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Surface soundについて | ヴァイオリン掲示板

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Surface soundについて

投稿日時:2009年09月03日 20:55
投稿者:catgut(ID:mDFQYAA)
英語圏のヴァイオリン奏者は日常的に使っていると考えられる
"Surface sound"という言葉ですが、なぜか日本語には直接相当する言葉がありません。あえて言えば「裏返った音」とか「倍音」に当たるようです。このスレッドでは"Surface sound"に関して情報交換させて頂きたいと思います。

英語圏では以下のような音について"Surface sound”と言うように
思われます。英語圏でヴァイオリン教育を受けた方がいらっしゃいまし
たら情報提供していただけると幸いです。よろしくお願いします。

・アタックに失敗して「裏返った音」
・スル・ポンティチェロで弾いた時に混じるキーキーした「高音」
・軽い弓圧で全弓を弾き切った時の最後に「変わる音色」
・E線を軽く弾いて「裏返えった音」
・軽い弓圧で速く弾いた時の「倍音の混じる音」
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Re: Surface soundについて

投稿日時:2009年09月08日 08:26
投稿者:catgut(ID:NZAVFFQ)
通りすがりさま、その解釈でいいですが、ダブルスリップの発生は程度問題ということです。

以下は仮説ですが、もともとヴァイオリンという楽器は速い弓によるダブルスリップをもっと活用する楽器だったのかもしれません。根拠は以下の通りです。

・カール・フレッシュは「ヴァイオリン演奏の技法」にクライスラーが例外で、ロシア奏法もフランコ・ベルギー奏法も基本的には速い弓づかいであると書いている(ロシア奏法が特に速いだけ)
・連続ヴィブラート奏法が普及する前は、オーケストラでもヴィブラートを使わない分、ガット弦と速い弓づかいで表情づけをしていたと言われている。

つまり、クライスラーが「連続ヴィブラート」をかけるためには速い弓では難しいので弓速を落とし、それを真似した「遅めの弓、連続的ヴィブラート」奏法が増えていったのかもしれません。

バロックヴァイオリンまで遡ると、バロック弓の毛の幅はモダン弓よりずっと狭く、モダン弓で言えば常に弓を傾けたような状態です。これにプレーンガット弦ですから、速い弓では容易にダブルスリップが起きたのではないかと思われます。

バロックヴァイオリンで速い弓の奏法には以下のようなものがあります。

carmignola plays Vivaldi with Sonatori
ttp://www.youtube.com/watch?v=fV-yPqCd8yw
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Re: Surface soundについて

投稿日時:2009年09月08日 12:52
投稿者:QB(ID:cYBJOIA)
ごめん、catgut氏、論点が訳わからんくなったので、整理願たし。

1/ 「Heifetzの音の秘密はsurface soundで有ると確信」している

2/ そのsurface soundとは、こういう物理現象である

3/ Heifetzの演奏のどの音がsurface soundであるのかは、はっきりとは分からない (でも、1/に戻る)

ということですか?

カルミニョーラの演奏は別にSurface soundとはわざわざ言わないと思いますが。。?
あれがそうなら、クレーメルのシュニトケとかはもっとそうですよね?
結局私には「Heifetzの音の秘密はsurface soundだと確信」したことが、誤りだったように思うのですが。。。

端的・明快な反論もとむ。
[41024]

Re: Surface soundについて

投稿日時:2009年09月08日 22:20
投稿者:catgut(ID:NZAVFFQ)
QBさま、コメントありがとうございます。"surface sound"という概念は今後重要な概念になると思いますので、できるだけ誤解のないように説明してみたいと思います。

「surface sound」と「ハイフェッツの音の秘密」という言葉の概念が不明確なことが誤解の原因になっているようです。まずはこれらについて説明します。

(1)surface soundについて
この言葉を広めたケンブリッジ大学のWoodhouse教授にも責任があるのですが、Woodhouse教授による一般向けの解説では「裏返った、ヴァイオリン演奏には使えない音」と受け取れる表現があります。しかし論文では、通常の音色(1stick-1slip)が乱れた状態(わずかに音色が変化した状態)も"surface sound"と表現しています。私がハイフェッツの速い弓の音に
surface soundがあるという場合はもちろん後者の意味です。

(2)ハイフェッツの音の秘密について
以前も書きましたが上記の後者の意味での”surface sound"は、ヴァイオリンを弾く者にとって珍しくもなんともない、普通に経験する音色です。弦と弓毛が接触する位置が同じでも、弓圧や弓速を変えれば音色が変わるという、よく経験する現象です。それでも「秘密」と呼んでいるのは、ハイフェッツが意図的に速い弓・少ない弓圧で”surface sound"を増やすことで「倍音の多い音色」を効果的に使用していることを指しています(パールマンの指摘通りです)。またハイフェッツの専売特許というわけでもなく、ロシア奏法のミルシテインやジンバリストなども音色はややハイフェッツとは違っても同様のテクニックを使用していると考えられます。
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Re: Surface soundについて

投稿日時:2009年09月08日 23:02
投稿者:catgut(ID:NZAVFFQ)
”surface sound"を理解するためには、googleの書籍検索で「楽器の物理学」を検索し、p274の本文最下行からの1段落(全部で9行)を図を眺めながら最低限読んで頂きたいと思います。

図10.4(a)を見ただけでも、シンセサイザーで波形合成の経験がある方には音色がどのような方向に変わるかイメージがつかめると思います。

ちょっと検索した範囲で、sin波を合成して聞けるフリーソフトはありましたが、ノコギリ波を合成できるソフトは見つかりませんでした。実際に聞いてみるとイメージがつかみやすいと思いますので、もしそのようなものをご存知の方がいらっしゃいましたらコメントいただけると幸いです。

イメージ的には、1stick-1slip,つまり通常の音(大人しい音色)に対して、スリップが始まると弓速に比例して徐々に波形の乱れが増えて「倍音を含む鋭い音」になり、さらに極端になると振動数が倍に増えて1オクターブ高い音になります。

QBさまのご質問に答えると以下の通りです。

1/ 「Heifetzの音の秘密はsurface soundで有ると確信」している
ハイフェッツの速い弓の音がsurface soundに関係すると確信
しています。

2/ そのsurface soundとは、こういう物理現象である
上述の通りです。標準的な音色に対して速く弓圧を弱く弾くことで
余計な弓毛の弦への接触が増えて音色が変わる現象です。

3/ Heifetzの演奏のどの音がsurface soundであるのかは、はっきりとは分からない 
速い弓の部分で、倍音がより強く聞こえるところがそうです。
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Re: Surface soundについて

投稿日時:2009年09月08日 23:54
投稿者:カルボナーレ(ID:IUZHZpE)
catgutさん
>3/ Heifetzの演奏のどの音がsurface soundであるのかは、はっきりとは分からない 
>速い弓の部分で、倍音がより強く聞こえるところがそうです。

ですが、例えばそのチャイコのVnコンチェルト1楽章で何小節目のどの音かを教えてください。複数教えていただければさらに理解しやすいです。スコアやソロ譜が手元になくとも、IMSLPなどから参照できますので、購入コストは特にかかりません。
また、その音がE線(単線スチール)で弾かれている音か、ご指摘のフレーンガットを使ったA線で弾かれた音かも、付け加えていただければ、プレーンガットが何か関係するかどうかも明確になりますので、ぜひお知らせください。
私には、4分30秒を過ぎたあたりからハイフェッツ特有のカデンツ(駆け上がり音形)くらいまでの間で、E線の高音部(基本的にはE線の高音部)にて、オールド楽器特有のいわゆるシルバートーンとでも言うべき響き/音色は認識できるのですが、surface soundがどの音を指すのかがわかりません。
[41031]

Re: Surface soundについて

投稿日時:2009年09月09日 00:43
投稿者:catgut(ID:NZAVFFQ)
カルボナーレさま、私は4分30秒から数十秒の間でほとんどsurface soundを含んでいると聞こえますね。現代のヴァイオリニストがこの部分を弾く場合でも、十分速くそれほど弓圧をかけないのであればやはりsurface
soundを含んでいると思います。そういう意味ではハイフェッツの専売特許ではありませんが、surface soundを含んでいることに違いはありません。

さらに言えば、シルバートーンの正体とは何かということも重要です。
新作楽器よりも(例えばsurface soundのような)特殊な弦振動が起き易い
性質を持った楽器のことをシルバートーンを持つ楽器と呼んでいるのではないでしょうか。
[41034]

Re: Surface soundについて

投稿日時:2009年09月09日 08:26
投稿者:通りすがり(ID:FINJlSk)
>(例えばsurface soundのような)特殊な弦振動が起き易い
性質を持った楽器

ここで敢えて”例えばsurface soundのような”と書き加えてしまうところがいけません。

シルバートーンは楽器本体の構造による音響特性によるものでしょう。
一方surface soundは弓と弦との関係で発するものでしょう。ほとんど関係がないと思われます。これを主張するためには外から何らかの振動を与えたときにダブルスリップ現象なり、surface soundなりがおきやすいことを別途証明しなければなりません。

こういう思い付きをさも事実のように述べることがcatgut氏の悪い癖です。これが「トンデモ説」と揶揄される所以です。

人間は宇宙人がサルの遺伝子を操作して生まれた。という説と同程度の説です。可能性は否定できませんが、証明するためにはたくさんの論拠が必要です。

>ガラミアンがあれほど完成度の高い渡辺茂夫のボーイングを変えようとしたのは音量に満足できなかったという面もあるのかもしれません。

これも同じ。
[41036]

Re: Surface soundについて

投稿日時:2009年09月09日 16:49
投稿者:jack(ID:EDhoQSE)
catgutさんへ、

開放弦をFFTスペクトラムアナライザーで見ますと第二倍音は基音の2/3位のレベルですが、駒のそばで軽い弓圧で速く弾くと基音のレベルが下がり第2倍音が優勢になり、音も倍音っぽくなります。弾き方によってはオクターブ上のAだけが聞えたり、その上のE(第3倍音)が聞えたりします。これをsurface soundというのですか?

くだんの四分三十秒辺りをお手持ちのFFT解析ソフトで他の奏者と比較してみては如何ですか?
[41037]

Re: Surface soundについて

投稿日時:2009年09月09日 20:35
投稿者:CABIN(ID:MkgCdRE)
[41026]
[41026]

Re: Surface soundについて

投稿日時:2009年09月08日 23:02
投稿者:catgut(ID:NZAVFFQ)
”surface sound"を理解するためには、googleの書籍検索で「楽器の物理学」を検索し、p274の本文最下行からの1段落(全部で9行)を図を眺めながら最低限読んで頂きたいと思います。

図10.4(a)を見ただけでも、シンセサイザーで波形合成の経験がある方には音色がどのような方向に変わるかイメージがつかめると思います。

ちょっと検索した範囲で、sin波を合成して聞けるフリーソフトはありましたが、ノコギリ波を合成できるソフトは見つかりませんでした。実際に聞いてみるとイメージがつかみやすいと思いますので、もしそのようなものをご存知の方がいらっしゃいましたらコメントいただけると幸いです。

イメージ的には、1stick-1slip,つまり通常の音(大人しい音色)に対して、スリップが始まると弓速に比例して徐々に波形の乱れが増えて「倍音を含む鋭い音」になり、さらに極端になると振動数が倍に増えて1オクターブ高い音になります。

QBさまのご質問に答えると以下の通りです。

1/ 「Heifetzの音の秘密はsurface soundで有ると確信」している
ハイフェッツの速い弓の音がsurface soundに関係すると確信
しています。

2/ そのsurface soundとは、こういう物理現象である
上述の通りです。標準的な音色に対して速く弓圧を弱く弾くことで
余計な弓毛の弦への接触が増えて音色が変わる現象です。

3/ Heifetzの演奏のどの音がsurface soundであるのかは、はっきりとは分からない 
速い弓の部分で、倍音がより強く聞こえるところがそうです。
catgutさま

WaveGene for Windows
というフリーソフトは
サイン波、矩形波、三角波、ノコギリ波、パルス列、ホワイトノイズ、ピンクノイズ、
の7種類の波形を、3つ同時に任意に組合わせて(ミックス)出力することができます。


私が以前ヴィヴラート音を作成した際に使ったツールです。
3つくらい合成できればよろしいですか?
[41039]

Re: Surface soundについて

投稿日時:2009年09月09日 20:56
投稿者:catgut(ID:NZAVFFQ)
jackさま、CABINさま、コメントありがとうございます。とりあえず簡易的に
各自で「楽器の物理学」p275の図10.4(a)のイメージを理解して頂けるように操作が簡単そうなソフトを探してみました。私はこれである程度イメージがつかめるかと思うのですが、率直なご意見をお願いします。以下の方法です。

サイン波ですが(ヴァイオリンの音はノコギリ波に近い)波形合成を試せるソフトありますのでダブルスリップでどのような音色変化の方向性となるか各自で実際に試してみてください。

以下のページから「音作成 1」をダウンロードしてください。
ttp://www7a.biglobe.ne.jp/~szgy_phys/soft.htm

解凍したら「いろいろの音を作る.exe」を実行し、「発音」ボタンを押してください。この状態で400Hzのサイン波の音が出力されています。

次に「二倍振動」の上↑をクリックし、少しずつ増やしてください。
波形を見ると明らかですが、弓速を軽く速くしてダブルスリップが起きた状態の音色の変化の方向に近い形状になります。余計に弦と弓毛が軽く擦れるため、高い波の中間に小さな「コブ」ができるわけです。これによりいわゆる倍音の多い、鋭い音に聞こえます。

jackさまへの補足ですが、1stick-1slip運動に対して、弓が軽く速い場合に余計に軽く弦と弓毛が当たってしまうのがダブルスリップ現象だそうです。弓速と弓圧(とサウンディングポイント)の条件でこの当たるタイミングと強さが変わり、音色が連続的に変化するそうです。極端になると最初の波の
高さと追加される波の高さが同じになってしまい、2倍の波(つまり1オクターブ上)の音になります。


CABINさま、もっと良いやり方があったらご提示頂けると幸いです。
WaveGeneは後ほど見てみます。
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