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音程感覚には母語の影響が出るのか? | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 275 Comments
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音程感覚には母語の影響が出るのか?

投稿日時:2009年03月28日 16:04
投稿者:pochi(ID:OVMFIBc)
ttp://www.fstrings.com/board/index.asp?id=39390
関連です。

音程感覚に母語の影響は、有る様な無い様な、感じです。こんなのの「分析」にはtartiniは有効な道具の一つになるでしょう。
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Re: 音程感覚には母語の影響が出るのか?

投稿日時:2009年04月13日 00:26
投稿者:catgut(ID:aRYRKTA)
カザルス The Art of Interpretation デイヴィッド・ブルーム著 為本章子訳 音楽之友社を読んでいますが、さすがヘマン女史も言及せざるをえなかっただけあるカザルスのイントネーションの考え方がふんだんに紹介されている興味深い本です。

第5章 弦楽奏者に必要な洞察力 でカザルスのイントネーションに関する考え方が紹介されています。本書は英語ではgoogle booksでほぼ全文が読めるようです。

特に印象的な一節を引用します。以下で「平均律」と書いている部分は、文脈からすると機械的に決まるピタゴラス律や純正律も含んでいるように思われます(expressive intonationはピタゴラス律にとらわれないので)。

表現手段としての音高調整は、弦楽奏者がその楽器を習い始めた最初から教え込まれるのが大切であるとカザルスは考えた。子供のころからピアノのピッチをそのまま、弦楽器に何の疑問もなく適用させてきた弟子たちの聴感覚や、習性化した指の位置を是正するのに、カザルスは際限なく骨が折れた。「最初の段階でこの種のことをなおざりにしていると、その結果・・・どんなに先天的な才能に恵まれた人でも、生涯を通じて影響を受けるだろうに。」私は、この主張を裏づけるチェロ奏者の証人に会ったことがある。カザルスのバークレーのクラスに出席していた学生で、もともと才能がないわけではないが、初期の段階以来、ずっと平均律に洗脳されてきた演奏者である。カザルスの演奏をはじめて聴き、「ほんとーに美しい、
ーーーでもなぜ調子をはずしてお弾きになんるのでしょう?」と叫んだ。
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チェロはちょっと違うでしょう

投稿日時:2009年04月13日 16:13
投稿者:室内楽奏者(ID:FUUXInk)
カザルス先生の話には背景があると思います。

ヴァイオリンは4度のフレームが基本で、その中に3度を埋め込みますので、ふつうは平均律にならない、というか、なり得ない。指の細いひとや女性が指をくっ付ければピュタゴラス半音(指の太い場合と高いポジションではスライドさせないと無理)。習慣化しているため、ヴィオラを掛け持ちで弾いたときピュタゴラス以上に極端に狭い半音をとるヴァイオリニストがいます(とくに女性で細い指の人)。
チェリストの場合、ヴァイオリンには起こらない一つの難点があります。
半音を隣の指で押さえ、全音を隣の隣で押さえる結果、放っておくと平均律で音をとる傾向があります。
===>>Goshさん、そういう人居るのじゃありませんか。
「まず自然に平均律でとってから修正しよう」
が口癖の達者なアマチュアチェリストを知っています。
ヴァイオリニストにとっては平均律でとるのは不自然で、事実上不可能だと説明しても理解してもらえません。「だってふつうにとれば平均律でしょ?」と来ます。
自信家ですから中々意見を聞こうとしないんですよ…(苦笑)
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Re: 音程感覚には母語の影響が出るのか?

投稿日時:2009年04月13日 20:28
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:GEBQkxE)
> そういう人居るのじゃありませんか。

う~ん、どうでしょう?
玉置さんも(純正律研究所かどこかで)そんなことを書いていましたね。
 (音程は耳で取っているつもりの)小生としてはそんなこと言われるのは不本意ですが、手・指の形を作る段階では「半音を狭く」という意識は確かに希薄かも知れません。 小生自身は大学オケで始めたのですが、レッスンで「指をくっつけて(*)」と言われた記憶はありません。 そういえば、レッスン始めの音階はピアノに合わせていました。 でも、普段の練習ではピアノとか使わず自分の音感に従って弾いていましたが、レッスンで「音程(感)がおかしい」と言われたことはあまり無かったと思います。(小生は鍵盤経験ないし、ギターの調弦ができないので、平均律は身に付いていない・・・・つもりです)

周りはどうか、というと(実は自身を含めて)音律云々以前のことが多いもので・・・(泣)。 アンサンブルでは低音担当という性格上、和音の響きにはヴァイオリン弾きよりも敏感かも(素人仲間ウチでは)。 ということは、どちらかと言うと純正律寄り???  以前はカルテットがハモらないとヴァイオリンに「もっと『ミ』を低く!」と文句を言ったものですが、今にして思うと悪いことしたかなぁ。

(*) ヴァイオリンしか知らない方もいると思いますので念のため:
チェロでも5ポジ以上は「離して全音、くっつけて半音」です。 親指ポジションでは親指~薬指の4本で、ヴァイオリンと同様に「4度のフレームが基本で、その中に3度を埋め込みます」。 ただ、そこに行き着くのは大抵チェロを習い始めて2~3年経ってからなので、その頃には耳が固まっているかも、です。
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Re: 音程感覚には母語の影響が出るのか?

投稿日時:2009年04月13日 21:01
投稿者:室内楽奏者(ID:MhiIkpc)
Goshさん、チェリストが全部そうだ、などとは毛頭考えておりません。懇意にしている若手チェリストなどは、ヴァイオリ奏者より音程に細かいのじゃないかというくらい、音程に様々な色合いをこめています。ただし初歩の方などは指をすらすら運ぶうちに半音が全部同じ間隔になったままでいる例を見かけます。その後の正しい勉強があれば解消する、とは思います。カザルス先生(私はどうしてもこの方を呼び捨てに出来ません)の耳にしたチェリストがそのレベルとは思われませんが。
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Re: 音程感覚には母語の影響が出るのか?

投稿日時:2009年04月13日 21:23
投稿者:catgut(ID:aRYRKTA)
20世紀前半に個性的なイントネーションを使ったと思われる有名な弦楽器奏者として、カザルス・ティボー(ティボーはカザルストリオメンバですね)、エネスコ、ヌヴー、メニューイン、ギトリス(この3名はエネスコと子弟関係がある)らがいます。クライスラーも個性的なイントネーションと評されることがあります。これだけのメンツが揃っているのですから、20世紀前半にはイントネーションも個性的に表現することも許容されていたと言えるでしょう(本当に音程に失敗した録音も一部は残っているかもしれませんが)。

言語で例えれば、20世紀前半まではクラシックでも「方言」や「名優の崩した発音」が芸術表現として許されると考えられたのに対して、20世紀後半では「標準語」のイントネーションを使うことを前提としてその範囲で芸術性を競うという考え方に変わってきたのではないでしょうか。

言語のイントネーションに関する論文をいくつか読んでみましたが、人間は会話で約1オクターブの範囲内で4段階から5段階程度の音の高さを会話で使い分けているという説がありました。ただの想像に過ぎませんが、多くの民族でペンタトニック(5音音階)が使われていることと関係があるのかもしれません。
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Re: 音程感覚には母語の影響が出るのか?

投稿日時:2009年04月13日 21:55
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:GEBQkxE)
室内楽奏者さん、

こちらこそ素人のごく限られた知見の範囲でモノを言っていますので、あまり参考にならなくて済みません。

「不本意」というのは「不快」という意味ではありませんよ。
自分では「つもり」でもチェロの運指にはそういう罠がある、ということで一つ賢くなった、というか・・・精進しなければ、ということです。
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Re: 音程感覚には母語の影響が出るのか?

投稿日時:2009年04月14日 07:28
投稿者:catgut(ID:aRYRKTA)
会話で約1オクターブ中4、5段階の「音高」を使っているというソースの一つです。実際の音声の周波数分析のデータも掲載されています。

スペイン語と日本語の音声 上田博人東京大学教養学部教授 
ttp://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/~cueda/kenkyu/taisyo/files/taisyo42.pdf

4.2.1.高さのレベル
(3) 比較
スペイン語ではピッチレベルが5段階,日本語では4段階で示せる.
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Re: 音程感覚には母語の影響が出るのか?

投稿日時:2009年04月14日 08:38
投稿者:catgut(ID:aRYRKTA)
ヴァイオリン演奏のポリシーについて以下の傾向があると思います。

20世紀前半(ロマン主義的)
・ヴァイオリン演奏の本質は歌の真似である。
・イントネーションも美しく感じるなら自由に決めてよい。

20世紀後半以降(新即物主義的)
・ヴァイオリン演奏の本質は楽譜に書かれた情報の作曲者の意を汲んだ再現である。
・イントネーションは標準的なものを強く尊重すべきである。

たとえば「シューベルトのアヴェマリア」などは元々歌曲ですから、20世紀前半のドイツ語圏のヴァイオリニストは演奏で言語のイントネーションを考慮したことは十分考えられると思います。

このスレッドのテーマである「実際の演奏」ではなく特に感情が入らない「単なる音階演奏」でははどうかという問題ですが、「単なる音階演奏」でも機械的に音程が決まるのではなく、「美しさ」を感じられるように様々な調整が入っているのは明らかです。幼時に刷り込まれた音階感覚が「美しさ」の判断に影響するので、その音階感覚が発生した要因として母語の
影響があると私は思います。また、Deutsch説のようにもっとダイレクトに言語が音階感覚に影響しているのかもしれません。

参考までに入力した日本語の歌詞の言語イントネーションを自動解析して自動作曲し即座に歌ってくれる自動作曲システム ORPHEUSです。これは音律は関係ありませんが面白いです。
ttp://itm.hil.t.u-tokyo.ac.jp/automatic-composition/index.cgi
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Re: 音程感覚には母語の影響が出るのか?

投稿日時:2009年04月14日 17:10
投稿者:コクシネル(ID:FHJjIDQ)
>新即物主義においては、標準的なイントネーションを強く尊重すべき・・・・

何をもって標準的とするのか、という話は置いといて、

私には、新即物主義の代表と言われるシゲティ、ハイフェッツのイントネーションも、十分自由で個性的なものに聞こえます。 一方弦楽四重奏代表のブダペストカルテットの第一バイオリン、ロイスマンの音程の取り方も、独特で、今ならコンクールの予選、通らないのではないでしょうか。 

彼らの、ゼルキンと一緒のシューマンのピアノ五重奏、これは名演ですから是非聴いてみてください。 特に緩除楽章における♭付き半音の取り方に注目。 明らかに低めの音程で、不安感が激しく増幅されています。

イントネーションは時代や流派、演奏家の個性によって変動ありますし、また最近ではより没個性の傾向にあること、同意します。 しかしその影響の源としては、母語よりも、どの国でどの系統の誰から教育受けたかの違いの方がはるかに大きく、クラシックの世界においては、母語の影響はほとんど無視しても差し支えないように思います。

日本人の私が演歌歌うより、ジェロさんが歌った方が、はるかに演歌の伝統にのっとり、正統なものであることは、間違いありません。
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Re: 音程感覚には母語の影響が出るのか?

投稿日時:2009年04月14日 23:15
投稿者:カルボナーレ(ID:JRaECRQ)
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Re: 音程感覚には母語の影響が出るのか?

投稿日時:2009年04月14日 07:28
投稿者:catgut(ID:aRYRKTA)
会話で約1オクターブ中4、5段階の「音高」を使っているというソースの一つです。実際の音声の周波数分析のデータも掲載されています。

スペイン語と日本語の音声 上田博人東京大学教養学部教授 
ttp://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/~cueda/kenkyu/taisyo/files/taisyo42.pdf

4.2.1.高さのレベル
(3) 比較
スペイン語ではピッチレベルが5段階,日本語では4段階で示せる.
の発言に対してですが、下記文献の最後のイントネーションは4段階かつ1オクターブ以内なのでしょうか。
ttp://www.kyokyo-u.ac.jp/KOUHOU/107/107-6.pdf

また、この地域に住む演奏家はやたらとポルタメントを使いたがるのであろうか。
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