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surface sound って何? | ヴァイオリン掲示板

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surface sound って何?

投稿日時:2009年10月03日 17:06
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
別スレで話題の一つになっている本タイトルの件、分離した方がよいと思い、新しくスレを立てました。
”surface sound ”の定義については、catgutさんが再度、整理の上書き込んでくださると思いますので、それを待ちます。

それが、軽く引っ掛けてオクターブ上の音を出すものであれば、先ほどから試していますが、結構簡単に出るので、余興含め使い勝手は良さそうです。
どちらかと言えば、指板寄りよりも、駒寄りを、引っ掛けを弱くして軽く速く弾く方がオクターブ上の音は出しやすく、その感覚をマスターした上で弾く場所を選べば指板寄りでもオクターブ上の音が出るようです。
また駒寄りでその音を出した直後は、弦がその振動モードに入っているのか、指板寄りで出しやすくなりますね。

「春の海」を弾く時に、これを使うと尺八風に弾けそうなので、いろいろと遊べそうです。
Pochiさんご指南のホーミー奏法もだいぶマスターし、オクターブ下の音もある程度出せるようになったので、それに加えてこのオクターブ上の音も駆使すれば、聴き手が目を丸くするような楽しい曲が出来そうです。

なお、一瞬であれば、この音は、弓の毛が、動き始めて弦から離れるまでの間の、振動モードが通常モードに入る前後には、結構混じるような気がしますので、音の立ち上がりや切り際の音作りのバリエーションの中では、演奏者の出したい音のイメージには折り込み済であって、無意識に使いこなされているもののように感じます。
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Re: surface sound って何?

投稿日時:2009年10月11日 15:18
投稿者:新顔の通りすがり(ID:FIMxcgk)
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Re: surface sound って何?

投稿日時:2009年10月11日 12:56
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
>そろそろあなたが… さま、

カール・フレッシュが「ヴァイオリン演奏の技法」でロシア奏法を推奨し、
「音量のために圧力を使ってはいけない。圧力を使うのは特殊なケース
だけだ」と書いているのを確認した上で、私はカール・フレッシュにまだ
子供のころに師事したイダ・ヘンデルが確かにロシア奏法に近く、現に
圧力を使わない奏法で弾いていることをこの目と耳で確認しているの
です。

あなたはいったい何をされたのでしょうか。具体的な反論があるのでし
ょうか。


新顔の通りすがりさま、
Yung Chin氏は”弓の一職人"というわけではなく、弓に関する多くの
記事執筆でも有名だそうです。例えばmaestronetで"”yung chin"で
検索すると208件ヒットします。Oberlin Bowmaking workshopのディレ
クターでもある(前掲記事執筆当時)そうです。


カルボナーレさま、
「ガラミアン奏法」では"firmer contact between the bow hair and
string"なのですから、それ以前は当然弓と弦をそれほど押し付け
ない(弓の圧力が弱い)奏法が普通だったわけですよね。これが
"surface sound"の発生条件であることは言うまでもありません。
 catgut氏
>>>Yung Chin氏は”弓の一職人"というわけではなく、弓に関する多くの記事執筆でも有名だそうです。
---
ご教示感謝します。だいぶ多角経営のやり手の方ですね。

私の周辺はサルトリじゃなく、ペカットスクール崇拝者が多いのですよ。大変大きな音がすると思います。フロッシュの高さも好ましいし、材質が最高なのがこの時代です。それ以後急速に材質が低下します。
"a firmer bow grip"
の人は居ないよなー。若い人にはいますけれど、修行すれば軽い握りに変わってくれますよ、じゃなきゃずっと弾くのは無理です。
----
An Amerian scool of playing had held sway for the past 40 to 50 years.
----
ご紹介の論文は、アメリカ風のボーイングが支配的と書いている点で、大いに異論がありえます。ヨーロッパやソヴィエトの弓使いはジュリアードと違うでしょ。パールマンやレビーン、ズーカーマンばっかりがヨーロッパで尊敬されたとは思われません。レビーンには確か否定的な論評を読んだ記憶があります(誰だっけ、ハルトナックかな)。ウィーン人が愛したのはオイストラフですし。
 日本では小野アンナ先生門下はロシア式に違いないでしょう。江藤先生はジンバリストですし…。日本の現役一流奏者でアメリカ奏法(ってのがあるとして)ばりばりは、誰かな。ご存知でしたら教えてください。身近にジュリアード卒いないんですよ。交際狭いからなぁ(笑)。

サルトリの値段が上がっているという指摘はカルボナーレ氏に近い感想を私も持っています。私も若い頃ならサルトリを好んだかも知れません。いまは大嫌いなのですが…
ところで surface sound 問題はどうなったのですか?
ロシア式だとそうなるのか、トゥルテの弓だとなるとか(爆)。
イダ・ヘンデルさんは生で聴いて surface sound 出していましたか?
[41515]

Re: surface sound って何?

投稿日時:2009年10月11日 18:16
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
失礼いたしました。[41509]
[41509]

Re: surface sound って何?

投稿日時:2009年10月11日 12:42
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
突然、catgutさんが弓の話を持ち出した理由がよくわかりません。何をいいたいのでしょうか。その前の論点については、反論は特にないので、白旗をあげたと解釈してよろしいですか。

さて、ガラミアン(1903 – 1981)は、教師となったのは1925年頃、米国移住は1937年、1944年にカーティス、1946年にジュリアードの主任教授として1962年に例の教本が出ています。

一方、E.サルトリー(1871-1946)は1910年までに世界中の多くのコンクールで優勝をし、 1911年に製作に集中するため工房をシテ島に構えるようになります。渡米は、1920年。従って、ガラミアンの教え方はまったく意識せず、自分の感性および身近&ユーザであった演奏者からの意見&要望でのフィードバックにより、1910頃には自分のスタイルを確立していたと思われます。従って、演奏側という要望という点では、1900年初頭前後の演奏者が新作弓に求めたものと考えられます。
サルトリーの型として好んで使われた例をあげられるのであれば、同時代の同じく評価の高かった弓製作者でその型が。ガラミアンの系譜に属する演奏者に敬遠された例をあげていただけますか。

1950年以降になると、E.サルトリーが賞をとり絶賛されていた頃に作られていた弓は、出来て50年以上立ちますので、新作臭さはなくなり、そこそこ成熟した音を出すようになります。(ヴァイオリンで言えば、パガニーニがカノン(1842年)を使い始めたのがカノンが60歳くらいの時ですので、やっと古い楽器に対抗できる成熟した音が出始めた頃でした。)当時、比較的安価でかつしっかりした音が出るという点で、トルテやペカットが高価で使えない、あるいはサブの弓として使っているような演奏者には重宝されたのではないかと思います。

今、新作弓として評判のよい超著名製作者の弓も、数十年たつと、そのような扱い方をされるように思います。
での私の発言で、誤解を与えるタイプミスがありましたので修正します。
>ヴァイオリンで言えば、パガニーニがカノン(1842年)を使い始めたのが
の1842は、1742の誤りです。(1802年にパガニーニの手に渡ったようです。)
[41521]

Re: surface sound って何?

投稿日時:2009年10月11日 21:23
投稿者:catgut(ID:EUiWmHM)
>あなたはいったい何を・・・ さま、
まだずいぶんお若い方のようですね。
ミルシテインは、ヴァイオリンを弾くためには練習するのは当然として、
自分で徹底的に考えなさいと言っています。私はミルシテインに従う
ことにしましょう。
[41522]

Re: surface sound って何?

投稿日時:2009年10月11日 22:06
投稿者:>41521(ID:QVI0F3I)
それはどうも。

考えるのはいいけど、それを口に出す(書き込む)時には、
もっと慎重になるべきですね。

せいぜい「早計」「付け焼刃」「生兵法」にならないようにね。
[41530]

Re: surface sound って何?

投稿日時:2009年10月12日 02:39
投稿者:通りすがり(ID:GUZVdBU)
catgutサン

結局 surface sound って何なのですか?

カルボナーレ様の質問に答えられないばかりに、
弓の話を持ち出してごまかしているようにしか見えません。
誤魔化そうとして変なことを書いたばかりに、あらぬ方面から突っ込みが入り収集がつかなくなっていますね。

本題に戻ってください。
[41534]

Re: surface sound って何?

投稿日時:2009年10月12日 11:32
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
double-slipping を考える前に、Helmholtz motion のことをきちんと知りたくて、今調べているところです。

セロ轢きのGosh さんのご紹介の論文も読んでみました。
また、安藤由典氏(私にとっては第1講座の教授→学長ですが)の著書「楽器の音響学」、「楽器の音色を探る」の関連箇所を読んでみました。以下、受け売りとなるかもしれませんが、私の現時点での理解を書きます。

Helmholtz motion は、ヘルムホルツが最初に実験して仮定した、擦弦楽器の振動モデルのことでしょうが、よい日本語がありませんね。
一方向の運動が、左右の振動(それも正弦ではない三角の振動)に変換されるメカニズムはまだ私自身わかっておらず、おいおい文献を探してみていこうと思います。「直流→交流変換」のようなものという書き込みもあり、ぼんやりとはわかるのですが、きちんとはまだわかりません。この振動モードについては、明確な定義と、適切な用語の設定がまず必要かと思います。

鋸歯状波(一瞬でまっすぐ立ち上がり、時間をかけて直線的に下がって行き、落ち切ったところでまたまっすぐ立ち上がる振動)では、30倍音程度までまんべんなく各倍音が得られ(=倍音が豊富)であり、実際の弦の振動がその鋸歯状波の形に近づけば近づくほど倍音の豊富な音になります。
ヴァイオリンの弦の振動は、鋸歯状波に近いのですが、立ち上がりがまっすぐ立ち上がるのではなく、なまって時間をかけて立ち上がります。
立ち上がり(スリップして弦が戻る期間)と、直線的に下がる下降部(弓が弦を引っ張っている期間)の時間比は、どの位置を擦るかと密接に関係があります。全体を1として、駒からの距離をAとすると、A:(1-A)がほぼ、立ち上がりと、下降部の時間の時間比となります。
従って、弾く位置を駒に近づけるほど、Aは短くなり、鋸歯状波に近づき、倍音が多くなります。

また、擦る位置(駆動点)が弦長の1/nの時、n次倍音付近が谷となります。(音量的にへこみます。)
弾く位置を駒に近づけるほど、nは大きくなりますので、非常に高い周波数の倍音がへこみ、可聴域の倍音はへこまなくなります。駒から離して行くと、可聴域の倍音がへこんできます。これで音色コントロールができます。

これが、一番基本的な振動モードにおいて、駒寄りを弾くと倍音が増えるということの、理論的な説明かと思います。直接的には、圧力は関係なく、弦の駆動場所が関係する話です。

以下、上記文献には書いていませんので、私の私見です。
一方、駒寄りで駆動させようとすると、てこの原理?で、駒から離れた位置を弾く時より、大きな力が必要となります。一方移動距離としては少なくてすみます。その他、弦の弾性とか、弦のその位置でのテンションとか、いろいろなパラメータがあるのでしょうが、同じだけの振幅を得ようとすると、駒寄りでは圧力が必要で、スピードは指板寄りに比べ少なくてすむということがわかります。(自転車の変速機をイメージすればわかるでしょう。)これは私の私見ですが、この時の圧力不足の音が、"Surface Sound"と言われるのではないかと思います。catgutさん提示のグラフでも駒寄りほど圧力不足になるので、きちんと鳴らすには力がいることがわかります。

また、double-slippingでの倍音を説明する場合は、上記とごっちゃにすることなく、上記に対し、どのような理由でどの倍音がどのように増えるのか、という明確な差分を語り切らないといけません。
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Re: surface sound って何?

投稿日時:2009年10月12日 20:13
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:IYhIMTc)
[41534]
[41534]

Re: surface sound って何?

投稿日時:2009年10月12日 11:32
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
double-slipping を考える前に、Helmholtz motion のことをきちんと知りたくて、今調べているところです。

セロ轢きのGosh さんのご紹介の論文も読んでみました。
また、安藤由典氏(私にとっては第1講座の教授→学長ですが)の著書「楽器の音響学」、「楽器の音色を探る」の関連箇所を読んでみました。以下、受け売りとなるかもしれませんが、私の現時点での理解を書きます。

Helmholtz motion は、ヘルムホルツが最初に実験して仮定した、擦弦楽器の振動モデルのことでしょうが、よい日本語がありませんね。
一方向の運動が、左右の振動(それも正弦ではない三角の振動)に変換されるメカニズムはまだ私自身わかっておらず、おいおい文献を探してみていこうと思います。「直流→交流変換」のようなものという書き込みもあり、ぼんやりとはわかるのですが、きちんとはまだわかりません。この振動モードについては、明確な定義と、適切な用語の設定がまず必要かと思います。

鋸歯状波(一瞬でまっすぐ立ち上がり、時間をかけて直線的に下がって行き、落ち切ったところでまたまっすぐ立ち上がる振動)では、30倍音程度までまんべんなく各倍音が得られ(=倍音が豊富)であり、実際の弦の振動がその鋸歯状波の形に近づけば近づくほど倍音の豊富な音になります。
ヴァイオリンの弦の振動は、鋸歯状波に近いのですが、立ち上がりがまっすぐ立ち上がるのではなく、なまって時間をかけて立ち上がります。
立ち上がり(スリップして弦が戻る期間)と、直線的に下がる下降部(弓が弦を引っ張っている期間)の時間比は、どの位置を擦るかと密接に関係があります。全体を1として、駒からの距離をAとすると、A:(1-A)がほぼ、立ち上がりと、下降部の時間の時間比となります。
従って、弾く位置を駒に近づけるほど、Aは短くなり、鋸歯状波に近づき、倍音が多くなります。

また、擦る位置(駆動点)が弦長の1/nの時、n次倍音付近が谷となります。(音量的にへこみます。)
弾く位置を駒に近づけるほど、nは大きくなりますので、非常に高い周波数の倍音がへこみ、可聴域の倍音はへこまなくなります。駒から離して行くと、可聴域の倍音がへこんできます。これで音色コントロールができます。

これが、一番基本的な振動モードにおいて、駒寄りを弾くと倍音が増えるということの、理論的な説明かと思います。直接的には、圧力は関係なく、弦の駆動場所が関係する話です。

以下、上記文献には書いていませんので、私の私見です。
一方、駒寄りで駆動させようとすると、てこの原理?で、駒から離れた位置を弾く時より、大きな力が必要となります。一方移動距離としては少なくてすみます。その他、弦の弾性とか、弦のその位置でのテンションとか、いろいろなパラメータがあるのでしょうが、同じだけの振幅を得ようとすると、駒寄りでは圧力が必要で、スピードは指板寄りに比べ少なくてすむということがわかります。(自転車の変速機をイメージすればわかるでしょう。)これは私の私見ですが、この時の圧力不足の音が、"Surface Sound"と言われるのではないかと思います。catgutさん提示のグラフでも駒寄りほど圧力不足になるので、きちんと鳴らすには力がいることがわかります。

また、double-slippingでの倍音を説明する場合は、上記とごっちゃにすることなく、上記に対し、どのような理由でどの倍音がどのように増えるのか、という明確な差分を語り切らないといけません。
 カルボナーレさん、

拍手 拍手!
小生そこまでは読みきれませんでしたが、言われてみると「なるほど!」な解釈ですね。 議論とは(検証にせよ反論にせよ)斯くありたいものです。
[41539]

Re: surface sound って何?

投稿日時:2009年10月12日 22:45
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:IYhIMTc)
「楽器の音響学」、「楽器の音色を探る」未読なのでなんですが、あまりに面白そうなので思わず Excel で遊んでしまいました:

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Re: surface sound って何?

投稿日時:2009年10月12日 11:32
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
double-slipping を考える前に、Helmholtz motion のことをきちんと知りたくて、今調べているところです。

セロ轢きのGosh さんのご紹介の論文も読んでみました。
また、安藤由典氏(私にとっては第1講座の教授→学長ですが)の著書「楽器の音響学」、「楽器の音色を探る」の関連箇所を読んでみました。以下、受け売りとなるかもしれませんが、私の現時点での理解を書きます。

Helmholtz motion は、ヘルムホルツが最初に実験して仮定した、擦弦楽器の振動モデルのことでしょうが、よい日本語がありませんね。
一方向の運動が、左右の振動(それも正弦ではない三角の振動)に変換されるメカニズムはまだ私自身わかっておらず、おいおい文献を探してみていこうと思います。「直流→交流変換」のようなものという書き込みもあり、ぼんやりとはわかるのですが、きちんとはまだわかりません。この振動モードについては、明確な定義と、適切な用語の設定がまず必要かと思います。

鋸歯状波(一瞬でまっすぐ立ち上がり、時間をかけて直線的に下がって行き、落ち切ったところでまたまっすぐ立ち上がる振動)では、30倍音程度までまんべんなく各倍音が得られ(=倍音が豊富)であり、実際の弦の振動がその鋸歯状波の形に近づけば近づくほど倍音の豊富な音になります。
ヴァイオリンの弦の振動は、鋸歯状波に近いのですが、立ち上がりがまっすぐ立ち上がるのではなく、なまって時間をかけて立ち上がります。
立ち上がり(スリップして弦が戻る期間)と、直線的に下がる下降部(弓が弦を引っ張っている期間)の時間比は、どの位置を擦るかと密接に関係があります。全体を1として、駒からの距離をAとすると、A:(1-A)がほぼ、立ち上がりと、下降部の時間の時間比となります。
従って、弾く位置を駒に近づけるほど、Aは短くなり、鋸歯状波に近づき、倍音が多くなります。

また、擦る位置(駆動点)が弦長の1/nの時、n次倍音付近が谷となります。(音量的にへこみます。)
弾く位置を駒に近づけるほど、nは大きくなりますので、非常に高い周波数の倍音がへこみ、可聴域の倍音はへこまなくなります。駒から離して行くと、可聴域の倍音がへこんできます。これで音色コントロールができます。

これが、一番基本的な振動モードにおいて、駒寄りを弾くと倍音が増えるということの、理論的な説明かと思います。直接的には、圧力は関係なく、弦の駆動場所が関係する話です。

以下、上記文献には書いていませんので、私の私見です。
一方、駒寄りで駆動させようとすると、てこの原理?で、駒から離れた位置を弾く時より、大きな力が必要となります。一方移動距離としては少なくてすみます。その他、弦の弾性とか、弦のその位置でのテンションとか、いろいろなパラメータがあるのでしょうが、同じだけの振幅を得ようとすると、駒寄りでは圧力が必要で、スピードは指板寄りに比べ少なくてすむということがわかります。(自転車の変速機をイメージすればわかるでしょう。)これは私の私見ですが、この時の圧力不足の音が、"Surface Sound"と言われるのではないかと思います。catgutさん提示のグラフでも駒寄りほど圧力不足になるので、きちんと鳴らすには力がいることがわかります。

また、double-slippingでの倍音を説明する場合は、上記とごっちゃにすることなく、上記に対し、どのような理由でどの倍音がどのように増えるのか、という明確な差分を語り切らないといけません。
カルボナーレ さん、
ちょっと注文つけても良いですか?
 ①  理想化した Helmholtz Motion、現実の弦の運動、どっちの話をしているのか
 ② 弓との接点での弦の運動、駒にかかる力、聞こえる音、どの話をしているのか
を明示いただけると大変ありがたいです。

Helmholtz Motion というモデルはエネルギーの散逸を度外視していると思います。 ですから当然弓からの入力も無視される訳です。 また、弦の剛性を無視(微分不可能な点があることを許容)しているのもミソです。 (多分、です。 突っ込み大歓迎)

手元に実測の設備はありませんので以下は全て Helmholtz Motion についての思考実験です。

> 全体を1として、駒からの距離をAとすると、A:(1-A)がほぼ、立ち上がりと、下降部の時間の時間比となります。

これは弦の運動です。 弓の位置とは無関係に、駒からAの距離にある点はそういう運動をします。 そして、これは出てくる音の波形とはちょっと別物なのです。 

ヴァイオリンから最終的に出てくる音は複雑すぎて到底手に負えませんので、駒にかかる力を以って弦の音と考えておきます。 ヴァイオリンの発音機構は佐々木マイスターのサイトの解説--弦の振動が駒の頂部に横方向の力を加え、これが回転モメントとなって表板を垂直方向に揺する--が概ね当たっていると思います。 駒にかかる横方向の力は 張力×弦の振れ角度 なんですが、計算すると確かに瞬時に立ち上がって時間と共に直線的に減少します。 直線はゼロを通り越して反対方向の同じ絶対値に至り、そこから瞬時にまた立ち上がります。 これも弓の位置とは無関係です。

ですから、「弾く位置を駒に近づけるほど、倍音が多く」なることは弦楽器弾きなら百人が百人、経験的に同意すると思いますが、そのメカニズムとして上記はちょっと違うかな? という気がします。

えっと、殆ど思いつきに過ぎないのですが、駒寄りを弾いた音って、「倍音が多くなる」というよりも「倍音に乱れが出ている」のではないでしょうか? Helmholtz Motion の挿絵に出てくる三角形の頂点が、現実の弦では点ではなく怪しげな曲線にならざるを得ないことにより、鋸状波形も鈍ります。 鋸状波形が整数倍音の規則的な積み重ねでできているということは、それが鈍るということは倍音構成に乱れが出ている、ということではないか? (非常に感覚論なんですが)駒近くを弾いた方が弦が「硬く」感じられることから、剛性の影響がより強く現れるのかな、と想像します。

一方、
> 擦る位置(駆動点)が弦長の1/nの時、n次倍音付近が谷となります。
は実測結果なのでしょうか、或いは、 Helmholtz Motion に弓からの入力と駒への出力という項を加えたモデルによる理論値なんでしょうか? いずれにせよ、大変興味深い現象ですね。

すみません、思い切り脱線してしまいました。


> また、double-slippingでの倍音を説明する場合は、上記とごっちゃにすることなく、上記に対し、どのような理由でどの倍音がどのように増えるのか、という明確な差分を語り切らないといけません。

200%同感です。
[41541]

Re: surface sound って何?

投稿日時:2009年10月13日 00:02
投稿者:カルボナーレ(ID:J0RRIjk)
セロ轢きのGoshさん
 ① 現実の弦の運動
 ② 弓との接点での弦の運動
のつもりで書きました。

>そして、これは出てくる音の波形とはちょっと別物なのです。

ヴァイオリンとは、弦の振動の増幅器ですが、増幅率だけでなく、ボディーの共振特性やフィルタ特性も一台一台異なるので、話はシンプルではないと思います。

catgutさん紹介の図のように、上滑り、きれいな振動、つぶれた振動の可能性があります。駒に近づくほど、きれいな振動になるスポット(圧力の範囲)が少ないので、現実的には、圧力をかけすぎてつぶれた音になることは多いと思いますが、先の書き込みはきれいな振動が実現できたときのことを想定して書いています。圧力をかけすぎた時については、おっしゃる通りだと思います。圧力かけすぎのハスキーな音を奏者が意図して出さないとは言いません。
一方、圧力不足の音がcatgutさんが力説するよう多くの場合double slip状態になっているとすると、この場合も、全体的に音量は下がりますが、基音のレベルが下がることで。相対的に倍音の比率が増すのではないかと思っています。

>> 擦る位置(駆動点)が弦長の1/nの時、n次倍音付近が谷となります。
>は実測結果なのでしょうか、
これはその文献からのまったくの受け売りです。前記文献には、一例だけですが、実測のグラフが載っています。(私のもっている「楽器の音響学」は旧版で、新版ではもう少しその関連部分が補強されている可能性があります。)

剛性、弾性という観点での考察も必要なのは理解します。
昨日たまたま検索して見つかったコントラバスのフレンチ弓の長所を語っているブログにて、駒への伝達という点では長手方向の振動が大事であり、弦の振幅を弦の”伸び縮み”と感じるといった記載があり、駒へ加わる力という点ではそういう見方もありだ、と気づかされたところです。

個人的には、前から書いているように安定している定常部よりも、過渡状態で瞬時に連続的に変化して行くことが重要と思っていますので、本当は早く定常部分の話は終えて、議論するなら、発散する可能性大ですが、過渡部の内容と重要性について考察していきたいと思っています。
[41543]

Re: surface sound って何?

投稿日時:2009年10月13日 05:37
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:GBkzATQ)
カルボナーレさん、

確認ありがとうございました。 Helmholtz motion が擦弦楽器の弦の挙動をそこそこ上手くモデル化しているらしいことが判りました。 但し、あくまで工学レベルの話。 音色まで踏み込んだ議論をするには全く粗すぎるのでしょう。

初期に catgut さんが引用したシンセサイザー屋さんのarticleにも結論として、「ヴァイオリンの音を再現するのに発音機構の数学モデルを追及するのは現実的でない。」みたいなことが書いてあったように思います。

double slip は、物理モデルとしては面白いけれども音楽表現という土俵に上げるにはあまりにも単純だと感じます。 それを無理に音楽の土俵に上げると今度は物理モデルとしての明確さが失われてしまう(「上滑りな音」⇒「surface sound」みたいな単なる言葉の言い換えになってしまい、結局何の話をしているのか判らなくなる)。
だから議論が発散するんでしょうね。
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