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弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか? | ヴァイオリン掲示板

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[41562]

弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年10月14日 08:33
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
Surface Soundについては、catgut氏が前言撤回し、
”Surface Sound" = double-slipping motion 状態
を示すのでなく、様々なケースで使われることが明確になりましたので、議論を打ち切ります。

次に、catgut氏が最も知りたいことである
「弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?」
のスレッドをたてましたので、Surface Soundという言葉は基本的に使わず、実証、データ、映像、文献等で明確にしていきましょう。
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6 / 6 ページ [ 57コメント ]
【ご参考】
[41809]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月02日 07:32
投稿者:catgut(ID:J5FmRBI)
カルボナーレさま、

ハイフェッツは弓速を超高速で、かつその分弓圧もある程度増やすことで、
基音の音量を確保しつつ、倍音も出していると考えられます。
弓速を上げれば圧力をかけてもmulti-slipが発生することはカルボナーレ
さまも認めていらっしゃいましたよね。基音に対して倍音の割合が増える
のですから、倍音が増えると言ってどこがおかしいのでしょうか?


セロ轢きのGoshさま、
私はハイフェッツがことさら「速く、軽い弓」を意図的に使うことによって
「普通のヴァイオリニスト」よりslip音の割合が多いと考えているわけで
す。セロ轢きのGoshさまはハイフェッツの「速く、軽い弓」でslip音が増え
る可能性はないと思われますか?
[41810]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月02日 07:51
投稿者:catgut(ID:J5FmRBI)
参考のためGuettlerの論文への私のコメントをこちらに移動しておきます。

[41720]
[41720]

Re: ハイフェッツって・・・

投稿日時:2009年10月24日 10:42
投稿者:catgut(ID:J5FmRBI)
カルボナーレさま、

Woodhouseと並んでヴァイオリンの弦の振動について多くの研究をしているKnut Guettlerが面白い調査をしています。

Acceptance limits for the duration of pre-Helmholtz
transients in bowed string attacks
ttp://lib.ioa.ac.cn/ScienceDB/JASA/JASA1997/PDFS/VOL_101/ISS_5/2903_1.PDF

弦のアタック時には最初から1stick-1slipにはできないので、不安定な振動をする時間がありますが、この時間に”multiple-slip"する音が聴衆に好まれる(またはより許容できる)ということです。

また上記にも記載されていますが「プロ」の演奏でも意外とmulti-slipの
音は使われているようです。

The Bowed String
ttp://kth.diva-portal.org/smash/get/diva2:9153/FULLTEXT01

Bach’s Preludio V from Das Wohltemperierte Klavier (consisting of
rapid detache scales at medium sound volume) showed long
multiple-slip transients, producing a lighter, looser sound.

No prolonged-periods were ever observed at soft levels (piano),
where, on the other hand, multiple-slip transients of very long
duration were sometimes seen.

新顔の通りすがりさま、
ニスを塗っただけでは音響的にプラスにならないという見解は、音響学
者だけでなく、欧米や日本人の一流の製作者の見解でもあります。
それに対して根拠のない反論をする人にほかにどう言えばよいので
しょうか。
Re: ハイフェッツって・・・ ● [雑談・その他]
 catgut [09/10/24 10:42:10]

カルボナーレさま、

Woodhouseと並んでヴァイオリンの弦の振動について多くの研究をしているKnut Guettlerが面白い調査をしています。

Acceptance limits for the duration of pre-Helmholtz
transients in bowed string attacks
ttp://lib.ioa.ac.cn/ScienceDB/JASA/JASA1997/PDFS/VOL_101/ISS_5/2903_1.PDF

弦のアタック時には最初から1stick-1slipにはできないので、不安定な振動をする時間がありますが、この時間に”multiple-slip"する音が聴衆に好まれる(またはより許容できる)ということです。

また上記にも記載されていますが「プロ」の演奏でも意外とmulti-slipの
音は使われているようです。

The Bowed String
ttp://kth.diva-portal.org/smash/get/diva2:9153/FULLTEXT01

Bach’s Preludio V from Das Wohltemperierte Klavier (consisting of
rapid detache scales at medium sound volume) showed long
multiple-slip transients, producing a lighter, looser sound.

No prolonged-periods were ever observed at soft levels (piano),
where, on the other hand, multiple-slip transients of very long
duration were sometimes seen.

[41812]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月02日 12:00
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:IYhIMTc)
すみません、差し替えです。

[41809]
[41809]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月02日 07:32
投稿者:catgut(ID:J5FmRBI)
カルボナーレさま、

ハイフェッツは弓速を超高速で、かつその分弓圧もある程度増やすことで、
基音の音量を確保しつつ、倍音も出していると考えられます。
弓速を上げれば圧力をかけてもmulti-slipが発生することはカルボナーレ
さまも認めていらっしゃいましたよね。基音に対して倍音の割合が増える
のですから、倍音が増えると言ってどこがおかしいのでしょうか?


セロ轢きのGoshさま、
私はハイフェッツがことさら「速く、軽い弓」を意図的に使うことによって
「普通のヴァイオリニスト」よりslip音の割合が多いと考えているわけで
す。セロ轢きのGoshさまはハイフェッツの「速く、軽い弓」でslip音が増え
る可能性はないと思われますか?
catgut さん

> セロ轢きのGoshさま、
> 私はハイフェッツがことさら「速く、軽い弓」を意図的に使うことによって
> 「普通のヴァイオリニスト」よりslip音の割合が多いと考えているわけで
> す。セロ轢きのGoshさまはハイフェッツの「速く、軽い弓」でslip音が増え
> る可能性はないと思われますか?

本スレッドの趣旨から外れた話ですね。
また、小生の質問[41808]
[41808]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月02日 00:25
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:GBkzATQ)
[41806]
[41806]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月01日 23:15
投稿者:catgut(ID:J5FmRBI)
カルボナーレさま、一応念のため、以前も書いたことですが、

音色
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E8%89%B2

などにも書かれている通り、「狭義の音色」は周波数スペクトルです。
「広義の音色」には楽器の音量変化のしかたや音高変化のしかたも
含むことがあります。

今回問題にしているのはもちろん「狭義の音色」です。

前掲の論文でも書かれているように、ヴァイオリンの弦を弓で弾く時、
多くの場合最初はヘルムホルツ運動ではなくmultipe slip音になります。
そして弓の返し音も高い音高で聞こえることからmultiple slip音であることはほぼ間違いないと思われます。「速い弓」を使うときは大抵毛が弦に当たって弓を返すまでにゼロコンマ何秒という速度ですから、弓を弾いている半分の時間が1stick-1slipだとしても、他の半分はmultiple slipであるよう
な場合もあります。このような場合、人間の耳には平均して倍音が強く聞こえるのではないでしょうか。

実際に、ハイフェッツの演奏では弓の返し音がしばしば聞こえ、ガラミアンは弓の返し音を嫌ったということです(「天才を育てる」でのドロシー・ディレイの証言)。この事実から、ハイフェッツの速い弓ではslipが起きる比率が比較的多く、ガラミアンは極力slipが起きないように演奏することを要求したと考えられます。

また、ハイフェッツの演奏姿勢は軽い圧力で速い弓を使うことを基本としていると考えるとよく理解できます。

・弦を極力水平に近くする姿勢を取ったのは、楽器を傾けると重力の方向に弓が流れてしまうため。
・ハイフェッツが右手のヒジをあげる傾向があったのは上記のために必要だったから。

そもそも、プレーンガット弦では駒寄りを圧力をかけると音が簡単に潰れてしまうため、それこそクライスラーのような天才でないとこのような奏法はできません。ナイロン弦という偉大な科学技術がヴァイオリンの新時代を切り開く素晴らしい奏法をもたらしたのかもしれませんが。
catgut さん

> 前掲の論文でも書かれているように、ヴァイオリンの弦を弓で弾く時、
> 多くの場合最初はヘルムホルツ運動ではなくmultipe slip音になります。

前掲の論文とはどれのことでしょうか?
少なくとも [41729] で挙げた2編には(小生の読む限り)そんなこと書いてありません。

むしろ、調査した1694事例中44%は prefect attack(5ms以内にHelmholtz motionが確立する)、というのが結論だと思います。 残りの56%は multiple slip か prolonged irregular period ですが、それも殆どは前述の許容値(90ms、50ms)に入っている、と書いてあります。 以下原文です:

When verifying the attacks of normal playing (from recordings of two violinist unaware of the subject of the research), it was found that for most musical examples the attacks were well within these limits, and that 44% (out of 1694 attacks) were found to be “perfect” (defined as less than 5 ms elapsing before the occurrence of Helmholtz triggering).

56%の内訳(multiple slip と prolonged irregular periodの割合)は判りませんが、概ね半分として、5ms以上のmultiple slipは30%弱という程度でしょうか。 これを「多くの場合」というのは相当無理があると思います。 更に、これらのmulti-slip の殆どは90msを上限として分布している筈ですから、6msもあれば10msもある。 80~90msも続くようなmulti-slipは稀である(高々5%のオーダー)、と考える方が自然でしょう。

「多くの場合」について具体的に書いてあるなら何処か教えて下さるようお願いします。
即答(24時間以内)がなければ、「catgutさんの頭の中だけに書いてあった」と理解します。


ところで上記の調査は、プロに調査内容を知らせないで弾いてもらった録音を対象としている、と括弧内に書いてありますね。 素人のアタックはもっと悲惨なもの(multi-slipが止まらない、とか)かも知れません。 また、意図的にmulti-slipを使うことの技術的な可能性(そしてハイフェッツがそれをうまく使った可能性)を否定するものではありません。

catgutさん、ハイフェッツの録音は手に入るのでしょうから、その波形分析でもやってみてはどうですか? multi-slipの波形は判っているのだから、一発で検証できますよ。
本スレッドの趣旨からは外れますが、そもそも一連の議論の出発点だったと思います。
に対しても全く答えになっていません。
よって先の [41806]
[41806]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月01日 23:15
投稿者:catgut(ID:J5FmRBI)
カルボナーレさま、一応念のため、以前も書いたことですが、

音色
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E8%89%B2

などにも書かれている通り、「狭義の音色」は周波数スペクトルです。
「広義の音色」には楽器の音量変化のしかたや音高変化のしかたも
含むことがあります。

今回問題にしているのはもちろん「狭義の音色」です。

前掲の論文でも書かれているように、ヴァイオリンの弦を弓で弾く時、
多くの場合最初はヘルムホルツ運動ではなくmultipe slip音になります。
そして弓の返し音も高い音高で聞こえることからmultiple slip音であることはほぼ間違いないと思われます。「速い弓」を使うときは大抵毛が弦に当たって弓を返すまでにゼロコンマ何秒という速度ですから、弓を弾いている半分の時間が1stick-1slipだとしても、他の半分はmultiple slipであるよう
な場合もあります。このような場合、人間の耳には平均して倍音が強く聞こえるのではないでしょうか。

実際に、ハイフェッツの演奏では弓の返し音がしばしば聞こえ、ガラミアンは弓の返し音を嫌ったということです(「天才を育てる」でのドロシー・ディレイの証言)。この事実から、ハイフェッツの速い弓ではslipが起きる比率が比較的多く、ガラミアンは極力slipが起きないように演奏することを要求したと考えられます。

また、ハイフェッツの演奏姿勢は軽い圧力で速い弓を使うことを基本としていると考えるとよく理解できます。

・弦を極力水平に近くする姿勢を取ったのは、楽器を傾けると重力の方向に弓が流れてしまうため。
・ハイフェッツが右手のヒジをあげる傾向があったのは上記のために必要だったから。

そもそも、プレーンガット弦では駒寄りを圧力をかけると音が簡単に潰れてしまうため、それこそクライスラーのような天才でないとこのような奏法はできません。ナイロン弦という偉大な科学技術がヴァイオリンの新時代を切り開く素晴らしい奏法をもたらしたのかもしれませんが。
に於ける論文の解釈は間違いである、と理解します。

と言っている端から、またいい加減な引用をしていますね。[41810]
[41810]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月02日 07:51
投稿者:catgut(ID:J5FmRBI)
参考のためGuettlerの論文への私のコメントをこちらに移動しておきます。

[41720] Re: ハイフェッツって・・・ ● [雑談・その他]
 catgut [09/10/24 10:42:10]

カルボナーレさま、

Woodhouseと並んでヴァイオリンの弦の振動について多くの研究をしているKnut Guettlerが面白い調査をしています。

Acceptance limits for the duration of pre-Helmholtz
transients in bowed string attacks
ttp://lib.ioa.ac.cn/ScienceDB/JASA/JASA1997/PDFS/VOL_101/ISS_5/2903_1.PDF

弦のアタック時には最初から1stick-1slipにはできないので、不安定な振動をする時間がありますが、この時間に”multiple-slip"する音が聴衆に好まれる(またはより許容できる)ということです。

また上記にも記載されていますが「プロ」の演奏でも意外とmulti-slipの
音は使われているようです。

The Bowed String
ttp://kth.diva-portal.org/smash/get/diva2:9153/FULLTEXT01

Bach’s Preludio V from Das Wohltemperierte Klavier (consisting of
rapid detache scales at medium sound volume) showed long
multiple-slip transients, producing a lighter, looser sound.

No prolonged-periods were ever observed at soft levels (piano),
where, on the other hand, multiple-slip transients of very long
duration were sometimes seen.


「この時間に”multiple-slip"する音が聴衆に好まれる」なんて何処にも書いてないでしょ?
玄人弦楽器弾きの一般論としては、 Helmholtz motion が確立するまでの時間は短ければ短いほど良い、とあります。 一般論ですから勿論例外はあります。 catgutさんがコピーした英文は、アタックで長めの multi-slip を意図的に使っているらしい「場合もある」ということの例を挙げているだけです。


> 可能性はないと思われますか?

小生の質問を無視しておいて別の質問を投げかけるのはunfairだと感じますが、一応答えておきます:
「可能性は否定しませんが、肯定する理由も見当たりません。」
前にも書きましたが、小生はハイフェッツの音など知りません。 また、「slip音」という新しい言葉を持出されても意味が解りません。

高次倍音に関しては小生の予想は検証されたと思いますし、スレ主のカルボナーレさんも終結宣言 [41807]
[41807]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月01日 23:45
投稿者:カルボナーレ(ID:EnE4GYc)
このスレで取り上げた論点は、
”弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?”
ということだけです。

jackさんの実音とFFTソフトでの周波数スペクトル映像より、
”single-slip状態に比べ、double-slip含むmulti-slip状態は過渡状態含め、倍音は増えない。"
ということがわかりましたので、
”multi-slip状態=倍音が豊富”という理屈は今後つかわないようにお願いします。

ハイフェッツの音の秘密が、弓のスピードにあることはまったく否定しませんが、今後、倍音以外の理由にて説明をお願いします。
[41806]のような特に論理的な反論にならない書き込みは、読むだけ疲れますので、お互い時間の無駄ということで、今後はやめませんか。
を出されたことですから、もう止めましょう。 ハイフェッツの音の分析でもできたら別スレを起こして下さい。
[41815]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月02日 23:52
投稿者:カルボナーレ(ID:EnE4GYc)
セロ轢きのGoshさんが、[41729]
[41729]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年10月24日 19:13
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:GBkzATQ)
撤退宣言したのですが、面白い新ネタが入ったので戻ってきました。
別項で catgut さんご紹介の2本です(筆者は同じ)。

Acceptance limits for the duration of pre-Helmholtz transients in bowed string attacks
ttp://lib.ioa.ac.cn/ScienceDB/JASA/JASA1997/PDFS/VOL_101/ISS_5/2903_1.PDF

The Bowed String
ttp://kth.diva-portal.org/smash/get/diva2:9153/FULLTEXT01

サッ眺めたところでは、

ヴァイオリンのアタックは3パターンに大別される:
(1)Multiple slip
(2)Perfect attack: 殆ど最初からヘルムホルツ運動が起こる
(3)Prolonged irregular period: 弓圧かけすぎの「ゴリッ」という音が聞こえる状態

当然(2)が標準ですが、音楽的な文脈に応じて(1)や(3)も使われる。
そして、(1)や(3)に対する許容値は、それぞれ90ミリ秒と50ミリ秒だった。(それ以上だと、弾き損じと感じる、ということのようです)。 これはG線開放弦について20人の上級弦楽器学習者やプロによるパネル(合議制?)で判定したとのこと。 音程が低くなるとこの許容値は大きくなる傾向にあるらしい(?)

ま、こんな物理用語(?)に言い換えなくたって皆普通にやっていることだとは思いますが、過渡状態(変則振動状態)に対する許容時間のオーダー感が示されたのは面白いですね。
で要約してくれた、
>ヴァイオリンのアタックは3パターンに大別される:
>(1)Multiple slip
>(2)Perfect attack: 殆ど最初からヘルムホルツ運動が起こる
>(3)Prolonged irregular period: 弓圧かけすぎの「ゴリッ」という音が聞こえる状態

という3つの状態の存在は重要で、特に
3)Prolonged irregular period: (別の論文ではRaucusといっていた音)
は無視できない非常に意味のあるものだと思います。

Prolonged irregular periodから 1 stick-1 slip 振動への遷移も、弓のスピードとおおいに関係がありますので、それもハイフェッツが速い弓使いを行う”理由の一つ”と考えらます。すなわち、弓の速度が速いと、強い圧力をかけても、音がつぶれにくい/つぶれない/つぶれる時間を短くできる、ということです。
パールマンが、ハイフェッツの音には、近接マイクによる録音では使えない、ジッートといった音が混ざっていた、という証言とも合致します。
[41820]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月03日 10:27
投稿者:catgut(ID:J5FmRBI)
セロ轢きのGoshさま、

Guettlerの論文を一面的に解釈されているように感じます。
Guettlerの”The Bowed String”に以下の記述があります。

-----
multiple-slip transients of very long duration were sometimes
seen. At higher dynamic levels (mezzo forte and forte) all the
three categories were observed, but in martellato strokes, the
first few periods were usually prolonged. Such attacks leave an
impression comparable to first-letter consonants in speech.

非常に長く続くmultiple-slipの遷移状態が(音量が少ない場合に)
時々見られる。音量が強いレベル(メゾフォルテやフォルテ)では全
ての3つのカテゴリー(“prolonged”, “perfect”, “multiple slip”)
が観察される。しかしマルテレのストロークでは、最初は大抵
"prolonged"になる。このようなアタック音は、会話での最初の子音
に相当する。
-----

実際に、Acceptance limits for the duration of pre-Helmholtz
transients in bowed string attacksのFig.7を見ると、ベートーヴェンの
コンチェルトの一部では、調査した範囲のアタックの2割もが100msを
越えたmultiple flybackになっています。「普通のプロ奏者」が弾いても
"multiple slip"は大きな音量でなければ起きているわけです。

ちなみにKnut Guettlerはプロのコントラバス奏者でもあるそうです。
ttp://www.koncon.nl/public_site/DOCENTEN/Kguettler.html
[41821]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月03日 11:10
投稿者:catgut(ID:J5FmRBI)
The Bowed Stringからこれもすでに引用しましたが、

-----
Bach’s Preludio V from Das Wohltemperierte Klavier (consisting
of rapid detache scales at medium sound volume) showed long
multiple-slip transients, producing a lighter, looser sound.

バッハの平均律クラヴィーアからのプレリュードV(中程度の音量で、
速いデタッシェのスケールで構成される)では長いmultiple-slipの遷移
状態を示し、軽く緩い音を作っている。
-----

とあります。lighter, looser soundはmultipe-slipによって基音に対して
2次倍音が強くなりすぎると出る音で、このようなmultiple-slipの音は
「楽音にならない」とは決して考えられていません。

要するに、弓のアタックでできるだけ早く1slip-1stickにしたほうが良い
というのは一般論で、マルテレでアクセント(ノイズ)をわざと付けたり、
multiple-slipを使って音色を変えたりすることは熟達した人は当然やっ
ているというのがGuettlerの考えでしょう。
[41823]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月03日 20:40
投稿者:カルボナーレ(ID:EnE4GYc)
このスレは、とりあえず閉じましょう。

>マルテレでアクセント(ノイズ)をわざと付けたり、multiple-slipを使って音色を変えたりすることは熟達した人は当然やっているというのがGuettlerの考えでしょう。

は、熟達しなくともそこそこ演奏するものにとっては常識かつ普通の考えですので、とくにGuettlerの考えとして改めて述べるまでもありません。それを、実測してデータで示しているところがこの論文の面白いところです。(セロ轢きのGoshさん、面白い文献の情報提供ありがとうございました。)

別スレ ”基音を減らし2倍音または3倍音を増やすとハイフェッツの音になるのか?”をおこしましたので、
ハイフェッツの音の秘密解読のため、Guettlerのごとく、実証をよろしくお願いいたします。
[41832]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月04日 05:27
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:GBkzATQ)
閉めたスレッドで申し訳ないのですが、「一面的に解釈」と批判されたのでちょっと弁明させてください:

[41820]
[41820]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月03日 10:27
投稿者:catgut(ID:J5FmRBI)
セロ轢きのGoshさま、

Guettlerの論文を一面的に解釈されているように感じます。
Guettlerの”The Bowed String”に以下の記述があります。

-----
multiple-slip transients of very long duration were sometimes
seen. At higher dynamic levels (mezzo forte and forte) all the
three categories were observed, but in martellato strokes, the
first few periods were usually prolonged. Such attacks leave an
impression comparable to first-letter consonants in speech.

非常に長く続くmultiple-slipの遷移状態が(音量が少ない場合に)
時々見られる。音量が強いレベル(メゾフォルテやフォルテ)では全
ての3つのカテゴリー(“prolonged”, “perfect”, “multiple slip”)
が観察される。しかしマルテレのストロークでは、最初は大抵
"prolonged"になる。このようなアタック音は、会話での最初の子音
に相当する。
-----

実際に、Acceptance limits for the duration of pre-Helmholtz
transients in bowed string attacksのFig.7を見ると、ベートーヴェンの
コンチェルトの一部では、調査した範囲のアタックの2割もが100msを
越えたmultiple flybackになっています。「普通のプロ奏者」が弾いても
"multiple slip"は大きな音量でなければ起きているわけです。

ちなみにKnut Guettlerはプロのコントラバス奏者でもあるそうです。
ttp://www.koncon.nl/public_site/DOCENTEN/Kguettler.html
[41821]
[41821]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月03日 11:10
投稿者:catgut(ID:J5FmRBI)
The Bowed Stringからこれもすでに引用しましたが、

-----
Bach’s Preludio V from Das Wohltemperierte Klavier (consisting
of rapid detache scales at medium sound volume) showed long
multiple-slip transients, producing a lighter, looser sound.

バッハの平均律クラヴィーアからのプレリュードV(中程度の音量で、
速いデタッシェのスケールで構成される)では長いmultiple-slipの遷移
状態を示し、軽く緩い音を作っている。
-----

とあります。lighter, looser soundはmultipe-slipによって基音に対して
2次倍音が強くなりすぎると出る音で、このようなmultiple-slipの音は
「楽音にならない」とは決して考えられていません。

要するに、弓のアタックでできるだけ早く1slip-1stickにしたほうが良い
というのは一般論で、マルテレでアクセント(ノイズ)をわざと付けたり、
multiple-slipを使って音色を変えたりすることは熟達した人は当然やっ
ているというのがGuettlerの考えでしょう。
でご指摘の内容の殆どは [41729]
[41729]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年10月24日 19:13
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:GBkzATQ)
撤退宣言したのですが、面白い新ネタが入ったので戻ってきました。
別項で catgut さんご紹介の2本です(筆者は同じ)。

Acceptance limits for the duration of pre-Helmholtz transients in bowed string attacks
ttp://lib.ioa.ac.cn/ScienceDB/JASA/JASA1997/PDFS/VOL_101/ISS_5/2903_1.PDF

The Bowed String
ttp://kth.diva-portal.org/smash/get/diva2:9153/FULLTEXT01

サッ眺めたところでは、

ヴァイオリンのアタックは3パターンに大別される:
(1)Multiple slip
(2)Perfect attack: 殆ど最初からヘルムホルツ運動が起こる
(3)Prolonged irregular period: 弓圧かけすぎの「ゴリッ」という音が聞こえる状態

当然(2)が標準ですが、音楽的な文脈に応じて(1)や(3)も使われる。
そして、(1)や(3)に対する許容値は、それぞれ90ミリ秒と50ミリ秒だった。(それ以上だと、弾き損じと感じる、ということのようです)。 これはG線開放弦について20人の上級弦楽器学習者やプロによるパネル(合議制?)で判定したとのこと。 音程が低くなるとこの許容値は大きくなる傾向にあるらしい(?)

ま、こんな物理用語(?)に言い換えなくたって皆普通にやっていることだとは思いますが、過渡状態(変則振動状態)に対する許容時間のオーダー感が示されたのは面白いですね。
で既に述べています(多少抽象的ですが)。
唯一目新しいのは、100ms以上の multiple slip が使われている実例の指摘ですね。

許容値 90ms というのは実験としてかなり機械的に発音した音に対する判断のように思えます。 ですからこの数値自体、絶対的な基準ではなく、音楽的文脈によってブレることは当然あるのでしょう( [41729]
[41729]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年10月24日 19:13
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:GBkzATQ)
撤退宣言したのですが、面白い新ネタが入ったので戻ってきました。
別項で catgut さんご紹介の2本です(筆者は同じ)。

Acceptance limits for the duration of pre-Helmholtz transients in bowed string attacks
ttp://lib.ioa.ac.cn/ScienceDB/JASA/JASA1997/PDFS/VOL_101/ISS_5/2903_1.PDF

The Bowed String
ttp://kth.diva-portal.org/smash/get/diva2:9153/FULLTEXT01

サッ眺めたところでは、

ヴァイオリンのアタックは3パターンに大別される:
(1)Multiple slip
(2)Perfect attack: 殆ど最初からヘルムホルツ運動が起こる
(3)Prolonged irregular period: 弓圧かけすぎの「ゴリッ」という音が聞こえる状態

当然(2)が標準ですが、音楽的な文脈に応じて(1)や(3)も使われる。
そして、(1)や(3)に対する許容値は、それぞれ90ミリ秒と50ミリ秒だった。(それ以上だと、弾き損じと感じる、ということのようです)。 これはG線開放弦について20人の上級弦楽器学習者やプロによるパネル(合議制?)で判定したとのこと。 音程が低くなるとこの許容値は大きくなる傾向にあるらしい(?)

ま、こんな物理用語(?)に言い換えなくたって皆普通にやっていることだとは思いますが、過渡状態(変則振動状態)に対する許容時間のオーダー感が示されたのは面白いですね。
で「オーダー感」と書いたのはそういう含みがあります)。

ちなみに、この演奏例はベートーベンのVn.協奏曲の第1楽章、第2主題(でいいのかな?)ゆったりした四分音符と二分音符が主体のところです。 四分音符の長さは0.6~0.7秒くらい。 これらの音符の約2割の頭に100ms強の multiple slip が入っている、ということですね。 但し、その2割が突出して 200ms や 300ms とは一寸考えにくいので、普通に音価の半分近くを multiple slip で弾くことの実例には多分なってないと思います。 ついでに言うと、同図によれば、同演奏におけるアタックの半分以上は「perfect」です。

ズルイと思われるかも知れませんが、小生は一般論を述べているのであって、例外は常に( [41729]
[41729]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年10月24日 19:13
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:GBkzATQ)
撤退宣言したのですが、面白い新ネタが入ったので戻ってきました。
別項で catgut さんご紹介の2本です(筆者は同じ)。

Acceptance limits for the duration of pre-Helmholtz transients in bowed string attacks
ttp://lib.ioa.ac.cn/ScienceDB/JASA/JASA1997/PDFS/VOL_101/ISS_5/2903_1.PDF

The Bowed String
ttp://kth.diva-portal.org/smash/get/diva2:9153/FULLTEXT01

サッ眺めたところでは、

ヴァイオリンのアタックは3パターンに大別される:
(1)Multiple slip
(2)Perfect attack: 殆ど最初からヘルムホルツ運動が起こる
(3)Prolonged irregular period: 弓圧かけすぎの「ゴリッ」という音が聞こえる状態

当然(2)が標準ですが、音楽的な文脈に応じて(1)や(3)も使われる。
そして、(1)や(3)に対する許容値は、それぞれ90ミリ秒と50ミリ秒だった。(それ以上だと、弾き損じと感じる、ということのようです)。 これはG線開放弦について20人の上級弦楽器学習者やプロによるパネル(合議制?)で判定したとのこと。 音程が低くなるとこの許容値は大きくなる傾向にあるらしい(?)

ま、こんな物理用語(?)に言い換えなくたって皆普通にやっていることだとは思いますが、過渡状態(変則振動状態)に対する許容時間のオーダー感が示されたのは面白いですね。
で書いたように)認めています。 上の100msのように「こんな例もあるよ」というご指摘は常に感謝歓迎します。
「言葉足らず」とのご指摘にも応えてきましたし([41692]
[41692]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年10月21日 15:52
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:IYhIMTc)
> セロ轢きのGosh さま、それはなぜでしょうか。

先ず、高次倍音の増加に寄与しない、という点:
典型的なヴァイオリンの音は鋸状波であり、個々の鋸歯の先端の鋭さは高次倍音の多さによります。
Multiple slipで歯の数が増えることは解りますが、歯の鋭さが増すメカニズムは思いつきません。

どちらかと言うと減るのではないか、という点:
ヘルムホルツ運動のモデルでは弦と弓毛の接触はslip or stick という二者択一(デジタル、不連続現象)ですが、これは、弓速が「(サウンディングポイントでの)弦の振幅×振動数」にぴったり一致したときの話。 人間というのは非常に優れたフィードバック制御系ですから、意識すればこれに近い状態ができると思いますが、弓速を上げたり弓圧を下げることでこの関係が崩れて、「slip←→stick」という不連続変化から「速いスリップ←→遅いスリップ」みたいな連続変化になって行きます。
(以下、些か禅問答になりますが) 鋸歯の頂点が鋭いということは微分不可能ということ、つまり、何か不連続な現象が関係していることを示唆します。 逆に言えば、連続な変化からの出力は微分可能な筈、即ち鋸歯の頂点が丸くなる、つまり高次倍音が減る、ということです。


念のため:
高次倍音が減るからダメと言うつもりはありません。
 仮説A-Multi-slipは音色の幅を広げる手段になりうる
 仮説B-ハイフェッツがそれに長けていた
に対して小生はニュートラル(今のところ有効な検証も反論もなされていない、という理解)です。
上記の推論もこの仮説の検証とは無関係です。
など)、的外れと思われる質問でもできるだけ答えてきました([41699]
[41699]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年10月22日 02:29
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:GBkzATQ)
[41695] catgut さん、

> 無視するわけにはいかないでしょう。

何故?
パールマンが何を言ったか知りませんが、小生の演奏を聴いてアドヴァイスしてくれた訳じゃなし、なんでそんな断片的な一言一言に振り回されにゃならんのか、理解できません。
(音色の持ち駒を増やすヒントにはなりますが、あくまでもヒントに過ぎません)

申し訳ないけどそもそも小生は「これがハイフェッツっ!!」って気合入れて聴いたこと無いので何が「凛とした音」なのか解りません。 基音が掠れて2倍・3倍振動が卓越した音が「凛とした音」と聞こえる、ということで皆さんの意見が一致するならそれで構いませんが、今のところ賛同者はいなさそうですね。 倍音構成だけを捕まえて音色を論じるのは、モノとしてのヴァイオリンが相手ならまだしも、音楽として演奏家が出す音を対象とする場合にはあまりにも断片的な見方ではないでしょうか?

実のところ小生にはどうでもいいことです。 一連の議論や文献を通じてヘルムホルツ運動について勉強できたのはには楽しかったですが、先の予想[41682]を書いた時点で小生の物理趣味の中ではこの議論は終わっています。
[41812]
[41812]

Re: 弓の速さを増すと、また圧力を減らすと倍音は増えるか?

投稿日時:2009年11月02日 12:00
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:IYhIMTc)
すみません、差し替えです。

[41809] catgut さん

> セロ轢きのGoshさま、
> 私はハイフェッツがことさら「速く、軽い弓」を意図的に使うことによって
> 「普通のヴァイオリニスト」よりslip音の割合が多いと考えているわけで
> す。セロ轢きのGoshさまはハイフェッツの「速く、軽い弓」でslip音が増え
> る可能性はないと思われますか?

本スレッドの趣旨から外れた話ですね。
また、小生の質問[41808] に対しても全く答えになっていません。
よって先の [41806] に於ける論文の解釈は間違いである、と理解します。

と言っている端から、またいい加減な引用をしていますね。[41810]
「この時間に”multiple-slip"する音が聴衆に好まれる」なんて何処にも書いてないでしょ?
玄人弦楽器弾きの一般論としては、 Helmholtz motion が確立するまでの時間は短ければ短いほど良い、とあります。 一般論ですから勿論例外はあります。 catgutさんがコピーした英文は、アタックで長めの multi-slip を意図的に使っているらしい「場合もある」ということの例を挙げているだけです。


> 可能性はないと思われますか?

小生の質問を無視しておいて別の質問を投げかけるのはunfairだと感じますが、一応答えておきます:
「可能性は否定しませんが、肯定する理由も見当たりません。」
前にも書きましたが、小生はハイフェッツの音など知りません。 また、「slip音」という新しい言葉を持出されても意味が解りません。

高次倍音に関しては小生の予想は検証されたと思いますし、スレ主のカルボナーレさんも終結宣言 [41807] を出されたことですから、もう止めましょう。 ハイフェッツの音の分析でもできたら別スレを起こして下さい。
など)。 何を以って「一面的に解釈」と言われるのか判りません。

小生の発言をきちんと理解した上で具体的に批判いただけるとありがたいです。
本気で議論するなら別スレッドでやりましょう。
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