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catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇 | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 63 Comments
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catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年03月25日 18:03
投稿者:pochi(ID:SBdYcmA)
ヱブ頁上フィールドワーク

ガラミアン受け売り諸頁。
ttp://tcslab.csce.kyushu-u.ac.jp/old-users/t_ito/violin/Vntec/tec11.html
ttp://homepage2.nifty.com/m-nyan/music/violin/016.html

オーボエですが上に掛ける事を推奨している人もいます。
ttp://www.josef-oboe.com/japanese/article/r_s_memo.html
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【ご参考】
[32538]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月03日 04:26
投稿者:(ID:YQdjNhA)
コクシネルさま

ぼくも同じ事を考えて、自分でいろんなトリルをかけて試してみたのですが、トリルの場合は、どうもかけ終わった音(次の音に移るときの音)を基準音として聴いているような気がします。

案外、ヴィブラートも上下関係なくそうだったりして、と思ったり。
[32542]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月03日 17:58
投稿者:catgut(ID:FAFwApA)
ガラミアン説を最初に日本で紹介したのではないかと思われる本が見つかりましたのでご紹介します。

「バイオリニストのためのビブラート奏法」 七沢八郎著 全音楽譜出版社

ガラミアンのPrinciples of Violin Playing and Teachingの初版は1962年ですが、何と1963年10月31日に発行されています。50ページほどの小冊子です。七沢氏は「従来のビブラート」は間違いと決め付け、「多くのバイオリニスト」が「基準音の上下に」「上に向けて」かけていると知りながら「基準音の下に」「下に向けて」かけるヴィブラートこそが正しいヴィブラートであると主張しています。

ただし、本書の主張はガラミアン説そのものですが、ガラミアンの名は直接は出てきません。本書の中で練習方法をブローダス・アール(Broadus Erle)によるとしていることから、七沢氏はブローダス・アール経由でガラミアン説を知った可能性が高いと思われます。

「第一章 正しいビブラートと間違いやすいビブラート」では、タイトル通り
「基準音の下に」「下に向けて」かけるヴィブラートを「正しいヴィブラート」と
位置付け、従来の「基準音の上下に」「上に向けて」かけるヴィブラートを「誤り」と決め付けています。

以下、本書から引用します。
--------------------------------------------
「音を同じ強さで上下に震わした場合、高い音の方を、その目的の音程と感ずるのが、我々の音に対する本能だと考えられます。」

「多くのバイオリニストたちは、C図(引用者注:基準音の上下の波形図)のように、演奏する音程を中心にして、上下にVib.を行うことが正しいと考えていると思います。」

「また、多くのバイオリニストたちは(C図のVib.も同様ですが)Vib.の始まりの運動を必ずといってよい程、上方に向かって行います。」
---------------------------------------------

本書を読んで「多くのバイオリニスト」たちはどう思ったのでしょうか。
自分のヴィブラートは「不安定で民族音楽のような」間違ったヴィブラートだと納得したのでしょうか。
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Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月03日 19:34
投稿者:catgut(ID:FAFwApA)
なお、Broadus Erleは1918年生まれのアメリカ人で、
1956年から1960年まで日フィルのコンサートマスターを勤め、
桐朋でも教えていたようです。
彼の滞日中はまだガラミアンの著書は出版されていませんが、
ガラミアンの指導内容を知っていた可能性はあると思います。

七沢八郎氏はすでに亡くなられているようですが、武蔵野音大
などで教えられていたようです。
[32585]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月04日 07:46
投稿者:catgut(ID:hHMlcSA)
「基準音の下にかける」という考え方と「下に向けてかけ始める」という考え方は同時に生まれたことが七沢八郎著「バイオリニストのためのビブラート奏法」でも裏付けられました。(Werner Hauckも主要なヴィブラート関係文献はすべて「基準音の上下に」「上に向けて」かけると書いていると指摘していました)。これまで「基準音の上下にかける」のは事実だとしても、それとかけ始める方向は関係ないのではと思われていた方がいるかもしれませんが、「下に向けてかけ始める」という指導もガラミアン由来であることがはっきりしました。私がこれまでかけ始める方向について調べて来たのは、これを明確にしたかったからです。

歴史的経緯はあるにしろ、大半の奏者は上に向けてかけ始めていたわけですから、やはり普通の人にとっては「上に向けて」かけ始めるほうが容易と考えるのが自然でしょう。
[32596]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月04日 20:51
投稿者:一介の数学屋(ID:QQBIIgU)
七沢八郎さんの本は子供の頃、父の書架にあったのを読んだのを、catgutさんの書き込みのおかげで思い出しました。今実家の書架がどうなっているか解りませんが、それにしても凄い調査力ですね。

catgutさんに対して、第一に感心したのは、たぶん日本で最初にtartiniを紹介したらしい(そうですね?)こと、大家の演奏をそれで分析する試みを行い、公開したこと。
これは続く人たちがいくらでも追試験を行い検証できますので、素晴らしいことだと思います。
第二番目に感心し、また今回驚いたのはヴァイオリン文献を系統的に調べる方法を実行していること。たとえばガラミアン以前に「基準音より下にかける」ことの言及が無いことなど、まだ完全に証明されないかもしれませんが、有力だと思わせます。
「xxが絶対無い」という歴史的な証明は想像以上に困難です。「AAが存在する」証明より数百倍も困難でしょう。あらゆる文献を探さなくてはなりません。しかしヴァイオリン文献は無限に存在するものではありませんから、しらみつぶしすることでガラミアン以前に無いことは立証される可能性が出てきた、というのは素晴らしいとおもいます。
第一・第二の発見、ともに他人の検証に対してオープンなので、大いに評価できます。

ただし、過去の事実を突き止めたことが、一般化して現在・未来に当てはまるかどうかは、証拠がありません。
複数の言葉を言うのはcatgutさんが相手の場合禁物と解りましたので、ひとつだけ疑問を提出します。ある時代まで「上に向けて掛け始める」ことが高い割合で存在した、ということが「やがて実証される」可能性は肯定します。それが実証されたことを仮定して、それでも大きな疑問が残ります。

ある時代まで第1ポジションから第3ポジションに上がることが、大半の奏者に好まれていた、第2ポジションは回避された、という、ほぼ確定的な歴史的な事実があります。
「それ故、普通の人にとって第2を回避し第3に上がることが一般に容易である」と言い切れますか。現代奏法を習った生徒でも同じことが言い切れますか?私はホ長調や変ロ長調の曲は第2が凄く快適に思います。
これは一例です、ヴァイオリン奏法が変遷しますので、過去の事実だけで今の奏法を論じるのには限界があることを言いたいのです。
[32599]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月04日 22:03
投稿者:catgut(ID:hHMlcSA)
七沢八郎氏は、自ら「目的の音程を越えたヴィブラートをかけてはいけない」と主張しながら「上下にヴィブラートをかけた場合、その上端の音程が聞えることはほとんどない」と率直に認めています(中間の音程が不安定に聞えると主張)。この理由を七沢氏は以下のように説明しています。

-----------------------
P11-P12
「C図のVib.の説明に対して、どうしてVib.の頂上を目的の音程と感じないかという疑問を、お持ちになられると思います。これは、我々の音楽的本能
のVib.音程に対する融通性とでもいえましょうか、興味ある問題です。」
(略)
「しかし、前音からの関連(特にopen)、合奏または伴奏によるハーモニー・
バイオリニストの持つ音感、楽器の持つ倍音等のいろいろの関係から、
C図のVib.の頂上を、音程として感ずることはほとんどありません。」
-----------------------

「上下にかけた演奏でも上ずった音程には聞えない」という事実から
このような説明を考えられたのだと思いますが、いささか苦しい説明です。
[32602]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月04日 23:46
投稿者:catgut(ID:hHMlcSA)
一介の数学屋さま、

繰り返しになりますが、私はガラミアン系のヴィブラート指導に特有に見られる「必ず基準音の下にかけなければならない」「必ず下に向けてかけ始めなければならない」という言説は間違いだと主張していますが「基準音の下にかける」ことも「下に向けてかける」ことも否定していません。

もし「必ず第二ポジションで演奏しなければならない」という指導があったなら私は「いや第一ポジションや第三ポジションでも弾ける」と主張するでしょうが、第二ポジションが使いやすいという人は第二ポジションを使えばいいわけです。「下に向けてかけ始める」のが楽な人はそれで一向に構いません。
[32638]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月05日 08:18
投稿者:名無し(ID:MVeXWVk)
ちょっと通りますよ。
>ガラミアン以前に「基準音より下にかける」ことの言及が無い
とのことですが、Maia Bangのアウアーの指導を基に編纂された教則本ではすでに「下に書けることが望ましい」と、図を入れて説明されています。

ルネサンス時代には、リコーダーの奏法に関する本の中で下にかけるようにいわれていますが、変わった考え方として受け止められたそうです。

私はバイオリンを演奏することを生業としていますが、下にかける色が欲しいときもあれば、上にかけて音程を調整せざるを得ない場合もあります。

教える際には特に言及する必要のないものと考えますが、質問されたら「上下」と答えて起きます。
[32641]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月05日 09:35
投稿者:catgut(ID:hHMlcSA)
名無しさま、

貴重な情報提供どうもありがとうございます。
その本はMaia Bang Violin Methodの何巻でしょうか?(PART 6?)
そうだとすると1930年前後の本ですね。
「下にかける理由」は何か書かれていますでしょうか?
もし可能であれば、記述の原文を教えて頂けないでしょうか?
要点のみで構いません。よろしくお願いします。

ちなみにAuer自身の著書であるViolin Playing as I teach it(1921年)
にはヴィブラートを「下にかける」という内容はありませんでした。
[32642]

Re: catgut氏の云うところのヴィブラート学習悲喜劇

投稿日時:2007年04月05日 10:27
投稿者:名無し(ID:MVeXWVk)
catgut様
残念ながらその本は所持しておりません。
楽譜屋で立ち読みをしたまでです。何巻に記載されていたかも忘れました。理由が書いてあったかどうかは覚えていませんが、命令形というよりは「望ましい」という言葉遣いだったように記憶しております。

なお、アウアーの教則本は所持しております。ヴィブラートに関しては六巻に言及されていますが、指を糸巻き(正確にはsaddle)から駒に向かってゆっくりと振動させる練習をしてから、手を使って同じ動作をできるように練習することを勧めています。

In learning how to vibrete, the student must experiment at first with slow oscillations, swinging the active finger gently but with a firm grip in the direction from saddle to bridge; then doing likewise with the hand until he finelly gains the necessary skill for proper combination of the movements.......

私にはあくまでも練習法であり実際の音の変化についての言及ではないように読めますがいかがでしょうか?

ちなみに私がレッスンを受けていたルジェーロ・リッチ氏は下に向かってかけるようにいっておりましたし、Left-Hand Violin Technique でもそう記しています。

Lean the finger back (toward the scroll), not forward.

理由は「バイオリニストは音程を高めにとりたがる傾向があるからだ。」と言っていました。
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