたようです。

1900年頃製作(写真あり)。
ttp://www.sothebys.com/app/live/lot/LotDetail.jsp?sale_number=L05252&live_lot_id=164
JOSEPH ALFRED LAMY(B MIRECOURT, 1850; D PARIS, 1919) CIRCA
1900 53 grams

1890年頃製作。
ttp://www.sothebys.com/app/live/lot/LotDetail.jsp?sale_number=L09456&live_lot_id=153
Charles Nicolas Bazin(Mirecourt, b 1847; d 1915) circa 1890 53 grams
[42294]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月28日 07:18
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
catgutさん、
情報操作のようなことはせず。調べるなら、例えば製作年代毎(10年刻みくらい)に無作為に100本ずつを抽出し、重さの最大、最小、平均、ばらつきなどを提出してください。できないなら、裸データで提出ください。

結果、「昔はいろんな重さの弓があったんだな。改造されているかもわからないので、昔どうだったかもわからないし、毛やラッピングの弓の状態も不明だからデータの信頼性も不明。」ということにしかならないように思いますが。
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