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20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて | ヴァイオリン掲示板

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20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年09月26日 23:23
投稿者:catgut(ID:QhNBB4k)
20世紀前半の奏法といっても非常に漠然とした話ですが、レオポルド・アウアーやカール・フレッシュの弟子、指導書の影響力が大きかった20世紀前半の奏法と、ジュリアード出身者のソリストが増えた20世紀後半以降のヴァイオリン奏法では傾向の違いがあるように思われます。このスレッドでは、両者にどのような違いがあるか、あるとすればその原因がどこにあるかといった点について議論させて頂きたいと思います。
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【ご参考】
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月08日 07:29
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
>20世紀に作られた膨大な数のフェルナンブコ弓は、いったいどこで採取したのでしょうか。

- ”19世紀には選別により選ばなかったような部位”まで使っている。昔は沢山あったので、弓に最適なものを選別でき、残りは染色や道具として使われた。
- それまで弓には使わなかった若く、細いものからも使っている。
- ストックされた弓用乾燥木材を使っている。

ペーター・ブレムの引用は何を言いたいのですか。
年をとっても、62gある弓を使っていることですか。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月08日 08:39
投稿者:通りすがり(ID:FINJlSk)
>逆に私は通りすがりさまが
・20世紀前半より現在のほうが平均的に弓が重くなっていること
・20世紀前半より現在のほうが平均的にヴァイオリン演奏の音量が大きくなっていること
について納得されたのかどうか明確にされているようには思えません。納得されたということでよろしいですね?

20世紀前半というくくりに納得がいかないのですが、
弓の重さの増加については、同意します。問題はその原因です。
回答ヨロシク。

音量についてもここ、2-3世紀の間というくくりでは同意します。
1950年以前と以降との比較では比較する材料に乏しいと思われます。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月08日 22:34
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
それにしても、絶滅の危機にあるはずのクジラの缶詰が近所のスーパーで
売られているように、本物のフェルナンブコの新品の弓が定価1万円台で売られているというのは不思議な現象です。

実際にはフェルナンブコは約30年で成木になるそうです。
ttp://www.violinist.com/blog/caeli/20067/5458/
And pernambuco trees, which take about 30 years to mature

ストラッドの掲示板にも、ラファンが「弓を作れる程度にまでフェルナンブコが成長するのには約30年かかる」と言ったという話がありました。もちろん
だからといってフェルナンブコを好きなだけ伐採してよいというわけではありませんが。

ちなみにフェルナンブコは経年変化により当初は黄褐色でもかなり暗くなっていくそうです。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月09日 00:10
投稿者:通りすがり(ID:MmIhRHY)
それでcatgutサンは”20世紀前半”と現在とで、トルテのような最高の弓に製作可能な”最上級の”フェルナンブーコ材は減っていないとお考えなのですか?減っているとお考えなのですか?
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月09日 07:50
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
気候の変動の影響を受けやすく、いくつかの種類があるスプルースと違って、フェルナンブコ(ブラジルボク)は200年前も現在も全く同じで、同じ地域で生育しています。たった200年で自然に性質が変わってしまう木なんてあるのでしょうか?入手性ということなら政治的、経済的理由にも影響されるでしょう。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月09日 23:10
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
できるに決まっています。私は知りませんでした、ブラジルの弓製作者の多くが広大な「フェルナンブコ農場」を持ち、すでにそこで育てた木を使って弓を製作している製作者もいるそうです。

ttp://www.smithbassforums.com/archive/index.php?t-176.html

90% of them have their own plantations, so they aren't cutting down
new trees, and the wood used in the bows made today is already 10 or so years old (in the case of Horst John (John Brasil)his wood is 12
years old. I find their bows to be amazing quality, and have argued
this fact in another thread on this forum.

(ブラジルの弓製作者の)90%はフェルナンブコを栽培する農場を所有しています。そのため(自生の?)新しい木を伐採していません。弓の製作に使用する木は、現在ではすでに10年物かそこらで、Horst Johnの場合は12年物の木です。私は彼らの弓が素晴らしい品質であることが分かったので、その事実をこのフォーラムの別のスレッドで主張しました。

Horst Johnのサイトには以下のように書いてあります。
ttp://www.horstjohn.com/eng/env_projects.html

The current administration has continued the mass planting of
pernambuco seedlings begun by the founder Horst John, who had
planted 60,000 pernambuco seedlings before his death in 1997.

Another 60,000 seedlings since taking over the company and will plant another 25,000 seedlings by the end of 2003. Eighty percent of these new seedlings are pernambuco trees,
and the other twenty percent is also native to the Atlantic Forest, including Ipe, Ironwood and Rosewood, the latter also on the endangered
list. The company will continue to plant seedlings at the rate of
25,000 per year.

創立者のHorst Johnは彼が亡くなった1997年以前に60000本のフェルナンブコを植えました。その後60000本を植え、2003年末までにはさらに25000本植える予定です。その80%がフェルナンブコですが、その他の20%はイペ、アイアンウッドやローズウッドなどです。当社では今後も毎年25000本ずつ植えて行く予定です。

また、有名な弓工房ですが、Marco RapsoのWebには以下のように書いてあります。
ttp://www.marcoraposo.com/
Ecology
His personal activities are reflected in his company's actions. Guided
by the profound respect for the species that serves as the source of
our bows, the precious Pernambuco wood, he allows interested parties to plant their own Pau-Brasil trees, within its own area of forest
(35.000m2). In the past three years he has planted 6.000 trees.

Through the company's concerted efforts, its reserve now
possesses enough trees to supply the bow factory for nearly
380 years into the future.

所有する35000平方メートルの森に過去3年間に6000本のフェルナンブコを植林した。工房が使用する今後380年分のフェルナンブコを確保した。

F. Schaeffer
ttp://www.frenchcellobow.com/products/bow_fs.html
Floriano Schaeffer is recognized world wide by all renowned
bow makers as , a true woodman, who is investing huge acres
of Pernambuco woods plantation

Floriano Schaefferは世界的に有名な弓製作者であり、巨大な面積のフェルナンブコ農場に投資しています。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月09日 23:52
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
それにしても秘密のニスが失われたから良いヴァイオリンはできないとか、偉大な木が失われたから良い弓はできないとか、人には信じ込みやすいパターンがあるようですね。

こちらにはフェルナンブコの材質と弓の性能の関係についての調査結果があります。弓製作者のDaniel Lombardi (ttp://www.lombardiarcos.com)の協力で行ったものだそうです。

PERNAMBUCO WOOD (CAESALPINIA ECHINATA) USED IN THE
MANUFACTURE OF BOWS FOR STRING INSTRUMENTS
ttp://bio.kuleuven.be/sys/iawa/IAWA%20J%20pdf's/29.no.1-4.2008/323-335.pdf

密度が高過ぎてもいけないとか、木の色と弓の性能と関係ないとか、いろいろと興味深い内容です。

We observed that sticks with density ≥ 1000 kg m-3 at 12% humidity
are ideal for the manufacture of higher quality bows. Nevertheless,
sticks with much higher density than this value should be avoided
because they will result in bows that are excessively thin, less stable
and more susceptible to breakage.

密度が高すぎる木は弓を過度に細くしなければならず不安定になり壊れやすいので避けるべきです。

In practice, we did not observe any correlation between the
pernambuco wood color and the quality of the bow stick, as the bow
maker (Mr. Daniel Lombardi) produced bows of excellent quality from
blanks made from regions close to the sapwood, thus presenting lighter
colors.

Daniel Lombardiは辺材(外側の白い部分)に近い明るい色の部分で素晴らしい品質の弓を製作しました。フェルナンブコの木の色と弓の品質には関係は認められませんでした。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月10日 01:20
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
- なぜ農場で植林し栽培しないといけないのですか。ほとんど生えていないからこそ、必要分を年月をかけてでも自分で栽培せざるを得ないのではないですか。
- ブラジル在住以外の製作者は、どうやって材料を手に入れるのですか。弓作りはブラジルだけの産業となるのですか。
- 植林は、世界中の弓製作者に配るための善意の行為として行われているのですか、それともブラジルの企業が自分の利益=新たな商売として行っているのですか。
- ブラジル木は、完全に成熟するのに何年かかるのですか。それから弓の材料として必要な乾燥期間10年を足すと、実際には何年後にそこそこ使えるものが得られるのでしょうか。
- 6万本の苗を植えると、果たして6万本の成木が得られ、すべて弓作りに使用できるのですか。それは、木材でいうと何トンになるのでしょう。ヨーロッパの輸入最盛期の毎月100トンは運び込まれていた時期と比べ、同じくらい上質の木材が豊富にありその中からよいものを選別できるということなのでしょうか。

なんとなく、例えば10年物以上の天然真鯛と3年くらいの養殖鯛を、どちらも鯛の味がする、という以前聞いたような論理で、同じものとして扱おうとしている、というのに近い違和感を感じます。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月10日 02:13
投稿者:コゲ(ID:N5eRRzY)
新しい説は必ず正しく、
新しい取り組みは必ず成功するなどという思考パターンの人もどうかと思いますがね。

ブラジル産の弓といえば「arcos」ブランドが有名ですね。
最高級の金黒壇の物を試した事がありますが、値段相応(30万円以下)の印象しかありませんでした。
「素晴らしい弓」との評価はどのレベルでの誉め言葉なのか、甚だ疑問です。

植林にしても、そう簡単にかつての自然木と同じ物が出来るとも思えません。

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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月09日 07:50
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
気候の変動の影響を受けやすく、いくつかの種類があるスプルースと違って、フェルナンブコ(ブラジルボク)は200年前も現在も全く同じで、同じ地域で生育しています。たった200年で自然に性質が変わってしまう木なんてあるのでしょうか?入手性ということなら政治的、経済的理由にも影響されるでしょう。
で「同じ地域で生育」という表現を貴方はなさいましたが、ペルナンブコ州の総面積は約98,000k㎡。
北海道と四国を合わせた広さにも匹敵します。

そんな広大な土地で場所に関係なく同じ生育条件が望めますか。
東京都内でさえ、山間部と平野部では気温その他に差が出て来るのですよ。

同じ山間部でも標高により気圧、気温、
降水量は変わってくるでしょう。
また密林と荒野では土地の肥沃具合は当然同じではないでしょう。
更に同じ密林であっても外側と奥地では日照の量や湿度や気温も違ってくるでしょう。

それらが植物の生育に影響がなかったとお思いですか。

これらを考慮に入れないで済むとなれば、農業は画期的に楽な作業となりましょうな。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月10日 07:39
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
ことヴァイオリンに関すると常識が通じないというのは面白いですね。

いわゆるワシントン条約は1975年に発効したそうですが、本当にフェルナンブコ(ブラジルボク)が絶滅に瀕しているなら、その時点で完全禁輸にしたでしょう。ブラジルボクは「ブラジル」という国名の元になった、ブラジル人にとって象徴的な木ですから、つい最近までワシントン条約では規制
されず現実に膨大な弓が製造できた理由が分かりません。また30年ほどで十分成長するのですから、熱帯の植物としては成長が遅いものの、日本の杉などよりはずっと成長が早い植物です。

カルボナーレさまご紹介のサイトに12年物と27年物のフェルナンブコの断面の写真がありますね。
ttp://tkyabe.com/blog/2007/10/post_214/

ブラジルのフェルナンブコ農場の一部では、最上の部分を海外の弓製作者に販売しているという話もありました。
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