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ストラディヴァリのニス | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 70 Comments
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ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月08日 22:31
投稿者:catgut(ID:EIVkJFQ)
maestronet掲示板の以下のスレッドのpost #76にストラディヴァリのニスの調査結果のPDFが添付されていました。

ttp://www.maestronet.com/forum/index.php?showtopic=320849&st=60

Echard_2010_Angew_English.pdf ( 482.22K )

シンクロトロンとか、島津製作所の分析装置とかを使っていて、つい笑ってしまうくらい凄い調査内容です。
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【ご参考】
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月08日 22:52
投稿者:catgut(ID:EIVkJFQ)
最先端の分析装置を使って明らかになったことは、以下のようなことだそうです。

・ニスの層は2層だけ
・下地はリンシードオイルまたはクルミ油のみ
・上層は乾性油とロジン(ターペンタイン?)が混ざったもの。赤の着色剤としてコチニールなどが使われている。

コチニールの原料 コチニールカイガラムシ
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%81%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%82%B7
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月09日 23:28
投稿者:catgut(ID:EIVkJFQ)
コチニールは生物由来の色素ということで、カマボコの着色にも使われるそうです。ストラディヴァリの赤(すべてのストラドでコチニールが使われているわけではないようですが)とカマボコの赤が同じ素材というのは面白いですね。

以前も触れましたが、今回の調査結果通り、史実のストラディヴァリは市販のニスを買って、顔料程度を足して使ったであろうということは経験豊かなストラディヴァリの修復家も述べていることです。

その生産量の多さや、トビー・フェイバーが推定しているようにストラディヴァリの平均的なヴァイオリンの売価は現在の貨幣価値に換算して10万円程度と決して高くないことなどから、当時は現在より塗装回数は少なく、鏡面仕上げなどにもしていなかったと思われます(The Strad誌はメシアを安物の中国製のようにも見えると書いていました)。

現在のような凄みのある美しさ持つようになるまでには、経年変化と後年の修復家によるカバーニスの技術も貢献しているのでしょう。
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月10日 00:37
投稿者:catgut(ID:EIVkJFQ)
結局「ストラディヴァリの音」に近付けるにはニスより経年変化した木材と同等の性質を持った木材がはるかに重要と思われます。

調べてみるとランドーラ(Landola)というフィンランドのギターメーカーが
すでにサーモウッドを採用したギターを多数販売していました。

ThermoTonewood Makes Landola Guitars "Old Before Their Time"
だそうです。

ttp://www.landola.fi/
ttp://www.landola.fi/thermo_tonewood.html

国内でもサーモウッドや、同様の加工をしたスプルースは販売されているようです(楽器用として望ましいものが買えるかどうかはわかりませんが)。

同様の処理を国内でやっている会社もあるようです。
エステックウッド
ttp://s-tw.com/html/system.html

ヤマハからの処理済み購入も個別に交渉すれば可能かもしれません。
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月14日 23:33
投稿者:catgut(ID:EghYmVA)
maestronetの掲示板に今回の研究での楽器ごとの着色料の分析結果がありました。
1724年の”Sarasate"はバーミリオンが使われ、それ以前のものは一番古い"Long Pattern"を除いてコチニール系(Anthraquinone)が使われているということです。

ttp://www.maestronet.com/forum/index.php?showtopic=320849&st=240&p=451701&#entry451701

echard_pigment_amounts.pdf ( 26.03K )
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月14日 23:47
投稿者:通りすがり(ID:N2EXETU)
学術研究では、研究の結果分かったことから何を述べるか(考えるか)という点が重要です。
これらの文献の結論は何なのかかいつまんでお教えください。
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月15日 22:27
投稿者:catgut(ID:EDNYgpY)
一つ言えることは、史実のストラディヴァリのニスはそれほどニスに労力と時間はかけなかっただろうということです。

後年になってオールド風に見せかけて価値を高めるための手の込んだ塗装や、ニスが神格化されたこともあってニスに対する要求がエスカレートして、製作者はニスに時間をかけざるをえなくなった(ニスが美しくなければマスターメード品として商品価値を持たなくなった)ということでしょう。
これは製作者と演奏者にとって幸せなことなのでしょうか。
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Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月16日 00:11
投稿者:通りすがり(ID:N2EXETU)
>一つ言えることは、史実のストラディヴァリのニスはそれほどニスに労力と時間はかけなかっただろうということです。

これが件の文献の結論ですか?
[42086]

Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月16日 01:14
投稿者:カルボナーレ(ID:EnE4GYc)
catgutさん
折角面白そうな文献を持ち出したのなら、最後まで徹底的にしゃぶりつくしましょう。一旦取り上げた以上は、下記ぜひまとめをお願いします。

その文献の内容からみると、
ストラディヴァリの楽器において、
- 当時に一般的に使われていた、下塗りのニスまたは塗り薬、および上塗りのニスとの共通点は何ですか。
- 当時に一般的に使われていた、下塗りのニスまたは塗り薬、および上塗りのニスとの差異は何ですか。
- ニスの塗り方の、当時に一般的に使われていた方法との共通点は何ですか。
- ニスの塗り方の、当時に一般的に使われていた方法との差異は何ですか。

また、ストラディヴァリウスに限定することなく300年前にクレモナの楽器製作で行われていたものに対し
- 現在の手工作品の、下塗りのニスまたは塗り薬、および上塗りのニスの、共通点は何ですか。
- 現在の手工作品の、下塗りのニスまたは塗り薬、および上塗りのニスの、差異は何ですか。
- 現在の手工作品におけるニスの塗り方の、当時に一般的に使われていた方法との共通点は何ですか。
- 現在の手工作品におけるニスの塗り方の、当時に一般的に使われていた方法との差異は何ですか。

結論はまだ結構ですので、その文献の内容に関して、情報の整理とまとめをお願いします。
[42087]

Re: ストラディヴァリのニス

投稿日時:2009年12月17日 00:27
投稿者:catgut(ID:EDNYgpY)
今回の調査結果を端的にいえば

・下塗りはリンシードオイルまたはクルミ油を薄く塗っただけ
・上塗りはベネチアンターペンタイン(バルサム)と同等の成分に顔料を
 混ぜて薄く塗っただけ

ということですね。顔料以外は5つの楽器でほとんど同じ結果ということです。ごく微量は他の成分も含まれているのでしょう。

さっそく市販のベネチアンターペンタインとコチニールレーキを混ぜて木に塗ってみましたが、コチニールが生物由来であると知っているせいか、血液のような生々しいイメージを私は感じました。

コチニールに関しては「完璧な赤」という興味深い本があります。
「歴史の影にこの色あり。16世紀のヨーロッパを狂乱の渦に巻き込んだある染料の物語」だそうです。レンブラントの「ユダヤの花嫁」と呼ばれている作品のドレスの赤が、コチニールの赤だそうです。

ユダヤの花嫁
ttp://homepage1.nifty.com/hosizora/art/remb/remb02h.html

ただ、楽器によってバーミリオンも使われているのでストラディヴァリ自身が特別コチニールにこだわっていたわけではないかもしれません。たまたま買ってきた色ニスにコチニールが使われていたのかもしれません。ストラディヴァリ以外の複数のクレモナの製作者のニスを今後分析した際に同じ時代のものは同じ種類の顔料が使われているのであれば、彼らは配合済みの色ニスを使っていた可能性が高いでしょう。
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