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Stradの2008年版カレンダーについて | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 25 Comments
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Stradの2008年版カレンダーについて

投稿日時:2007年12月01日 22:03
投稿者:ブルーベリー(ID:MlBRJJg)
ストラッド誌の2008年版カレンダーが出ましたね。みなさんご覧になられましたでしょうか?
ttp://www.violinsupply.co.jp/Link/items/calendar/StradCalendar2008.html
このカレンダーを見て面白いことに気付きました。
1:イリヤ・グリンゴルツが使っているフランチェスコ・ルジェーリについて
D・G線にはオリーヴが張られてますが、A線には、なんと!裸のガット弦が張られています。古楽の人ならいざ知らず、モダン(現代の普通の)ヴァイオリンを弾く人でいまどき裸のガット弦を張っているとは驚きました。まして、グリンゴルツのような世界的なソリストがそういうことをしているということでかなり驚いています。
そう言えば、グリンゴルツは、1723年製のストラディヴァリウス(それ以前にはヴェンゲーロフに貸与されていたこともある名器)を貸与されていましたが、ルジェーリを使用しているということは、今はもう貸与されてないのでしょうか?
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【ご参考】
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Re: Stradの2008年版カレンダーについて

投稿日時:2007年12月03日 08:47
投稿者:pochi(ID:OVMFIBc)
カレンダーとは関係ないのですが、
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Re: Stradの2008年版カレンダーについて

投稿日時:2007年12月02日 19:10
投稿者:catgut(ID:QWJUOZg)
以下ガット弦に関する薀蓄です。

ストラディヴァリの時代の調弦は佐々木庸一氏によるとA=408Hz
程度だったそうです。E線も含めて裸ガット弦を使用すると、現在より
もかなり弦の張力は低かったことになります。ストラディヴァリ自身
はこの基準音と裸ガット弦で最も美しく鳴るように作ったはずです。

モダン楽器は高い張力に耐えられるように作られて(改造されて)いる
ので張力が弱いほうが良いとは限りませんが、私の経験ではA=415Hz
に調弦すると柔らかく楽器が振動するように感じられることが多いです。
もし試したことがないのであればぜひ現在の弦を使ってまずはA=415Hz
の調弦を試してみてください。

裸ガット弦の時代は弦の柔軟さを利用して実音の3重音を普通に弾く
奏者がいたり、弓を揺らして弓ヴィブラートをかけるといったテクニックが
使われていたそうです。そこまでいかなくても裸ガット弦とナイロン弦とで
は奏法にも違いがあることを鈴木秀美さんらが書かれていました。

・開放弦の音がそれほど違和感がないので開放弦を比較的良く使う
(特にE線)
・弦が柔らかいので指を強く押えない
・弦が柔軟なので弓の表現が広がる

スチールE線が普及しはじめたのが1920年頃です。
マーテンスの「バイオリン技法(VIOLIN MASTERY)」という本では1920年
頃の超一流プロのスチールE線についての賛否両論を読むことができます。原書はこちらで全文が読めます。
ttp://www.gutenberg.org/etext/15535

スチールE線には大変反感が強かったことが分かります。奏法の違いだけでなく当時のスチールE線は現在のE線より音が悪いということもあったのでしょう。連続的なヴィブラートが1930年頃にオーケストラに普及した理由の一つとして、スチールE線の音が悪いのをごまかすためにE線にヴィブラートをかけ続けたからという説があります。
catgut氏投稿、
>>連続的なヴィブラートが1930年頃にオーケストラに普及した理由の一つとして、スチールE線の音が悪いのをごまかすためにE線にヴィブラートをかけ続けたからという説
***私の師は、1930年頃には、既にコンサート活動を行っていたはずです。師曰く、連続したヴィブラートは、ジプシー達が行っていたんだそうです。それが一般的になったのは、クライスラーが流行らせたからだと云っていた様に記憶しています。モーツアルトのヴィブラートを掛けても良いところ、掛けてはイケナイトコロの区別をシツコク指導されたときに、そんな事を云っていた様に思います。私は、当時全ての音にヴィブラートを掛けていましたから、勘に触ったんでしょうね。でも、バッハで細かいヴィブラートを掛け続けても、文句を云われなかったので、ヴィブラートって不思議です。
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Re: Stradの2008年版カレンダーについて

投稿日時:2007年12月03日 14:43
投稿者:草太郎(ID:MHdJiIE)
来年のストラッドのカレンダーは楽器の持ち主(演奏者)の写真付きということで例年とは若干趣向が違って面白いですね。
裸のガット弦ということであればTORO社の最高級シープガットなどいかがでしょうか。
ttp://coastaltrading.biz/viole.html
モダンの(普通の)ヴァイオリンに普通のピッチ(A:442ヘルツ前後)で張っても大丈夫なようです。知り合いのオケプロ奏者が実際に使ってます。ヴァーニッシュ仕上げがなされているので、コルダのようにヴァーニッシュ仕上げ無しの裸のガット弦よりも長持ちするようです。ではでは。
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Re: Stradの2008年版カレンダーについて

投稿日時:2007年12月04日 08:10
投稿者:ブルーベリー(ID:MlBRJJg)
catgut様、pochi様、草太郎様、お返事ありがとうございます。
パガニーニの「カプリス」の(少なくとも)2倍は難しいと思われるエルンストのエチュード(全6曲)をコンサートで弾いたグリンゴルツが、裸のガット弦を張っているということで、にわかに裸のガット弦への興味が増してきたところです。
>ピッチが安定するのはOlivよりむしろ早い
というのは意外でしたが、巻き線が無い方がガットそのものが早く伸びて安定するのでしょうね。
>A=442Hzで裸ガット弦にしただけでは(駒のカーブにもよりますが)それほど容易にはならないと思います。
3・4重音が楽に弾けたら、と期待してましたが、やはり世の中そんなに甘くない、という感じです。
あと、特に溝を調整することなく、そのまま裸のガット弦が張れるとのことなので、まずは1セット買って試してみようと思います。
裸のガット弦には、ヴァーニッシュ仕上げがされているものとそうでないものがあるんですね。私は演奏中はかなり汗をかくので、ヴァーニッシュ仕上げがされているものの方がいいのかな、と思います。
いろいろ教えていただいて勉強になりました。ありがとうございます♪
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Re: Stradの2008年版カレンダーについて

投稿日時:2007年12月05日 00:53
投稿者:ブルーベリー(ID:MlBRJJg)
裸のガット弦のことで脱線してましたが、Stradの2008年版カレンダーに話を戻したいと思います。
2:ギドン・クレーメルが使っているニコロ・アマティについて
クレーメルは、グァダニーニ→ストラディヴァリ→ガルネリ・デル・ジェスとメインのヴァイオリンを替えてきましたが、最近はアマティを使っているようですね。カレンダーの写真を見る限りでは、グランドパターンの非常に美しいアマティーだと思います。アマティというと一般的には音量がやや小さめというイメージがありますが、クレーメルのように第一線で活躍するソリストが使えるアマティということは、音量も大きいのでしょうね。
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Re: Stradの2008年版カレンダーについて

投稿日時:2007年12月05日 01:57
投稿者:ブルーベリー(ID:MlBRJJg)
またまた脱線します。
catgut様へ。裸のガット弦「コルダ」の音量についてはいかがでしょうか?
ピラストロのガット弦をテンション高い順及び音量の大きい順に並べると、
オリーヴ>オイドクサ>ピラストロ・ゴールド>コルダ
という具合になるかと思いますが、オリーヴに比べるとコルダの音量はだいぶ小さくなってしまうのでしょうか?
あと、スチールのE線(catgut様はオイドクサのアルミ巻きですね)と裸ガットのA線の重音での音の調和(音の溶け)具合はいかがでしょうか?良く調和しますでしょうか?
何度も質問してすみませんが、よろしくお願いいたします。
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Re: Stradの2008年版カレンダーについて

投稿日時:2007年12月05日 07:48
投稿者:catgut(ID:QWJUOZg)
ブルーベリーさま、

率直に言って裸ガット弦の音量はOlivと比べて小さいですが、
かなり小さいというわけでもありません。
E線が金属線でもそれほど違和感はありません。実際ハイフェッツは
A,Dが裸ガットでE線はスチールです。ただ、私のE線の金属線に
ついてはあくまでガットの代理品です。実際は使用できるコルダE線も
保存しています。
[35799]

Re: Stradの2008年版カレンダーについて

投稿日時:2007年12月05日 13:18
投稿者:ブルーベリー(ID:MlBRJJg)
catgut様、ご回答ありがとうございます。catgut様のお話を聞いて、裸のガット弦への興味が増してきました。実際に使ってみましたら、感想をレポートしたいと思います。本当にどうもありがとうございました♪
[35801]

Re: Stradの2008年版カレンダーについて

投稿日時:2007年12月05日 20:47
投稿者:catgut(ID:QWJUOZg)
ガットE線について補足します。

ガットE線だけは細く、また限界近くまで張力をかけるためやはり
注意が必要です。当然かなり伸びつづけますし、湿度の影響
も大きいです。湿度の変化が大きいと弦の外側だけが伸びて
内側は伸びないため亀裂が入り、切れるようです。

19世紀末にスチールE線が発売されたものの、品質が悪い
こともあって1910年代前半まではプロはほとんど使わな
かったそうです。当時のスチールE線は指先を切ったり、弓毛
を切ったりするものがあったということです。

「バイオリン技法」に書かれている通り、1920年頃エルマンや
ザイデルは「こんな平板な音の弦など使えるか!」という立場で、
許容派のモード・パウエルやティボーにしても積極的に使う
というわけではなくガットE線が上記の通り切れやすく伸びやすい
から仕方がなく使うという立場でした。

第一次大戦のために欧州の弦メーカーが被害を受け、良質なガット
E線が入手しずらくなって、1910年代後半から1930年頃にかけ
て金属E線はプロの間にもようやく普及していきました。
[35802]

Re: Stradの2008年版カレンダーについて

投稿日時:2007年12月05日 21:47
投稿者:ブルーベリー(ID:MlBRJJg)
catgut様。ヴァイオリンのことに大変お詳しいですね。いつも読ませていただいてとても勉強になります。
エルマンやザイデルのSPレコードを復刻したCDを時々聴きますが、彼らは、スチールのE線を嫌っていたのですね。エルマンもザイデルもそれぞれ個性的な音で魅力的だと思います。彼らの「ぬくもりのある音」を聴いていると、ホッとしますし、そういう音が出せたらいいな~、と思います。
SPレコードの時代の名ヴァイオリニストの音は、人の声のように、それぞれ独自の響きがあって個性的(独創的)だと思いますが、裸のガット弦を使用していたということも関係しているのかも知れませんね。
でも最近のスチールE線は種類も豊富で、品質も良質で安定してますので、根気良くいろいろと試せば、自分にとってのベストE線が見つかると思います。ピラストロ・ゴールド(ワンダートーン)、オリーヴ、ゴールドブロカット、ヒル、ウエストミンスター、ヤーガーなどは良質なE線だと思います。
あと、裸のガット弦を弾く際に、ボウイングなど奏法上のことで注意すべき点がありましたら、アドヴァイスをいただけると幸いです。よろしくお願いいたします。
[35803]

Re: Stradの2008年版カレンダーについて

投稿日時:2007年12月05日 22:40
投稿者:catgut(ID:QWJUOZg)
ガット弦の奏法については 「古楽器」よ、さらば! 鈴木秀美著をお読みに
なるのがいいと思います。弦楽器での(裸)ガット弦の使用についての話が多く出てきます。2007年10月増補改訂版が発売されたそうです。

鈴木秀美氏のサイトから
ttp://www.hdm-olc.com/hdm/koubou/kb_03.html

またすでに紹介されていますが、裸ガット弦の扱いについては
こちらの「ガット弦のお話」というpdfファイルが最もまとまって
いると思います。
ttp://coastaltrading.biz/string/post_196.html
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