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20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて | ヴァイオリン掲示板

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20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2009年09月26日 23:23
投稿者:catgut(ID:QhNBB4k)
20世紀前半の奏法といっても非常に漠然とした話ですが、レオポルド・アウアーやカール・フレッシュの弟子、指導書の影響力が大きかった20世紀前半の奏法と、ジュリアード出身者のソリストが増えた20世紀後半以降のヴァイオリン奏法では傾向の違いがあるように思われます。このスレッドでは、両者にどのような違いがあるか、あるとすればその原因がどこにあるかといった点について議論させて頂きたいと思います。
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【ご参考】
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月06日 11:22
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
もうひとつ、Fetisの本で面白かったのは、F.Tourteが弓毛に着色していたという話です。「軽く青く着色した水に毛を漬けた」とあります。

-----
The preparation to which lie subjected it consisted in scouring
it with soap ; he then put it into bran water, and lastly, after
removing the heterogeneous particles which had adhered to it, he
plunged it into pure water, lightly colored with blue.
-----

この「着色」が白い毛をより一層白く見せるためなのか、本当に毛が少し青みがかって見えたのかはわかりませんが、「オリジナルのトゥルテ」はこんな毛だったのですね。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月06日 11:27
投稿者:通りすがり(ID:JlBISZA)
catgut様

ここ数日の議論で、19世紀から20世紀にかけての奏法の変遷と弓の重さの関係性に関して、何らかの進展がありましたか?
このスレッドの趣旨と大きく外れてきております。軌道修正をお願いしいます。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月06日 12:11
投稿者:コゲ(ID:IIRjdYU)
>疑問は解消されたでしょうか。

いいえ。

貴方のおっしゃるように、近年のフェルナンブコ材が昔と比べ質が下がっていないのであれば、
近年作られた太い(重い)弓(例:[42354]
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月06日 08:16
投稿者:コゲ(ID:IIRjdYU)
後半の文章は豆知識としては有難いのですが、
例に拠ってこれまでの流れとの関連は薄いようですね。

故杉藤浩司氏の取り組みや、佐藤俊介氏が使用している事は知っていましたが、
過去にさるアマチュアの方のブログ(個人のブログなので直リンは避けますが、
「杉藤 弓 重量」で検索してみて下さい)を読んだところ、
その方の先生が5本のMXシリーズ(55~59gだそうです)から御自身で使う弓を選ばれた話が載っていて、
最終的に1本を選んだものの、5本のいずれもしなやかさに重きが置かれた物であり、
「コンチェルトをバリバリ弾く必要がある人には少し腰がモノ足りないだろう」
と感想を述べられたとの事で、
現役ソリストの使うトルテと比較するに適当であるか疑問に思った次第です。

あるいは重量から見てもかなり追い込んだ作り方をされている物でもあり、
佐藤俊介氏という現役ソリスト使用の弓を頂点として、
単に当たり外れの振り幅が大きくなっているだけなのでしょうか?
(トルテの当たり外れの割合と言うのも知りたいところです。)

はたまたトルテの製作コンセプトとはそもそも、
ストラド級の「鳴る」楽器において最大限発揮されるものであり、
世の大多数の、そうした楽器を「持たざる者」たちにとっては、
結局宝の持ち腐れに終わってしまうという事なのでしょうか?

一方でこんな弓も存在しています。

ttp://search.bunkyo-gakki.com/view.php?id=29

文京楽器さんの自社ブランド、アルシェの最高級モデルですが、
「初期トルテコピー」を謳いながらも重量は61.5g。
装具は銀黒檀でラッピングも絹糸と、
特にそれで重量を稼いでいるわけでもなさそうです。
とすれば杉藤氏のアプローチとは好対照ですが、
この様なコピーの方向性も有りなのでしょうか?

かと思えば体への負担を減らす為に、
ペルナンブコ材では望むべくも無い高剛性且つ軽量のカーボン弓に、
活路を見出す人もいらっしゃるわけですし・・・

結局は自分の楽器・技量・体格・筋力ひいては健康状態までも考慮に入れて、
相性の良い弓を根気よく探すしかないのでしょう。

だから弓は難しい。
であげたアルシェ弓)を細く(軽く)改造しても、
昔に作られた弓と性能の変わらないものが出来るはずです。

製作者本人に改造を依頼したとして返事はどうなのか、
改造を行ったとして結果はどうなのか。

どこかに答えがでていましたっけ?

>年間15トンのフェルナンブコを使用

その大部分が使い物にならず破棄されるとも聞きますが、それが何か?
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月06日 18:26
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
ストラディヴァリの「音の秘密」は当時の寒冷な気候が木に影響したためだろう、という説は時々見かけますが、トゥルテの時代のフェルナンブコが20世紀中旬までのフェルナンブコと比較して良質という可能性はほとんどありそうに思えません。

確かにフェルナンブコの絶対量は減っているのでしょうが、トゥルテの時代のように染色用のため小さく切られたフェルナンブコから弓に合った部分を探すのと、20世紀のようにすでにフェルナンブコは染料としてはほどんど使われず、比較的大きな固まりで入手して良質な部分を選別可能な時代では、どちらが弓の製作にとって有利でしょうか。

トゥルテの神話として「細くても非常に腰の強い弓が作れた」というものがあるようですが、現実には柔らかい弓も存在します。

すでに何度も述べた通り、
・1920年頃のスチールE,1930年頃のD線アルミニューム巻線,1950年頃のA線アルミニューム巻線、Oliv弦の登場による張力アップなどよって、より重めの弓が適合するようになり、音量も増えた。
・ヴィブラートを多用せず、どちらかといえば指板寄りで圧力をかけずに弾く奏法より、ヴィブラートを多用しどちらかといえば駒寄りで圧力をかけて弾く、クライスラー的な奏法が増えた。

といったことで、多数のヴァイオリン奏者が重めの弓を実感として快適に感じるように変化しているのだと思います。この傾向を張力の強いナイロン弦の登場が拍車をかけて、ズーカーマンのように65g程度もの弓まで使われるようになったのでしょう。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月06日 19:28
投稿者:コゲ(ID:IIRjdYU)
「染色様に小さく」ってどれくらいの大きさでしょう。

少なくとも弓が作れる大きさの材は有った訳ですし、
使えるかもわからない大きな材を丸ごと買ってから割って選別するのと、
初めから切り分けられた材料から選別するのではどっちが有利でしょうか。

昔の製作者と違って、現代の製作者はそれこそ普及品までかなりの本数を揃える必要がある為、
あらゆる質の部材が取れる様に丸太で確保する必要があるのだと思いますが。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月06日 20:35
投稿者:通りすがり(ID:MmIhRHY)
>すでに何度も述べた通り、

何度も根拠のない想像を並べるのはおやめください。

誰もが納得する証拠をあげてください。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月06日 20:52
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
コゲさま、
以下の記述がおよそ事実であるとして、20世紀よりもトゥルテの時代のほうが良いフェルナンブコが入手できたと考えられるでしょうか?

The period of the first and important discoveries
of Tourte, extends from 1775 to 1780. Unfortu-
nately, the maritime wars of France and England
then presented a serious obstacle to the importation
of Fernambuc wood on the continent: and the price
of this valuable article, used for dying, rose to six
francs a pound [about 4s. 9 1/2d.]. Fernambuc wood in-
tended for dying purposes is exported in billets ; that
which is richest in coloring matter is likewise the best
for the manufacture of bows : but it is rare to find
billets which are straight and only slightly defective;
for this wood is nearly always knotty, cracked inside,
and crooked in every direction. Sometimes eight or ten
thousand kilogrammes [nearly 8 or 10 tons] of Fer-
nambuc wood scarcely present any pieces with a straight
grain and suitable for making good bow-sticks.

トゥルテによって最初の、そして重要な発見が行われた時期は
1775年から1780年頃です。不幸なことに、フランスとイギリス
の海の戦争(フランス革命戦争)がフェルナンブコの輸入の重大
な障害となりました。染色に使用されるこの価値のある物は
1ポンドあたり4シリング9 1/2ペンスまで値上がりしました。
フェルナンブコは染色の目的でbilletsで輸出されました。
この優れた染色を行う物質は弓の製作にも最適でした。
しかし真っ直ぐで欠点が少ししかないbilletsを見つけられる
ことは非常にまれです。なぜなら節やクラックが多くあらゆる
方向に歪曲しているからです。時には8トンから10トンのフェルナン
ブコがあっても良い弓のスティックにできる木目の真っ直ぐな
ものはほとんどない場合があります。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月06日 22:23
投稿者:カルボナーレ(ID:lXYJR3A)
>1775年から1780年頃
転職し弓職人として弟子入りした直後で、バロック様式の弓からまだ抜け出せず、様々な材料を試していた試行開始のころでしょう。トルテをストラディヴァリに例えれば、まだアマティモデルを作っていた時期であり、無名の新人の頃ですね。

トルテによる、今で言えば、特許&実用新案が山のようにとれる多くの発明は、1790年代くらいから顕著に見られるようになり、1800年頃にある程度独自のスタイルを確立したように私はとらえています。(弓のことはあまり詳しくありませんが、ラファンとミランの弓の本の記載を何となく眺めての、勝手な思い込みレベルの話です。)

1800年代の弓と、1900年初頭の弓と、今の弓を比べたら、その材料の違いは一目瞭然だと思います。特に、普及価格帯の弓の材質は、まったく別の木のようにさえ見えます。今、昔のような”固く締まって弾力もある”よい材料を使っている製作者がいるとしたら、当時にストックされたものを代々受け継ぎ、それを小出しにしながら使っているのではないでしょうか。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月07日 00:38
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
カルボナーレさま、

「1800年代の弓と、1900年初頭の弓と、今の弓を比べたら、その材料の違いは一目瞭然だと思います。特に、普及価格帯の弓の材質は、まったく別の木のようにさえ見えます。」

は当然です。19世紀末頃にはドイツやフランスでヴァイオリンの量産がかなりの数となり、あわせて弓にあまり適さないフェルナンブコ(ブラジルボク)の部分を使った低価格の弓も大量に生産されました。一部のメーカーは量産・低価格販売のために質の悪い部分をあえて使っているわけです。これは現在の低価格「フェルナンブコ」弓でも同様のケースがあります。マスターメードとして一定以上の水準で作られた弓の材質と、量産弓は分けて考える必要があります。

また、ご存知の通り普及価格帯の弓ではフェルナンブコの代替品も良く使われており、これらはまさに「別の木」です。
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Re: 20世紀前半の奏法と現在の奏法の違いについて

投稿日時:2010年02月07日 01:10
投稿者:catgut(ID:EnASmVI)
念のためコメントしますが、フェルナンブコの断面は以下の写真のようになっています。

ttp://www.bows4strings.com/umwelt2.html

このうち木の中心に近い部分から良質な弓材が取れ、一般に外に向かって質が落ちていきます。白い部分は全く弓材としては使用できません。
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