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ヴァイオリンの塗装について | ヴァイオリン掲示板

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楽器・付属品 259 Comments
[36154]

ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月08日 07:30
投稿者:catgut(ID:FDRkUlM)
ヤマハの現状未請求の特許で大変面白いものがありました。

ヴァイオリンの「塗装」に紫外線を当てると音が良くなるというものです。
つまり経年変化で音が良くなるのは「塗装」が経年変化したことが
一因だというわけです。特許の中にいろいろな実験結果が書かれています。それによるとオイルニス、アルコールニスだけでなく、ラッカー塗装やウレタン塗装でもやはり紫外線を当てると音が良くなるそうです。

ttp://www2.ipdl.inpit.go.jp/begin/BE_DETAIL_MAIN.cgi?sType=0&sMenu=1&sBpos=1&sPos=2&sFile=TimeDir_7/mainstr1199744457343.mst&sTime=0

またはここから「楽器用部材または楽器とその製造方」で検索
ttp://www2.ipdl.inpit.go.jp/begin/be_search.cgi

発明の名称 : 楽器用部材または楽器とその製造方法
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15 / 26 ページ [ 259コメント ]
[36570]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年02月15日 01:01
投稿者:catgut(ID:Qod1cyA)
以下にまとめます。

・イタリアのオールド楽器の製作者がニスで音が改善されると考えていた
ことを証明する資料は現在のところまったく見当たらない。多くのイタリア
のオールド楽器の製作者は配合済みの市販のニスを買ってきてそのまま
楽器に塗っていた可能性がある。

・現在最高の音と多くの人が認めるストラディヴァリのオリジナルニスは大半が剥げており、ストラディヴァリ自身が塗った状態よりかなり薄くなっているか、修理技術者がカバーニスをかけてしまっている。いずれにしろストラディヴァリが意図したニスの層の状態で使われているわけではない。

・ヤマハの実験が示すように、ニスは比較的短期間(おそらく数年-数十年)で劣化し、塗装時とは音響特性が変化してしまう。製作者が塗装で音質を調整しても短期間で意図しない音になってしまう。

・厚めのニスではヴァイオリンの発生する音のエネルギーの半分以上が減衰してしまう。

どのような塗装であれ購入者の好み次第ではありますが、十分な音量と
永続的な良い音質を獲得したいならニスに頼るべきではないということを
知っていて損はないでしょう。
[36572]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年02月15日 09:02
投稿者:教えてください(ID:JAMDEVk)
catgut様  [36570]
[36570]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年02月15日 01:01
投稿者:catgut(ID:Qod1cyA)
以下にまとめます。

・イタリアのオールド楽器の製作者がニスで音が改善されると考えていた
ことを証明する資料は現在のところまったく見当たらない。多くのイタリア
のオールド楽器の製作者は配合済みの市販のニスを買ってきてそのまま
楽器に塗っていた可能性がある。

・現在最高の音と多くの人が認めるストラディヴァリのオリジナルニスは大半が剥げており、ストラディヴァリ自身が塗った状態よりかなり薄くなっているか、修理技術者がカバーニスをかけてしまっている。いずれにしろストラディヴァリが意図したニスの層の状態で使われているわけではない。

・ヤマハの実験が示すように、ニスは比較的短期間(おそらく数年-数十年)で劣化し、塗装時とは音響特性が変化してしまう。製作者が塗装で音質を調整しても短期間で意図しない音になってしまう。

・厚めのニスではヴァイオリンの発生する音のエネルギーの半分以上が減衰してしまう。

どのような塗装であれ購入者の好み次第ではありますが、十分な音量と
永続的な良い音質を獲得したいならニスに頼るべきではないということを
知っていて損はないでしょう。
に関して

“じゃー なぜストラドの音がいいのか? ”

の回答例が このABCNEWSに記載されています。
非常に説得力のある内容だと思います。
参考までに。

ttp://abcnews.go.com/Technology/Story?id=98197&page=1
[36577]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年02月15日 19:15
投稿者:通りすがり(ID:FINJlSk)
>“じゃー なぜストラドの音がいいのか? ”の回答例

「防虫剤であるホウ砂が木材を良い方向に変質させた。」
ニスの問題よりはるかにウエイトが大きそうです。


>ニスも大事ですが、それ以前に、ハコ、つまり楽器本体の作りや材料の良し悪しが、音に決定的な影響を与えるように思います。ニスの役割は、まず第1に木の保護(長寿命化)、第2に美観の向上、第3に音響的なこと、だと思います。[36281]
[36281]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月19日 20:32
投稿者:ナッスビー(ID:FDg2RVI)
ヤマハの新作ヴァイオリン「アルティーダ(消費税込みの定価945,000円)」には、ストラドとガルネリ・デル・ジェスの2つのモデルがあります。私は2種類とも試奏したことがあります。
たしかにcatgutさんがおっしゃるように、アルティーダのニスは、クレモナの新作ヴァイオリンに比べるとニスの厚みが薄いように思います。アルティーダは、ニスの厚みが薄いこともあって、色合いも薄めです。
定価945,000円というこもあって、材料はそれなりに良いものが使われており、細工もそれなりに良くできています。完璧に左右対照で精度良く作られていることもあって、これがかえって(皮肉にも)人工的な(冷たい)感じがするように思います。
さて肝心の音についてですが、アルティーダのストラドモデルもガルネリモデルも、私が持っているヴァイオリン(アルティーダのニスよりもニスの厚みが2倍くらい厚いです)の半分くらいの音量しか出ませんでした。音色はまあまあ良い(少なくとも嫌いな音ではない)と思いましたが、音量が小さくてビックリしました。たまたま私が試奏した2台のアルティーダの駒や魂柱のセットアップが良くなかった可能性がありますが、それにしても音が小さくて驚かされました。少し離れたところで聞いていた友人も同じことを言ってましたので、演奏者だけでなく、聞き手の側の感想も同じだったということです。
試奏の際に、アルティーダよりも明らかにニスが厚めに塗られているイタリアやドイツの新作楽器と弾き比べてみましたが、それらと比べても、明らかに20~30%は音量が小さいように思いました。弦はどの展示楽器もドミナント+ゴールドブロカットが張られていました。弓は、展示されていた100万円程度の新作の高級弓を使用しました。
ニスも大事ですが、それ以前に、ハコ、つまり楽器本体の作りや材料の良し悪しが、音に決定的な影響を与えるように思います。ニスの役割は、まず第1に木の保護(長寿命化)、第2に美観の向上、第3に音響的なこと、だと思います。
擬似オールド処理がされたレプリカのヴァイオリンが、新作でもなんとなく「こなれた音」がするのは、もちろん見た目に惑わされている面があるにしても、ニスを剥いでニスの厚みを薄くしていることや強い紫外線を当てる処理等をしていることが、ある程度影響していると思います。
擬似オールド処理を施された新作とピカピカの新作が売られていて、音量、音質、値段の全てが「同等(同レベル)」だった場合、私ならピカピカの新作の方を買います。なぜなら、擬似オールド処理をされた楽器は、弾き込む(使いこむ)ことによる音の面での経年変化(熟成)が少ないからです。擬似オールド処理によって、最初から(買う前から)強制的に経年変化が与えられているので、買ってからの経年変化は、ピカピカの新作よりも少ないのです。
擬似オールド処理が施されているレプリカのヴァイオリンを買う場合には、そうした点に留意する必要があるでしょう。


>長期的にヴァイオリンを保護できるだけのニスの丈夫さ、厚みを確保しつつ、ニスを塗らない状態=木が自由に振動できる状態、になるべく近づける、というのが、ニスを塗る際の腕の見せ所ではないかと思います。それらを両立できる人が、名工なのだと思います。 [36259]
[36259]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月18日 20:49
投稿者:ナッスビー(ID:KURkl1g)
弦楽器専門店シャコンヌが開発した新作ヴァイオリンのニスにも、アンドレア・バンさんのヴァイオリンのニスと似たようなアバタのようなポークマークがありますね。
ニスを塗らない白木のヴァイオリンを、高温多湿の日本で、汗かきの人が弾いたら、湿気や汗で木が傷んでダメになってしまうでしょう。ニスを塗ると音量が小さくなって音質が落ちるとしても、楽器としてある程度の耐久性を保つためには、必要最小限のニスを塗る必要があるでしょう。
演奏することによって、少しずつニスが剥げてくることを考慮すると、その分も計算してニスを塗らなければならないでしょう。
あと、楽器として、見た目を美しくする(魅力的にする)ためにも、ニスを塗ることは役立ちます。
音量も音質も同じ2台のヴァイオリンがあって、1台は白木のヴァイオリン、もう1台はニスを塗ったヴァイオリン、だとすると、白木のヴァイオリンは、見た目の点で、ニスを塗ったヴァイオリンにかなわないでしょう。しかも白木のヴァイオリンは、弾いているうちに徐々に薄汚れていくでしょうから、数年後には、美観の点で雲泥の差がついてしまうでしょう。
長期的にヴァイオリンを保護できるだけのニスの丈夫さ、厚みを確保しつつ、ニスを塗らない状態=木が自由に振動できる状態、になるべく近づける、というのが、ニスを塗る際の腕の見せ所ではないかと思います。それらを両立できる人が、名工なのだと思います。


>① ヤマハがニスにUVCを照射することで、変質させ、音響特性を変化させる技術を開発し、特許を申請した。
② ニスや漆などの塗装は音響に影響を与える。[36282]
[36282]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月19日 21:03
投稿者:通りすがり(ID:IBIIcHY)
catgut様

このスレッドが長くなって、色々な説が出てきていますので、
ニスが音響にとって、有益か無益かという観点で、まとめていただけないでしょうか。

>通りすがりさま、コメント内容が支離滅裂ですよ。

という風に、感情的に人の意見を切り捨てないでください。
私は貴方の矛盾点を例示した上で、指摘したまでです。

ほかの板でも同じです、貴方は他人の説を例示するだけで、
それをまとめる力がないので、議論が発散してしまうのです。

どうか感情的にならずに、他人の意見に真摯に対応してください。
貴方はみっち様の
>[36231][36211]は別の結論も導かれますので、catgut氏の非常に個人的な見解と理解します。

>別スレで以前にも指摘されていると思いますが、「昔からよく言われている」、「オールドの銘器のほとんどが」、「音響学者のほとんどが」など根拠の無い表現は使わないでいただきたい。
というご意見や、私の意見を見事無視されております。

さらに通行人様の意見に対し
>オールド楽器について「魔のヴァイオリン」や「ヴァイオリンの魅力と謎」であれだけ深い見識で書かれている佐々木庸一氏が近視眼ですか。

と返答するなど、物事を曲解しているかあるいは読解能力がないかのどちらかです。

貴方のさまざま特許や文献検索能力は高く評価しますが、
感情と学術研究結果とがない交ぜになっており、事実と推測の見分けがつかなくなっているので、あえて”支離滅裂”と書かせていただいたのですが。他のスレでも同じです。

繰り返しになりますが、事実(感想や推測ではなく)をまとめていただきたい。

恐らく、事実としては
① ヤマハがニスにUVCを照射することで、変質させ、音響特性を変化させる技術を開発し、特許を申請した。
② ニスや漆などの塗装は音響に影響を与える。
の2点で、

推測として
① 楽器の音色の経年変化の一部がニスの変質によっている。
② ニスは薄い方が良い(賛否両論ありそうなので推測とさせていただきました)。

ということなのではないでしょうか。


>ニスに積極的な音響改善効果がないと考えるのは音響学者だけ
ではありません。[36565]
[36565]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年02月14日 20:35
投稿者:catgut(ID:NhYSAEg)
ニスに積極的な音響改善効果がないと考えるのは音響学者だけ
ではありません。プロの製作者や弦楽器店でもニスの音響改善効果に
否定的な方がいらっしゃいます。
ちょっと検索してみてヒットしたurlを示しておきます。

ttp://www.geocities.jp/katakoto_02/html/column/maintenance.html
ttp://www6.ocn.ne.jp/~berg/column.html


珈琲豆さま、
製作家によっては樹脂そのものが変形しやすい物質を使う場合もあると
思います。また無量塔蔵六氏は著書「ヴァイオリン」で、「アルコール性
ワニスといっても長年月にわたって乾ききらないものを作ることはできます。たとえば、松脂に10パーセントていどのヒマシ油を加え、無水アルコールを混合してください。どんな素人でも一見油性ワニスのような、そして何十年も凝固しないものができます。」と書いています。

長年「固まらないニス」は実用性が低くなるので、このような楽器は
クレーム返品対象としている弦楽器店もあります。ただ、購入者が
納得しているなら問題はないと思います。



音響学者のみならず、おそらくこの掲示板を読んでいるほぼすべてのヒトがニスに期待していないでしょう。

ということでニスに関する話題は糸冬。



[36578]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年02月15日 20:34
投稿者:catgut(ID:UUYpI0A)
教えてくださいさま、

ナジバリー氏の方法にヒントを得て、近い方法を実際に試した方が
いらっしゃいます。以下その記録で音響特性も測定されています。

ttp://www1.parkcity.ne.jp/shumi/nagyvary01.htm
7千円のキットで「ストラドの音色に挑戦!」

「(ナジバリー氏は)ボラックス(BORAX)という洗剤で木材を一昼夜煮込み、オーブンで乾燥させると樹脂が硬化し、高周波成分を多く含む木材になり、これで作られたヴァイオリンはストラドヴァリウスに遜色ない音色であることを実証できたとのこと。」
[36582]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年02月16日 16:06
投稿者:珈琲豆(ID:NoGVJZA)
例の(冬でもニスが柔らかいと自慢している)友人のヴァイオリンをこの週末2日間、再び借りることができました。友人によると、このヴァイオリンのニスはアルコールニスとのことです。
「体温(手の熱)と摩擦熱で楽器をちょっと温めてやるような感じでキョンセームで軽く楽器全体をこするようにしてやると、ニスが少しずつ柔らかくなってくる。」とのことなので、私も試してみました。
裏板のニスには、肩が当たる部分に布地の跡がついているほか、夏についたと思われる指紋の跡も残っていますが、8分ほどキョンセームでこすり続けていると、ニスが温まって柔らかくなり、指紋の跡が徐々に消えてきました。布地の跡は、結構凸凹しているので、なかなか簡単には消えませんが、それでも15分ほどこすっていると、少しだけニスの表面が滑らかになって凸凹が小さくなった感じがします。
ニスが温まって少し柔らかくなってきたときに、人差し指をニスに20秒くらい押し付けたところ、指紋の跡がうっすらとつきました。そのまま跡が残るとマズイので、キョンセームで3分ほどこすってやると、ほとんど見えないくらいまで跡が消えました。
このヴァイオリンは友人のサブ楽器なので、借りることができたわけですが、残念ながら誰が製作したヴァイオリンなのか聞いても教えてくれません。しかもラベルが剥がされているので調べようがありません。
きっと、友人が言うような方法でニスの柔らかさを売りにしている(デモンストレーションしている)ヴァイオリン製作者がいるのではないかと思いますが、どなたか似たような話を聞いたことは無いでしょうか?
友人が良く使う言葉(キーワード)としては、
・材料や作り(精度)の良さよりもニスの柔らかさを強調する。体温まで温まるとニスが柔らかくなるとのこと。それによって、多少キズがついても、ニスを温めながらこすることでキズを目立たなくすることができること。またニスが柔らかいので、木の振動を妨げず、それによって大音量が出せること。
・ニスが薄くなった部分から見える地色(下塗りのニスの色)がクレモナのオールド名器と同じで金色がかった透明な地色であること。これによって、上塗りのニスが徐々に剥げてきたときに、オールドの名器のような貫禄・風格が醸しだされてくるという楽しみがあること。
といったところです。
友人は「このヴァイオリンをどうしても欲しいという人がいたら300万円でなら譲っても良い。」と言ってますので、10年前に入手したときは100~200万円で購入したのではないかと思われます。
[36583]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年02月16日 18:29
投稿者:catgut(ID:RWSAFGA)
珈琲豆さま、興味深い話ですね。

「柔らかいニス」という表現については誤解されている方が少なく
ないようなので念のためコメントします。

[36347]
[36347]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年01月24日 01:27
投稿者:catgut(ID:M2QVMiY)
すでにご存知の方も多いと思いますが、シャコンヌはニスそのものの
組成物を特許出願しています。
この中では通常公開しないニスの材質・製法について当然ながら触れ
られています。特許には「音質を向上させる」という表現がありますが、
これもよく読むと主に「堅いニスに比べて良い」というストーリーになっ
ています。以下明細書より一部引用します。

特許出願2005-139525
発明の名称 : 擦弦楽器用塗料組成物

【0007】
ところで、今日において、名器の99%以上が、残念ながら後世の修理
や修復のためにオリジナルの良い状態が保たれていないのが現状である。
特に、ニスに関して問題がある。200年以上前のイタリアの楽器には比
較的柔らかいニスが使用されていたため、弾くことによって良好なニスの
塗膜が徐々に剥がれて消失していき、後に硬いニスで補修され、また保
護という名目で楽器全体に新しいニス(カバーニス)が塗布されている場
合が多い。本発明者の知見によれば、これら比較的硬いニスやカバーニ
スで塗装されたヴァイオリンは、全体が硬くなり、音程バランスが崩れてい
る。現存するストラディヴァリウスのような名器といえども、それほど良い音
がしないものがあるのはこのためである。また、カバーニスが塗られている
ものが普通であるため、それがオリジナルであると思われている場合も散見される。
【0025】
本発明による塗料組成物によれば、自然の素材からなる組成物によって
基材である木に良く馴染み、しかも柔らかい塗膜を形成することによって
楽器本来の美しい音色を最大限に引き出すことができる。ただし、この場
合の「柔らかい」とは、塗膜の軽さ、好ましい脆さ、基材との結合力の弱さ
等が総合的に組み合わされることによって現れた特性を意味し、むしろ塗
膜を形成する微粒子自体は硬いことが予想される。
にも引用しましたが、もういちどシャコンヌの特許文面から
引用します。

【0025】
本発明による塗料組成物によれば、自然の素材からなる組成物によって
基材である木に良く馴染み、しかも柔らかい塗膜を形成することによって
楽器本来の美しい音色を最大限に引き出すことができる。ただし、この場
合の「柔らかい」とは、塗膜の軽さ、好ましい脆さ、基材との結合力の弱さ
等が総合的に組み合わされることによって現れた特性を意味し、むしろ塗
膜を形成する微粒子自体は硬いことが予想される。


つまり、ヴァイオリンのエキスパートが「柔らかいニス」と表現しているの
は、木の振動をあまり妨げないニス(妨げるのは「固いニス)のことで、
指で触って指紋が付くようなニスのことではありません。「固くて脆いニス」
のことを「柔らかいニス」と表現しているわけです。

無量塔蔵六著「ヴァイオリン」にも以下のように書かれています(P165-166)。

確実にいえることは、ストラディヴァリやガルネリの名器のワニスが今日
なおやわらかく指のあとがつくというのは迷信だということです。
私のいままでの経験では、そのようなワニスをもったストラディヴァリには
一度もお目にかかったことはありません。この点について私の師のホル
ンスタイナーに問いただしたところ、それはヴァイオリン商人の営業政策
であり伝説にすぎない、そのような非実用的ワニスをストラディヴァリを
はじめ名人はだれも用いていない、ということでした。


オイルニスの場合は製作時から1年程度の間は亜麻仁油が固まりきって
いないため模様がつく場合がありますが、これはまったく別の話です。
[36585]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年02月16日 20:45
投稿者:珈琲豆(ID:lnRWgjA)
catgutさんへ。ニス研究家でもあるシャコンヌのK田社長は「最近シャコンヌが開発したニスは、体温が伝わって温まってくると、ニスに指の跡とか布地の跡がつくぐらい柔らかくなる。」というようなことを言っていたように思います。catgutさんがおっしゃるように、「脆い(もろい)」という性質も持ち合わせているようですが、体温程度の熱でニスが柔らかくなる⇒ニスが温まって柔らかくなると音量が増してくる、という話を聞いて「なるほど!」と思ったものです。
あと、これは別の情報源からの話ですが、冬の移動中に楽器が冷え切ってしまうと音の出(鳴り)が悪くなってしまうが、そういうときは、楽器全体を温めてやるつもりで、布でしばらくの間カラ拭きし続けてやると良い、という話を聞いたことがあります。ストラディヴァリウスを持っているある著名なヴァイオリニストは、演奏会の本番の直前に、ヴァイオリンに話しかけながら、ニスを温めるような感じで布で拭いてやっているそうです。
日本を代表する名工の1人である無量塔蔵六さんは
>確実にいえることは、ストラディヴァリやガルネリの名器のワニスが今日
なおやわらかく指のあとがつくというのは迷信だということです。
私のいままでの経験では、そのようなワニスをもったストラディヴァリには
一度もお目にかかったことはありません。
とおっしゃっていますが、無量塔蔵六さんと言えども、本物のストラディヴァリやガルネリのニスが柔らかくなるまで、布でカラ拭きしたことはないのではないかと思われます。
友人の楽器(製作後10年経過)でさえ、ニスが柔らかくなるまでに、10分程度拭き続ける必要があります。また、そのようにニスが柔らかくなった状態のときに、ニスに指を押し付けて指紋がつくかどうか実験する、などということを、ストラドやガルネリといった名器の所有者が許可してくれるとは思えません。
一方で、実際にストラドを所有しているヴァイオリニストが、鳴りを良くするために布で拭いて楽器を温めている、という話には、それなりの信憑性が感じられます。
展示会のときのことなのではっきりとは覚えていませんが、シャコンヌの窪T社長は、肩当無しで弾くと、体とヴァイオリンが接する面積が増えるのでより早くヴァイオリン(のニス)が温まるため、ヴァイオリンを鳴らす上では有利、というような話をされていたように記憶しています。
普段(保管中)はそれほど柔らかいわけではないが、演奏中は体温で温まることによって柔らかくなるニス、というのは、実用的で便利なニスだと思います。
[36586]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年02月16日 20:48
投稿者:我田引水(ID:IBIIcHY)
catgut氏お得意の我田引水です。

けちをつけるんじゃないよ。
やわらかいニスについて、誤解というか曲解してるんじゃないよ。
だれもストラドの話なんてしてい無いし・・・。

いい加減去れ。
[36588]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年02月16日 21:24
投稿者:まぁ演奏家ですよ(ID:Q0kJYRA)
私が知っている製作者のサイトから無断引用されていらっしゃるようですね。あまり良いことではありませんね。
あの文章の意味は、私が聞いている範囲ですが
「オールド楽器の塗りなおしを重ねた状態を新作で真似るには」
ということのようでした。
全然意味が違うので私には関係ありません。
当該製作者も書いていますが、古く見せるテクニックでは世界中に上手な方が沢山いて、いろいろな裏技があって、ただ厚く塗れば良いのではないのはあまりにも分かりきった話ですね。ご存知だと思っていましたが。

私が書き込んだのは、実際に私が演奏に使っていてニスの表面に問題が起こったとき、どうしてもカヴァーニスが必要だという「事実」です。
[36590]

Re: ヴァイオリンの塗装について

投稿日時:2008年02月16日 23:40
投稿者:catgut(ID:RWSAFGA)
やれやれ、まだまだ書かないといけないようですね。

「ニスが音質を改善する」という説は19世紀以降にしか見当たらない
ものです。クレモナの名工は読み書きは不得手な人が多かったと思い
ますが、レオポルド・モーツァルトの立派なヴァイオリン教科書は18世紀
半ばに出版されているわけですから、もしクレモナの名工がニスで音が
良くなると考えていたなら、その片鱗くらいは当時の記録に出てきても
よさそうなものです。

すでに引用しましたが、フランツ・ファルガの「ヴァイオリンの名器」の
翻訳などで知られ、オールド楽器に造詣の深い佐々木庸一氏は、
現在のストリング誌の前身でもある「レッスンの友」に数十年前に連載
した記事の中で以下のように書かれています。

ーーーーーーーーーー
ニスは、実は音にはほとんど影響を与えないということ、
つまり音にはほとんど関係ないということが、その後の
いろいろな研究の結果明らかになっている。
このことは、ヴァルター・コルネーダーも「ヴァイオリンの本」の
中で書いているし、またアルベルト・ベーアもその著書の中で
書いている。ニスを塗っていない楽器と、ニスを塗った楽器の
音はほとんど違いがないというのが現在では専門家の間で
常識となっている。(中略)
ニスを塗る前から響きの悪い楽器はいくらよいニスを塗っても
音はもちろんよくならない。だからニスを塗らない、いわゆる
「白い楽器」自体の音質がよいものが、よい楽器なのである。
ーーーーーーーーーー

渡辺恭三著「ヴァイオリンの銘器」の中でも、渡辺氏は以下のように
書いています。
「・・・クレモナ・ニスの伝説はだいぶ長く続くと思います。ヴァイオリン
のニスは音をやわらげるためにいつまでもやわらかくなければいけな
いと信じたある製作者が塗った楽器を奏いた音楽家が、演奏後いざ
楽器をあごからはずそうとしたらば、シャツまでヴァイオリンと一緒に
ついて来てしまったという話、小生の目でみたわけではないのですが、
まったくありうることです。」


珈琲豆さま、
すでに示した通り、ほとんどのストラディヴァリのオリジナルニスの
大半は剥げてしまっているのですから、ニスが音を改善するわけが
ないのです。

まぁ演奏家ですよさま、
ヤマハの実験結果に出ているように、オリジナルのニスは劣化している
から影響が少なくなっているということを、引用元の製作者の方は見事に見抜いているわけです。
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