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ストラディヴァリの板の厚みについて | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 30 Comments
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ストラディヴァリの板の厚みについて

投稿日時:2012年07月30日 07:49
投稿者:サブリナ(ID:NCkGaZU)
やはりスレ違いぽいので、改めて立てさせていただきました。
以下、転載です。


板の厚みが薄い厚いの話について、よく聞く話といくつかの資料では、ストラディヴァリの板は現代の製作者が基準と考えている厚みよりも薄いそうですが、現代の新作で同じような厚みにしてはいけない理由は何でしょうか?
人によっては、ストラディヴァリはもともと板が厚かったのを、後世の職人が修理の際に削ったので薄くなったという事を言いますが、何故薄く削ったのでしょう?
また、強度についても、経年で板が丈夫になったので削る事ができた という話を聞いた事もありますが、では、どのタイミングで丈夫になったと、何をもって判断して削ったのでしょう?

もしご存知の方がいらっしゃったら教えていただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
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【ご参考】
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Re: ストラディヴァリの板の厚みについて

投稿日時:2012年07月31日 12:36
投稿者:両刀使い(ID:NSFzYEc)
有名楽器商から直接聞いた話を書きます。ストラディヴァリの時代はいわゆる「バロックヴァイオリン」の時代であり、ネックが短く角度もゆるく、弦は裸のガット線、そしてピッチが低く、楽器にかかる圧力は今よりも小さかったのです。だから、板が薄くても当時は問題なかったのです。
その後、「モダンヴァイオリン」の時代になり、楽器にかかる圧力が大きくなったために、新作楽器では板を厚くする必要性が生じました。しかし、ストラディヴァリなどのオールド楽器は、もうその時代はすでに木の組織がしっかり固まっていたために、そのままの板厚でモダン楽器に改造することができたのではないかとのことです。

また、「板が薄い=良く鳴る」と信じた製作家が、古い名器の板を薄く削りすぎてしまった話は、渡辺恭三の「ヴァイオリンの銘器」に書かれています。
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Re: ストラディヴァリの板の厚みについて

投稿日時:2012年07月31日 22:55
投稿者:catgut(ID:MxhxmTY)
Stewart PollensのStradivariという本に以下の記述があります。

p129
In his own manuscript on violin making dated 1786, Marchi confirms that many violins had been thinned and also notes that others had been fitted with patches to add thickness in order to improve the tone

かつては銘器といえども修理職人が音を良くしようとして板を削ったり、逆にパッチで厚みを増したりすることは珍しくなかったそうです。
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Re: ストラディヴァリの板の厚みについて

投稿日時:2012年07月31日 23:53
投稿者:サブリナ(ID:NCkGaZU)
>両刀使い様

なるほど興味深いお話です。ありがとうございました。
確か、バロックからモダンへの改造は、1800年前後に行われていたと記憶していますが、この場合、ストラディヴァリが作った楽器は、製作から100年前後経過していたと考えられます。100年で木の組織がしっかりしたと考えると、100年寝かせた材料を使う事で、ストラディヴァリと同じ厚みで製作する事は可能になるという、大雑把な言い方もできますね。また、やたら頑丈に、分厚く製作されているモダンの楽器でも、1900年あたりに製作されたものに関しては、ストラディヴァリと同じくらいの厚みまで落としても、何ら問題がないとも言えるとおもいます。
勿論、それで同じ音がするとかいう話ではないと思いますが・・・。


>catgut様

情報をありがとうございます。
減らされた分を増やす、というような、プラスマイナス0の修理であっても、一度削ったものを別な木で補修するという修理は、元に戻すというのとはちょっと違うと思いますし、オリジナルがどうであったかがわからなくなってしまっている場合、修理を担当した職人の腕次第で、名器も台無しになる場合と、より良い状態になる場合とあるのでしょうね。
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Re: ストラディヴァリの板の厚みについて

投稿日時:2012年08月01日 00:11
投稿者:catgut(ID:MxhxmTY)
300年も経つと厚さ3mmのスプルースが2mm程度にまで自然に収縮するということはないのでしょうか?
程度はともかく多少は収縮するのでは。
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Re: ストラディヴァリの板の厚みについて

投稿日時:2012年08月01日 00:45
投稿者:サブリナ(ID:NCkGaZU)
>catgut様

なるほど、木が痩せるという事ですね。
どの程度のスピードで痩せるのかがわからないのでなんとも言えませんが、一般に針葉樹は、天地:半径:円周方向に、1:5:10の収縮比だそうです。この通りなら、一番減るのは板厚になりますね。

話は別になりますが、デルジェズのカノンをマンテガッツァが開けて削った話がありましたが、削った上で現在の(ポスターや本などに見られる)厚みですから、(どれほど削ったかはいずれにせよ)当時は相当鳴らしにくい楽器だったでしょうね。現存のストラディヴァリと比べても、同じバロック仕様だった楽器としては、あまりにも厚みがありすぎる気がします。
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Re: ストラディヴァリの板の厚みについて

投稿日時:2012年08月01日 00:48
投稿者:父娘Vn(ID:KJSGcgg)
catgut氏といえば、この掲示板常連中最強の、文献学的検証の人でありませんか。ぜひ文献学的に御願いします。マジメに、期待します。
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Re: ストラディヴァリの板の厚みについて

投稿日時:2012年08月02日 10:10
投稿者:たく(ID:MZmFRSY)
木の含水率と収縮率は以下のよう理解しているのですが、間違いでしょうか。

 ①木材を切り倒した段階では、含水率は概ね50%(条件により若干違います)程度です。
 ②木材の水分は、自由水と結合水に分類されます。
 ③含水率は数か月から数年間(木材の種類・乾燥の環境条件等によりかなり変動があるようです)で50%から30%程度まで減少します。この水を自由水と言います。自由水が抜けている段階では、木材は収縮しないそうです。
 ④含水率が30%以下になると、細胞壁の接合水が抜けだします。
 ⑤日本の場合の、平均平衡含水率は15%程度です。自由水が抜けてから概ね10年程度で、この範囲まで達成します。
 ⑥木材の含水率は概ね15%程度ですが、当然季節により数%の増減があります。

木材の含水率を人工的に平均均衡含水率15%から含水率0%まで減少させた場合(自然乾燥では起こりえませんが)、収縮率は概ね7.5%(接線方向)ですので、仮に、ストラディバリウスが3mmの厚みで製作した場合、3mm×7.5/100=0.225mmの収縮で、板厚は、3-0.225=2.775mm となると思います。

しっかりシーズニングされた木材を使用される場合、3mmから2mmまで板厚が減少するとうより、ほどんど変化していないのではないかと思うのですが、いかがなのでしょうか。

どなかた詳しい方いらっしゃったらお教えください。
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Re: ストラディヴァリの板の厚みについて

投稿日時:2012年08月02日 11:15
投稿者:サブリナ(ID:NCkGaZU)
>たく様

情報ありがとうございます。
人工的に0%まで含水率を落としても、0.2ミリの収縮ですか。なるほど、自然のままの場合、ほぼ変化なしに近いようですね。

スプルースとメープルでも収縮率はちがったりするのでしょうが、これは専門分野の方でないと詳しい事はわからないかもしれないですね。
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Re: ストラディヴァリの板の厚みについて

投稿日時:2012年08月02日 12:42
投稿者:たく(ID:MZmFRSY)
収縮率は、材質によって違います。
楽器に使用されるスプルース及びメープルのデータは持っていませんが、収縮は木材の細胞壁の接合水が抜け出た結果ですので、木材の細胞壁の厚みの違いで収縮率は変わります。
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