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20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて | ヴァイオリン掲示板

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20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年09月26日 23:23
投稿者:catgut(ID:QhNBB4k)
20世紀前半の奏法といっても非常に漠然とした話ですが、レオポルド・アウアーやカール・フレッシュの弟子、指導書の影響力が大きかった20世紀前半の奏法と、ジュリアード出身者のソリストが増えた20世紀後半以降のヴァイオリン奏法では傾向の違いがあるように思われます。このスレッドでは、両者にどのような違いがあるか、あるとすればその原因がどこにあるかといった点について議論させて頂きたいと思います。
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【ご参考】
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月29日 08:18
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
>弓毛の数の変遷についてはすでに多くのソースを示しています。

お手数をおかけしますが、レビューを行いたいので、再度出典(記載年含む)を列挙ください。catgutさんの言う
>19世紀前半 100本前後
>19世紀末  100本-150本前後
>20世紀前半 100本-200本前後
>20世紀後半 150本-250本前後
が本当か、出典と照らし合わせて確かめましょう。なお、記載年については、その年よりも過去にはそのような考え方があったと解釈するために、必要です。

>すでに書きましたが、私の弓の一つは200本超の毛があります。

- すみません、「200本超」が具体的何本か見逃しました。何本ですか。250本ですか。
- 普段使われている弓の毛は、何本ですか?
- 数は少ないでしょうから、お持ちの弓の毛の本数を、弓の数だけあげていただけますか。また、注記で量産品で購入時から替えていないものは示しておいてください。

>以下のように現在の毛の数の上限を250本程度としているソースがあります。
- そのソースの時代設定は、いつだと書かれているのでしょう。
- 1つソースがあったら、範囲を広げるのですか。
  100~200というソースがもし1つあれば、その後は
   20世紀後半 100本-250本前後
  と変わるということですね。
  とても安易な考え方だと思います。
  なお、20世紀の最後にかかれた、楽器の事典「弓」では150本~200本と書かれており、毛の張り方等を説明する例としては150本が使われています。

>またチジク氏の発言については「ほとんど弓先を使った演奏をしていて」という部分は誇張気味だと私も思いますが、他は私の考えと特に矛盾していません。

ということは、「このポジションではしっかりと引っかかった人指し指のせいで手の重さがかかりやすくなる」ということを肯定しており、手の重さのかかった演奏をしていることに合意されていると理解させていただきます。
話の流れからは、そこでの「手の重さがかかる」=上から弓に圧力をかける、ととらえるのがまずは素直と考えますので、極論すれば圧力重視の奏法であるということになります。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月29日 22:23
投稿者:pochi(ID:KFYpcJE)
20世紀前半??の奏法を弓の重さや毛の量で推定するのは難しいでしょうね。

「20世紀前半」とは何ぞや?
ロシア革命以前に使われていた弓の重さはどうか?
以後はどのようになったのか?
弓の毛の量はどのように変遷したのか?
奏法と関連性はあるのか?
これだけ立証する必要がありますね。

弓の毛を1重に張って、100本というのはいかにも多めです。
2重に張って250本というのはチェロの間違いではないでしょうか?

フロッシュの幅と毛の太さの関連がありますから、現代的な2重の張り方だと150本~精々190本位だと思いますが、如何でしょうか?

私の弓の場合、2重張りで大体165本なのだそうです。同じようなモンゴルを使った場合、1重だと90本未満になりますね。

奏法に関しては、ロシア革命以前と現代では西洋人の体格が大きく異なります。大柄な人と小柄な人の弾き方が違うのは当たり前なので、比較になりませんね。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月30日 00:31
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
弓の毛の増加は重要な問題なのでまとめてみました。

(バロック弓)80本-100本
Jacob Augustus Otto(弦楽器製作者 1760年-1829年)1828年刊の本 100本-110本
Louis Spohr(ヴァイオリニスト、作曲家 1784年-1859年)1832年刊の本 100本-110本
Julius Ruehlmann(楽器研究家)1816-1877) 1882年刊の本 110本-120本
Francois Fetis(音楽史家 1784-1871)    1856年刊の本 175本-250本
August Riechers(弦楽器製作者 1836-1893)1895年刊の本 150本-160本
James Tubbs(弓製作者 1835年-1921年)PHILIP J. KASSによる 110本-150本
Popular Mechanics 1939年 5号 100本-110本

ベルギーの音楽史家、評論家であるFetisの本だけが突出して多い本数になっています。英語版では以下の通りです。

The number of hairs determined on by Tourte for his bows was rather less than has been adopted since players have endeavoured to draw the greatest amount of sound possible from their instruments: this number now varies between 175 and 250,according to the size of the hairs.
トゥルテによって定められた毛の数は演奏者ができるだけ大きな音を出そうとして使われた数よりかなり少なかった。この数は現在(1856年頃)では毛の太さによって175本から250本の間となっている。

トゥルテ以前に毛を増やして音量を増やそうという試みがあり、トゥルテはそのような方針を取らず弓自体の改良を行い、毛を少なくしたということでしょうか。August Riechersはトゥルテの時代の毛の数を80本-100本と書いています。いずれにしろFetisの175本-250本という記述は地域的なものか、一時的なものと考えられます。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月30日 01:15
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
ちなみに現在の弓毛の数については、maestronetをちょっと検索しただけでもヴァイオリン弓に250本張るとか、実際に弓毛の数を数えたら221本だったとか書いてあるので、250本程度というケースもあるようです。

James Tubbsの弓毛が110本から150本というのは以下がソースです。
20世紀初頭でもこの程度の毛の量だったのです。

ttp://www.maestronet.com/m_library/world_strings/fall80.pdf
Tubbs used 110 to 150 hairs per bow.
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月30日 07:50
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
未紹介のソースを以下に示します。

Notice of Anthony Stradivari François Joseph Fétis(googleの書籍検索で読めます)
Die Geschichte der Bogeninstrumente Julius Rühlmann(googleの書籍検索で読めます)

これらの資料から確実に言えることは、フランソワ・トゥルテのオリジナルの弓は、晩年製作のものであっても約100本程度の毛しか使用されていないということです。トゥルテ自身は文字が書けなかったので文書は残していませんが、トゥルテの弓を良く知る同時代人の証言が完全に一致しています。パガニーニは特注の普通より長い弓を使ったと言われていますが、毛の量については「普通と違う」という証言がないことから、やはり100本程度の毛で弾いていた可能性が高いと考えられます。

おそらく亡くなった杉藤浩司氏が書かれたのだと思いますが、杉藤楽弓社のWebにある以下の内容は、トゥルテの時代の毛の考え方にほぼ一致します。「毛の量は、理想を言えば、一列並びですが、現実的には、それより1、2割り増しでしょうか」

ヴァイオリン製作保持説明書 薗兼明編 東京:須賀楽器店,大正9(1920)の「而シテトウルテ氏ハ八十乃至百本位ノ毛ヲ常ニ張タリ毛ハ可也的少数ヲ用ヰテ平垣ニ張ヲ良トス」という記述も同様です。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月30日 20:00
投稿者:・・・・・(ID:JlBISZA)
>まとめると以下のようになります。

カール・フレッシュの「ヴァイオリン演奏の技法」に見られる奏法
・主にガット弦使用
・弓の重量は軽め
・弓毛の量は少なめ
・弓毛は緩く張る
・松脂は少なめ
・弦にあまり圧力をかけない

ズーカーマンを代表とするガラミアンの指導による「アメリカ奏法」
・主にナイロン弦使用
・弓の重量は重め
・弓毛の量は多め
・弓毛は強く張る
・松脂は多め
・弦にかなり圧力をかける

この記載との関連はいかがか。
少な目とは100本、多目とは200本?250本?
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月30日 21:48
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
SP2さま、すでに紹介した松田淳一氏によるサントリーコレクションに関するレポートをお読みになったでしょうか。その「最良のフランソワ・トゥルテ」は52.5gですから、SP2さまの60.4gの弓と平均を取れば56.45gですね。
サントリーコレクション中の3本のF.トゥルテのヴァイオリン弓で計算しても
それぞれ52.5g,57.8g,57.7gですから平均55.9gです。

またトゥルテがoptimum weightを約56gとしたと述べているのはRobin
Stowellです(Violin Technique and Performance Practice in the Late
Eighteenth and Early Nineteenth Centuries)。Stowellはヴァイオリニスト・大学教授です。

Robin Stowellのプロフィール
ttp://www.cardiff.ac.uk/music/contactsandpeople/profiles/stowell.html

松田淳一氏によるサントリーコレクションに関するレポート
ttp://www.daion.ac.jp/museum/kankohbutsu/pdf/23/doc002.pdf
フランソワ・トゥルテ製作。パリ1824年製。52.5g

著者の松田氏はこの弓について以下のようにコメントしています。
-----
サントリーコレクション中 最良のフランソワ・トゥルテである。健康状態もほぼ完璧で、左右の反りやねじれもまったく見られない。使用感も良好で、明るい音色を持ち、レスポンスも完璧である。(中略)
この弓の場合、「しなやかさ」と最適な「力強さ」を併せ持っているのであるが、最初に述べたとおり、初級・中級クラスのレベルでは、まだ右腕に余分な力が入っているため、後者の「力強さ」を感じ取ることが出来ない。なぜなら、彼らの右腕の力みの方が、弓の持つ力強さを遥かに超えてしまっているため、弓の強度を感じなくなってしまっているのである。そのため、前者の「しなやかさ」のみを感じることになり、彼らの導き出す答えは「弱い弓」「繊細な弓」という結果になり、また、彼らのみならず、弦楽器修理の専門家(演奏が出来ない専門家に多い)でさえ、「バロックくらいにしか使用してはならない弓」というミスジャッジを犯すことも珍しくないのである。
-----
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月31日 00:11
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月20日 02:22
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
弓の重さについて実際はどうなのか、SOTHEBY'Sのオークションカタログには幸いな事にグラムで重さが書かれているので、眺めてみました。
(眺める前の期待値は、catgutさんが言うような55g前後の名弓が沢山掲載されていること、でした。)

カタログ自体は10冊程度あるのですが、まず試しに2~3冊を見てみました。
まだサンプル数は少ないですが、比較的、重さにばらつきがないのが、Voirinであり58~62gくらいです。6~8本出品がありましたが、ほぼその範囲におさまります。
有名な方のTourteは、メニューインの遺品では、57g、65.5g、66gとなっています。
TUBBSやPAJEOTの弓でも、64gとか66gというものが平気でありますね。(ヴィオラ弓ではなく、ヴァイオリン弓となっています。)

軽い弓も存在し、かなりばらつきが大きくて、結局、昔は標準という枠は存在せず、お客の要望などでかなり重さに幅を持たせたのではなかろうか、というのが私の結論です。
大きな音を出すために、楽器のボディーサイズさえ大きなものを作ってしまう国で作られていた弓ですので、フィーリング重視で、なんでもありだったのでしょう。

ばらつきが非常に大きいものに対し、平均値を云々すること自体馬鹿らしいですし、もし平均を求めようとするのであれば、相当数のサンプルが必要となります。

さらには、弓は巻皮やラッピングは頻繁に、また古いものではフロッグなどを、交換していきますので、毛も含め、「その弓の重さとはいったい何ぞや」ということを明確に定義して、その条件に合致するものを、条件をあわせてサンプリングしていかないと、意味のあるデータがとれません。
著名な弓の専門書に、サイズの記載はあっても重さの記載がないのは、そのような理由かもしれません。

>19世紀後半からおよそ100年の間に弓が4,5gも重くなっている
というのは、上記より一旦眉唾とさせていただきます。今のところ、誰かが言った事を鵜呑みにしているだけのようですので、信じるに値するだけの、無作為に抽出した多数のデータを提示していただけなければ、今回も”思い込み”で片付けさせていただきます。
仮説としては面白いので、ぜひ納得できるデータを準備の上、理論武装をして反論してください。信じるに値するデータがそろっていれば、私はそれを信じます。
なお、”誰々が言った”ということを根拠にするのはもう結構です。例えば、現在の政界のトップである”鳩山さんが言った”とか”小沢さんが言った”とかという内容については、catgutさんは無条件で信じるのでしょうか。またそれが唯一無二の正解として持論を展開するとしたら、説得性はありますか。
にて、私の方からは下記の値を提示しています。
>有名な方のTourteは、メニューインの遺品では、57g、65.5g、66gとなっています。

これも無視せず、平均のためのデータに加えて、再計算をお願いします。
60.4g,52.5g,57.8g,57.7g,57g,65.5g,66gの平均は何gでしょう。小学生の算数ですので、間違えないよう計算をお願いします。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月31日 09:18
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
52.5g,57.8g,57.7g,60.4gを足して4で割ってもたかだか57.1gですね。

楽器の事典 弓(1992年刊)をチェックしてみましたが、p58-p59に「軽い弓が理想であるという説」という項がありました。一部引用します。

-----
ヴァイオリンは、十九世紀以来、他のアカデミックな楽器の音量の増加と対抗するために、次第にボリュームの出せるものが好まれてきたことは事実で、これに適応するために、弓も、弓毛のテンションが比較的強く、重さもある程度重いものが用いられる傾向が現れてきた。(注)オールド・ボーでも、現在ではヴォアランの弓より力強いペカットのものが人気がある。

杉藤氏は、現在市場に多く見出されるドイツ製の高級な弓よりさらに軽いものが日本の演奏家には最適であるとの信念の下に、その製品について次に記載する重さの範囲を守っている。
☆ヴァイオリン 60~62g (略)

(注)参考までに、1927年にフランスのパリーのコンセルヴァトワールで出版された楽器の専門書のなかから楽弓の規格を拾い上げてみよう。
☆ヴァイオリン 55~60g。スティックが35g、馬毛が2~3g。重心の位置は根元から約20cmの個処。(略)50年以前の大本山の弓はさらに軽かったらしい。
-----

馬毛の量も現在は3g~4g程度と言われているため、1927年頃は現在より少なかったと考えられます。またp125には「ガット弦とスチールおよび巻線と弓の適合」という項があります。以下のように書かれています。

-----
二十世紀の初めまでのヴァイオリンの弦はガット弦(羊腸線)であった。その後、スチール弦およびガットの巻線あるいはナイロンの巻線の出現により、ヴァイオリンの弦の張力は当然大きくなった。一概には断言できないが、十九世紀のヴァイオリンの音量はやや小さく、音色は、スイートでメローで、特殊な魅力のあるものであった。ところが、現在の楽器は、弦が変わったこともあるし、ブリリアントで音色の大きいものが好まれるようになった。十九世紀では、ヴォアランの弓が理想的なものであったと伝えられる。
スティックの先端は極めて細くて優雅な形をしており、しかも素晴らしい弾力を持つ材質が使ってあった。
しかし、現在では、その軽さが欠点として浮かび上がっており、ラッピングを銀線や金線に変更して使用されている状態である。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年01月31日 14:13
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
>52.5g,57.8g,57.7g,60.4gを足して4で割ってもたかだか57.1gですね。

残念、不正解です。再度書きますが、質問は下記です。
>60.4g,52.5g,57.8g,57.7g,57g,65.5g,66gの平均は何gでしょう
質問の読み間違いは、最低の間違いで、入試などでは一番悔しい間違いの部類に入り、話にならない間違いですね。
それでは、正解を教えましょう。

60.4g,52.5g,57.8g,57.7g,57g,65.5g,66gの平均は、小数点第1位まで求めて、59.6gですので、答えは 59,6g です。
(質問で、57g、66gと書いたのは、本来なら57.0g、66.0gと書きたいところですが、出典のオーションカタログの値のまま書かざるをえず、しかたなくそうなっています。)

なお、57g,65.5g,66gについては、オークションカタログ、
The Menuhin Collection
Important Instruments and Bows from
The Collection of the Late Lord Menuhin
SOTHEBY's London Tuersday 16 November 1999
の32ページをご覧ください。
個人の意見を書いたBBSへの書き込みや書籍でのおよその重さよりも、ずっと信頼性があるデータだと思います。

59,6gは、今まで、トルテ一本一本の実際の重さのデータとして、このスレであげられたものを列挙したものの7本の平均ですから、トルテの弓の重さの平均値としては、現時点ではこのスレとしては実データとして一番信頼できる値だと思います。
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