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バルトロメオ・ジュゼッペ・グァルネリ《デル・ジェズ》 / Bartolomeo Giuseppe Guarneri "del Gesù" | ヴァイオリン製作者ライブラリ

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バルトロメオ・ジュゼッペ・グァルネリ《デル・ジェズ》 / Bartolomeo Giuseppe Guarneri "del Gesù"

アンドレア・グァルネリの孫で、現在ではアントニオ・ストラディヴァリと並び最高の名工とされる。父ジュゼッペ(フィリウス・アンドレア)の下で兄ピエトロ(ダ・ヴェネツィア)と共に薫陶を受けたと考えらている。その作品は他の誰より独創的で、グァルネリ・ファミリーの影響以外にも、ストラディヴァリ、そしてブレシア・スクール(ガスパロ・ダ・サロ、マッジーニ)の影響をも受けていることがその作品から読み取れる。

ニコロ・アマティ、アントニオ・ストラディヴァリが、音色の美しさは勿論、その造形の芸術性までもが完璧なことで評価されるのとは対照的に、造形は荒々しく音色も豪放であり、「華麗」という形容詞とは無縁と言える。しかし、それこそが多くの伝説的演奏家の心を捉えて離さないのであり、彼は本能的に人の心を打つ音色を得る製作方法を創造した天才なのである。製作数はストラディヴァリと比較して少なく、100~200本程度と言われているため、市場原理でデル・ジェズが最も高価な楽器となっている。

一説に、生前はまったく無名で荒れた生活を送っていたとも、監獄生活を送ったとも言われる。これは、その作品から受けるイメージによる創作の可能性もある。かのパガニーニがストラディヴァリを賭博の形に取られたとき、偶然デル・ジェズの楽器を入手し、以降これを愛用したという逸話は有名である(後にパガニーニ自身によって「イル・カノーネ」と命名された名器である)。通称の「グァルネリ・デル・ジェズ」とは、「イエスのグァルネリ」という意味であり、その作品のラベルに十字架とイエスの文字をデザインしたマークを入れていたことによる。