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旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか? | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 18 Comments
[39746]

旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月02日 13:45
投稿者:pochi(ID:OVMFIBc)
新しい話題ですね。
ttp://www.fstrings.com/board/index.asp?id=39654
関連です。

背後が通奏低音なら純正律になると思います。
通常はピタゴラスで弾いていると思います。
完全にこのことがリンクしているとは思えません。
時代形式にも依るし、、、、。
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2 / 2 ページ [ 18コメント ]
[39763]

Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月03日 06:30
投稿者:jack(ID:OFY3FHg)

海ほたるさん、

コメントありがとうございます。お言葉に甘えて「日の出」の続きを書かせて頂きます。
5小節1拍目:VcのEsは高め。その他はピュタゴラス
5小節3拍目:このドミナント和音は緊張感を増長させるためすべてピュタゴラスが適当と思います。
6小節1拍目:1stVn のEsはピュタゴラスですが、VaのEsは第3音ですので高めが良いです。
11小節1拍目:2ndVn以下はGBD,Ⅵの和音ですね。開放弦のD,Gが含まれるので内声は純正和音になると思います。1stVnのBも妥協して純正に取るべきかな?
11小節3拍目:Ⅶの和音は緊張感を作るためすべてピュタゴラスでよいと思います。
12小節1拍目:2ndVnのBは高めに貰います。他はピュタゴラス。

この曲は何度も弾いたことがありますが、このような分析をしたのは初めてです。最近では米国で講習会参加のオーディション録音で弾いたり、プロのコンサートの前座で弾いたこともありますが、、自分のパートで精いっぱい、内声は皆さんにお任せしたので、実践の場ではコクシネルさんの仰るようにお互い『一瞬の判断』だったと思います。

海ほたるさんの『ほぼ』の種明かし楽しみにしております。
[39767]

Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月03日 21:13
投稿者:海ほたる(ID:MFdyYyU)
jackさん

折角書いていただいたのに申し訳ないのですが、残念ながら今回は意味が通じませんでした。
まずjackさんの仰る『ピュタゴラス』の意味がいまいちつかめません。私がもしこの場で使うとするなら『変ロを基音としたピュタゴラス音律の各構成音』という意味合いで使用すると思いますが、jackさんの使い方はどうも違うような気がします。

不明な点を具体的に書きますので教えてください。

>5小節1拍目:VcのEsは高め。その他はピュタゴラス

ここで言う「Esは高め」というのは、そもそも何に対して高めなのでしょうか? また「その他はピュタゴラス」とありますが、ここで言うピュタゴラスというのは、私が先に定義した意味でよろしいのでしょうか?

>5小節3拍目:このドミナント和音は緊張感を増長させるためすべてピュタゴラスが適当と思います。

jackさんのおっしゃるピュタゴラスの意味が分からないのでなんとも言えないのですが、例えば1stVnとVcにDが現れますが、これは1小節目の2ndVnのDとはピッチがどのような関係にあるのでしょうか?(同じなのか、異なるのか)。また、1拍目の2ndVnのGと3拍目のVaのGとはピッチが異なるのでしょうか?

>6小節1拍目:1stVn のEsはピュタゴラスですが、VaのEsは第3音ですので高めが良いです。

ここでますます混乱してしまいます。ここでの「ピュタゴラス」の意味も良く分からないのですが、文脈からすると、『1stVn のEsは低めに取る』ということでしょうか? つまり、1stVnとVaは同じEsでありながら、わざわざ異なった音程にすると???


>11小節1拍目:2ndVn以下はGBD,Ⅵの和音ですね。開放弦のD,Gが含まれるので内声は純正和音になると思います。1stVnのBも妥協して純正に取るべきかな?

すみません、主和音の第二展開ではなく、六度の和音ですね。
ここでも分からないのですが、最初の小節では2ndVnのDは開放弦より低めに取るということでしたよね!? でもここではD&Gは開放弦のピッチで取るのでしょうか?

>11小節3拍目:Ⅶの和音は緊張感を作るためすべてピュタゴラスでよいと思います。

ここは、チェロのFがあるので属7の和音ですね。これでおあいこ、あ、失礼!

>12小節1拍目:2ndVnのBは高めに貰います。他はピュタゴラス。

これも6小節目同様、良く分かりません。VcのBは低めなのですか? オクターブなのに違う音程で取る??? 更に分からないのは、何故そもそも主音であり根音であるBを高めに取るのでしょうか??? 単なる勘違い!? 


※jackさんは、それぞれの和音内部での響きのみを処理しておられるようですが、各和音間の関係が見えてきません。
例えば、この曲の調の主音である最初のVcのBを基準として、それぞれの音のピッチがどうなるのかを書いていただければ、横のつながりも縦のつながりも明確になると思いますが、どうでしょうか?確かjackさんはご自身のサイトでしたか、cent表示で細かく書いておられたような気がします。今回もそういうのを期待していたのですが・・・  大変でしょうかね。もしよろしかったら、12小節とは言わず、7小節目くらいまで書いていただけると、私との違いが明確になると思います。(というか、今の段階では何が何だか分からない状態なので、そもそも違いを書きようがないです)。

特に急ぎません。
[39768]

Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月04日 06:21
投稿者:jack(ID:OFY3FHg)
海ほたるさん、あいまいな書き方で申し訳ありません。

ピュタゴラスの定義は以下の通りです。T=204c, S=90c、音階は調によらずT+T+S+T+T+T+Sになりオクターブは1200c。(Tは全音、Sは半音、cはセント)。Aを基準にした平均律からの偏差は完全五度下がるごとに-2c(マイナス2セント)ずつ増えていきます。D:-2c、G:-4c、C:-6c,F:-8c、B:-10c,Es:-12c・・・以下Bes:-24cです。一周したBesは基準のAより24c(コンマ)低くなります。#系はA→E→H→Fis→Cisと五度上がるごとに+2c増えていきます。これらの音程は調によらず不変で楽譜が指板上に一対一でマッピングされます。純正五度調弦(702c)されていれば、各指の位置(高さ)はギターのフレットのように横一に並びます。これは子供の初学者にはとても分かりやすいと思います。(純正律ではこううまくは行きませんね)

ピュタゴラス律は旋律に適していますが、和音は三度が濁ります(完全五度は3T+S=702cでどれも純正です)。純正律は三度和音がゼロビートになりますが(不純な三度、五度もありますが)、全音が2種類あるため技術的に演奏が困難で、かつ第3音が低く導音が広いため暗くぼんやりとした感じで音痴っぽく聞こえます。この観点から「旋律はピュタゴラス律、和声は純正」にという良い所取りの発想が生まれたものと思います。一方、和声付けを全て純正では無く、機能和声上のドミナント系はピュタゴラスで緊張を高め、トニック系は純正に取って弛緩・解決への方向感を強調するという考え方もあり得ます。弦楽四重奏の場合はこの辺のポリシーについて4人のコンセンサスを得ることが重要と思います。


ハイドン「日の出」について、私なりの妥協策をセント値を用いて書き直しました。あくまでも案で、これを実行したわけではありません。

第1-4小節:1stVn,Va,Vcは上記ピュタゴラス。2ndVnのDは平均律より-24セント低くとりますとB-durトニックB-D-Fは純正和音(4:5:6のゼロビート)になります。

第5小節1拍目:B-durⅡの和音C-Es-G。C,Gは上記ピュタゴラスで純正。Esは平均律より+12セント高くとりますとC-Es短三度、Es-G長三度がそれぞれ純正和音になります。

第5小節3拍目:C調のⅤ7和音。すべてピュタゴラスで取りますとピュタゴラス三度が緊張感を高めます。
第6小節:Ⅱの和音C-Es-G。第5小節1拍目と同じで、C,Gはピュタゴラスで純正、VaのEsは平均律より+12セント高くとりますと純正になります。1stVnのEsは横の動きを重視してピュタゴラスで取りたいですが、Vaとオクターブが合わなくなります。縦を重視すると1stVnのEsも高めにとらねばなりません。Va,1stVnともにピュタゴラスのEs(-12c)で緊張を維持することも可能です。

第7小節:B-durのⅤ7和音。全部ピュタゴラスでとると緊迫感、不安感が表現できると思います。

第11小節はチェロのFを見落としていました。仰るようにⅤ7の和音です。失礼しました。

上はあくまでも机上の空論です。和音内部だけの響きの処理になりましたが、フレーズごとの処理も必要かもしれません。更には実践の場では臨機応変な対応が必要になると思います。
[39777]

Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月05日 03:34
投稿者:コクシネル(ID:QTiXFRA)
話が和声上の旋律から和声分析まで広がりましたが、皆さんの熱心さには頭が下がります。 

さて、日の出とバーバーのアダージョには、ひとつ大きな違いがあり、日の出の方は、和声が先に出て、それを聴いてから旋律が入るので、旋律は比較的自由になります。

一方アダージョの方は、旋律のB♭が先に出てから和声が出ます。 なので1stVnは後から出てくる和声をイメージしながら音を出し、その他のパートは最初に出てきたB♭を基に和声を構築する必要があり、お互いに音程をより意識する必要があるでしょう。 

でもより透明な響きを作るのが難しいのは、単純なハイドンの方だったりするので、面白いところです。
[39789]

Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月06日 23:18
投稿者:海ほたる(ID:MFdyYyU)
ここの掲示板は、時々アクセスが出来なくなりますが、私だけ?
それから、スレが多くて自分でもどこに書いたのか分からなくなります。自分の書いた文章だけでもサーチしたいのですが、可能ですか?


jackさん

ピュタゴラスの定義や純正律の説明、ありがとうございます。
私の認識と完全に一致しています。

>機能和声上のドミナント系はピュタゴラスで緊張を高め、トニック系は純正に取って弛緩・解決への方向感を強調するという考え方もあり得ます。

なるほど、そういう意味でしたか。私は「機能和声上のドミナント系」と聞いて半終止を思い浮かべますので、何故「弛緩」ではなく「緊張」?と不思
議に思っておりました。どう解釈するかは別として、jackさんの思いは伝わりました。

さて、「日の出」です。お互い「あくまでも机上の空論」であり、「あくまでも(jackさんの)案」であることを承知の上で話をすることにしましょう。
ざっと読んでみたのですが、やっぱり分かりません。長三和音や単三和音の第3音をどう取るのか(即ち、ピュタゴラスか純正律かその他か)という議論以前に、そもそもjackさんの示された-24c、+12c、-12cという数値が良く分かりません。何を基準に取っているのでしょう?
いろいろ思いをめぐらし、基準音を、1:調弦の元となるA、2:この曲の調である変ロ長調の基音であるB、3:各和音の根音、などと試してみたのです
が、どうもうまくいきません。ピュタゴラスの概念が一致しているのに、何故かな??? jackさんの文面からすると、3のような気もしますが・・・でも
数値があっていない・・・それにそもそも3だと横のつながりが全く不明なので奏者がどう弾いていいのか分からなくなりますよね!?

jackさんの思い描いておられるピッチの変動を、私なりの解釈&私なりの表現方法で書いてみます。

基準音はBです。つまりBを0として、そこから数えた音程差をcentで表現します。但し平均律からの差分(つまり100で割った余りの部分)、例えば
702centなら、2centとします。小数点以下は四捨五入。
尚、Aを基準とする場合は、Bとの100centからのずれを考慮する(例えばjackさんのように「Aを導音とみなしBを取る」のなら、-10cent加える)こ
とにより、『換算』出来ます。また根音基準なら、Bとそれぞれの根音をずれを考慮すればOKです。


1~4小節
Vc:0c Va:-14c 2ndVn:2c

5小節1拍目
Vc:-2c Va:4c 2ndVn:6c 1stVn:4c 

5小節3拍目
Vc:8c Va:6c,2c 2ndVn:14c 1stVn:8c

6小節
Vc:4c Va:6c,-2c 2ndVn:4c 1stVn:-2c

7~10小節
Vc:2c Va:10c 2ndVn:2c 

以下、省略


一応私なりに、なるべくjackさんのお考えに沿って書いてみました。jackさんとすれば、何でそうなるの?という部分もあると思います。指摘していた
だければ数値の根拠を書きます。ケアレスミスがあったらすみません。

他の皆様で、何をばかばかしいことをやっているんだ、とお思いの方もたくさんおられると思います。実は私はそのばかばかしさを強調するために敢えてこのような細かい数値を出しています。何故ばかばかしいのかを以下に書きます。

1.ハイドンの日の出のような極めてシンプルな曲でさえも人によりいろんな解釈が成り立ち、かつ多くの矛盾を含んでしまう。たった10小節でさえ!

2.もし、適切な解釈が出来たとしても、それを奏者全員が共有するのは極めて困難。カルテットならまだしも、オケでは不可能。(カルテットでも恐
らく不可能)

3.上記2項が解決されても、そもそも技術的に演奏が困難。(弦楽器や管楽器ではそれほどの精度は出せない。)

という3つの理由により、アンサンブルにおいてピュタゴラスや純正律などの音律を持ち出すのは(ごく一部を除いて)ナンセンスだと思っています。
では、どうするのか! 自分の耳で聞いて心地よい音程を探せばそれでよい、と思っています。

それが私の持論です。

因みに私もカルテットはしょっちゅうやりますが、そもそも音程で議論した記憶は殆どないです。勿論みんなそこそこのレベルですから、音程が気にな
ることはない。というか、音程が気になるやつとは組まないですね。
カルテットの合わせでは、フレージングや音色、アインザッツの揃えなどにほとんどの時間を費やしますし、本番でもそれらに神経を集中させます。
また、カルテットのソロの部分では、若干の音程の自由度がありますが、オケの場合、それをやってしまうと、パートとしてにごってしまいますから、
没個性でいかなくてはいけません。ミやシを高めに、をやりすぎると嫌われます。オケにおいて優先順位を付けるとすれば、アインザッツ、フレージン
グ感、音程でしょうか。というか、音程が悪い人(や、協調性のない人)はそもそも採用されません。

p.s.
私とjackさんの考え方は異なりますが、jackさんの研究熱心さには頭が下がる思いです。
[39791]

Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月07日 06:12
投稿者:jack(ID:OFY3FHg)
海ほたるさん、昨日は私もこのサイトに何度かアクセスしましたが全く繋がりませんでした。

B基準のセント値の差分拝見しました。貴案では1-10小節で以下の3つの音以外はすべてピュタゴラス律になっていると思いますが、その意図で書かれたのでしょうか?
1~4小節 Va:-14c 2ndVn:2c
7~10小節 2ndVn:2c 
(1-4小節のVaのFがピュタ律から低すぎますのでタイポかもしれませんが。)

--

明確化のため、1-4小節のB-Durトニック和音の2ndVn(D)を私案で-24セントと提案したことについて補足説明させて下さい。

B,D,Fの音程を平均律、ピュタゴラス律、私案の各場合についてセント値で比較します。(調弦の元となるA基準です)
      A  B  D  F
平均律  0 100 500 800
ピュタ律  0  90 498 792
私案    0  90 476 792

私案ではB-Dの音程は476- 90=386 (純正長三度)
      D-Fの音程は792-476=316(純正短三度)
      B-Fの音程は792- 90=702(純正完全五度)
となります。B,Fはピュタゴラスですので平均律からの差分はそれぞれ-10、-8です。チェロ(B)とヴィオラ(F)がこのように弾かれた場合、私案ではセコバイ(D)の平均律からの差分は476-500=-24で、開放弦Dから22セント(半音の1/5)低めを弾くことになりますので、これは抵抗あるかもしれません。しかしB,Fがピュタゴラスで弾かれて、かつ和音を純正に響かせるためにはこのようにせねばなりません。

とりあえずここまでですが、うまく伝わったでしょうか?
[39795]

Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月07日 21:42
投稿者:海ほたる(ID:MFdyYyU)
jackさん

>1~4小節 Va:-14c 2ndVn:2c

すみません。Vaと2ndVnが逆ですね。Va:2c 2ndVn:-14c です。
つまりjackさんが私案と書かれた数値(純正律)と同じです。
Va:792-90-700=2  2ndVn:476-90-400=-14

>7~10小節 2ndVn:2c

すみません。これも間違い。「-」が抜けていましたね。2ndVn:-2c です。
ピュタ律では(純正律でも)Esは「588」となると思いますので
2ndVn:588-90-500=-2

jackさんが平均律、ピュタ律、私案として書かれた数値、及びその下の説明に関しては、全く問題ないと考えます。

>明確化のため、1-4小節のB-Durトニック和音の2ndVn(D)を私案で-24セントと提案したことについて補足説明させて下さい。

A基準として(かつAがB-durの導音、つまり両者のピッチが90centとして)考えるなら「-24セント」はOKです。

そうすると分からないのは、その次に出てくるEsの「+12セント」です。基準はもちろん「A]のままですよね!?
CやGは?
[39805]

Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月08日 06:48
投稿者:jack(ID:OFY3FHg)
海ほたるさん、

1~4小節までは一致しました。
5小節目について下記の通り不一致があります。

---
[39789]
[39789]

Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月06日 23:18
投稿者:海ほたる(ID:MFdyYyU)
ここの掲示板は、時々アクセスが出来なくなりますが、私だけ?
それから、スレが多くて自分でもどこに書いたのか分からなくなります。自分の書いた文章だけでもサーチしたいのですが、可能ですか?


jackさん

ピュタゴラスの定義や純正律の説明、ありがとうございます。
私の認識と完全に一致しています。

>機能和声上のドミナント系はピュタゴラスで緊張を高め、トニック系は純正に取って弛緩・解決への方向感を強調するという考え方もあり得ます。

なるほど、そういう意味でしたか。私は「機能和声上のドミナント系」と聞いて半終止を思い浮かべますので、何故「弛緩」ではなく「緊張」?と不思
議に思っておりました。どう解釈するかは別として、jackさんの思いは伝わりました。

さて、「日の出」です。お互い「あくまでも机上の空論」であり、「あくまでも(jackさんの)案」であることを承知の上で話をすることにしましょう。
ざっと読んでみたのですが、やっぱり分かりません。長三和音や単三和音の第3音をどう取るのか(即ち、ピュタゴラスか純正律かその他か)という議論以前に、そもそもjackさんの示された-24c、+12c、-12cという数値が良く分かりません。何を基準に取っているのでしょう?
いろいろ思いをめぐらし、基準音を、1:調弦の元となるA、2:この曲の調である変ロ長調の基音であるB、3:各和音の根音、などと試してみたのです
が、どうもうまくいきません。ピュタゴラスの概念が一致しているのに、何故かな??? jackさんの文面からすると、3のような気もしますが・・・でも
数値があっていない・・・それにそもそも3だと横のつながりが全く不明なので奏者がどう弾いていいのか分からなくなりますよね!?

jackさんの思い描いておられるピッチの変動を、私なりの解釈&私なりの表現方法で書いてみます。

基準音はBです。つまりBを0として、そこから数えた音程差をcentで表現します。但し平均律からの差分(つまり100で割った余りの部分)、例えば
702centなら、2centとします。小数点以下は四捨五入。
尚、Aを基準とする場合は、Bとの100centからのずれを考慮する(例えばjackさんのように「Aを導音とみなしBを取る」のなら、-10cent加える)こ
とにより、『換算』出来ます。また根音基準なら、Bとそれぞれの根音をずれを考慮すればOKです。


1~4小節
Vc:0c Va:-14c 2ndVn:2c

5小節1拍目
Vc:-2c Va:4c 2ndVn:6c 1stVn:4c 

5小節3拍目
Vc:8c Va:6c,2c 2ndVn:14c 1stVn:8c

6小節
Vc:4c Va:6c,-2c 2ndVn:4c 1stVn:-2c

7~10小節
Vc:2c Va:10c 2ndVn:2c 

以下、省略


一応私なりに、なるべくjackさんのお考えに沿って書いてみました。jackさんとすれば、何でそうなるの?という部分もあると思います。指摘していた
だければ数値の根拠を書きます。ケアレスミスがあったらすみません。

他の皆様で、何をばかばかしいことをやっているんだ、とお思いの方もたくさんおられると思います。実は私はそのばかばかしさを強調するために敢えてこのような細かい数値を出しています。何故ばかばかしいのかを以下に書きます。

1.ハイドンの日の出のような極めてシンプルな曲でさえも人によりいろんな解釈が成り立ち、かつ多くの矛盾を含んでしまう。たった10小節でさえ!

2.もし、適切な解釈が出来たとしても、それを奏者全員が共有するのは極めて困難。カルテットならまだしも、オケでは不可能。(カルテットでも恐
らく不可能)

3.上記2項が解決されても、そもそも技術的に演奏が困難。(弦楽器や管楽器ではそれほどの精度は出せない。)

という3つの理由により、アンサンブルにおいてピュタゴラスや純正律などの音律を持ち出すのは(ごく一部を除いて)ナンセンスだと思っています。
では、どうするのか! 自分の耳で聞いて心地よい音程を探せばそれでよい、と思っています。

それが私の持論です。

因みに私もカルテットはしょっちゅうやりますが、そもそも音程で議論した記憶は殆どないです。勿論みんなそこそこのレベルですから、音程が気にな
ることはない。というか、音程が気になるやつとは組まないですね。
カルテットの合わせでは、フレージングや音色、アインザッツの揃えなどにほとんどの時間を費やしますし、本番でもそれらに神経を集中させます。
また、カルテットのソロの部分では、若干の音程の自由度がありますが、オケの場合、それをやってしまうと、パートとしてにごってしまいますから、
没個性でいかなくてはいけません。ミやシを高めに、をやりすぎると嫌われます。オケにおいて優先順位を付けるとすれば、アインザッツ、フレージン
グ感、音程でしょうか。というか、音程が悪い人(や、協調性のない人)はそもそも採用されません。

p.s.
私とjackさんの考え方は異なりますが、jackさんの研究熱心さには頭が下がる思いです。
海ほたるさん、
>5小節1拍目
>Vc:-2c Va:4c 2ndVn:6c 1stVn:4c 

[39768]
[39768]

Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月04日 06:21
投稿者:jack(ID:OFY3FHg)
海ほたるさん、あいまいな書き方で申し訳ありません。

ピュタゴラスの定義は以下の通りです。T=204c, S=90c、音階は調によらずT+T+S+T+T+T+Sになりオクターブは1200c。(Tは全音、Sは半音、cはセント)。Aを基準にした平均律からの偏差は完全五度下がるごとに-2c(マイナス2セント)ずつ増えていきます。D:-2c、G:-4c、C:-6c,F:-8c、B:-10c,Es:-12c・・・以下Bes:-24cです。一周したBesは基準のAより24c(コンマ)低くなります。#系はA→E→H→Fis→Cisと五度上がるごとに+2c増えていきます。これらの音程は調によらず不変で楽譜が指板上に一対一でマッピングされます。純正五度調弦(702c)されていれば、各指の位置(高さ)はギターのフレットのように横一に並びます。これは子供の初学者にはとても分かりやすいと思います。(純正律ではこううまくは行きませんね)

ピュタゴラス律は旋律に適していますが、和音は三度が濁ります(完全五度は3T+S=702cでどれも純正です)。純正律は三度和音がゼロビートになりますが(不純な三度、五度もありますが)、全音が2種類あるため技術的に演奏が困難で、かつ第3音が低く導音が広いため暗くぼんやりとした感じで音痴っぽく聞こえます。この観点から「旋律はピュタゴラス律、和声は純正」にという良い所取りの発想が生まれたものと思います。一方、和声付けを全て純正では無く、機能和声上のドミナント系はピュタゴラスで緊張を高め、トニック系は純正に取って弛緩・解決への方向感を強調するという考え方もあり得ます。弦楽四重奏の場合はこの辺のポリシーについて4人のコンセンサスを得ることが重要と思います。


ハイドン「日の出」について、私なりの妥協策をセント値を用いて書き直しました。あくまでも案で、これを実行したわけではありません。

第1-4小節:1stVn,Va,Vcは上記ピュタゴラス。2ndVnのDは平均律より-24セント低くとりますとB-durトニックB-D-Fは純正和音(4:5:6のゼロビート)になります。

第5小節1拍目:B-durⅡの和音C-Es-G。C,Gは上記ピュタゴラスで純正。Esは平均律より+12セント高くとりますとC-Es短三度、Es-G長三度がそれぞれ純正和音になります。

第5小節3拍目:C調のⅤ7和音。すべてピュタゴラスで取りますとピュタゴラス三度が緊張感を高めます。
第6小節:Ⅱの和音C-Es-G。第5小節1拍目と同じで、C,Gはピュタゴラスで純正、VaのEsは平均律より+12セント高くとりますと純正になります。1stVnのEsは横の動きを重視してピュタゴラスで取りたいですが、Vaとオクターブが合わなくなります。縦を重視すると1stVnのEsも高めにとらねばなりません。Va,1stVnともにピュタゴラスのEs(-12c)で緊張を維持することも可能です。

第7小節:B-durのⅤ7和音。全部ピュタゴラスでとると緊迫感、不安感が表現できると思います。

第11小節はチェロのFを見落としていました。仰るようにⅤ7の和音です。失礼しました。

上はあくまでも机上の空論です。和音内部だけの響きの処理になりましたが、フレーズごとの処理も必要かもしれません。更には実践の場では臨機応変な対応が必要になると思います。


jack
>第5小節1拍目:B-durⅡの和音C-Es-G。C,Gは上記ピュタゴラスで>純正。Esは平均律より+12セント高くとりますとC-Es短三度、Es-G長>三度がそれぞれ純正和音になります。
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ここで[39768]
[39768]

Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月04日 06:21
投稿者:jack(ID:OFY3FHg)
海ほたるさん、あいまいな書き方で申し訳ありません。

ピュタゴラスの定義は以下の通りです。T=204c, S=90c、音階は調によらずT+T+S+T+T+T+Sになりオクターブは1200c。(Tは全音、Sは半音、cはセント)。Aを基準にした平均律からの偏差は完全五度下がるごとに-2c(マイナス2セント)ずつ増えていきます。D:-2c、G:-4c、C:-6c,F:-8c、B:-10c,Es:-12c・・・以下Bes:-24cです。一周したBesは基準のAより24c(コンマ)低くなります。#系はA→E→H→Fis→Cisと五度上がるごとに+2c増えていきます。これらの音程は調によらず不変で楽譜が指板上に一対一でマッピングされます。純正五度調弦(702c)されていれば、各指の位置(高さ)はギターのフレットのように横一に並びます。これは子供の初学者にはとても分かりやすいと思います。(純正律ではこううまくは行きませんね)

ピュタゴラス律は旋律に適していますが、和音は三度が濁ります(完全五度は3T+S=702cでどれも純正です)。純正律は三度和音がゼロビートになりますが(不純な三度、五度もありますが)、全音が2種類あるため技術的に演奏が困難で、かつ第3音が低く導音が広いため暗くぼんやりとした感じで音痴っぽく聞こえます。この観点から「旋律はピュタゴラス律、和声は純正」にという良い所取りの発想が生まれたものと思います。一方、和声付けを全て純正では無く、機能和声上のドミナント系はピュタゴラスで緊張を高め、トニック系は純正に取って弛緩・解決への方向感を強調するという考え方もあり得ます。弦楽四重奏の場合はこの辺のポリシーについて4人のコンセンサスを得ることが重要と思います。


ハイドン「日の出」について、私なりの妥協策をセント値を用いて書き直しました。あくまでも案で、これを実行したわけではありません。

第1-4小節:1stVn,Va,Vcは上記ピュタゴラス。2ndVnのDは平均律より-24セント低くとりますとB-durトニックB-D-Fは純正和音(4:5:6のゼロビート)になります。

第5小節1拍目:B-durⅡの和音C-Es-G。C,Gは上記ピュタゴラスで純正。Esは平均律より+12セント高くとりますとC-Es短三度、Es-G長三度がそれぞれ純正和音になります。

第5小節3拍目:C調のⅤ7和音。すべてピュタゴラスで取りますとピュタゴラス三度が緊張感を高めます。
第6小節:Ⅱの和音C-Es-G。第5小節1拍目と同じで、C,Gはピュタゴラスで純正、VaのEsは平均律より+12セント高くとりますと純正になります。1stVnのEsは横の動きを重視してピュタゴラスで取りたいですが、Vaとオクターブが合わなくなります。縦を重視すると1stVnのEsも高めにとらねばなりません。Va,1stVnともにピュタゴラスのEs(-12c)で緊張を維持することも可能です。

第7小節:B-durのⅤ7和音。全部ピュタゴラスでとると緊迫感、不安感が表現できると思います。

第11小節はチェロのFを見落としていました。仰るようにⅤ7の和音です。失礼しました。

上はあくまでも机上の空論です。和音内部だけの響きの処理になりましたが、フレーズごとの処理も必要かもしれません。更には実践の場では臨機応変な対応が必要になると思います。


のEs+12は+9に訂正させて下さい(第6小節のEsも同じです)。ケアレスミス済みません。セント値は簡略化のため四捨五入して整数で扱いましたので、一回の足し算引き算ごとに±1の誤差が累積することがあり注意が必要です。

A基準の平均律からの差分に書き直しますと
          Vc(Es) Va(C) 2ndVn(G) 1stVn(C)
[39789]
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Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月06日 23:18
投稿者:海ほたる(ID:MFdyYyU)
ここの掲示板は、時々アクセスが出来なくなりますが、私だけ?
それから、スレが多くて自分でもどこに書いたのか分からなくなります。自分の書いた文章だけでもサーチしたいのですが、可能ですか?


jackさん

ピュタゴラスの定義や純正律の説明、ありがとうございます。
私の認識と完全に一致しています。

>機能和声上のドミナント系はピュタゴラスで緊張を高め、トニック系は純正に取って弛緩・解決への方向感を強調するという考え方もあり得ます。

なるほど、そういう意味でしたか。私は「機能和声上のドミナント系」と聞いて半終止を思い浮かべますので、何故「弛緩」ではなく「緊張」?と不思
議に思っておりました。どう解釈するかは別として、jackさんの思いは伝わりました。

さて、「日の出」です。お互い「あくまでも机上の空論」であり、「あくまでも(jackさんの)案」であることを承知の上で話をすることにしましょう。
ざっと読んでみたのですが、やっぱり分かりません。長三和音や単三和音の第3音をどう取るのか(即ち、ピュタゴラスか純正律かその他か)という議論以前に、そもそもjackさんの示された-24c、+12c、-12cという数値が良く分かりません。何を基準に取っているのでしょう?
いろいろ思いをめぐらし、基準音を、1:調弦の元となるA、2:この曲の調である変ロ長調の基音であるB、3:各和音の根音、などと試してみたのです
が、どうもうまくいきません。ピュタゴラスの概念が一致しているのに、何故かな??? jackさんの文面からすると、3のような気もしますが・・・でも
数値があっていない・・・それにそもそも3だと横のつながりが全く不明なので奏者がどう弾いていいのか分からなくなりますよね!?

jackさんの思い描いておられるピッチの変動を、私なりの解釈&私なりの表現方法で書いてみます。

基準音はBです。つまりBを0として、そこから数えた音程差をcentで表現します。但し平均律からの差分(つまり100で割った余りの部分)、例えば
702centなら、2centとします。小数点以下は四捨五入。
尚、Aを基準とする場合は、Bとの100centからのずれを考慮する(例えばjackさんのように「Aを導音とみなしBを取る」のなら、-10cent加える)こ
とにより、『換算』出来ます。また根音基準なら、Bとそれぞれの根音をずれを考慮すればOKです。


1~4小節
Vc:0c Va:-14c 2ndVn:2c

5小節1拍目
Vc:-2c Va:4c 2ndVn:6c 1stVn:4c 

5小節3拍目
Vc:8c Va:6c,2c 2ndVn:14c 1stVn:8c

6小節
Vc:4c Va:6c,-2c 2ndVn:4c 1stVn:-2c

7~10小節
Vc:2c Va:10c 2ndVn:2c 

以下、省略


一応私なりに、なるべくjackさんのお考えに沿って書いてみました。jackさんとすれば、何でそうなるの?という部分もあると思います。指摘していた
だければ数値の根拠を書きます。ケアレスミスがあったらすみません。

他の皆様で、何をばかばかしいことをやっているんだ、とお思いの方もたくさんおられると思います。実は私はそのばかばかしさを強調するために敢えてこのような細かい数値を出しています。何故ばかばかしいのかを以下に書きます。

1.ハイドンの日の出のような極めてシンプルな曲でさえも人によりいろんな解釈が成り立ち、かつ多くの矛盾を含んでしまう。たった10小節でさえ!

2.もし、適切な解釈が出来たとしても、それを奏者全員が共有するのは極めて困難。カルテットならまだしも、オケでは不可能。(カルテットでも恐
らく不可能)

3.上記2項が解決されても、そもそも技術的に演奏が困難。(弦楽器や管楽器ではそれほどの精度は出せない。)

という3つの理由により、アンサンブルにおいてピュタゴラスや純正律などの音律を持ち出すのは(ごく一部を除いて)ナンセンスだと思っています。
では、どうするのか! 自分の耳で聞いて心地よい音程を探せばそれでよい、と思っています。

それが私の持論です。

因みに私もカルテットはしょっちゅうやりますが、そもそも音程で議論した記憶は殆どないです。勿論みんなそこそこのレベルですから、音程が気にな
ることはない。というか、音程が気になるやつとは組まないですね。
カルテットの合わせでは、フレージングや音色、アインザッツの揃えなどにほとんどの時間を費やしますし、本番でもそれらに神経を集中させます。
また、カルテットのソロの部分では、若干の音程の自由度がありますが、オケの場合、それをやってしまうと、パートとしてにごってしまいますから、
没個性でいかなくてはいけません。ミやシを高めに、をやりすぎると嫌われます。オケにおいて優先順位を付けるとすれば、アインザッツ、フレージン
グ感、音程でしょうか。というか、音程が悪い人(や、協調性のない人)はそもそも採用されません。

p.s.
私とjackさんの考え方は異なりますが、jackさんの研究熱心さには頭が下がる思いです。
       -12    -6     -4      -6
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Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月04日 06:21
投稿者:jack(ID:OFY3FHg)
海ほたるさん、あいまいな書き方で申し訳ありません。

ピュタゴラスの定義は以下の通りです。T=204c, S=90c、音階は調によらずT+T+S+T+T+T+Sになりオクターブは1200c。(Tは全音、Sは半音、cはセント)。Aを基準にした平均律からの偏差は完全五度下がるごとに-2c(マイナス2セント)ずつ増えていきます。D:-2c、G:-4c、C:-6c,F:-8c、B:-10c,Es:-12c・・・以下Bes:-24cです。一周したBesは基準のAより24c(コンマ)低くなります。#系はA→E→H→Fis→Cisと五度上がるごとに+2c増えていきます。これらの音程は調によらず不変で楽譜が指板上に一対一でマッピングされます。純正五度調弦(702c)されていれば、各指の位置(高さ)はギターのフレットのように横一に並びます。これは子供の初学者にはとても分かりやすいと思います。(純正律ではこううまくは行きませんね)

ピュタゴラス律は旋律に適していますが、和音は三度が濁ります(完全五度は3T+S=702cでどれも純正です)。純正律は三度和音がゼロビートになりますが(不純な三度、五度もありますが)、全音が2種類あるため技術的に演奏が困難で、かつ第3音が低く導音が広いため暗くぼんやりとした感じで音痴っぽく聞こえます。この観点から「旋律はピュタゴラス律、和声は純正」にという良い所取りの発想が生まれたものと思います。一方、和声付けを全て純正では無く、機能和声上のドミナント系はピュタゴラスで緊張を高め、トニック系は純正に取って弛緩・解決への方向感を強調するという考え方もあり得ます。弦楽四重奏の場合はこの辺のポリシーについて4人のコンセンサスを得ることが重要と思います。


ハイドン「日の出」について、私なりの妥協策をセント値を用いて書き直しました。あくまでも案で、これを実行したわけではありません。

第1-4小節:1stVn,Va,Vcは上記ピュタゴラス。2ndVnのDは平均律より-24セント低くとりますとB-durトニックB-D-Fは純正和音(4:5:6のゼロビート)になります。

第5小節1拍目:B-durⅡの和音C-Es-G。C,Gは上記ピュタゴラスで純正。Esは平均律より+12セント高くとりますとC-Es短三度、Es-G長三度がそれぞれ純正和音になります。

第5小節3拍目:C調のⅤ7和音。すべてピュタゴラスで取りますとピュタゴラス三度が緊張感を高めます。
第6小節:Ⅱの和音C-Es-G。第5小節1拍目と同じで、C,Gはピュタゴラスで純正、VaのEsは平均律より+12セント高くとりますと純正になります。1stVnのEsは横の動きを重視してピュタゴラスで取りたいですが、Vaとオクターブが合わなくなります。縦を重視すると1stVnのEsも高めにとらねばなりません。Va,1stVnともにピュタゴラスのEs(-12c)で緊張を維持することも可能です。

第7小節:B-durのⅤ7和音。全部ピュタゴラスでとると緊迫感、不安感が表現できると思います。

第11小節はチェロのFを見落としていました。仰るようにⅤ7の和音です。失礼しました。

上はあくまでも机上の空論です。和音内部だけの響きの処理になりましたが、フレーズごとの処理も必要かもしれません。更には実践の場では臨機応変な対応が必要になると思います。


(訂正) +9    -6     -4      -6

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Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月06日 23:18
投稿者:海ほたる(ID:MFdyYyU)
ここの掲示板は、時々アクセスが出来なくなりますが、私だけ?
それから、スレが多くて自分でもどこに書いたのか分からなくなります。自分の書いた文章だけでもサーチしたいのですが、可能ですか?


jackさん

ピュタゴラスの定義や純正律の説明、ありがとうございます。
私の認識と完全に一致しています。

>機能和声上のドミナント系はピュタゴラスで緊張を高め、トニック系は純正に取って弛緩・解決への方向感を強調するという考え方もあり得ます。

なるほど、そういう意味でしたか。私は「機能和声上のドミナント系」と聞いて半終止を思い浮かべますので、何故「弛緩」ではなく「緊張」?と不思
議に思っておりました。どう解釈するかは別として、jackさんの思いは伝わりました。

さて、「日の出」です。お互い「あくまでも机上の空論」であり、「あくまでも(jackさんの)案」であることを承知の上で話をすることにしましょう。
ざっと読んでみたのですが、やっぱり分かりません。長三和音や単三和音の第3音をどう取るのか(即ち、ピュタゴラスか純正律かその他か)という議論以前に、そもそもjackさんの示された-24c、+12c、-12cという数値が良く分かりません。何を基準に取っているのでしょう?
いろいろ思いをめぐらし、基準音を、1:調弦の元となるA、2:この曲の調である変ロ長調の基音であるB、3:各和音の根音、などと試してみたのです
が、どうもうまくいきません。ピュタゴラスの概念が一致しているのに、何故かな??? jackさんの文面からすると、3のような気もしますが・・・でも
数値があっていない・・・それにそもそも3だと横のつながりが全く不明なので奏者がどう弾いていいのか分からなくなりますよね!?

jackさんの思い描いておられるピッチの変動を、私なりの解釈&私なりの表現方法で書いてみます。

基準音はBです。つまりBを0として、そこから数えた音程差をcentで表現します。但し平均律からの差分(つまり100で割った余りの部分)、例えば
702centなら、2centとします。小数点以下は四捨五入。
尚、Aを基準とする場合は、Bとの100centからのずれを考慮する(例えばjackさんのように「Aを導音とみなしBを取る」のなら、-10cent加える)こ
とにより、『換算』出来ます。また根音基準なら、Bとそれぞれの根音をずれを考慮すればOKです。


1~4小節
Vc:0c Va:-14c 2ndVn:2c

5小節1拍目
Vc:-2c Va:4c 2ndVn:6c 1stVn:4c 

5小節3拍目
Vc:8c Va:6c,2c 2ndVn:14c 1stVn:8c

6小節
Vc:4c Va:6c,-2c 2ndVn:4c 1stVn:-2c

7~10小節
Vc:2c Va:10c 2ndVn:2c 

以下、省略


一応私なりに、なるべくjackさんのお考えに沿って書いてみました。jackさんとすれば、何でそうなるの?という部分もあると思います。指摘していた
だければ数値の根拠を書きます。ケアレスミスがあったらすみません。

他の皆様で、何をばかばかしいことをやっているんだ、とお思いの方もたくさんおられると思います。実は私はそのばかばかしさを強調するために敢えてこのような細かい数値を出しています。何故ばかばかしいのかを以下に書きます。

1.ハイドンの日の出のような極めてシンプルな曲でさえも人によりいろんな解釈が成り立ち、かつ多くの矛盾を含んでしまう。たった10小節でさえ!

2.もし、適切な解釈が出来たとしても、それを奏者全員が共有するのは極めて困難。カルテットならまだしも、オケでは不可能。(カルテットでも恐
らく不可能)

3.上記2項が解決されても、そもそも技術的に演奏が困難。(弦楽器や管楽器ではそれほどの精度は出せない。)

という3つの理由により、アンサンブルにおいてピュタゴラスや純正律などの音律を持ち出すのは(ごく一部を除いて)ナンセンスだと思っています。
では、どうするのか! 自分の耳で聞いて心地よい音程を探せばそれでよい、と思っています。

それが私の持論です。

因みに私もカルテットはしょっちゅうやりますが、そもそも音程で議論した記憶は殆どないです。勿論みんなそこそこのレベルですから、音程が気にな
ることはない。というか、音程が気になるやつとは組まないですね。
カルテットの合わせでは、フレージングや音色、アインザッツの揃えなどにほとんどの時間を費やしますし、本番でもそれらに神経を集中させます。
また、カルテットのソロの部分では、若干の音程の自由度がありますが、オケの場合、それをやってしまうと、パートとしてにごってしまいますから、
没個性でいかなくてはいけません。ミやシを高めに、をやりすぎると嫌われます。オケにおいて優先順位を付けるとすれば、アインザッツ、フレージン
グ感、音程でしょうか。というか、音程が悪い人(や、協調性のない人)はそもそも採用されません。

p.s.
私とjackさんの考え方は異なりますが、jackさんの研究熱心さには頭が下がる思いです。
 はすべてピュタゴラス律で、C-Es短三度は294セント、Es-G長三度は408セントです。ピュタゴラスの三度は濁りますので内声では避けた方が良いというのが私の意見です。

[39768]
[39768]

Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月04日 06:21
投稿者:jack(ID:OFY3FHg)
海ほたるさん、あいまいな書き方で申し訳ありません。

ピュタゴラスの定義は以下の通りです。T=204c, S=90c、音階は調によらずT+T+S+T+T+T+Sになりオクターブは1200c。(Tは全音、Sは半音、cはセント)。Aを基準にした平均律からの偏差は完全五度下がるごとに-2c(マイナス2セント)ずつ増えていきます。D:-2c、G:-4c、C:-6c,F:-8c、B:-10c,Es:-12c・・・以下Bes:-24cです。一周したBesは基準のAより24c(コンマ)低くなります。#系はA→E→H→Fis→Cisと五度上がるごとに+2c増えていきます。これらの音程は調によらず不変で楽譜が指板上に一対一でマッピングされます。純正五度調弦(702c)されていれば、各指の位置(高さ)はギターのフレットのように横一に並びます。これは子供の初学者にはとても分かりやすいと思います。(純正律ではこううまくは行きませんね)

ピュタゴラス律は旋律に適していますが、和音は三度が濁ります(完全五度は3T+S=702cでどれも純正です)。純正律は三度和音がゼロビートになりますが(不純な三度、五度もありますが)、全音が2種類あるため技術的に演奏が困難で、かつ第3音が低く導音が広いため暗くぼんやりとした感じで音痴っぽく聞こえます。この観点から「旋律はピュタゴラス律、和声は純正」にという良い所取りの発想が生まれたものと思います。一方、和声付けを全て純正では無く、機能和声上のドミナント系はピュタゴラスで緊張を高め、トニック系は純正に取って弛緩・解決への方向感を強調するという考え方もあり得ます。弦楽四重奏の場合はこの辺のポリシーについて4人のコンセンサスを得ることが重要と思います。


ハイドン「日の出」について、私なりの妥協策をセント値を用いて書き直しました。あくまでも案で、これを実行したわけではありません。

第1-4小節:1stVn,Va,Vcは上記ピュタゴラス。2ndVnのDは平均律より-24セント低くとりますとB-durトニックB-D-Fは純正和音(4:5:6のゼロビート)になります。

第5小節1拍目:B-durⅡの和音C-Es-G。C,Gは上記ピュタゴラスで純正。Esは平均律より+12セント高くとりますとC-Es短三度、Es-G長三度がそれぞれ純正和音になります。

第5小節3拍目:C調のⅤ7和音。すべてピュタゴラスで取りますとピュタゴラス三度が緊張感を高めます。
第6小節:Ⅱの和音C-Es-G。第5小節1拍目と同じで、C,Gはピュタゴラスで純正、VaのEsは平均律より+12セント高くとりますと純正になります。1stVnのEsは横の動きを重視してピュタゴラスで取りたいですが、Vaとオクターブが合わなくなります。縦を重視すると1stVnのEsも高めにとらねばなりません。Va,1stVnともにピュタゴラスのEs(-12c)で緊張を維持することも可能です。

第7小節:B-durのⅤ7和音。全部ピュタゴラスでとると緊迫感、不安感が表現できると思います。

第11小節はチェロのFを見落としていました。仰るようにⅤ7の和音です。失礼しました。

上はあくまでも机上の空論です。和音内部だけの響きの処理になりましたが、フレーズごとの処理も必要かもしれません。更には実践の場では臨機応変な対応が必要になると思います。


(訂正)ではC-Es短三度は315セント、Es-G長三度は387セントとほぼ純正となります。
[39814]

Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月08日 22:53
投稿者:海ほたる(ID:MFdyYyU)
jackさん

>ここで[39768]
[39768]

Re: 旋律の背後に和声があると旋律は純正律になるのか?

投稿日時:2009年04月04日 06:21
投稿者:jack(ID:OFY3FHg)
海ほたるさん、あいまいな書き方で申し訳ありません。

ピュタゴラスの定義は以下の通りです。T=204c, S=90c、音階は調によらずT+T+S+T+T+T+Sになりオクターブは1200c。(Tは全音、Sは半音、cはセント)。Aを基準にした平均律からの偏差は完全五度下がるごとに-2c(マイナス2セント)ずつ増えていきます。D:-2c、G:-4c、C:-6c,F:-8c、B:-10c,Es:-12c・・・以下Bes:-24cです。一周したBesは基準のAより24c(コンマ)低くなります。#系はA→E→H→Fis→Cisと五度上がるごとに+2c増えていきます。これらの音程は調によらず不変で楽譜が指板上に一対一でマッピングされます。純正五度調弦(702c)されていれば、各指の位置(高さ)はギターのフレットのように横一に並びます。これは子供の初学者にはとても分かりやすいと思います。(純正律ではこううまくは行きませんね)

ピュタゴラス律は旋律に適していますが、和音は三度が濁ります(完全五度は3T+S=702cでどれも純正です)。純正律は三度和音がゼロビートになりますが(不純な三度、五度もありますが)、全音が2種類あるため技術的に演奏が困難で、かつ第3音が低く導音が広いため暗くぼんやりとした感じで音痴っぽく聞こえます。この観点から「旋律はピュタゴラス律、和声は純正」にという良い所取りの発想が生まれたものと思います。一方、和声付けを全て純正では無く、機能和声上のドミナント系はピュタゴラスで緊張を高め、トニック系は純正に取って弛緩・解決への方向感を強調するという考え方もあり得ます。弦楽四重奏の場合はこの辺のポリシーについて4人のコンセンサスを得ることが重要と思います。


ハイドン「日の出」について、私なりの妥協策をセント値を用いて書き直しました。あくまでも案で、これを実行したわけではありません。

第1-4小節:1stVn,Va,Vcは上記ピュタゴラス。2ndVnのDは平均律より-24セント低くとりますとB-durトニックB-D-Fは純正和音(4:5:6のゼロビート)になります。

第5小節1拍目:B-durⅡの和音C-Es-G。C,Gは上記ピュタゴラスで純正。Esは平均律より+12セント高くとりますとC-Es短三度、Es-G長三度がそれぞれ純正和音になります。

第5小節3拍目:C調のⅤ7和音。すべてピュタゴラスで取りますとピュタゴラス三度が緊張感を高めます。
第6小節:Ⅱの和音C-Es-G。第5小節1拍目と同じで、C,Gはピュタゴラスで純正、VaのEsは平均律より+12セント高くとりますと純正になります。1stVnのEsは横の動きを重視してピュタゴラスで取りたいですが、Vaとオクターブが合わなくなります。縦を重視すると1stVnのEsも高めにとらねばなりません。Va,1stVnともにピュタゴラスのEs(-12c)で緊張を維持することも可能です。

第7小節:B-durのⅤ7和音。全部ピュタゴラスでとると緊迫感、不安感が表現できると思います。

第11小節はチェロのFを見落としていました。仰るようにⅤ7の和音です。失礼しました。

上はあくまでも机上の空論です。和音内部だけの響きの処理になりましたが、フレーズごとの処理も必要かもしれません。更には実践の場では臨機応変な対応が必要になると思います。


のEs+12は+9に訂正させて下さい

了解しました。jackさんが「+12」に私の考えの及ばない何かをこめられたのかと思っていました。
他にjackさんの数値に不明な点はありません。音律の定義について同じ考えを共有している訳ですから、最終的には一致するでしょうね。

それから私が5小節1拍目で「Vc:-2c」としたのは、「C-Es短三度をピュタゴラスにしようとした」のではなく、「B-durを純正律として、その第4音(Es)を採用した」のです。つまり鍵盤楽器のようにピッチが固定と見なしたのです。基音(B)から数えると第4音(Es)はピュタゴラスでも純正律でも498cent上です。なので、Vc:498-500=-2 としました。
何故音程を自由に取れる弦楽器なのにわざわざピッチを固定にするの?、と仰るかもしれません。私は和音をその都度純正にあるいはピュタゴラス的?に取るというやり方には無理があると思っています。
「いや、普通は無意識のうちにそうしている」と仰るかもしれません。しかし、例えば最初の4小節間の主和音の伸ばしなら、第3音(D)を他の音に合わせて臨機応変に「ちょっと低めに」出来るでしょうが、5小節目の一瞬のアコードでは臨機応変に「Esをちょっと高めに」出来ないでしょう。「いや、そのために事前に打ち合わせをするのだ、」と仰るかもしれません。でも前にも書きましたが、曲全体にわたり事前に解析しかつ奏者全員が共通意識を持つことは、およそ不可能と考えます。日の出のような極めてシンプルな曲でさえです。更には、「和音の響きを優先するため同じ音なのにピッチがずれる」という厄介な現象も出てきます。
今回の二度の和音のケースです。jackさんも良くご存知とは思いますが、純正律においては二度の和音にすべての矛盾のしわ寄せが集まっています。それをいじると別のところに矛盾が生じます。勿論私はピッチ固定が良いといっている訳でもありません。二度の和音の響きの悪さゆえに、鍵盤楽器で純正律が使えないのですから。

Aに対してBのピッチをどう取るとか、各和音をピュタゴラスで取るのか純正でとるのか、というのは些細なことだと思います。

前にも書きましたが、「ごく一部を除いてアンサンブルにおいてピュタゴラスや純正律などの音律を持ち出すのはナンセンス」というのが私の持論であり、そのことこそが私とjackさんの違いだと思います。
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