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ヴァイオリンの塗装について | ヴァイオリン掲示板

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楽器・付属品 259 Comments
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ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月08日 07:30
投稿者:catgut(ID:FDRkUlM)
ヤマハの現状未請求の特許で大変面白いものがありました。

ヴァイオリンの「塗装」に紫外線を当てると音が良くなるというものです。
つまり経年変化で音が良くなるのは「塗装」が経年変化したことが
一因だというわけです。特許の中にいろいろな実験結果が書かれています。それによるとオイルニス、アルコールニスだけでなく、ラッカー塗装やウレタン塗装でもやはり紫外線を当てると音が良くなるそうです。

ttp://www2.ipdl.inpit.go.jp/begin/BE_DETAIL_MAIN.cgi?sType=0&sMenu=1&sBpos=1&sPos=2&sFile=TimeDir_7/mainstr1199744457343.mst&sTime=0

またはここから「楽器用部材または楽器とその製造方」で検索
ttp://www2.ipdl.inpit.go.jp/begin/be_search.cgi

発明の名称 : 楽器用部材または楽器とその製造方法
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Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月08日 07:44
投稿者:catgut(ID:FDRkUlM)
この発明の明細書には以下のように書かれています。

【発明の効果】
本発明によれば、エネルギーレベルの高い遠紫外線を用いることで、30分程度という極めて短時間の照射時間で、楽器用部材または楽器表面の塗装膜の改質を行うことができ、短時間で、経年変化を経た楽器と同等の優れた音質の楽器を得ることができる。また、音質の改善だけでなく、塗装膜を透明にすることで美しい外観とすることができる。

【発明を実施するための最良の形態】
本発明において、UVCを照射する塗装膜としては、楽器全般に用いられる
ものであれば特に制限されないが、例えば、油性ワニス、ポリエステル樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、アルキド樹脂塗料、アミノ・アルキド樹脂塗料、ウレタン変性アルキド樹脂塗料、セルロースラッカー塗料およびアルコールワニスからなる塗装膜であることが好ましい。
また、塗装膜の膜厚は、種類により異なるが、10~110μmであることが好ましい。
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Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月08日 22:27
投稿者:catgut(ID:FDRkUlM)
ヤマハの結果がすべて正しいとは限りませんが、この現象があると
すればかのヒル兄弟がオイルニスを過大評価してしまった一因なの
かもしれません。

つまり、オイルニスよりアルコールニスのほうが歴史が新しいので、
ヒル兄弟がしきりにヴァイオリンを鑑定していた19世紀末後半の時点で
は、楽器の作りが同程度なら(ニスがより劣化している)オイルニスの
楽器のほうが多少音が良かったのかもしれません。

意図的にしろ思い込みにしろ、ヒル兄弟のオイルニス過大評価は
不思議です。現在クレモナのマスターメードでは菊田氏の楽器を
含め多くがアルコールニスで製作されているとのことです。

ちなみにヤマハの特許は面白いものの宝庫です。f孔を一部ふさぐ
ことによってウルフを解消する器具などが考案されています。
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Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月08日 22:31
投稿者:ブルーベリー(ID:MlBRJJg)
catgut様、面白い情報を書き込みしていただきましてありがとうございます。きっとヤマハのヴァイオリン「アルティーダ」には、この紫外線照射が応用されているのでしょうね。
ヴァイオリンに詳しい知人は、ヴァイオリンを(展示会で展示されるときに使われているような)ヴァイオリンスタンドに立てかけて、日の良く当たる部屋で時々ヴァイオリンを日光浴させています。ニスの透明度が向上したり、自然な色ムラができて、美観が向上するほか、木材内部の水分を飛ばして軽量化を推進したり、虫害の防止効果も期待できると言ってました。
ヴァイオリンの表面が少しだけ温かくなってきたら裏返すというような具合で週に1回程度日光浴させていたら、ニスの赤みが減ってオレンジやゴールドの成分が浮き上がってきて、少しずつ複雑な色合いになってきたようです。
クレモナのヴァイオリン製作者が良く晴れた日にニスを塗ったヴァイオリンを屋外で乾燥させているのを見て、それを真似してみようと思ったようです。陰干ししている製作者もいれば、直射日光が当たるような場所にヴァイオリンを吊るして乾燥させている製作者もいるとのことです。ニスが溶け出さない程度であれば日光を当てるのは効果的ということなのでしょうね。
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Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月08日 22:44
投稿者:catgut(ID:FDRkUlM)
ヤマハの特許の中には、出荷前に紫外線を当てて変色しきらせて
しまい、その段階で出荷することにより出荷後の変色を防ぐという
ある意味開き直ったようなものもありました。
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Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月09日 08:49
投稿者:バスコ(ID:JCVmlgU)
アメリカの製作家には、塗装を乾かすのにUVボックスを使う人、結構居るみたいですよ。音の面を考慮してのことなのか、ただ早く乾したいからなのかは知りませんが。
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Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月09日 10:02
投稿者:QB(ID:QnhGKJM)
UV照射、弓にも使っている方、結構いらっしゃいますよ
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Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月09日 12:10
投稿者:みっち(ID:IAdmhmg)
ヤマハは172nmのUVCを用いたようです。「詳細」にも書いてありますが、この波長の紫外線は大気中には存在しません(ヤマハは窒素ガス中で処理しています)。
日光浴など健康に良いとされるUVAや日焼けの原因で発癌性も取りざたされるUVBの照射は「塗装のひび割れを引き起こし」など害の方が大きかったそうです。
安易に楽器を直射日光に曝すのは止めましょう。
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Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月10日 01:08
投稿者:catgut(ID:FDRkUlM)
この研究で特に興味深いのは以下の2点だと思います。

・従来ヴァイオリンの音が良くなるのは木の経年変化だと考えられて
来たが、実際は塗装の経年変化(劣化)も関係が大きい。
・伝統的なオイルニス、アルコールニスだけでなく、現在安価なヴァイオリンで使われているウレタン塗装、ラッカー塗装でも経年変化で同様
に音が良くなる。

合成樹脂塗装では「音が育たない」と言われていましたが、
合成樹脂塗装のヴァイオリンの歴史が浅いための誤解だったようです。
ちなみに私は安価なヴァイオリンではアクリルラッカー塗装が主流かと
思っていましたが、実際はポリウレタン塗装が主流でした。
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Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月10日 10:30
投稿者:通りすがり(ID:FINJlSk)
catgut様
以下の点をはっきりさせてください。

①塗装の経年変化は紫外線によるものだけではないはずです。
②短時間のUVC照射と繰り返し照射されるUVA/UVBと同等の効果があるのでしょうか。

どちらもNOであるなら、アルティーダで見られた音響特性の向上と
オールドバイオリンの音響とを同列に論じてはいけません。
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