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演奏中の弓の毛の張り具合(ヴァイオリン) | ヴァイオリン掲示板

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演奏中の弓の毛の張り具合(ヴァイオリン)

投稿日時:2006年11月22日 09:39
投稿者:紫電改(ID:OZURk4k)
おはようございます。さて先日ワディム・レーピンのリサイタルを最前列ど真ん中の席で聴きました。力強く男性的でスケールの大きい表現に圧倒されました。
最前列だったので、レーピンのテクニックを盗もうと凝視していたのですが、ふと弓を見ると、演奏中の弓の毛の張り具合が結構強めであることが判明しました。
レーピンは、ヴァイオリンは1736年製ガルネリ・デル・ジェス、弓はキッテルを使用しているそうです。
※レオポルド・アウアーやハイフェッツもキッテルの弓を愛用していたという話を聞いたことがあります。
レーピンほどの名ソリストが使用する弓ですので、それなりの名弓だと思われますが、演奏中の弓の毛の張り具合は、弓の中央での毛とスティックの間隔が9~10ミリ程度あるように見えました。これは、弓の反りがほとんど真っ直ぐになるくらい強く毛を張った状態ということです。
聴衆がステージ上のレーピンに花束を渡すときに、ステージの前の方まで出てきたので、弓に注目して見ていたのですが、やはり、弓のサオの部分がほぼ真っ直ぐになるぐらい毛を張っていました。
私もヴァイオリンを習っていますが、先ほど書いた弓とサオの間隔が8ミリぐらい毛を張ると、もう少し緩めにするように、と先生から注意されるので、7ミリ程度に抑えるようにしています。7ミリだと弓の反りが適度に保たれています。
毛を9~10ミリも張ると弓がへたるから良くない、と先生はおっしゃるのですが、今回聴いたレーピンやその他のソリストの中には、9~10ミリぐらい張って弾いている人がいます。
そこで、私自身も9~10ミリぐらい張って弾いてみたのですが、これが意外と弾き易く、弓の中間あたりでの震えが起きにくくなり、弓の動きが安定しました。
8ミリぐらい張っただけでも先生から注意されるので、9~10ミリも張って弾いたら先生から怒られるのではないか、と思います。
素人が9~10ミリも張って弾くのは邪道なのでしょうか?
物凄いパワーで弾きまくるソリストが9~10ミリも張って弾けば、弓にはかなりの負荷がかかっていると思われますが、弓はへたったりしないのでしょうか(しかも演奏時間は素人の数倍以上だと思われますが・・・)?
ソリストが使うような名弓だとそれぐらい手荒に(強引に)扱っても、へたったり曲がったりしないのでしょうか?
こうした素朴な疑問に回答をいただけると嬉しく思います。よろしくお願いいたします。
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【ご参考】
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Re: 演奏中の弓の毛の張り具合(ヴァイオリン)

投稿日時:2006年12月04日 04:32
投稿者:浪速人(ID:OZlzAjg)
pochi さん、匿名希望Xさん面白い表のご紹介ありがとうございました。弓毛の本数も重要な要因なのですね。

EXCEL中の計算式と説明だけでは分かりにくいのですが、Victor 氏の下記論文を読めばよりはっきりすると思います。市販されている主なプラスチック弓の比較評価が目的のようで、EXCEL に関しては結論のところで引用されています。
ttp://members.aol.com/bowedstrings/violin-bow-review.html

氏の計算表には次の3つの仮定があります。
1)弓毛の張り具合に最適値(最適弓毛張力)が存在し、それは弓毛が0.5mm だけ伸びた時の弓毛を引っ張る力で、弓毛1本あたり2.5g である。
2)弓を張ったときの弓毛から棹までの距離standoff の最適値は弓の操作性から鉛筆1本分、7-10mm である(張った状態で棹に10-7mm の反りを残す)。
3)standoffは棹の反りの強さ(腰の強さ)、弓毛の本数、弓毛に与える張力で決まる。

2)3)の仮定は疑問を挟む余地は無いと思いますが、1)の仮定について何故0.5mmなのかの説明はありません。恐らく別の論文で論じられていて、この分野では常識なのかも。standoff は$D$52の値 に比例しますが13.2Kg/m/m (Askenfelt氏の値)の出所が不明です。

EXCEL に戻りまして、ここで何を計算しているかといいますと結論はS欄です。、テストした弓において、最適standoff 7mm と最適弓毛張力2.5g を実現するために張るべき弓毛の本数が計算されています。

腰の強い弓では張る毛の本数を多くしなければならず、本数が少ないとstandoff が狭くなり操作性が落ちる(リコシェで棹にぶつかります)。逆に腰の弱い弓は弓毛を少なくする。弓毛が多すぎるとstandoff を広くせねばならず、いわゆる弓がパンパンに張った状態になる。

その上で弓の良し悪し、音の良し悪しを決める要因として、棹の弓毛の振動を吸収する能力、弓のインピーダンス、弓と楽器の相性、松脂の種類、弦の種類、などを挙げていますが数値的扱いでは無く、Victor 氏の半世紀におよぶ演奏経験に基づく判断になっております。

誤解あればご指摘、補足お願いします。
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Re: 演奏中の弓の毛の張り具合(ヴァイオリン)

投稿日時:2006年12月04日 11:01
投稿者:匿名希望X(ID:NCdoYZg)
30560 浪速人 さま
Bravo!
素晴らしいです。
BBSとはこういう情報のために存在するのですね。
Victor氏の人となりは実は私もよく知りません。
pochiさんはご存知かも知れません。
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Re: 演奏中の弓の毛の張り具合(ヴァイオリン)

投稿日時:2006年12月04日 18:01
投稿者:紫電改(ID:VRlpkEA)
浪速人様、ご回答ありがとうございます。お蔭様でエクセル表の見方がわかりましたが、内容的には結構難しいですね。
弓がぶれたり震えたりしないように、今はひたすら超ロングトーンの練習に励んでいるところです。いろいろ頭で考えるよりも、こういう訓練によって体に正しいボウイングを覚えこませよう、という考えです。
[30623]

Re: 演奏中の弓の毛の張り具合(ヴァイオリン)

投稿日時:2006年12月07日 05:37
投稿者:浪速人(ID:OFcRSZg)
匿名希望Xさん、そうですね、貴重な情報が転がっている。いつぞやは助けていただきました。今後とも宜しくお願いします。

pochi さんがお出ましにならないので追加情報です。

Andrew Victor氏は物理学者。米国政府研究機関で長年勤めた後、ロケット推進技術と爆発物危険防止装置に関するコンサルタントをされています。弦楽器は4歳から始め、ヴァイオリンのほかヴィオラ、チェロも弾かれるそうです。
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