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20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて | ヴァイオリン掲示板

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20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年09月26日 23:23
投稿者:catgut(ID:QhNBB4k)
20世紀前半の奏法といっても非常に漠然とした話ですが、レオポルド・アウアーやカール・フレッシュの弟子、指導書の影響力が大きかった20世紀前半の奏法と、ジュリアード出身者のソリストが増えた20世紀後半以降のヴァイオリン奏法では傾向の違いがあるように思われます。このスレッドでは、両者にどのような違いがあるか、あるとすればその原因がどこにあるかといった点について議論させて頂きたいと思います。
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【ご参考】
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年10月11日 23:48
投稿者:新顔の通りすがり(ID:FIMxcgk)
私はこの掲示板の昔を知らなかったのですが覗いてみました。
ttp://www.fstrings.com/board/index.asp?id=5074&page=1&sort=reply&t=2004
のんびりしていましたね。こういう雰囲気好きだなぁ。
大人のあつまりって感じですね。
「西暦2000年前記の掲示板と現在の掲示板の違いについて」
なーんちゃってね。
[41528]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年10月12日 00:21
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
カルボナーレさま、これもすでに紹介済みですが、我々がガラミアン系
と感じる音色(メタリックな鋭い音)について「私の演奏法」第一巻
(サミュエル・アプルバウム、セーダアプルバウム著、野田彰訳)に
ガラミアン自身による奏法の説明が出ていました。

(アプルバウム)
音の色合いに変化を与えるために、いろいろなタイプの弓の圧力を試
して見るべきだと思うが、どうだろう?
(ガラミアン)
彼は答えた。「もっとメタリックな鋭い音が欲しかったら、弓を持つ指を
僅かに固くしなければならない。そして、指でもっと弓を押さえなけれ
ばならない。このように更に弓身に圧を加えて弓を動かすと、望む
音が得られる。また別のそんなに鋭くないタイプの音が欲しかったら、
指で押えないで手首と腕で押えるのだ。もっと弦に沈み込む感じを
掴まなければならない。そうすると、もっと音に深みが出て、そんなに酷
くメタリックにならない。しかし一般的に言って、音が鈍く、充分メタリッ
クでなかったら、もっと指を固くして弓をしっかりと押さえると良い。」


新顔の通りすがりさま、1986年当時の「若い世代のヴァイオリニスト
たち」とはこんなところでしょうか。パールマンやアモイヤルにはロシア
奏法の影響も強いですね。

パールマン 41歳
クレーメル 39歳
デュメイ 37歳
アモイヤル 37歳
ムター 23歳
ツィンマーマン 21歳
[41529]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年10月12日 00:50
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
catgutさん
>ガラミアン)彼は答えた。「.. 以下省略
と、
>弟子の証言からも「耳元でガリガリ聞こえる」
>ような弾き方をガラミアンが推奨したのは明らかです
は、どのような関係があるのですか。

メタリックで鋭い音と、「耳元でガリガリ聞こえる」
ような弾き方、が、なぜ直接結びつけられるのですか。
アプルバウム氏の質問の対する、ガラミアン氏の答えは、ごく当たり前の回答で、プロのソリストでなくとも演奏者が普通に行い身体が覚えていることを、言葉で説明しただけのものです。映像を見る限り、ハイフェッツも含むガラミアンより前の世代も当然のように行っています。
また、人差し指を深めに引っかけ弓を立てて効果的に圧力をかける、ロシア派のもっとも基本的な奏法にも思えます。
[41531]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年10月12日 09:42
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
カルボナーレさま、
これも既出ですが、分散していたのでソースを以下にまとめましょう。
ナイロン弦が普及した現代とは違って、弦に圧力をかける奏法はかつて
本当に「悪い」と考えられていました。ガラミアンのような指導は異色だっ
たのです。

カール・フレッシュの弟子であるイダ・ヘンデルの実演は「弓で弦を撫で、
引っ掛けて弾く」という印象を強く受けるものです。圧力より速度で音
量と音色をコントロールしているためです。非常に柔らかで音色の変化
が大きく聞こえます。


カール・フレッシュ ヴァイオリン演奏の技法 上巻P126より
-----
さて、同じ強さの音は、次の二種類の方法で出すことができると思われ
ている。即ち弓を少く使い駒の近くで圧力を加える。弓を大きく使い駒か
ら離れたところで弱い圧力を加える。弓を大きく使えという教えは、フラ
ンス・ベルギー式及びロシア式運弓法の核心を成すものであるが、この
教えは、要するに最も健康な最も認められた原則の一つであることに間
違いはない。だから、弓を少く使って、弓に強い圧力を加えて強音を出す
ことは、普通はやらない方がよい。例外としてはどうにも出来ない内的の欲求による場合と、器具が役に立たず信頼性に欠ける場合である。
(上巻P126,一部略)


(ガット弦が湿度でおかしくなった場合に限り)弓にアクセントを付け、
弓をより少く使って、圧力を強く加え、軽い運弓や跳弓を避け、特に弓
を大きく使って小さい音を出す場合のように、弦との皮相的な接触を
絶対に避ける。跳弓法の代わりに小さなデターシェを用いる。これは言
うまでもなく立派なヴァイオリン演奏の原則に悖(もと)る全く変わった
奏法である。それ故、本来は大きな弊害を小さな弊害で代用すること、
即ちヒュッと鳴る雑音の代りに、価値の劣る音の出し方をするというこ
とにすぎない。(上巻P120)
-----

アウアー ヴァイオリン奏法 Violin Playing as I teach it)
-----
弓は軽く持つ。しかし、楽に動かすことができる程度にしっかりと持つ。
特に弓を弦に押しつけて大きな音を出そうとしてはいけない。これこそ
技巧というもので、努力と経験によってのみのばすことができる。
-----

マーテンスの「弦楽技法」より、フランシス・マクミラン(アウアーの弟子)
へのインタビュー
-----
過去の大バイオリニストの多くはffを奏する時に、弓を駒の所に置く
代りに、指板の近くにおいて奏きました(中略)。弓の圧力によってバ
イオリンの音を無理に出すことは、求めんとする効果を常に台なしにす
るものであります。
-----
[41532]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年10月12日 10:05
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
すでに書いた通りですが、圧力の多用はヨーロッパでは全般的にアメ
リカほどではなく、ヨーロッパの流派が先に入った日本でも、圧力より
も速度を重視した奏法を重視する方がいまでも少なからずいらっしゃる
と認識しています。またカルボナーレさまご指摘の通り、ヴァイオリンを
打楽器的に使う曲では、明らかに「アメリカ奏法」のほうが効果的
でしょう。

ただ、若手でソロをやるような方には、最近は「アメリカ奏法」の方が
目立つように感じます。
[41535]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年10月12日 12:53
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)

[41531]
[41531]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年10月12日 09:42
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
カルボナーレさま、
これも既出ですが、分散していたのでソースを以下にまとめましょう。
ナイロン弦が普及した現代とは違って、弦に圧力をかける奏法はかつて
本当に「悪い」と考えられていました。ガラミアンのような指導は異色だっ
たのです。

カール・フレッシュの弟子であるイダ・ヘンデルの実演は「弓で弦を撫で、
引っ掛けて弾く」という印象を強く受けるものです。圧力より速度で音
量と音色をコントロールしているためです。非常に柔らかで音色の変化
が大きく聞こえます。


カール・フレッシュ ヴァイオリン演奏の技法 上巻P126より
-----
さて、同じ強さの音は、次の二種類の方法で出すことができると思われ
ている。即ち弓を少く使い駒の近くで圧力を加える。弓を大きく使い駒か
ら離れたところで弱い圧力を加える。弓を大きく使えという教えは、フラ
ンス・ベルギー式及びロシア式運弓法の核心を成すものであるが、この
教えは、要するに最も健康な最も認められた原則の一つであることに間
違いはない。だから、弓を少く使って、弓に強い圧力を加えて強音を出す
ことは、普通はやらない方がよい。例外としてはどうにも出来ない内的の欲求による場合と、器具が役に立たず信頼性に欠ける場合である。
(上巻P126,一部略)


(ガット弦が湿度でおかしくなった場合に限り)弓にアクセントを付け、
弓をより少く使って、圧力を強く加え、軽い運弓や跳弓を避け、特に弓
を大きく使って小さい音を出す場合のように、弦との皮相的な接触を
絶対に避ける。跳弓法の代わりに小さなデターシェを用いる。これは言
うまでもなく立派なヴァイオリン演奏の原則に悖(もと)る全く変わった
奏法である。それ故、本来は大きな弊害を小さな弊害で代用すること、
即ちヒュッと鳴る雑音の代りに、価値の劣る音の出し方をするというこ
とにすぎない。(上巻P120)
-----

アウアー ヴァイオリン奏法 Violin Playing as I teach it)
-----
弓は軽く持つ。しかし、楽に動かすことができる程度にしっかりと持つ。
特に弓を弦に押しつけて大きな音を出そうとしてはいけない。これこそ
技巧というもので、努力と経験によってのみのばすことができる。
-----

マーテンスの「弦楽技法」より、フランシス・マクミラン(アウアーの弟子)
へのインタビュー
-----
過去の大バイオリニストの多くはffを奏する時に、弓を駒の所に置く
代りに、指板の近くにおいて奏きました(中略)。弓の圧力によってバ
イオリンの音を無理に出すことは、求めんとする効果を常に台なしにす
るものであります。
-----
にコメントします。

>カール・フレッシュの弟子であるイダ・ヘンデルの実演は「弓で弦を撫で、引っ掛けて弾く」という印象を強く受けるものです。

80歳のイダ・ヘンデルはそうかもしれませんが、全盛期後半50代のイダ・ヘンデルはそうではありません。紹介した映像をぜひ素直にご覧ください。

>弓を少く使って、弓に強い圧力を加えて強音を出す
ことは、普通はやらない方がよい。

素直に見ると、”弓を少なく使った”場合に限定しているので、多めまたは普通の使い方をする分には、”やらない方がよい”には該当しない。

>弓にアクセントを付け、弓をより少く使って、圧力を強く加え、

>弦との皮相的な接触を絶対に避ける。跳弓法の代わりに小さなデターシェを用いる

緊急避難的に、跳ばしを短くしっかり弾く例が、何か本題と関係するのでしょうか。跳ばしや速い弓で軽く弾くべき箇所を、特に理由なく。短く押さえつけて弾こうと思う奏者は普通いません。

>弓は軽く持つ。しかし、楽に動かすことができる程度にしっかりと持つ。

これは当たり前のこと。

>特に弓を弦に押しつけて大きな音を出そうとしてはいけない。

これは、原文は提示されていましたっけ。申し訳ありませんが、再度原文を提示ください。
”弓を弦に押しつけて”に”弓を弦に無理に押しつけて”の意図が入っているかを知りたいのです。圧力をかけなければ、スカスカの音なので、結局は程度問題ですので、その”程度”をどのように具体的に示しているか、明確にしたい。

>過去の大バイオリニストの多くは

具体的には誰ですか?

>弓の圧力によってバイオリンの音を無理に出すこと


これも”無理に”という表現が入っています。”無理に”に含まれない圧力を否定しているものではありません。どこまで許容範囲として受け止めるかの話です。
ヴァイオリンを弾き始めたばかりの子供の、いわゆるのこぎり音は、確かに”無理に”に含まれるものだと思います。
[41536]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年10月12日 17:24
投稿者:新顔の通りすがり(ID:FIMxcgk)
>>>>新顔の通りすがりさま、1986年当時の「若い世代のヴァイオリニスト
たち」とはこんなところでしょうか。パールマンやアモイヤルにはロシア
奏法の影響も強いですね。
----
あのー。それで、イダさんは間違ってるの?正しいの?
話題そらさないでください。

パールマンがロシア奏法という立証は出来ていないでしょう。
あなたがそう主張しただけです。

ところで、
catgut学説では フレッシュとアウアーを近いものと見るのでしたね。
(間違ってますか?)
---
41264 catgut氏
>>>>>>レオポルド・アウアーやカール・フレッシュの弟子、指導書の影響力が大きかった20世紀前半の奏法
-----
アルバート・マルコフはヤンケレヴィッチ門下でアメリカに移住した人です。
エリザベートの優勝者ですね。
ロシア奏法の対立概念としてドイツの奏法があり、その代表はフレッシュだという立場です。
ロシア派は楽器の扱いに長け、直感的。ドイツ派は感じる前に考える。
音楽の様式理解はドイツが勝る。ロマン性はロシアが勝る。
マルコフさんは自分が二つを結びつけて「アメリカ派」を作るといっているそうです。面白い意見です。ロシア人のひとつの感覚でしょう。
[41538]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年10月12日 20:27
投稿者:新顔の通りすがり(ID:FIMxcgk)
付け加えます
catgut氏は1986年の若手を数え上げていらっしゃるお積りらしい。
実は随分おじさんたちですね(爆)。
1986は確かMidoriさんがもう演奏していたころです。
アモイヤルやパールマンが華々しく出てきたのは1970年代、それも前半だったでしょう。少し前の記憶ですが、実家に古ーい変色した「レコード芸術」だか「音楽之友」だかがあって1973とか75年くらいの日付で『ヴァイオリンの復権』なんたらって記事があった。アモイヤル、カントロフ、ズーカーマン、パールマン、それとユージン・フォドア(この人消えちゃいましたか?)が並んでました。まだクレーメルは出て来るか来ないか位の時期です。
[41540]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年10月12日 22:52
投稿者:新顔の通りすがり(ID:FIMxcgk)
Idaさんはフレッシュ門下の優等生だから、マルコフによればドイツ派だってのは置いておいて、下記のイダ・ヘンデルの主張は誤りだ、とcatgut氏は思いますか?
-----
イダ・ヘンデルは『近代のヴァイオリン演奏は過去の巨人たちとはスタイルの点で大きく異なる』という意見に必ずしも同調せず、若い世代のヴァイオリニストたちの演奏は左程根底的には変化していない、と考えている。
[41545]

Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年10月13日 14:13
投稿者:新顔の通りすがり(ID:FUUXInk)
catgut学説はいろいろ枝葉の要素が混じりこんでいます。
斜線運弓うんぬんとか。
その枝葉は立証不可(再現性が無い、数値化できない類)であることが多い。話を単純にする為、下記の3点のみに絞ったらいかがでしょう。
catgutさん、下記(1)(2)(3)は不正確ですか?
「音程が個性的」だの、「歌うように弾く」だのは後日論じればよい。
----
(1)ロシア風グリップとそうでないグリップは圧力の違いを生む。
(2)20世紀前半はロシア風グリップで低弓圧が支配的。
(3)後半はガラミアンの影響で高圧力が増大した。
----
まず(1)はあくまで教科書的なとらえ方です。
教科書的に述べるなら
「フランコ・ベルギーは弓を強く張る」。「ロシアは張らない立場」。
(実際のロシア的演奏家は結構弓を強く張るのですよ)
だから図式的にはロシア式なら弓圧は少なめ。
{教科書的}、というのはロシアングリップでも弓圧を高めることは可能だからです。駒の近くなら可能です。実際高めています。
うんと弓圧を掛けて弓毛も強く張るロシアン・グリップ奏者はいくらでも存在します。生でそういう人を相当数私は見ました。レッスンを受けたことも複数ありました。

(2)はロシアングリップが普及しない諸派ではそもそもナンセンス。
もし(2)でなく、
(2a)修正動議:『プレーンガット時代は国籍民族を問わず弓圧が低かった』
という主張でしたら、議論になります。これは今日であっても実験で確認できる話だからです。
(3)は (2a)を立てれば自動的に(3a)という修正動議になります。
(3a)修正動議:ガラミアンでなくとも金属巻きガットやシンセティック弦なら低弓圧も高弓圧も自由に掛けることができるというのが実験的に立証できる(プレーンガットと比較しての話)可能性がある。あくまで実験したらの話ですがね。
そして、その実験は誰にでも再現できる。おまけに(2a)(3a)両方の実験を兼ねている。
====
ところで(2a)(3a)OKなら、演奏様式とは無関係な工学的レベルの話題に近づきますね。こういう議論はcatgut氏はお嫌いですか。
ただし(2a)(3a)が正しいとしたときも「価値判断」をやると駄目ですよ。
シンセティック弦は圧力がかけられるからそもそも駄目だ、ってのは無理です。シンセティック弦によって表現の幅は広がったと立証されたにすぎないからです。演奏の良しあしは別次元の話題です。
ジャニーヌやサラが「豪快」かどうか、ってのは価値観をはらみますからダメでしょ。工学的話題と音楽哲学はまぜこぜにしちゃなりませんぜ。
catgut氏いかが??

個人的に(2a)(3a)はオリーブとシンセティックの両体験からあるていど感じます。オイドクサも昔つかいました。オイドクソv.s.シンセティックならもっとそうかもしれない。諸賢いかがですか?
わたくしはこのところ毎日のように弾いているのでプレーンガットを張る状況にはありませんが、あくまで考え方の提案をしています。
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