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ヴェニス・カトリン(キャットライン)が凄い! | ヴァイオリン掲示板

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ヴェニス・カトリン(キャットライン)が凄い!

投稿日時:2008年12月29日 21:34
投稿者:腸弦(ID:cSQ0QA)
 ガット弦をこよなく愛する腸弦です。TORO社のヴェニス・カトリン(ロープ状のガット弦)のD・G線を試してみましたのでレポートしたいと思います。このスレッドでは、裸のガット弦の一種であるヴェニス・カトリンに的を絞ってレポートしたいと思います。

 私が試したヴェニス・カトリンのゲージは、D線が1.22mm、G線が1.84mmで、どちらも銀巻きの無い裸のガット弦で、3回ニスコーティングが施された3×Vです。

 通常のハイツイストの裸ガットのD・G線も、ピッチが安定するまでの時間が短くて重宝してますが、ヴェニス・カトリンのD・G線はそれを上回る早さでピッチが安定してくれます。

 夜に弦を張替えして、翌日朝にヴァイオリンケースを開けてみると、たいてい、半音~全音ぐらいピッチが下がるのが通例ですが、今回は1/4音~半音ぐらいしかピッチが下がりませんでした。

 弦を張っている最中は、ヴェニス・カトリンの方が、ペグを回す(ピッチを上げていく)たびにどんどん伸びていく(ピッチが下がっていく)、という感じで伸びが大きいのですが、このように初期の伸びが大きい分、ピッチが安定するのが早いのだと思います。

 オリーヴのような通常のガット弦はもちろんのこと、最近のハイテク・ナイロン弦よりも、TOROのヴェニス・カトリンは早くピッチが安定すると言っても良いのではないかと思います。


 弦を張り替えた直後は、弦が伸びてピッチが下がってくるので頻繁に調弦し直します。このとき、駒が指板側におじぎする(傾いてくる)現象が起きますが、ヴェニス・カトリンでは、その現象が非常に小さいです。弦の表面がハイツイストの弦よりも凸凹しているので、駒の溝に弦がひっかかって、駒を指板側におじぎさせてしまうのではないかと懸念してましたが、全く問題ありません。

 ヴェニス・カトリンは弦の初期の伸びが大きいものの、その後の弦の伸びが小さいことと、弦の表面の凸凹が非常に滑らかで弦そのものが柔軟なことから、駒を指板側におじぎさせようとする力が小さいのだと思われます。

 駒が少しでも指板側におじぎすると、音に悪影響がありますし、駒そのものの曲がりや歪みなどを引き起こすので、ヴェニス・カトリンのこうした特性は高く評価できると思います。



 ヴェニス・カトリンは、弦そのものが非常に柔らかいせいか、左手の指で押さえたとき、あるいは、右手で弓圧をかけたとき、弦のテンションが少し低く感じられます。結果的に、左手で弦を押さえるのも右手のボウイングも楽になります。

 ハイツイストのD・G線は、ゲージが太くなるにつれて、弦がかなり硬くなってしまう(弦の感触がゴツゴツしてしまう)ため、レスポンスが鈍くなったり、ときおり音が詰まり気味になることがありましたが、ヴェニス・カトリンは太くても非常に柔軟なので、レスポンスが俊敏で、手応えがより自然な感じです。


 弦をはじいたとき、あるいは弦を弓で弾いたときの残響(サステイン)は、ヴェニス・カトリンの方が、ハイツイストよりも長いです。D・G線の残響に関しては、

銀巻きの弦(オリーヴやドミナントなど)(残響100)>ヴェニス・カトリン(残響80~90)>ハイツイスト(残響50~60)

 という式が成り立つと思います。(数値は、あくまでも私の主観的な実感を数値化したものですので、参考程度にしていただけたらと思います)

 これは、弓で3重、4重の和音を弾くとき、あるいは、ピチカートをはじくときは、弦の残響が適度に長い方が弾き易いですし、残響が適度に長いと和音に厚みが出るので、弦そのものの残響は結構大事な要素です。

 ヴェニス・カトリンは、オリーヴやドミナントに比べると若干残響が短いですが、むしろ、少し短いことはメリットというか、ヴェニス・カトリンの残響の方が、むしろ、残響が長過ぎなくてちょうど良いと言えるのではないかと思います。

 弦そのものの残響が長すぎると、スタカートやスピカートでの音の分離が悪くなりますので、ヴェニス・カトリンの適度な残響は、操作性の点で有利なのではないかと思います。


 ヴェニス・カトリンの音色についてですが、良く言われるようなザックリした音という感じは全くなくて、むしろ、ハイツイストの弦にありがちな「甲高さ」を抑制したような、むしろおとなしい感じがします。これは、私が試したのが、3×Vのヴェニス・カトリンであることが影響しているのかも知れません。(他の方は、みな、ナチュラルのヴェニス・カトリンを試されたのではないでしょうか?)

 私の場合は、3×Vのヴァーニッシュ加工の影響で、弦の表面がより滑らかに感じられたり、音がマイルドに感じられたりしているのかも知れません。


 ヴェニス・カトリンは、音響的に優れているだけでなく、太さのデメリットをとても小さくしてくれるので、D・G線の裸ガット化に興味のある人が、チャレンジし易くなるのではないかと思います。


 耐久性については、しばらく弾いてみないとわかりませんが、D・G線に関しては、テニスのガットやヴァイオリンのガット弦でのロープ・コアは耐久性に優れる構造であると言われていますし、ヴェニス・カトリンは弦そのものが非常に柔軟でしなやかであり、弦の特定の箇所に負荷が集中する可能性は低いと思われますので、ハイツイストの弦と同様に長持ちしてくれるのではないかと予想しています。

 それでは、また。
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【ご参考】
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Re: ヴェニス・カトリン(キャットライン)が凄い!

投稿日時:2009年10月10日 15:28
投稿者:腸弦(ID:cSQ0QA)
ナイロン弦を張っている人の中には、上駒のところでの弦高をE<A=D=Gとする調整を好む人も居ますが、ガット弦を張る際には、各弦の振幅の大きさの違いを考慮して、E<A<D<Gとするのが好ましいと、自分は思っており、自分のヴァイオリンもそのように調整してもらっています。

上駒のすぐそばのところでの弦高(げんだか)についてですが、自分の楽器では、E:0.20ミリ程度、A:0.22ミリ程度、D:0.25ミリ程度、G:0.28ミリ程度にしています。通常の官製ハガキの厚みが0.22ミリであり、名刺カードには0.25ミリや0.28ミリの厚みのものがあるので、それを基準にして、弦高を微調整してもらいました。

現在の組み合わせは、A:0.74ミリ、D:1.06ミリ、G:1.52ミリで、全て3×Vのヴェニス・カトリンです。次はD・G線はもう少し細くして、A線はもう少し太くしようと思います。さすがにA線は0.74ミリまで細くすると、若干パワー不足な感じがします。

それでは、ごきげんよう。
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Re: ヴェニス・カトリン(キャットライン)が凄い!

投稿日時:2009年10月10日 20:53
投稿者:腸弦(ID:cSQ0QA)
プレーンガット弦を作る工程が見られる動画をご紹介します。生ガット弦に関心のある方にとっては、とても興味深い映像だと思います。
ttp://www.youtube.com/watch?v=k1aYaHEl9Rg
それでは、ごきげんよう。
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Re: ヴェニス・カトリン(キャットライン)が凄い!

投稿日時:2009年11月07日 00:02
投稿者:腸弦(ID:GWRZKUA)
今回は、A:0.76ミリ、D:1.04ミリ、G:1.48ミリのヴェニス・カトリン(3×V)を張りました。

今回は前回よりもA線は少しだけ太く、D・G線は少しだけ細くしましたが、音量については、オリーヴの標準的なゲージの組み合わせと同等の音量が出ており、十分に満足できる音量です。

D・G線は、少し細くなったことによって、弦が押さえ易くなりましたし、レスポンスが良くなったので、弾き易さが向上しました。D・G線に関しては、もう少し細いゲージを試す価値があると思います。

D・G線は、もっと太かったとき(太過ぎたとき)は、やや輪郭のはっきりしないボーッとした音が出ていまいたが、徐々に細くするにつれて、銀巻きのガット弦のようなZ音の効いた音、より輪郭のはっきりした音、より芯のある音、が出るようになってきました。

G線は今回1.48ミリと、ようやく1.50ミリを下回るところまで来ましたが、これくらいの太さであれば、(最初のうちは多少違和感はあるかと思いますが)G線のプレーンガット化が、多くの方にとって実用可能と思っていただけるのではないかと思います。

もちろん、見た目は明らかに太いのですが、押さえたときの感触はGOODで、慣れればそれほど太さを感じないと思います。

今回も自分にとってのベストゲージに、また一歩近づくことができました。

それでは、ごきげんよう。
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Re: ヴェニス・カトリン(キャットライン)が凄い!

投稿日時:2009年11月22日 01:17
投稿者:腸弦(ID:GWRZKUA)
ヴァーニッシュ加工されたプレーンガット弦の表面はツルツルしており、そのお陰で、弦を押さえる左手の指の滑りが良くて弾き易いですし、弦に松脂がこびりつかなくて良い、という面もあります。

しかしながら、このツルツルが不利に働くことがあります。それは、弦を張り替える際に、弦をペグの穴に通して弦を巻いていったときに、ときおり、ペグの穴に入った部分の弦が少しだけ滑って緩むことがあります。

きちんとした正しい弦の巻き方をしていれば、この緩みを最小限に留めることができますが、弦の先端にカラーの糸が巻かれている通常の弦(ドミナントやオリーヴなど)に比べると、ほんの少しですが、弦が滑って緩むことがあることは否定できません。

もちろん、弦が抜けるということはありませんが、こうした緩みは、弦の伸びを少しでも早く落ち着かせるという点で不利になりますので、ペグの穴の中でのヴァーニッシュ・ガット弦の滑りや緩みをなんとか防ぎたいところです。

そこで、非常に有効な方法をお知らせいたします。

それは、ペグの弦が通る穴に「松脂の粉を塗りつける」という方法です。これは、特にE線やA線のペグの弦が通る穴に施すと、非常に効果があります。

自分は、A・D・G線に3×Vのヴェニス・カトリン(ロープ編みのプレーンガット弦)を張っていますが、ペグの弦が通る穴に、松脂の粉を塗ることによって、ペグの穴の中での弦の滑りを限りなくゼロに近づけることができました。

これにより、調弦し易い位置にペグが止まるように調整するのが簡単になりましたし、弦を張り替えた後に弦のピッチが落ち着くまでの時間を、さらに短縮できるようになりました。

松脂は、サラサラ系のものよりは、しっとり系(ベトベト系)のものを使うと良いと思います。松脂の表面を紙ヤスリでこすって、キッチンペーパーなどをよじって作った「こより」に松脂の粉を塗りつけて、それをペグの弦が通る穴になすりつければ作業終了です。

これはかなり効果がありますので、ヴァーニッシュ加工されたプレーンガット弦をお使いの方は、ぜひ試してみて下さい。

自分はアルミ巻きスチールのE線(オイドクサのアルミ巻きE線)を使ってますが、E線のペグの弦が通る穴にも松脂の粉を塗りましたが、滑り・緩みを完全に除去することができました。

それでは、ごきげんよう。
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Re: ヴェニス・カトリン(キャットライン)が凄い!

投稿日時:2009年12月04日 23:17
投稿者:腸弦(ID:GWRZKUA)
今回は、A:0.78ミリ、D:1.05ミリ、G:1.46ミリのヴェニス・カトリン(3×V)を張りました。

今回は前回よりもA線とD線は少しだけ太く、G線は少しだけ細くしましたが、音量については、オリーヴの標準的なゲージの組み合わせと同等の音量が出ており、全体的に十分に満足できる音量です。

G線を細くしても音量が痩せないので、まだ細くできる余地があると思います。1.80ミリのG線を張っていた頃に比べると、1.46ミリのG線は、かなり弾き易くなりましたし、これくらいの太さであれば、A線とD線にプレーンガット弦を張っている人にとっては、あまり違和感は無いだろうと思います。

A線とD線は、もう少し太い方が、かつて愛用していたオリーヴの標準ゲージのテンションやフィーリングに近くなるように思うので、次回はあと少しだけ太くしようと思います。

一方、G線は、まだ細くできる余地があると思いますし、今のところ、細くすればするほど、音色も弾き易さも向上しているので、どこまで細くできるか試してみようと思います。

ヴァイオリンのG線についても、プレーンガット化して、十分に満足できる音と弾き心地が得られる目処が立ったので、非常に嬉しく思っています。

金属の巻き線のある一般的なヴァイオリン弦だと、3~5年に1回は指板の凸凹を除去するために、工房で「指板削り」をしてもらう必要がありますが、金属の巻き線の無いプレーンガット弦を張った場合は、10年以上、指板削りをする必要が無いのではないかと思います。そういう意味でも、プレーンガット弦は、楽器に優しい弦だな~と思います。
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Re: ヴェニス・カトリン(キャットライン)が凄い!

投稿日時:2010年01月01日 01:25
投稿者:腸弦(ID:GWRZKUA)
今回は、A:0.80ミリ、D:1.06ミリ、G:1.44ミリのヴェニス・カトリン(3×V)を張りました。今回は前回よりもA線とD線は少しだけ太く、G線は少しだけ細くしました。

アルミ巻きスチールのE線(オイドクサ)を含めた4本の弦の音量バランスが改善されて、より弾き易くなりました。

今回は、かなり理想的な状態に近づいたように思いますが、G線を細くしても音量が痩せませんでしたので、あともう少し細くできる余地があると思います。

前回よりもG線は0.02ミリ細くなっただけですが、その程度の差でも、ハイポジションがより弾き易くなりましたし、フラジョレットの音も出し易くなりました。

松脂は、これまではメロスロージンの「ライト」を使ってましたが、A線とD線を少し太くしたところ、弓毛の噛み付きが多少弱く感じられ、また、弓速を速くしたときに、時折、弓毛がスリップするようにも感じられたため、メロスロージンの「ダーク」を塗ったところ、しっかりと弓毛が噛み付いて、ハッキリと発音できるようになりました。

A線が0.76ミリ、D線が1.04ミリといった細めのゲージだったときは、「ダーク」だと噛み付きが強過ぎて、音が詰まり気味になることがありましたので、「ライト」を塗ってました。

一方、弦を太くしてテンションが上がると、今度は「ライト」だと噛み付きが足りなくて、毛がスリップして音がかすれたりするので、より噛み付きの良い「ダーク」が合います。

このように、プレーンガット弦においては、ゲージ(弦の太さ)によって、弦の特性が明確に変化しますので、それに応じて、より適切な松脂を選択することが大事になります。

適切な松脂を選ぶことによって、金属の巻き線の無いプレーンガット弦からも、ナイロン弦並みのパワフルな音量を引き出すことが可能となります。

それでは、ごきげんよう。
[42181]

Re: ヴェニス・カトリン(キャットライン)が凄い!

投稿日時:2010年01月13日 00:38
投稿者:腸弦(ID:GWRZKUA)
今回張ったヴェニス・カトリン(3×V)は、A:0.80ミリ、D:1.08ミリ、G:1.42ミリという組み合わせです。A線は前回と同じゲージ、D線はちょっとだけ太いゲージ、G線はちょっとだけ細いゲージです。

アルミ巻きスチールのE線(オイドクサ)を含めた4本の弦の音量バランスが改善されて、より弾き易くなりました。

今回は、前回よりもさらに理想的な状態に近づいたように思いますが、D線のゲージをほんの少し太くしたことが功を奏したのか、G線を細くしても音量が痩せませんでしたので、G線は、あとほんの少しだけ細くできる余地があるのではないかと思います。

1.42ミリのゲージですと、テールピースと接する部分の弦をペンチでつぶしたりせずに、そのままプレーンガットのG線を張ることができます。自分の楽器では、1.44ミリあたりから、そのまま張れるようになりました。

今のところ、G線を徐々に細くしていっても、音量が痩せませんし、むしろ、レスポンス・弾き易さ・押さえ易さが向上するといったメリットが感じられますし、プレーンガットのG線に関しては、ゲージを細くした方が、かえってエッヂの効いた張りのある音が出るので、D線のゲージとのバランスを含めて、どういった組み合わせが最適であるのか自分なりに追求してみようと思います。

1.60ミリとか1.70ミリのプレーンガットのG線を張っていた頃に比べると、1.42ミリのプレーンガットのG線は、全然太いとは思いませんし、弾き易く感じられます。G線のプレーンガット化を目標にいろいろと試行錯誤してきましたが、ゴール(理想)まであともう少しというところまで来ることができました。

それでは、ごきげんよう。
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Re: ヴェニス・カトリン(キャットライン)が凄い!

投稿日時:2010年03月13日 20:27
投稿者:腸弦(ID:OCODgVA)
今回張ったヴェニス・カトリン(3×V)は、A:0.82ミリ、D:1.10ミリ、G:1.40ミリという組み合わせです。A線は前回よりもちょっとだけ太いゲージ、D線も前回よりもちょっとだけ太いゲージ、G線だけは前回よりもちょっとだけ細いゲージです。E線は従来どおりオイドクサのアルミ巻きE線です。

今回の組み合わせは、前回よりもさらに理想的な状態に近づいたように思います。A線とD線のゲージをほんの少し太くしたことが功を奏したようで、G線を細くしても音量が痩せませんでした。

G線については、もう少し細くできれば、さらに弾き易さやレスポンスが向上すると思うので、次はいよいよ1.40ミリよりも細いゲージにチャレンジしたいと思います。

バロックヴァイオリンではない普通の(現代の、モダンの)ヴァイオリンで、A線やD線だけでなく、G線をも「金属の巻き線の無いプレーンガット」化するという試みは、自分のヴァイオリンでは、とても良い結果が得られています。

指が細く手が小さい人だと、プレーンガットのG線の太さに違和感を感じるかも知れませんが、指が太く手が大きい人であれば、ある程度弾き込めば、違和感は解消すると思います。

それでは、ごきげんよう。
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Re: ヴェニス・カトリン(キャットライン)が凄い!

投稿日時:2010年03月13日 21:03
投稿者:……(ID:dEASQxA)
おひさ~
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Re: ヴェニス・カトリン(キャットライン)が凄い!

投稿日時:2010年03月14日 00:24
投稿者:腸弦(ID:OCODgVA)
pochiさんへ

>弦の太さを大きく変える時には、上駒と駒の溝の大きさを変える必要があります。

一般論としては、たしかにその通りであり、異論ありません。しかしながら、TOROのプレーンガット弦は非常に柔軟ですので、溝の幅や深さが、弦の太さに対して不足している(狭い、浅い)場合でも、弦の側がある程度「適応」してくれます。これは、金属の巻き線の弦とは大きく違う点でプレーンガットならではの特徴です。

あと、プレーンガット弦は、弦を張った直後の伸び(初期の伸び)が大きいため、弦を張る前に比べて、弦を張った状態(テンションがかかった状態)では、弦が多少細くなります。

0.82ミリのプレーンガットのA線は、弦を張る前の状態では、明らかにオリーヴやドミナントよりも太いですが、A=440~442Hzのピッチで演奏できる状態に張ってやると、オリーヴやドミナント(0.70ミリ程度)よりも少々太い程度まで細くなります。

こうしたプレーンガット弦の特徴は、実際にプレーンガット弦を張ったことのある方であれば、ご理解いただけると思います。

たしかに、プレーンガットのG線は、現在自分が張っているものは1.40ミリということで、一般的な金属巻き線のついたG線(0.80ミリ程度)に比べると、かなり太いですが、上駒や駒の溝を広げたり深くしたりしなくても、弦を張ることは可能です。

もちろん、より良い音が出るようにするには、上駒や駒の溝を弦の太さに併せた方が良いのは当然ですが、自分は、G線のプレーンガット化が成功しなかった場合に、金属巻き線のある通常のG線に戻せるように、上駒と駒の溝は、基本的にそのままにしてあります。


>また、弦の張力を変えると楽器の鳴り方が変わります。

たしかにその通りであり、異論ありません。自分は、これまでに、細いものから太いものまで、様々なゲージのプレーンガット弦を試してきましたが、一定のゲージの範囲であれば、太ければ太いほど音量(パワー)が増す、ということを実感しています。

ただ、太くなり過ぎると、レスポンスが低下したり、音が詰まってしまって、かえって音量が低下する場合があります。また、ある程度以上にゲージが太くなると、音の輪郭があいまいになって、音のクリアさや音の明るさが失われる傾向があるように思います。

逆に細くなり過ぎると、音量が痩せたり、音が裏返りやすくなったりします。ゲージが細くなると、音がクリアになり音が明るくなりますが、一定以上にゲージが細くなると、弦の反応が神経質になり、音色もギスギスした神経質な感じになってきます。

自分は、各弦、0.01~0.02ミリ刻みで色々なゲージの組み合わせを試してきたので、上記のようなことを、単なる一般論としてではなく、実際に体験しながら学んできました。

ヴァイオリンにおけるG線のプレーンガット化については、誰にでもお薦めできるというものではありませんが、A線・D線については、60年ほど前までは一般的であったわけですから、試してみる価値はあると思います。


なお、自分は、何百人というような多くの人の前ではありませんが、公開の場で何度もヴァイオリンを演奏してますので、ヴァイオリンが弾けないということはありません。自分のことなので、上手いかどうかについてはコメントしませんが、人前では、いつも「心を込めて」演奏しています。

それでは、ごきげんよう。
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