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オールドヴァイオリンにおける「左右非対称性」について
投稿日時:2025年11月12日 22:37
投稿者:AS1737(ID:MzIXKQ)
こんばんは。
オールドヴァイオリンの特徴について、写真集でストラディバリウスやガルネリ・デル・ジェスなどのオールドヴァイオリンをじっくり観察していると、胴体やスクロールが左右対称でないことは誰の目にも明らかだと思います。
左右非対称性については、長らく「ストラディバリの製作時の手元ミス」「ガルネリが酒に酔って作った」といった意見で片付けられることが多かったです。
コンクールなどでも、左右対称で形の整った作品が選ばれる傾向にあると思います。
しかし、オールドヴァイオリンの左右非対称性については、「自由が丘ヴァイオリン」様をはじめとしたさまざまな専門家が「意図的である」との意見を述べています。
・http://www.jiyugaoka-violin.com/2015/archives/31638
また、個人の実用新案として、このような意見もあるようです。
実用新案登録第3253515号(U3253515)
音響特性を更に向上できる構造を有する擦弦楽器
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-3253515/25/ja
そもそも「ヴァイオリンは左右対称で整っているべきである」という考え方を定義したのは、おそらくSimone F. Sacconiあたりからではないかと思います。
であれば、ヴァイオリンが左右対称であることは、300年前のクレモナの伝説的な製作家の精神を受け継いでいないのではないかと個人的には思います。
以下Grokによる考察
「現代のヴァイオリン製作やコンクールで「左右対称で整っているべき」という基準が強調されるようになったのは、20世紀の著名なヴァイオリン製作者兼修復者であるSimone F. Sacconi(1895-1973)の影響が大きいと考えられます。彼は1972年(イタリア語版、英語版は1979年)に出版した著書『The Secrets of Stradivari』で、Stradivariの設計を詳細に分析し、対称的なジオメトリ(例: 黄金比に基づく弧や線)を用いて描き、理想的なヴァイオリン形状として提示しました。
www2.ericblot.comSimone F. Sacconi | Eric Blot | violinmaker
Sacconiの作品や関連図(例: 彼の分析に基づくヴァイオリン形状)。これにより、Sacconiは古い設計が幾何学的に対称であるというアイデアを普及させましたが、実際には彼のイラストがやや理想化されすぎているという批判もあります。
Sacconi以前の起源を遡ると、ヴァイオリンの幾何学的対称性はルネサンス期の建築家Vitruviusの影響を受けた欧州の楽器製作伝統(例: 円や正方形を使った比例設計)にまで遡れますが、厳格な「対称であるべき」という規範は19-20世紀の標準化プロセスで強まったものです。例えば、1986年のHerbert Heydeの研究でも、古典ヴァイオリンの比例と対称性が議論されています。 コンクールでの傾向も、この現代的な視点から来ていると言えそうです。」
オールドヴァイオリンの特徴について、写真集でストラディバリウスやガルネリ・デル・ジェスなどのオールドヴァイオリンをじっくり観察していると、胴体やスクロールが左右対称でないことは誰の目にも明らかだと思います。
左右非対称性については、長らく「ストラディバリの製作時の手元ミス」「ガルネリが酒に酔って作った」といった意見で片付けられることが多かったです。
コンクールなどでも、左右対称で形の整った作品が選ばれる傾向にあると思います。
しかし、オールドヴァイオリンの左右非対称性については、「自由が丘ヴァイオリン」様をはじめとしたさまざまな専門家が「意図的である」との意見を述べています。
・http://www.jiyugaoka-violin.com/2015/archives/31638
また、個人の実用新案として、このような意見もあるようです。
実用新案登録第3253515号(U3253515)
音響特性を更に向上できる構造を有する擦弦楽器
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-3253515/25/ja
そもそも「ヴァイオリンは左右対称で整っているべきである」という考え方を定義したのは、おそらくSimone F. Sacconiあたりからではないかと思います。
であれば、ヴァイオリンが左右対称であることは、300年前のクレモナの伝説的な製作家の精神を受け継いでいないのではないかと個人的には思います。
以下Grokによる考察
「現代のヴァイオリン製作やコンクールで「左右対称で整っているべき」という基準が強調されるようになったのは、20世紀の著名なヴァイオリン製作者兼修復者であるSimone F. Sacconi(1895-1973)の影響が大きいと考えられます。彼は1972年(イタリア語版、英語版は1979年)に出版した著書『The Secrets of Stradivari』で、Stradivariの設計を詳細に分析し、対称的なジオメトリ(例: 黄金比に基づく弧や線)を用いて描き、理想的なヴァイオリン形状として提示しました。
www2.ericblot.comSimone F. Sacconi | Eric Blot | violinmaker
Sacconiの作品や関連図(例: 彼の分析に基づくヴァイオリン形状)。これにより、Sacconiは古い設計が幾何学的に対称であるというアイデアを普及させましたが、実際には彼のイラストがやや理想化されすぎているという批判もあります。
Sacconi以前の起源を遡ると、ヴァイオリンの幾何学的対称性はルネサンス期の建築家Vitruviusの影響を受けた欧州の楽器製作伝統(例: 円や正方形を使った比例設計)にまで遡れますが、厳格な「対称であるべき」という規範は19-20世紀の標準化プロセスで強まったものです。例えば、1986年のHerbert Heydeの研究でも、古典ヴァイオリンの比例と対称性が議論されています。 コンクールでの傾向も、この現代的な視点から来ていると言えそうです。」
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[ 4コメント ]
【ご参考】
[56341]
Re: オールドヴァイオリンにおける「左右非対称性」について
投稿日時:2025年11月13日 07:47
投稿者:アンリ(ID:YIJ3BmA)
グダグダとした長文ですが、結局のところ何が言いたいのでしょうか?
一点事実として言えるのはサッコーニはフランスから移住してきたガンに影響を受けた人物で、大きな括りでいえばオールドイタリアとは何の関係もないモダンフランス流派の製作者です。
つまり、サッコーニに影響を受けた故ビソロッティなんかもイタリアの伝統ではなく、フランスの伝統を守ってる製作者となるわけです。
オールドイタリアの技術がプレッセンダで廃れたというのも、それをオールドモダンの時代の区切りとするかは議論があるとして事実です。
現代のイタリアのバイオリン作りは、ガンがボローニャに派遣された事が大きな意味を持ちますね(ガンだけじゃないですけどね)
そんなで、左右対称云々の研究をしたいのであれば、リュポ以降のモダンフランスの楽器を知り、フランスの文献を参考にされてはいかがですか?
サッコーニより古いJBヴィヨームをよく調べれば、そんな話しも出てくるはずですが?
一点事実として言えるのはサッコーニはフランスから移住してきたガンに影響を受けた人物で、大きな括りでいえばオールドイタリアとは何の関係もないモダンフランス流派の製作者です。
つまり、サッコーニに影響を受けた故ビソロッティなんかもイタリアの伝統ではなく、フランスの伝統を守ってる製作者となるわけです。
オールドイタリアの技術がプレッセンダで廃れたというのも、それをオールドモダンの時代の区切りとするかは議論があるとして事実です。
現代のイタリアのバイオリン作りは、ガンがボローニャに派遣された事が大きな意味を持ちますね(ガンだけじゃないですけどね)
そんなで、左右対称云々の研究をしたいのであれば、リュポ以降のモダンフランスの楽器を知り、フランスの文献を参考にされてはいかがですか?
サッコーニより古いJBヴィヨームをよく調べれば、そんな話しも出てくるはずですが?
[56342]
Re: オールドヴァイオリンにおける「左右非対称性」について
投稿日時:2025年11月13日 08:51
投稿者:通りすがり(ID:ETQxORU)
著名オールドバイオリンの製作者は天才でそのデザインには全て意図があるのだ!
って考えるのはナイーブに過ぎるように感じます。
一方で弦の太さの差異や、バスバーがある時点で左右対称であるべき理由はないので、言及されてるサッコーニ流が正しいとも思いません。
アマティ、ストラド、ガルネリの製作手法は途絶えてしまっているので、製作技術のある職人がリバースエンジニアリング的に名器のコピーを作って少しずつ復活させていくしかないように思ってます。
って考えるのはナイーブに過ぎるように感じます。
一方で弦の太さの差異や、バスバーがある時点で左右対称であるべき理由はないので、言及されてるサッコーニ流が正しいとも思いません。
アマティ、ストラド、ガルネリの製作手法は途絶えてしまっているので、製作技術のある職人がリバースエンジニアリング的に名器のコピーを作って少しずつ復活させていくしかないように思ってます。
[56343]
Re: オールドヴァイオリンにおける「左右非対称性」について
投稿日時:2025年11月13日 09:46
投稿者:AS1737(ID:JGGTUWI)
>>アンリ様
申し訳ございません。
現代イタリアの弦楽器製作の源流がシャルルフランソワガンにあること大変勉強になります。
ストラディバリウスの普及に尽力されたリュポーやヴィヨームの銘器をもっと勉強させてもらおうと思います
申し訳ございません。
現代イタリアの弦楽器製作の源流がシャルルフランソワガンにあること大変勉強になります。
ストラディバリウスの普及に尽力されたリュポーやヴィヨームの銘器をもっと勉強させてもらおうと思います
[56344]
Re: オールドヴァイオリンにおける「左右非対称性」について
投稿日時:2025年11月13日 09:52
投稿者:AS1737(ID:JCZoACc)
>>通りすがり様
ありがとうございます。
確かにアントニオストラディバリは分業制とはいえ300年も前に弦楽器の量産体制を敷いていた訳ですから何かしらのエラーが起こるのは常態化していたと考えるのが自然ですね。
クレモナが伝統を維持するのにご熱心なのは多いに尊敬できます。
その伝統の源流がストラディバリやガルネリやアマティではなくサッコーニやガンであるので、その体制を次世代の熱心な製作家が変革していければ良いのでしょうね。
ありがとうございます。
確かにアントニオストラディバリは分業制とはいえ300年も前に弦楽器の量産体制を敷いていた訳ですから何かしらのエラーが起こるのは常態化していたと考えるのが自然ですね。
クレモナが伝統を維持するのにご熱心なのは多いに尊敬できます。
その伝統の源流がストラディバリやガルネリやアマティではなくサッコーニやガンであるので、その体制を次世代の熱心な製作家が変革していければ良いのでしょうね。
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