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シェリングのバッハ「シャコンヌ」 | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 8 Comments
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シェリングのバッハ「シャコンヌ」

投稿日時:2009年05月05日 06:38
投稿者:ぼんちゃん(ID:JXQFWSM)
先日、NHKで「クラシック・アーカイブ」という過去の名演奏の特集が放映されていました。中でも、シェリングが弾いたバッハ「シャコンヌ」の冒頭部分が感動ものでした。これは1960年代でNHKスタジオで収録されたものとのことです。過去にも確かN響アワーで放映されていますし、「アート・オブ・ヴァイオリン」という過去の巨匠ヴァイオリニストの演奏を集めたDVDにもほんの一部収録されている映像です。
これについて、何か情報をご存知の方見えたら是非教えてください!
(放映当時は「シャコンヌ」が全部放映された?他に演奏された曲は?等)
NHKからはカラヤン、ベームなどDVDが商品化されていますが、指揮者ばかりでなく、この「シャコンヌ」も是非商品化してもらいたいものです。
【ご参考】
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Re: シェリングのバッハ「シャコンヌ」

投稿日時:2009年05月05日 10:08
投稿者:室内楽奏者(ID:MhiIkpc)
シェリングの動画は非常に少ないですね。
EMIの"Henryk Szeryng" ttp://www.hmv.co.jp/product/detail/1953579
VAIの「ヘンリク・シェリングの芸術」
ttp://www.violinwakaru.com/artcl/50/51_00402.html
両方とも、無伴奏ソナタ1番のフーガが収録されています。
NHKではパルティータ3番全曲がカラー放映されたのをVHSに録ったことがあります。もうそのテープは駄目にしてしまいました。
ソフト化はされていないようですね。NHKにリクエストすればどうでしょう。

シェリングは強烈な個性には若干欠けますが、左手の絶対的信頼感と、ボーイングの合理的なことは正しく手本になります。バッハを現代の楽器で演奏するひとつの堅固な型を築いた名匠ですね。
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Re: シェリングのバッハ「シャコンヌ」

投稿日時:2009年05月06日 07:32
投稿者:ぼんちゃん(ID:JXQFWSM)
過去のN響アワーで、ベートーヴェンのvn協奏曲が放映されたことがあります。この曲の定盤はオイストラフですが、私はシェリングの方が断然好きです。シェリングの音作りは丁寧できめ細かく、ただ表面的に美しいのではなく、心にくいこむ精神的な響きがします。バッハ、ベートーヴェン、ブラームスが特に素晴らしいと思います。
ボーイングは、弓元に行く時に肘が上がる現在ではあまり見られない奏法
ですね。ある人の話では、昔はあまたのヴァイオリン教師がこぞってこれを取り入れたとのことでした。(真偽のほどは知りませんが)
ベートーヴェンの協奏曲の出だしのボーイングを見た時にはびっくりしました。一言で言えば、ゴツゴツとした滑らかでない(?)右手の動き、通常ヴァイオリンが上手い人のボーイングは、力が抜けて滑らかというイメージがあったので、意外でした。

「アート・オブ・ヴァイオリン」でパールマンが「ラジオで流れる演奏が、上手いけれど誰が弾いているか分からないといった場合は、いつもシェリングだ。」という主旨のことを言っていたと思います。

私にとってはその音色だけで十分シェリングは個性的で、ハイフェッツ、オイストラフとともに偉大なヴァイオリニストです。

シェリング・ファンの皆さん、NHKにDVD商品化をリクエストしましょう!


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Re: シェリングのバッハ「シャコンヌ」

投稿日時:2009年05月07日 15:12
投稿者:ともりん(ID:kARQaXA)
ぼんちゃん殿。
「この曲の定番はオイストラフ・・・」とのことですが、私はオイストラフ
のシャコンヌを聴いたことがありません。。。
よろしければレーベルをご教授いただけないでしょうか??

私の定番は長いことミルシテインでしたが、最近は78歳当時の
イダ・ヘンデルのリサイタルDVDに夢中です。。。
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Re: シェリングのバッハ「シャコンヌ」

投稿日時:2009年05月07日 20:24
投稿者:ぼんちゃん(ID:JXQFWSM)
ともりん様。
この曲とはベートーヴェンのvn協奏曲です。

ミルシュテインのDVDでシャコンヌがありますが、これも感動ものですね。
イダ・ヘンデルのDVDは見ていませんが、最近シャコンヌを含めたCDが
出ましたね。
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Re: シェリングのバッハ「シャコンヌ」

投稿日時:2009年05月08日 17:39
投稿者:ともりん(ID:IXEGgjA)
ぼんちゃん様。
失礼いたしました。それなら私も賛成です。。。

ミルシテインのシャコンヌはCD、DVDと複数ありますがDVDの1つは82歳(?)頃の演奏で、この直後に手をケガしてしまったため結果的にこの演奏がラストコンサートになったようです。
80歳過ぎた人の演奏云々といった文言は不要です。
驚異的です。。。

オイストラフはなぜバッハ無伴奏ソナタとパルティータの録音を残さなかったのでしょう・・・厳密には1曲だけ残しているようですが。。。
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Re: シェリングのバッハ「シャコンヌ」

投稿日時:2009年05月09日 10:11
投稿者:室内楽奏者(ID:MhiIkpc)
ダヴィド・オイストラフは復刻版CDやDVDが入手しやすく、専門家の間でも根強い信奉者が居ます。
ttp://www.hmv.co.jp/product/detail/474657
にソナタ1番があります。装飾音の付け方は「今ならこうは弾かない」古臭さがあるとはいえ、モダン楽器でバッハを弾く上でのウマさはトンでもないレヴェルに到達しています。対位法の流暢さ、和音の響きの豊かさ、どの点から見ても余人を寄せ付けない、正しく名人芸です。そもそもオイストラフはダブルストップが格別上手で、ショスタコ協のカデンツァもそれを12分に生かしていますね。シャコンヌや、ソナタ3番(とくにフーガ)を残してもらいたかったと惜しむ気が起きます。

オイストラフと同郷(オデッサ出身)の同業者Nathan Milsteinの回想録
『ロシアから西欧へ』(青村茂、上田京訳:春秋社刊)の記述は常に公正かどうか判らず、オイストラフに対しても嫉妬心があるように読めます。
とはいえ、357ページを引用すると:
「オイストラフはバッハについてもある問題を持っていた。それは音楽固有のものであると同時に、政治的なものである。革命後ロシアでは、バッハはほとんど演奏されなかった。バッハの音楽は宗教的なプロパガンダであるとみなされた。…中略…ソヴィエトの音楽家はことさらにバッハと関わってこなかったのだ…中略…ロシアではバロック音楽之アンサンブルが登場するのは西側よりずっと後になってしまったのである」
なお、下記のサイトで「バッハ&オイストラフ問題」で書き込みがあります。参考になるでしょうか?
ttp://www.violinist.com/discussion/response.cfm?ID=3684
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Re: シェリングのバッハ「シャコンヌ」

投稿日時:2009年05月09日 12:57
投稿者:ともりん(ID:VFMTeCA)
室内楽奏者様。

大変興味深い資料をありがとうございます。
『装飾音の付け方は「今ならこうは弾かない」古臭さがあるとはいえ・・・』
という言葉からオイストラフがある弟子に言った言葉を思い出しました。

『君は30年前なら大成功したはずだ。現在ではそういう弾き方はしない』

バイオリン奏法というものは30年程度の周期で変化してゆくものなの
でしょうか?ハーンやレーピンの演奏も30年後には古さを感じるように
なるのでしょうか??興味はつきません。。。

ミルシテインの回想も非常に興味深いものでした。
1つ疑問はオイストラフとほぼ同年代でほぼ同じ地位を確立していたと思われるレオニード・コーガンはパルティータどころか滅多に演奏されない
チェンバロとヴァイオリンのためのソナタまで録音を残しています。
果たして政治的な要因だけが彼にバッハの演奏を拒ませたのか?
興味はつきません。。。
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Re: シェリングのバッハ「シャコンヌ」

投稿日時:2009年05月09日 13:15
投稿者:室内楽奏者(ID:MhiIkpc)
実はダヴィド・オイストラフにはLP時代にヴァイオリンとチェンバロのソナタ全集を吹き込んでいます。あいては東ドイツ(当時)のハンス・ピシュナーです。
ttp://www001.upp.so-net.ne.jp/dfo/bach_sonatas_1_2.html

Nathan Milstein 発言は戦後のソ連演奏家全部に必ずしも当てはまらないと思います。むしろバッハの無伴奏に全力で取り組みたいという意欲がオイストラフには欠けていたのかとも想像したりします。彼は体質的に後期ロマン派ないし20世紀の作品を好んだとも考えられます。