渡辺茂夫 / Shigeo Watanabe | ヴァイオリン演奏家ライブラリ

戦後日本に彗星のごとく現れた天才少年ヴァイオリニスト。4歳半よりアウアー流派の教授法を研究した父季彦氏より薫陶を受けた。13歳のとき、当時来日していたヤッシャ・ハイフェッツに謁見し、才能を高く評価される。その後ハイフェッツによる熱心な推薦で無試験でジュリアード音楽院へ入学し、アイヴァン・ガラミアンに師事。アメリカでもその才能は高く評価されるも、ガラミアンとの意見の不一致や戦後間もない日米間の微妙な空気などから精神不安となり1957年自殺未遂(真相は謎とされる)、演奏活動の続行は不可能となった。

この悲劇的かつ伝説的な神童の演奏は渡米前、渡米中の録音がいくつか残されており、その類稀な音楽性を窺い知ることができる。演奏活動を続けていれば間違いなく世界的なヴァイオリニストに成長したと思われ、残念この上ないことである。