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ヴィブラートのかけ方について | ヴァイオリン掲示板

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ヴィブラートのかけ方について

投稿日時:2007年01月26日 10:44
投稿者:catgut(ID:NhFlA3Q)
ヴィブラート解析ソフト"tartini"などで確認し、ヴィブラートに関して従来広く信じられていた以下の2つの説に誤りがあることが明らかになりました。

(1)ヴィブラートを基準音の下にかける
事実:ほとんどのプロの演奏でヴィブラートは基準音を中心に上下に均等にかけている。

(2)G線開放弦のヴィブラートは1オクターブ上のD線のG音との共鳴による
事実:楽器を振動させるだけで同等の効果が出る。弓毛と弦の接触の強さの変化によって音量が変化しヴィブラートらしく聞こえる。
つまりヴィブラートは音程の変化だけでなく音量の変化も重要である。

これらの事実により「美しいヴィブラート」をかけるために以下の試みが可能ではないかと考えられます。

(1)「最初に基準音を押えて下にかける」という意識をせずにより自由なヴィブラートのかけ方を試す。

20世紀半ばに活躍した名ヴァイオリニストの映像を見ると、指の腹の近くで
弦を押えてヴィブラートをかけている場合があります。また下方向ではなく
上方向からかけはじめる場合もあります。

(2)音程の変化だけではなく音量の変化も意識する

「開放弦のヴィブラート」が美しく聞こえるようにできれば通常のヴィブラート(音程の変化を伴う)も美しくなるのではないかと思います。このためには楽器がほとんど振動しないヴィブラートのかけ方が良いとは限りません。楽器がある程度揺れないと音量の変化が起きません。
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Re: ヴィブラートのかけ方について

投稿日時:2007年02月08日 21:56
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
アマチュアチェロ弾きさま、

[31424]
[31424]

Re: ヴィブラートのかけ方について

投稿日時:2007年02月07日 21:41
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
傍観者さま、

(1)演奏者は弦に指を下ろした所から下に向けてヴィブラートをかけている
(2)音響測定ソフトで確認すると基準音から上下均等にヴィブラートがかかっている

この二つの事実から、演奏者は指を下ろした時点では現実には基準音より高い位置を押えているという結論になります。

この場合、「一発で正確な音」など決して押えておらず、ヴィブラートで指を動かして初めて「正確な音」に達するのです。この意味がお分りになりますか?
の話は「基準音から下にヴィブラートをかける」と考えている奏者が前提です。

(1)基準音から下にヴィブラートをかけると意識している奏者の場合
最初にかけはじめる方向は意識の通りになるケースが多いと思います。つまり「下にかける」と意識しているのであれば、かけはじめは音程が下がるケースが多いと思います。ただ、実際はポジション移動などの影響で結果的に逆になるケースがあると思います。

(2)基準音から上下にヴィブラートをかけると考えている奏者の場合
戦前教育を受けた奏者を中心に多数いると思います。この場合はかけはじめる方向はケースバイケースだと思います。

一部推測もありますので、おかしなところがありましたらご指摘お願いします。
[31450]

Re: ヴィブラートのかけ方について

投稿日時:2007年02月08日 22:15
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
wtnabeさま、以下回答いたします。

1.についてですが、 「ヴィブラートを確認できるフリーソフト」スレッドの [30663]
[30663]

Re: ヴィブラートを確認できるフリーソフト

投稿日時:2006年12月10日 11:02
投稿者:catgut(ID:QXJBQTg)
こちらに「ヴァイオリンのヴィブラートに関する研究のまとめ」とも
言うべき詳細な論文がありました。従来のヴィブラートに関する研究を客
観的に紹介しています。ヴィブラートを「下にかけるか」「上下にかけるか」
の論争についてはP23-P28に記載されています。

ttp://etd.lib.fsu.edu/theses/available/etd-05082006-134732/unrestricted/RBM_manuscript.pdf

アメリカではガラミアンらが「ヴィブラートは基準音の下にかける」と主張
したため多数派ですが、教育者と演奏家(Pedagogues and artists)にも「基準音の上下にかける」と主張する人が少なからずいるそうです。
音響学者による実証研究(Empirical Research on Pitch Center)の大半は、ヴィブラートは上下にかける(ヴィブラート音の音程はヴィブラート幅の中間が聞こえる)という結果が出ているそうです。よく言われる「ヴィブラート音の上限の音程が聞こえる」という実証研究は現実には存在しないようです。
(ヴィブラートの上限の音程が聞こえるという論文はヴィブラートの下限の音程が聞こえるという別の論文を書いているFletcherによる1件のみ)
で書いた通り、欧米には現在でも「ヴィブラートを上下にかける」と主張する人は有力な指導者・プロの演奏家にもいます。violinist.comやmaestronet.comといったヴァイオリン関係の掲示板でもしばしば論争となります。wikipedia英語版では現在は「下にかける」となっているようですが、googleで検索した際、キャッシュに上下にかける派が反論している文面が残っていました。むしろなぜ日本では「上下にかける」派がごく少ない
のか、実はいたとしても表面に出てこないかというのが興味深いところです。演奏者の世界が狭いので異論が言いにくいのでしょうか?

2についてですが、これは現実には難しそうですね。誰が「下にかける」と信じているか分らないと関係づけることができません。ガラミアンの門下生でも下にかけると考えていない人もいるかもしれません。
[31459]

Re: ヴィブラートのかけ方について

投稿日時:2007年02月08日 22:43
投稿者:魚丸(ID:JABoOHM)
catgutさん、拝見しました!有難うございます。
なるほどー。色々と仮説を考えました。よく考えてまた後日書き込みたいと思います…。やはり関数のモデルで分類するのが判り易いし議論も容易な気がします。

文字化けしたら、ゴメンナサイですけどね。。

./\__/\ こちらが
 ̄ ̄\/ ̄ ̄ 基準音の上下(上向き)


.__/\__ こちらが
\/ ̄ ̄\/ 基準音の上下(下向き)


で。次のこーいう感じで。一般的なイメージ?ですよね。


\ ̄ ̄/\ ̄ ̄/
_ \/___ \/

崩れたら即消しますが、見ちゃった方、ゴメンナサイね。
(数回テストを繰り返しましたが時間切れ。うまくいきますように!)

★アマチュアチェロ弾きさん。お許しいただきありがとうございます。
サイト開設、色々手数がかかって大変とは思いますが、楽しみにしていますので是非頑張って作り上げてください。今からずうずうしくリクエストですが、できればデータとしては音源+グラフだと万全ですね!(著作権がからんで難しいかなーとも思います。あくまで『できれば』ということで。)
[31460]

Re: ヴィブラートのかけ方について

投稿日時:2007年02月08日 22:47
投稿者:魚丸(ID:JABoOHM)
何度も何度も書き込んでは消してすみませんでした。
書き忘れましたが、最初のドットなどが基準音の簡略モデルです。
(あ。三つめ全角で入れてる…もういいや)

三角関数をバーンと書くより皆に読んでもらえそうですのでご提案。
名前もつけたほうが良いですね。。。。
[31463]

Re: ヴィブラートのかけ方について

投稿日時:2007年02月08日 23:53
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
「ヴィブラートを基準音の上下に均等にかける」と主張している演奏家・指導者の例です。

ttp://etd.lib.fsu.edu/theses/available/etd-05082006-134732/unrestricted/RBM_manuscript.pdf
p23より
(3) the frequency of the vibrato oscillates equally above and below the conceived pitch(Doschek, 1968; Joelson, 1964; Mantel, 1972; Rolland, et al., 2000; Young, 1999)

Gerhard Mantelは著名なチェリスト
ttp://www.gerhard-mantel.de/index.htm
Paul Rollandはアメリカでヴァイオリンの初等教育メソッドの著作で有名な指導者。
wikipedia英語版による解説
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Paul_Rolland
P.YoungはStrad誌掲載"Great shakes: Matchboxes and sponges-expert tips on teaching vibrato"というヴィブラート教育法の記事の著者
[31464]

Re: ヴィブラートのかけ方について

投稿日時:2007年02月09日 00:03
投稿者:アマチュアチェロ弾き(ID:KSNzWFY)
catgutさん

>[31424]
[31424]

Re: ヴィブラートのかけ方について

投稿日時:2007年02月07日 21:41
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
傍観者さま、

(1)演奏者は弦に指を下ろした所から下に向けてヴィブラートをかけている
(2)音響測定ソフトで確認すると基準音から上下均等にヴィブラートがかかっている

この二つの事実から、演奏者は指を下ろした時点では現実には基準音より高い位置を押えているという結論になります。

この場合、「一発で正確な音」など決して押えておらず、ヴィブラートで指を動かして初めて「正確な音」に達するのです。この意味がお分りになりますか?
の話は「基準音から下にヴィブラートをかける」と考えている奏者が前提です。

そういうことでしたか。了解しました。


魚丸さん

音源ですが、おそらく著作権の関係で無理だろうと考えています。しかしそれでは音と波形の繋がりが見えないかもしれないので、一応恥ずかしながら私の拙い演奏と波形は示そうかと考えています。
また、演奏者にご迷惑がかかるといけないので、演奏者名も伏せようかと思っています。(外国の方ならOKでしょうか?)
尚、掲載するデータは一流のソリストの方々のものばかりです。

それからヴィブラートの立ち上がりの部分ですが、おそらくシフティングやどの指からどの指へ移ったか等によって違いが現れるような気がします。逆に言えば、同一奏者が同一の音を同一の指で単独で弾いたならかなり似通った立ち上がりが見えてくるかもしれませんね。また波形を見ていると、所謂「後がけ」(最初はヴィブラート無しで、徐々に大きくかける)の場合等、上向きか下向きかわからないケースも多々あります。
[31467]

Re: ヴィブラートのかけ方について

投稿日時:2007年02月09日 00:11
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
魚丸さま、

tartiniは本当に簡単に使えますので、お時間のある時にお試しください。
サンプルファイルを使って動作させるまでに10分もかからないと思います。

こちらからWindows版またはMac版をダウンロードし、解凍します。
(ただし日本語を含むフォルダ・ファイル名は使えません。よく分らなければ
 c:\にtartini1.0.1.zipをダウンロードして解凍してください)
ttp://miracle.otago.ac.nz/postgrads/tartini/download.html

解凍するとexample.wavというサンプルファイルがtartini本体と同じフォルダ
に入っていますので、tartiniを起動しtartiniの"File"-"Open"でexample.wavを指定するだけで、使用できます。読み込みが終わったら左下のプレイボタン(右側に向いた三角の緑色の図形)をクリックしてください。音の再生とともに分析された波形が画面上に表示されます。

アマチュアチェロ弾きさま、
期待しております。
[31469]

Re: ヴィブラートのかけ方について

投稿日時:2007年02月09日 02:01
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
アマチュアチェロ弾きさま、

「同一奏者が同一の音を同一の指で単独で弾いたならかなり似通った立ち上がりが見えてくるかもしれませんね。」

なるほど、有名ソリストであれば同じ曲について複数回異なった録音している場合がありますから、比較してみると興味深い結果が出るかもしれませんね。

ちなみにカール・フレッシュ「ヴァイオリン演奏の技法」には2行だけですが
「開放弦」のヴィブラートに触れている部分があります(日本語版上巻p46)。フレッシュは「共鳴」で起きるとは書いていませんが、よく仕組みを理解していなかったようで「開放弦の倍音の一つにヴィブラートをかけるとある種の間接的ヴィブラートが発生する」と書いています。
[31476]

Re: ヴィブラートのかけ方について

投稿日時:2007年02月10日 02:37
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
ご参考までに、弦に指を置いた後の音程修正について英語版の
wikipediaで触れていましたので紹介します。

ttp://en.wikipedia.org/wiki/Playing_the_violin
Left Hand & Producing Pitchの項

That said, a quote widely attributed to Jascha Heifetz goes something like: "I play as many wrong notes as anyone, but I fix them before most people can hear them."
ハイフェッツは「私はしばしば間違った音を押えることがあるが聴衆に聞える前に修正できる」と言ったとされている。
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Re: ヴィブラートのかけ方について

投稿日時:2007年02月10日 03:04
投稿者:catgut(ID:aWRRYg)
大変興味深い資料がありました。
本物のTartiniはヴィブラートを手前側に向けてかけていたというものです。
ソースはTartini自身が書いた手紙と思われます。

Ornamentation in Giuseppe Tartini's Traité des Agréments
By: C.M. Sunday
ttp://cnx.org/content/m13351/latest/
vibratoの項

The hand undulated toward the bridge, rather than the scroll
手はスクロール側にではなく、ブリッジ側に向けて揺らしました
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