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ヴァイオリンの塗装について その3 | ヴァイオリン掲示板

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楽器・付属品 216 Comments
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ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年06月13日 20:49
投稿者:catgut(ID:MxCCaDI)
私は前スレッド、前々スレッドで、
「ヴァイオリンの音色は材質と形状、および調整によって決まり、
ヴァイオリンの塗装で音色が良くなることは基本的にない」と
客観的な証拠を多数提示して書いています。

どなたも塗装でヴァイオリンの音が良くなるという証拠を提示されて
いません。そして見当違いのコメントがしばしば付けられています。
これはいったいなぜなのでしょうか。ちょっと分析してみたいと思います。
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Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年08月04日 12:40
投稿者:pochi(ID:OVMFIBc)
G.B.グァダニーニと同時代の近所の製作者達の多くが全く同じ成分のニスを使っていたら、G.B.グァダニーニは出来合いのニスを使っていた有力な情報となるでしょう。これでも証拠にはなりません。ニス屋との取引書が出てくれば証拠になります。

ニスを塗ったら音色が「改善」するかどうかは異論がありますが、「変化」するのは確実ですよ。
[37972]

Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年08月04日 15:01
投稿者:Xin(ID:QJMRgjA)
塗装の材料購入について

現在は、日本でも海外でも、Violin Varnishとして調合済みの塗料が購入できます。
原材料も販売されているので、自分の好みの樹脂を添加出来ます。
色、硬さ、作業性などの調整のためです。

つまり、ニスを購入するにしても、いろいろなやりかたがあります。
①出来合いのニスを購入する
②出来合いのニスを買ってきて、自分で樹脂を添加、再調合する
③精製された樹脂と溶剤を購入して自分で配合してニスをつくる
④原材料の樹脂、油を購入して、自分で精製する

通常は下地つくりからはじまり、仕上げの磨きまでには多数の
塗装工程があります。
ニスにしても木部に直接塗るニス、上塗りのニス、仕上げのニスと色や種類を変えます。
多層コートの方が見栄えがよいと思っています。

現代風にいえば、ニスの屈折率、振動減衰率、分光透過率、ヤング率、硬度、比重を考慮して重ね塗りする。

こんな状態なので、ストラディバリがどの塗装工程にどんな調合レベルのニスを使ったか私には想像しか出来ません、工程によっては購入してそのまま使ったり、ひそかに樹脂や研磨剤を添加して使ったかも。

オールド楽器のSEMの写真です
ttp://www.leroydouglasviolins.com/varnish.htm

私にはニス層に比較して研磨層が厚いようにみえるのですがどうでしょうか、Siが多いのは研磨剤はパミスなのでしょうか。

ところで日本の砥の粉と西洋のパミスの違いを知っている方いらっしゃいますか?
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Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年08月04日 20:10
投稿者:catgut(ID:JEd3dSk)
オールド楽器のニスを電子顕微鏡で観察すると比較的厚い下層と比較的
薄い上層が確認できる場合が多く、一般には厚い下層が下地で薄い上層
がニスと解釈されるようです。ただこれには異論もあって、厚い下層が本来
のニスで薄い上層がカバーニスだという説もあります。

いずれにしろ史実のストラディヴァリは平均的なヴァイオリンは15日間程度
の「合計製作時間」で製作していたこともあり、塗装回数は下地を含めて数回程度以下(極端な説では1回)という説があります。もっと塗装回数が多かったのだとすると、後半生ではニス工程の多くは塗装が上手な弟子に任せていたのかもしれません。
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Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年08月04日 23:05
投稿者:匿名希望X(ID:NlgHN1M)
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Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年08月04日 02:46
投稿者:カルボナーレ(ID:WSB4GQA)
catgutさん
>引っ越すたびにその都市で売られた調合済みのニスを塗ったG.B.グァダニーニは1780年代まで製作している。

の根拠を教えてください。

引っ越した先では手に入る材料が異なり、また以前は手に入ったけれどその土地では手に入らない材料もあるので、自分で調合していたとしても同じニスはまずできません。その土地で入手できる材料でベストを尽くして調合するのが普通であり、自分で調合していたとしても、違う土地に行けばニスは当然変わります。
”その土地で売られていた市販ニスを使っていた”ことの証明に ”場所が変わると、塗っていたニスが変わる” ことを持ち出しても、証明でもなんでもなく、意味がありません。
カルボナーレ氏
>catgutさん
>>引っ越すたびにその都市で売られた調合済みのニスを塗ったG.B.グァダニーニは1780年代まで製作している。
>の根拠を教えてください。
---------
《根拠》は無理なことが解り切っています。
証拠などは見つかりませんし…
むしろ
「ソースをお示しください」と投げかければ、
{誰それ著、何某訳の某書の何ページ}
で読んだ、とか
{何処のサイトの何処にある}
という回答が得られるでしょうね。
catgut氏とはそういう意味で「役に立つ」人物だと思っています。
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Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年08月05日 11:02
投稿者:QB(ID:QnhGKJM)
catgut氏の
>一般には厚い下層が下地で薄い上層
がニスと解釈されるようです。

で、ようやくcatgut氏の文章と自分の考えが噛み合わない原因が分かりました。

私がオイルニスによって引き起こされる現象等、木に及ぼす作用について触れているのは、すべて下塗りのニスの話でした。
上塗りに何もってこようが、どの文献引っ張ってこようが、あまり自分にとっては重要ではないです。。。そりゃ厚く塗れば振動阻害するに決まっています。
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Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年08月05日 23:58
投稿者:Xin(ID:QJMRgjA)
catgutさん
いつも興味ある情報の提供ありがとうございます。

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Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年08月04日 20:10
投稿者:catgut(ID:JEd3dSk)
オールド楽器のニスを電子顕微鏡で観察すると比較的厚い下層と比較的
薄い上層が確認できる場合が多く、一般には厚い下層が下地で薄い上層
がニスと解釈されるようです。ただこれには異論もあって、厚い下層が本来
のニスで薄い上層がカバーニスだという説もあります。

いずれにしろ史実のストラディヴァリは平均的なヴァイオリンは15日間程度
の「合計製作時間」で製作していたこともあり、塗装回数は下地を含めて数回程度以下(極端な説では1回)という説があります。もっと塗装回数が多かったのだとすると、後半生ではニス工程の多くは塗装が上手な弟子に任せていたのかもしれません。
catgutさんの
>一般には厚い下層が下地で薄い上層
>がニスと解釈されるようです。
>ただこれには異論もあって、
>厚い下層が本来のニスで薄い上層がカバーニスだという説もあります。

ということですが、
Dr. C.Y. Barlow and Dr. J. Woodhouse of Cambridge University, England
さんの研究を引用したDavid Gussetさんの文章は
actual varnish layerとground layer(particulate layer) となっています
(オリジナルの論文をよんでいないのですみません)
いろいろな説があるようです。

塗装の層を通して木地が見えていると思われるので、
これは私の想像ですが、
ground layer(particulate layer)は研磨材を含んだニスではないでしょうか、
元素分析のチャートでもSiが存在しています、これは研磨材のSiO2(パミス)ではないですか。

この層状になる塗装方法についてですが
砥の粉を使ってニスの下地をつくると、水で練った砥の粉はすぐにふき取るので、
表面からは木面と木の導管や傷に埋まっている砥の粉が点(線)状でみえます
あの電子顕微鏡の写真のように層状にはなりません。

あの写真のようにする方法があります、その方法ではサンドペーパー
で磨かなくても鏡のような光沢面になります。

それは、初回のニスを塗って乾燥後、ニスの溶剤で湿らしたパッドで表面を強くこすります。刷毛は使用しません。
そうすると、溶剤がニスの表面凸部を溶かし凹部を埋めます。
結果は表面が平らになります。
このときに研磨材を併用するとニスと木の表面を削り、効率よく作業ができます。
全体が平らになったら通常のニスを薄く塗ります。
研磨材が見えてしまいそうですが、研磨材とニスの屈折率が近ければ見えません。
この塗装方法は高級家具や楽器の塗装方法として古くから知られています。
ユーチューブで
ttp://www.youtube.com/index
"french polish"で検索すれば塗装している動画をみることができます。
磨いている最中は、手を動かしていないと、パッドとニスが張り付くので重労働です。
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Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年08月06日 22:28
投稿者:catgut(ID:JEd3dSk)
Melvin Goldsmith氏というイギリスのヴァイオリン製作者の見解です。
(電子顕微鏡写真の薄い上層はカバーニスで厚い下層がオリジナルニス
と考えている)私はどちらが正しいか判断できませんが、こういう見方もあるということで紹介します。

Goldsmith氏のサイト
ttp://www.goldsmithviolins.com/

ttp://www.maestronet.com/forum/index.php?showtopic=315121&hl=Woodhouse,AND,analysis,AND,fatally

Melving Jan 21 2007, 05:08 PM

I think you will find the Barlow / Woodhouse analysis fatally
flawed.

What they assume to be the varnish layer (the very thin top
layer) in their electron microscpe scans is probably not the
cremonese varnish at all but in fact French polish built up
over the life of the instument by 'repairers'

The much thicker layer underneath which they assume is a 'mineral
ground' is actually the varnish proper with the particulate content
being mixture of colouring pigments ie lake pigment and possibly
other vegetable or mineral pigment.

Many makers think in terms of a mineral ground because of the
Barlow work . Woodhouse and Barlow's work probably needs a good
review in my opinion!
[38058]

Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年08月20日 01:40
投稿者:catgut(ID:NjVXMzk)
石井髙氏がご自身のサイトを制作されていることに気付きました。
特に「道具箱」の記事は必見です。
ttp://www.koishiicremona.com/index.html

「記事」というコンテンツに、週刊朝日百科「工房と手仕事」
(1991年12月5日掲載)が再掲されています。そこで石井氏
は以下のように書かれています。

 しかし、ニスに関しては未だにわからないことが多い。
 作りたてのヴァイオリンは、ニスを塗らない方が良い音がするが、
そのままにしておくと、二十年くらいしか寿命がない。ニスを塗った
ばかりのヴァイオリンは、すぐには良い音が出ないのだが、何年か
弾き込んでいくうちに、次第に素晴らしい音が出てくるようになる
のだ。それは製作者と演奏者との二重奏のようなものかもしれない。
 今までにヴァイオリンに関して数限りない質問を受けた。その主な
ものは、やはり良い音の出るヴァイオリンはどうしたらできるのか、
ということだ。材料なのか、木の厚みか、ニスか、それとも経年変化
か。それに対して、私は未だにはっきりと答えることができない。
[38084]

Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年08月22日 00:19
投稿者:catgut(ID:NjVXMzk)
石井氏を指導したフランチェスコ・ビソロッティ氏はストリング誌の
インタビューで以下のように語っています(2005年3月号)。

ニスの研究などもされたのですか?

 現代までストラディヴァリのニスの内容を解明した人はいません。
いろいろな説がありますが、それらは想像に過ぎません。
 私も顕微鏡で見たりして研究しましたが、結局、何か特別なことが
解明できたということはありませんでした。
 ストラディヴァリは何か特別な秘密を持っていたというわけではない
のです。
 例えば何か秘密があったのだとすれば息子に伝えていたでしょう。
そして、息子も同じように素晴らしい楽器を製作したでしょう。しかし
決してそうではありません。
 特別な秘密があったのではなく、ただ単に彼自身がヴァイオリンを製作
する上での天才的な能力を持っていたのです。
[38088]

Re: ヴァイオリンの塗装について その3

投稿日時:2008年08月22日 18:54
投稿者:父娘Vn(ID:NCJBGIQ)
ふむ。ずいぶん穏当なご見解ですね。びっくりです。白木最上論絶対主義はお捨てになられたようで。何よりです。
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