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ティボーは音痴ですかぁ? | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 25 Comments
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ティボーは音痴ですかぁ?

投稿日時:2003年09月22日 20:58
投稿者:Geiger(ID:NAIGiAE)
古いスレッドで 某氏が
「ティボーは、音程が無茶苦茶です。
現代では、あんな音程では、音大にも落ちるでしょう。」
と書かれていました。
彼は無論アンチ・ティボーの人じゃありません。
「それでもティボーは大芸術家だから好きだ」
という愛情があっての発言だと記憶します。
しかし、ほんとに音程悪いのでしょうか。
平均律的音感からすると到底容認できない音程を時たまとるのがティボーのスタイルです。
時代を色濃く映し出している、あの、のべつ幕なしのポルタメントは若手には真似ないことをお勧めします。

もっと本質的な音楽性を聴くべきです。
フランク、ドビュッシー、フォーレのソナタのCDが今でも容易に手に入りますが、この3曲におけるティボーの音程のシステムは一貫したポリシーがあります。音痴どころではありません。
それは平均律が普及する以前、12音技法が普及する以前の古きよき時代の和声感覚です。
ドビュッシーの全音音階などのように、伝統的和声から外れた部分でも、「伝統的な和声からこんな風にはずれているから、どんな色合いが出せるだろうか」
と十分考えて音程を取ります。ティボーは揺るぎない鋭い耳の持ち主だと思います。
少なくとも、ティボーの和声感覚や音程感覚を理解しなければ、グリュミオーやオイストラフの世代の繊細な音程感覚の背後にあるものは完全には理解しづらいように感じます。

ティボーの育った19世紀にはピアノの調律ですら、平均律でなかったのですから、今の常識で彼らを「音痴」呼ばわりは乱暴すぎます。
それにティボー、指は回りますよ。シフティングだって、ポルタメント使わないときには稲妻の速度で正確にできるのです。
大昔の演奏家の腕前(含む:音程)をなめないほうがいいと、私は思うのです。
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【ご参考】
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Re: ティボーは音痴ですかぁ?

投稿日時:2003年10月08日 23:43
投稿者:Geiger1951(ID:NAIGiAE)
====>pochi さん
Gallois-Montbrun の話題提供感謝しています。
持っていなかった彼のCD(Faureのソナタやトリオ)買い込んで聴きました。
感動に浸っています。素晴らしい演奏です。
「音程」よりヴィブラートが独特ですね。ナヴァラが正統的なのでユニゾンで
目立ちます。
ところでpochiさんはシュミュエル・アシュケナージの演奏お好きですか。
チャイコン2位で、フェルメール弦4のリーダーですが。
あのピタゴラス音程すごくぞくぞくするんですが。
[5845]

Re: ティボーは音痴ですかぁ?

投稿日時:2003年10月09日 01:32
投稿者:pochi(ID:OZOYEBI)
Geiger1951さん、

申し訳ありません。演奏批評は私の専門ではありません。事実を述べるに止めたいのです。Gallois-Montbrunの音程感の甘さを指摘したとき、その権威に戦慄いて擁護する人は多くても、音程感の甘さは事実です。

諏訪内晶子さんは、凄く上手です。シュミュエル・アシュケナージは、知りません。オイストラフのMozatのソナタK481は2楽章で異名同音転調は、転調したとそのまま思っていました。昔の鈴木の教本に付いていたレコードは下手です。私の方が上手です。

レコードで私の好きな演奏家を3人挙げるとすれば、ティボー・クライスラー・ハイフェッツです。実際に聴いた80年代の演奏家としては、アルバン・ベルクのギュンター・ピヒラーです。90年代以降はみんな凄いと思って「この人」という気持ちが起きません。歳を取ったのかも知れません。

ティボーとクライスラーは、聴いたことがありません。人前でほとんど弾かなかったハイフェッツには少しだけ弾いて貰ったことがあります。

嘗て、昔のゲゲゲの鬼太郎のアニメの主題歌の音程を忠実に再現したら、音程が悪いと言われました。日本のクラシック界の人の音程感はそんなものです。

>「日本人は横、欧米人は縦の音程のつくりかたをする」
批評家の様な発言に唖然とします。先生なら仕方がありませんね。
[5848]

Re: ティボーは音痴ですかぁ?

投稿日時:2003年10月09日 08:24
投稿者:ともちん(ID:I4YxlFM)
pochiさん・・・
主題からずれる全く見当違いの質問をお許しください。
私は譜面すらろくに読めず、まして音程のずれなど全くわからない初心者です。ただヴァイオリン音楽は大好きでCDを買い込んできては聴くことを一番の趣味としています。”90年代の演奏家は凄すぎて・・・”とありますが、現代の演奏家の素晴らしい点というのはどういった部分なのでしょうか?現代の演奏家がティボーやクライスラーと比べて明らかに勝っている点などございましたら教えてください。あと、私のような初心者が現代の演奏家より1世代前の演奏家を巧いと感じる(魅力を感じる)理由というのはなぜなのでしょうか?
[5851]

Re: ティボーは音痴ですかぁ?

投稿日時:2003年10月09日 09:35
投稿者:ねこまま(ID:OBFBYoA)
素人なもので見当はずれな質問かもしれませんが、前から気になっていることがあります。

ムターの弾くカルメンの中間部なのですが(ウィーンフィルとの録音)、これはわざと音程をはずして弾くのですか?私は絶対音感というほどのものは持っていないのですが、すごくその場所を聞くといやな気がするのです。気持ちが悪いのですが私の気のせいでしょうか?

ヴァイオリン奏法でわざと高く弾いたり低くとったりすることもあるのかしらと思いました。詳しい方が沢山いらっしゃるようなので書いてみました。
[5853]

Re: ティボーは音痴ですかぁ?

投稿日時:2003年10月09日 11:28
投稿者:pochi(ID:lyZXd2A)
ともちんさん、
一般的に現代の演奏家の方が昔の人よりも楽譜に忠実で、キズのない演奏をします。個人の好みについて、他人が云々することは出来ません。ソリストがコンチェルトの途中で落ちる事を一度ならず経験したことがあります。レコードの編集技術は確実に上がっているでしょう。現代の基準なら、ティボーの音程は悪いと言っても言い過ぎではないと思います。

ハイフェッツの晩年のブラームスのレコードは、何回も録音をし直して、部分的に継ぎはぎしているのが良く解ります。音楽の流れがあちこちで切れてしまっているので変な感じがします。技術の衰えもさることながら、編集機材が悪かったのでしょう。現代なら、上手に継ぎはぎできたかも知れません。レコード批評でした。

ねこままさん、
個々のレコード批評はその道の専門家に任せます。
アンネ・ゾフィー・ムターとカルメン幻想曲を弾いたことはありません。彼女は普段ピタゴラスでかなり正確な音程で弾きます。しかし、ベートーヴェンで音程が少しだけ低めに推移した事を経験したことがあります。ソリストが音程を高めに取っても、低めに取る事は非常に少ないので、奇異に感じました。日本のハウンドドッグは、かなり低めに取りますね。

私の好きな演奏家をもう1人、
ジノ・フランチェスカッティです。残念ながらレコードでしか聴いた事はありません。
[5855]

Re: ティボーは音痴ですかぁ?

投稿日時:2003年10月09日 14:19
投稿者:ともちん(ID:I4YxlFM)
pochiさん・・・
ありがとうございます。譜面に忠実に弾く事こそ作曲者の意図を伝える最高の方法であるという視点に立てば確かに現代の演奏家は素晴らしいと思います。結局は作曲者に対するソリストの様々な在りように個々人がどういう好みを持つかの違いかもしれませんね。フランチェスカティは日本に来たことがないと聞きます。彼の生の演奏を聴けたラッキーな日本人はいったいどのくらいいるのでしょうかね。それにしてもハイフェッツを生で聴けるなんて・・・それだけでも、とてもとてもお金に代えられない財産と思います。すごいですね!

ねこままさん・・・
ギトリスが言ってましたが、ジネット・ヌヴーはクロイツェルソナタの中である音をわざと低くとったとか・・・音楽に色をつけるため・・・音程の話しとは少し違うかも知れませんが昔の演奏家はそういうことをされていたようです。
1つの曲にもいろんな解釈がある。このことこそヴァイオリン音楽の最高の魅力と個人的には思います。ピアノなど他の楽器ではなかなか”これは誰の演奏なのでは?”と感じることは難しいのではないかと思います。ヴァイオリンの音楽の表現は無限と思います!
[5856]

Re: ティボーは音痴ですかぁ?

投稿日時:2003年10月09日 17:21
投稿者:ねこまま(ID:JZJURzk)
Pochiさん、ともちんさん、ありがとうございます。
本当にヴァイオリンは無限の可能性のある楽器ですね。
これから私も色々聴きくらべてみたいと思います♪
[5857]

Re: ティボーは音痴ですかぁ?

投稿日時:2003年10月09日 20:56
投稿者:Geiger1951(ID:NAIGiAE)
> Gallois-Montbrunの音程感の甘さを指摘したとき、
> その権威に戦慄いて擁護する人は多くても、音程感
> の甘さは事実です。
別に喧嘩するつもりはありませんが、行き違いは拙いので。
ローマ大賞取ろうが、パリ音楽院長だろうが関係ない。
三善明の恩師だろうが何だろうが「戦慄する」必要はないでしょう。
一人のヴァイオリニストとしてRaimond Gallois=Montbrun を評価すると:
Vibratoが独特で、音を中心として上下に掛けるときがある(正しくは下)。
Faureのソナタ1番で数箇所、ピタゴラスを誤って適応している。
つまり導音を高くすべきを誤って低くしている(うっかりミスでしょう)。
それをプレーバックで気づいているはずなのに採り直さない大雑把さ。
そういう格付けでしょうが、でも和声感覚は豊かに聞こえますよ。
ひいき耳ではないと思います。
一発生録りで音程ミスがないならシェリングやオイストラフ並でしょうね。
彼らとてミスはしていますが。音程の勘違いは少ないです。

pochiさんの書き込みを見ていて感づいたのですが。
「音程が悪い」という言葉を両義的に用いている。
昔の個性的な演奏家の「音程が悪い」というのと
日本の、中堅以上の演奏家の「音程が無い」のと
本当は分けて論じたいが、色々気兼ねして露骨に言わない。
幸い小生は誰にも義理も恩もないので、好きに書いているだけですよ。

ともちんさんのご発言に対してですが
最近左手のハンマー効果を使わない
ポルタメントを使わない
高いポジションを回避する
という若手が多いのではないでしょうか。
大変平板で無個性な演奏が殖えている。私は昔より上手になったとは到底思えません。
初心者の直感はあなどれません。
[5860]

Re: ティボーは音痴ですかぁ?

投稿日時:2003年10月10日 09:14
投稿者:pochi(ID:N4cQJZU)
Geiger1951さん、
Raimond Gallois=MontbrunのFaureのソナタ1番に関しては、おっしゃる通りです。Faureのソナタ2番でも同じ傾向があります。Raimond Gallois=MontbrunやItzhak=Perlmanや死んでしまった大演奏家なら、批判は臆するところ無く出来ますが、将来のある人達の批判は控えたいのです。Geiger1951さんのおっしゃるところの『日本の、中堅以上の演奏家の「音程が無い」人』を一人ひとり指摘するのは容易な事です。

私の基本的な意見は、音程をそんなに厳しくとる必要はない。と言う事なのです。大量生産・工業(興行)化・マスコミニュケーションの渦の中で古き良きクラシック音楽は埋没してしまったのではないかと思います。そんな時代に平均率ではないピタゴラスや純正律の音楽表現に踏み込んだ細かい音程を云々しても仕方がないと思うのです。

「戦慄く=おののく」を「戦慄する=せんりつ(旋律)する」と書き換えたところ、
>それをプレーバックで気づいているはずなのに採り直さない大雑把さ。
「録る(録音する)=とる」と書くべきところ「採る=正確な音程を採用する」
>大変平板で無個性な演奏が殖えている
「増えている」と書くべきところ「殖えている=増殖している」
大昔の演奏家の和声感覚や音程感覚を漢字で表現されたものではないかと、感服致しました。
[5864]

Re: ティボーは音痴ですかぁ?

投稿日時:2003年10月10日 13:56
投稿者:バイオミン(ID:JxEBeHg)
音程に関してガラミアン先生は「ヴァイオリン奏法と指導の原理」で
 「ヴァイオリニストは誰も数学的公式に従って演奏するわけには
  いかない。  自分の耳の判断に従うばかりである.」
と書かれており、その後の文章にも良い言葉が続いています。
pochiさんの
> 私の基本的な意見は、音程をそんなに厳しくとる必要はない。
という発言は、私も賛成です。

ところで、この掲示板には
> あのピタゴラス音程すごくぞくぞくするんですが。
等の書きこみがありますが、ピタゴラス音程って、弾いている本人は耳で聴いて良いと思ってそうしているのですか?

話のレベルが低いかもしれませんが、たまに半音をやけに狭く取る人を見かけますが、例えば高いほうの2の指は3の指にくっつきすぎて音程高すぎ(G線のHがCにくっつきすぎ)、低い1の指は開放にくっつきすぎて音程低すぎ(E線のFが開放のEに近すぎ)になっています。
これは、耳で聞いてそうしているわけではなくて、どうも手や指の形に問題があるようです。
ピタゴラス音程で弾いているのは、手や指の形の悪い癖やが妙な味わいとなっているだけのように思えてならないのですが。
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