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バッハ無伴奏ソナタ1番Adagio | ヴァイオリン掲示板

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楽曲・楽譜 117 Comments
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バッハ無伴奏ソナタ1番Adagio

投稿日時:2010年02月27日 22:50
投稿者:南社(ID:KGQ2lSM)
はずかしながら、大人の生徒さんから指摘されて気付いたんだけど、
バッハ無伴奏ソナタ1番Adagioの最後の音は全音符なんですね。
でも私が聴いているCDやレコードは全部2分音符+フェルマー他の長さで、全音符の長さで弾いている演奏は聞いたことが無い。
もしやと思ってガラミアン版のファクシミリを見ても全音符に間違い無い。
しかしネットでMIDIを検索してソースを見るとなんとこれは2分音符。

みなさんはどう弾いている?
最後の音が2分音符になっている楽譜ってある?
または、全音符で弾いている演奏ってあるの?
あったら是非教えてください。
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【ご参考】
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Re: バッハ無伴奏ソナタ1番Adagio

投稿日時:2010年03月27日 20:24
投稿者:catgut(ID:JwlJSFg)
BWV1001のadagioの重音を一流ソリストがどのように弾いているかは前述の以下の資料にあります。結論から言えば、実に様々な弾き方があり、流派によっても一定していないということです。

ttp://www.musicandmeaning.net/issues/pdf/JMMart_6_2.pdf

例えばカール・フレッシュは四重音を原則的に3+2に分割して弾くように指示しており、下の3和音を同時に弾いて、次にそのうちの1弦と上の1弦を重音で弾くように指示しています。バッハ無伴奏でもそのように弾くと考えていたことは「バイオリン演奏の技法」下巻のシャコンヌの指示でも確認できます。最初に3和音同時に弾くのは、当時のプレーンガット/張力の低いガット弦では容易だったということもあるかもしれません。ガラミアンでは2+2が原則となります。

そして上記の資料にもあるように‘historically informed’ performers(歴史的な知識のある奏者)は、アルペジオで弾く傾向があります。ヤープ・シュレーダーがまさにそうです。

以下のようにGunter Hausswaldなど湾曲弓使用を前提として4弦同時の演奏を勧めた方もいるそうです。

Some later editions have recommended that chords be played simultaneously in seeming accord with the conventions of eighteenth-
century performance (such as Hausswald or Szeryng recommending
the use of the curved ‘Bach-bow’)
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Re: バッハ無伴奏ソナタ1番Adagio

投稿日時:2010年03月28日 02:03
投稿者:通りすがり(ID:dEASQxA)
プッ、もう必死ですね。

>バイオリンを弾く人間なら四和音を鳴らし続けるこがどれだけ非現実的なことかを理解しているはずですので

⇒catgut氏はバイオリンが弾けないので、4重和音を鳴らし続けることがどれだけ非現実的なことかが理解できない。

終了。
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Re: バッハ無伴奏ソナタ1番Adagio

投稿日時:2010年03月28日 11:53
投稿者:カルボナーレ(ID:MGckZnI)
私は実証派ですので、まずは現在の弓とは反りが逆となるバロック時代仕様の弓で弾いてみました。とりあえず楽器はモダンで弦も合成弦です。(持っているバロックヴァイオリンはあいにくガット弦が切れており、試せませんでした。)

まず、3本の持続音は、指板寄りを弾けば、十分演奏可能です。バロック時代は、指板が短く、駒と指板の間隔が今より数センチ広くて、かなりスクロール側を弾けたことを考えるとさらに楽にひけたでしょう。現在の弓と楽器で強く押さえて弾く感じではなく、素直に弾けます。
4本同時での持続音は、駒とナットの湾曲を極めてフラットにすれば可能となりますが、弦を押さえた時に弦が下がるとその音だけ鳴りませんので、弦高も極めて低くする必要があると思われます。そうであれば、音量を出すと弦にあたる状況となるので、結果、極めて小さな音となるでしょう。
また、D,A線の二本は4弦が極めてフラットであれば当然その弦だけ弾くのが困難ですので、単音のメロディーはG線とE線で弾く曲でないと、そのセッティングでの演奏は困難だと思います。
私も最初は4音同時に弾けるであろう、と思って試してみましたが、制限が多く、曲を選ぶのではないかと思います。楽器持ち替えで、限定的な曲を弾くという用途では、聴衆を驚かせるという効果はあると思います。
なお、持続音といっても極めて長いものは、当時の弓の構造上困難であり、もし4重音が鳴らせたとしても、バッハのアダージオの最後のような長い音では、さすがに弓を返しまくらないと無理でしょう。ですので、そこは4重音ではなく、某かの分割が使われていたと考えるべきです。

さて、バッハのその曲集は練習曲的なものなので、かなり詳細に書かれているという点で、その時代ではかなり珍しい部類だと思いますが、当時の一般的な楽譜では、演奏者に大きく自由度が与えられていたので、リズム型と基本のメロディーラインとコードが書かれているもの、程度に捉えるのがよいのではないか、と個人的には考えています。
例えば、今では、ヘンデルのソナタの2楽章の繰り返しなどを、そのままベタで譜面通り弾く、という常識知らずの演奏も聴きますが、2回目でどのように奏者が遊ぶか、テクニックと音楽性を聴かせるかが、そのような箇所の醍醐味であり、ジャズの即興演奏と極めて近い形態の音楽だったと私は解釈しています。

アダージョの最後からの4つ前の音は、そのまま譜面を信じて足し算すると、その小節が4拍分なくて短くなりますので、それはバッハの誤記と見なして、それを後世の人が一番あり得る形で訂正したということだと思います。
最後の音については、フェルマータがついている以上、そこは拍の縛りからは開放され、具体的な拍や時間の指定はなしで、奏者の感覚で十分長ければよいということでよいのではないでしょうか。残響の長いヨーロッパの教会で弾けば、弾き終わりからも残響だけで数秒残りますし、厳密に拍を数えること自体がナンセンスだと思います。テンポ取り、場所などでも、その長さは変わるのは、自然ななりゆきです。
[42610]

Re: バッハ無伴奏ソナタ1番Adagio

投稿日時:2010年03月28日 12:01
投稿者:catgut(ID:JwlJSFg)
私もシュバイツァー並みだと思われているなら光栄ですね。挑発して詳細を知りたいという芸風でしょうか。ナットと駒のカーブがごく緩く、ヤープ・シュレーダーも書いているようにわずか37g-42gほどのしなやかな弓で、弦も柔軟で、しかも指板が短く、弦の中央程度をも気兼ねなく弾けるバロックヴァイオリンであれば、同時の四重音の演奏もそれほど困難ではなかったでしょう。親指で弦を押さえたり、セーハを使った可能性さえあります。

当時の駒の例
ttp://www.orpheon.org/oldsite/Bildmaterial/BridgeItalVn.jpg

シュバイツァーはオルガン奏者ですが、そのバッハ無伴奏に対する洞察は、シゲティが「シュヴァイツアーの言うように、シャコンヌの中でバッハは1つの短いテーマから「世界の全体像」を浮かび上がらせているからである。」(Szigeti on the Violin)とわざわざ引用するほどのものです。

シュバイツァー自身の考え以下で読めます。

ttp://www.archive.org/details/jsbachsc01schwuoft
J.S. Bach Albert Schweitzer
Polyphonic Violin Playing in Bach's Time.

ドイツでは当時の先進国であるイタリアに比べて古いスタイルの湾曲の強い弓がバッハの時代まで使われたであろうこと、当時は音量がそれほど要求されなかったといったことが書かれています。実際にゲーラーの湾曲弓を使った無伴奏ソナタとパルティータを聞いても十分「まとも」な演奏です。CDのライナーノートでゲーラーは以下のように書いています。

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レーオポルト・モーツァルトも、有名なヴァイオリン教本で、3声の和音は1弓(ストローク)で同時に弾くべきだという意見を述べている。ニッコロ・パガニーニの演奏様式は、フランクフルト歌劇場の監督だったカール・グールが1829年に出版したヴァイオリン教本にくわしく記録されている。グールは長年パガニーニとともに旅して、その演奏をずっと観察していた。グールによると、パガニーニは自作にたびたび出てくる3声や4声の和音を同時に弾いていたという。また、ノルウェーのヴァイオリニスト、オーレ・ブル(1810-1880)は、ポリフォニックな演奏を可能にするために特別につくらせた弓をもっており、ドイツのヴァイオリニストたちの古い伝統に従ったまでだと主張していた。(略)新しく考案した弓をきわめて単純に「バッハ弓」と呼んだところ、たくさんの研究者から、この先駆的な成果をあらゆる点ではげしく攻撃されるという、予想外の反応にさらされた。実際には、この弓につけられた名前が誤解をまねいたのだ。いままで、シュヴァイツァーは「バッハ弓」を歴史上の湾曲弓のひとつから「復元した」つもりだったとされてきた。だが、そんなことは考えてもいなかったのである。(略)左手の親指を使うフィンガリングの技法も、バロック時代の作品には用例があるのだが、湾曲弓を批判する者の多くはそれについて無知なのだ。これを知らなければ、演奏不可能にも見えるバッハのパッセージについて、正確に判断できないのだが。
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Re: バッハ無伴奏ソナタ1番Adagio

投稿日時:2010年03月28日 12:39
投稿者:catgut(ID:JwlJSFg)
カルボナーレさま、

バロック時代のヴァイオリニストは、重音を一弓で驚くほど長く弾いたという話を見たことがあります。ガット弦のひっかかりやすさと音量が要求されなかったためでしょうか。

ヤープ・シュレーダーも「バッハ無伴奏ヴァイオリン作品を弾く」で以下のように書いています。

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バロック時代の楽器が証明しているように、バッハの音楽は、現在の感覚でとらえるような大きい音を、決して求めてはいません。モーツァルトが最大の音量でヴァルターのフォルテピアノを弾いたとしても、彼は今日のスタインウェイが生み出すよりもはるかに小さな音しか得ることはできませんでした。
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また、うろおぼえですが「曲の最後のフェルマータ」は、当時は単に曲の区切りを示す意味で使われたという話を読んだ記憶があります。
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Re: バッハ無伴奏ソナタ1番Adagio

投稿日時:2010年03月28日 12:43
投稿者:みねやいせじ(ID:MkA1BVE)
なんか議論が机上の空論の方向へ向かっているのでもともにレスするのも怠いですね。

やはりヴァイオリン奏者と頭だけで考える人間の違いでしょうか。

私はバロックヴァイオリンも弾きますし、そのバロックヴァイオリンはモダンの駒よりもカーブが緩やかではありますが、完全に(開放弦で)4和音弾こうと思ったら、真っ平らじゃなきゃ無理なことはヴァイオリン奏者なら理解できるはずです。ある程度のカープがあるもでDA弦だけ弓で押さえて沈めればGDAE同時に鳴ると考えるかもしれませんが、各弦への圧力がバラバラになってまともな和音は鳴らせません。
実践的なコトを言えば、Adagioの最後はAE弦を指で押さえるから実際に弓が当たる弦高のバランスも変わるし、その和音にだけ対応できる駒を作ったとしても、その他の4和音、例えばSonata No.2 の最初の音などは、GDAE弦を1420と押さえるわけですから、D弦は相当沈みます。

4和音持続して弾けたんではないか?と考えるのは素敵なことですけど、これだけ実践的に古楽をやってる人がいるなかで誰一人としてそれをやってる人はいませんし、私はむしろ、アルペジオで分散させて演奏することをバッハは望んでいたのでは?と思います。
リュート的な発想です。さらに、同時に発音させられるチェンバロでさえ、バッハは和音をずらして弾く事を弟子たちに要求していたわけですから。


自筆譜の謎といえば、このAdagioの三小節目の三拍目、低音のEには、自筆譜にはなにも書いてないのに、ほぼすべての出版譜にはフラットが付けられています。
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Re: バッハ無伴奏ソナタ1番Adagio

投稿日時:2010年03月28日 12:47
投稿者:みねやいせじ(ID:MkA1BVE)
バッハの無伴奏ソナタ&パルティータで、
最後の音にフェルマータがあるのは、
ソナタ1番Adagioと
ソナタ3番Fugaだけです。
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Re: バッハ無伴奏ソナタ1番Adagio

投稿日時:2010年03月28日 14:27
投稿者:catgut(ID:JwlJSFg)
みねやいせじさま、

現在流通しているバロックヴァイオリンやバロック弓がバッハの時代のものと同一だと思い込んでいらっしゃるのでしょうか。これらは製作の伝統がいったん完全に失われており、20世紀になって過去の資料をもとに復興されたものに過ぎません。

現代のバロックヴァイオリンや弓はモダンヴァイオリン奏者に弾きやすいようにカスタマイズされたものがほとんどです。小林瑞葉氏が特注で製作されたように、R=52cm程度のカーブの緩い指板を持つバロックヴァイオリンがどれほど現在製作されているでしょう。当時存在したブナ製の弓がどれだけ作られているでしょう。

もちろんバッハ無伴奏ソナタの奏法も完全に失われており、現在の奏法は後世の想像により復興されたものです。調弦についても寺神戸亮氏はa=405Hzで録音されていますが、弦はかなり緩かった可能性があります。

少なくともカール・フレッシュが「ヴァイオリン演奏の技法」を書いた1930年頃までは、長い音でも同時に3弦の重音を弾くのは当たり前であり、かつ「単音で弦に圧力は極力かけてはいけない」という原則が生きていました。我々が演奏不可能と思えるほど駒のカーブが緩くても、当時の奏者が四重音を同時に弾けた可能性は(パガニーニやオーレ・ブルの実例を出すまでもなく)あると思います。
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Re: バッハ無伴奏ソナタ1番Adagio

投稿日時:2010年03月28日 14:31
投稿者:catgut(ID:JwlJSFg)
ご参考まで。

フェルマータ
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BF

バロック音楽以前においては、作品の終結音であっても、そこに付与されたフェルマータでは顕著な時間的延長を意味するものではなかったのに対し、古典派音楽以降においてのフェルマータは、どんな場合であっても、付与された音符や休符で音楽の時間の流れを停止させる、すなわち実際的には、その長さを明確に延長させる意図で使用された。
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Re: バッハ無伴奏ソナタ1番Adagio

投稿日時:2010年03月28日 14:45
投稿者:カルボナーレ(ID:MGckZnI)
catgutさん
>バロック時代のヴァイオリニストは、重音を一弓で驚くほど長く弾いたという話を見たことがあります。

誰がそんなことを言ったのでしょうか。誰がそれを見たのでしょうか。何メートルもある弓や丸く回転する弓を使っていたのでしょうか。
長さも短く、テンションも低い弓で、人が感動する音を長く持続できると思う方がどうかしています。
音楽の基本的な一まとまりは、ロマン派に比べ古典派は小さく、バロックはさらに小さい。細かい単位を組み合わせて作るのがバロックの器楽表現です(圧倒的なパワーと持続性をもつオルガンだけは除く)。
弦楽器で、同じ音を長く持続させるときに何をするかというと、多くの場合は刻みます。一弓でののばしの場合は、途中はほとんど弾かない区間があり、最後だけ大きくするなどしてのばしているように聴こえさせます。
以上、演奏する立場からの素直な意見です。
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