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ピタゴラス音律は何故美しいか? | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 115 Comments
[26593]

ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年04月10日 20:24
投稿者:セロ轢きのGosh(ID:EBU3FIA)
  純正律(自然倍音列)の和音が美しくハモることは物理的に理解できます。 ピタゴラス音律の数学的な美しさもそれなりに解るような気がしますし、弦楽器(ヴァイオリン族)と相性のいい音律であるらしいことも見当が付きます。 平均律の数学的な意味も一応解っているつもりです。

  解らないのは、ピタゴラス音律に乗った旋律が美しく聞こえるのは何故か。 そこに、物理的あるいは生理学的な根拠はあるのでしょうか?

  自然の摂理そのままみたいな純正率と違って、ピタゴラス律はある意味平均律に負けないくらい人工的な・数学的な理論の遊びの産物のように思えます。
 「だって、現にピタゴラスで弾いた方が気持ちいいでしょ?」
という方は多いと思いますが、では民族音楽なんかにでてくる(非ピタゴラス)音律は「間違って」いるのでしょうか?

  つまり、小生の疑問は、
「ピタゴラス音律というのは結局のところ西洋音楽、特に弦楽器分野の方言みたいなもので、それで育った人にとっては故郷訛りを聞くように心地よく響く、というだけのことではないのか?」
ということです。

  「ピタゴラスの全音は約204セントです」みたいな平均律を中心の物言いには不満を感じますが、かといって、「ピタゴラスが正しくて平均律は平均的に狂っている」というのも違うのかなぁ、と。

  素人の音律論はウンザリだ、という声が聞こえてきそうですが、(それに、音楽というよりも物理・数学・大脳生理学・文化論的な好奇心による質問なので益々恐縮ですが)、そこを曲げて識者諸兄からご教示頂けるとありがたく思います。
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[27659]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月29日 23:35
投稿者:匿名希望X(ID:NVI0V5g)
商社さん、困りましたね。キルンベルガーは天国なんで彼と論争してもらうことも出来ませんね(爆)。
18世紀中葉は、まだ弦楽器が3度の純正を重視して、旋律ですらミーントーン系列の音程でとっていたことがわかっています。
たとえばよく言われる1/6コンマミーントーン(ヤングの音律)なんかだと
CGDAあたりは全部698.045セント(私はセントが虫唾走るくらい嫌いなんですが最近、歯を食いしばってエクセルで計算しました)です。つまり純正5度じゃない。
だから開放弦はどのみち無理でしょう。DがあっていればAはあわない。
AがあっていればEはあわない。従って当時の優れた演奏家は開放弦を使わなかったのです。どうしても開放弦を使いたければ、最近のピリオド奏者のように狭い調弦にすればいいのです。
しかしキルンベルガーさんは明瞭に「ヴァイオリンは完全5度だから正しい音階(ミートーン的立場で正しい音階)にならないから開放弦は使ってはいけない、と書いているのです。キルンベルガーの幽霊と論争しますか?
[27662]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月30日 01:31
投稿者:MHO(ID:IRhTIHg)
修正再投稿
[27648]
[27648]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月29日 19:35
投稿者:匿名希望X(ID:NVI0V5g)
[27636] MHOさま。
なるほどヴァイオリンのE線とチェロのC線の問題は大変です。コンサート楽器ですら、C線というのは高めに修正します。プロのオケやらクヮルテットが行なっている例は多いです。
ただし「18世紀にも、開放弦は頻繁に使われた」とは言い切れません。
ズルツァー(1720-79)の「芸術総論」でキルンベルガー(バッハの弟子)が執筆した部分で
「ドドレミファソラー」という旋律の最後のラーの音を決して開放弦では取るな、開放弦で弾くとヴァイオリンは完全5度で調弦されているので高すぎる結果となる」
と書いています。キルンベルガーはヴァイオリンを完全5度で合わせたことが判明します。
無論両端の弦を多少修正することは行なわれた(今日同様)こともあったでしょう。しかしすべての5度をオルガンに合わせることが「一般的」だった証拠は寧ろ少ないように思います。
尚、カンパニョーリの図はヴァイオリンの4本の弦の図柄があって、その上にツボの位置が印刷されているものです(春秋社、東川清一編:「古楽の音律」=絶版?より、パトリツィオ・バルビエーリ著作部分193ページ)。
gフラットより高い場所いfシャープ、cフラットより高い場所にhが印刷されているのでジェミニアーニなどとは反対であることが明瞭です。
ではヴァイオリン演奏において、いつ頃、中全音からピュタゴラスへの転換があったかですが、イタリアで1775年、フランスで1776年に証言がある(前掲諸191-2ページ)とのことでした。
匿名希望Xさま、文献とかを示していただけるので大変参考になります。
>gフラットより高い場所いfシャープ、cフラットより高い場所にhが印刷されているのでジェミニアーニなどとは反対であることが明瞭です。
------------------------
それは確かにピュタゴラスですね。レオポルドは教科書で「♭は♯よりコンマ高いと」断定しましたのでピュタゴラスではありません。カンパニョーリについて戴いたスペルで answers.com を検索しますと「弓の手法は旧式だが考案した音程は革新的でその後広く使われるようになった」と書かれています。バルビエーリの証言と合わせるとヴァイオリン演奏にピュタゴラスが出現したのは18世紀後半で間違いないようです。ありがとうございました。でも和音をピュタゴラスで取ったかどうかはグレイではないでしょうか(しつこくてすみません)。

>「ドドレミファソラー」という旋律の最後のラーの音を決して開放弦では取るな、開放弦で弾くとヴァイオリンは完全5度で調弦されているので高すぎる結果となる」
------------------
それも明白な証拠ですね。ありがとうございました。うちのピアノはおやじのお古で何故かヴェルクマイスターなんですが調弦が悩みの種です。ピアノからAを取って完全5度調弦すると開放のD,特にGがピアノに対して凄く低くなります。ト長調の曲でピアノの鳴らす音がヴァイオリンの開放弦と異なると弾きづらいです。Beethoven のト長調ソナタNo. 8 冒頭のピアノとのユニゾンを思い浮かべてください。Dに開放弦を使わない弾き方は私には出来ません。Beethoven が最後のト長調ソナタを Rode に献呈したとき Strad をどんな調弦にしたか想像するのは楽しいです。あの世に行ったらRodeに聞いてみたい。あ、ドイツ語苦手だった。
[27681]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月30日 23:47
投稿者:南社(ID:FHdoJVE)
匿名希望Xさん

> 商社さん、困りましたね。キルンベルガーは天国なんで
> 彼と論争してもらうことも出来ませんね(爆)。

キルンベルガーさんってドイツのオルガン奏者だった人でしょ。

> 「ドドレミファソラー」という旋律の最後のラーの音を
> 決して開放弦では取るな、開放弦で弾くとヴァイオリンは
> 完全5度で調弦されているので高すぎる結果となる」
> と書いています。

何の本に書いてあった?
やっぱ、これっておかしいよ。
だってラの開放弦はチューニングの最初の音じゃない。
Aの開放弦が使えなかったら、何を基準に音程を決めるの?

> キルンベルガーさんは明瞭に「ヴァイオリンは完全5度
> だから正しい音階(ミートーン的立場で正しい音階)に
> ならないから開放弦は使ってはいけない、と書いているのです。

オルガン奏者で弦楽器をよく知らないだけじゃない。
[27694]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年05月31日 11:57
投稿者:市井のアマチュア(ID:FUUXInk)
横レスですが、
商社さんの「何の本に書いてあった?」
ってのは変ですね。
>>ズルツァー(1720-79)の「芸術総論」でキルンベルガー(バッハの弟子)が執筆した部分

って書いてある…(この本有名らしいが、手に入らないでしょうね)

キルンベルガーは
http://www2.nau.edu/~tas3/kirnberger.html
プロイセンの宮廷ヴァイオリニストでもあったんでプロの弦楽器奏者ですよ。オルガンも上手だったらしいけれど。
そういえば、昔の人は楽器を何でも弾けたらしいですね。
バッハだってヴァイオリンもヴィオラもチェロもオルガンも、何でも弾けたんでしょう。羨ましいよね。
[27703]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年06月01日 00:01
投稿者:うーん(ID:MJlZlng)
>やっぱ、これっておかしいよ。
>だってラの開放弦はチューニングの最初の音じゃない。
>Aの開放弦が使えなかったら、何を基準に音程を決めるの?

A線を基準として他の弦をチューニングし、その弦を基準に音階をとれば、
A線の開放弦を音階で使わないケースも十分ありうると思いますが。
つまり、

ラをチューニング

他の弦の音程が決まる

ドの音も決まる

ドドレミファソラ~としたとき、ラの音のピッチはA線の開放弦と違えて弾く


#憶測より文献をあたる必要があるとは思いますが。
[27704]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年06月01日 00:41
投稿者:匿名希望X(ID:NVI0V5g)
東川先生の本を借りた友人に教えてもらってエクセルにはまった匿名Xであります。パソコンて面白い(爆)。
[27703]
[27703]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年06月01日 00:01
投稿者:うーん(ID:MJlZlng)
>やっぱ、これっておかしいよ。
>だってラの開放弦はチューニングの最初の音じゃない。
>Aの開放弦が使えなかったら、何を基準に音程を決めるの?

A線を基準として他の弦をチューニングし、その弦を基準に音階をとれば、
A線の開放弦を音階で使わないケースも十分ありうると思いますが。
つまり、

ラをチューニング

他の弦の音程が決まる

ドの音も決まる

ドドレミファソラ~としたとき、ラの音のピッチはA線の開放弦と違えて弾く


#憶測より文献をあたる必要があるとは思いますが。
 うーん様、お説のとおり計算できますよ。
:::::::::::::::::::::::::::::::::
簡単な例を揚げます。
Aを現代風に442に調弦してください。
これに完全5度で他の弦を合わせます。
すると、大体
E=663, D=294.67, G=196.44
となるでしょう。
ハ長調の始めの音であるCはG線の上でGの完全4度上とするでしょう。
すると、C=261.92 (=196.44×4/3)となるでしょう。
これの完全4度上がファ(F)でしょう。
するとF=349.227(=261.92×4/3)となるでしょう。
ハ長調の純正音階ではAはFの純正長3度上です。
こうしないと下属和音が純正でないので許されません。
するとA=436.53(=349.227×5/4)
つまり通常の調弦では矛盾無く純正ハ長調の音階を弾くのに開放弦が使えません。
[27706]

だからーー

投稿日時:2006年06月01日 09:47
投稿者:市井のアマチュア(ID:FUUXInk)
こういう理屈なら任して下さい。
血が騒ぎます。
G=196.4444444:Aの五度の五度下
これをもとにピタゴラス音階でAに戻れますよ。

C=261.9259259:Gの完全4度
D=294.6666667:Cの大全音(ピタゴラス全音)
E=331.5:Dの大全音
F=349.2345679:Cの完全4度
G=392.8888889:Cの完全5度
A=442:Gの大全音
ほおら、ピタゴラスなら大丈夫じゃない。
ピタゴラスが良いでしょう?
[27710]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年06月01日 21:13
投稿者:MHO(ID:IRhTIHg)
[27704]
[27704]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年06月01日 00:41
投稿者:匿名希望X(ID:NVI0V5g)
東川先生の本を借りた友人に教えてもらってエクセルにはまった匿名Xであります。パソコンて面白い(爆)。
[27703]  うーん様、お説のとおり計算できますよ。
:::::::::::::::::::::::::::::::::
簡単な例を揚げます。
Aを現代風に442に調弦してください。
これに完全5度で他の弦を合わせます。
すると、大体
E=663, D=294.67, G=196.44
となるでしょう。
ハ長調の始めの音であるCはG線の上でGの完全4度上とするでしょう。
すると、C=261.92 (=196.44×4/3)となるでしょう。
これの完全4度上がファ(F)でしょう。
するとF=349.227(=261.92×4/3)となるでしょう。
ハ長調の純正音階ではAはFの純正長3度上です。
こうしないと下属和音が純正でないので許されません。
するとA=436.53(=349.227×5/4)
つまり通常の調弦では矛盾無く純正ハ長調の音階を弾くのに開放弦が使えません。
匿名希望Xさんは純正律の説明、[27706]
[27706]

だからーー

投稿日時:2006年06月01日 09:47
投稿者:市井のアマチュア(ID:FUUXInk)
こういう理屈なら任して下さい。
血が騒ぎます。
G=196.4444444:Aの五度の五度下
これをもとにピタゴラス音階でAに戻れますよ。

C=261.9259259:Gの完全4度
D=294.6666667:Cの大全音(ピタゴラス全音)
E=331.5:Dの大全音
F=349.2345679:Cの完全4度
G=392.8888889:Cの完全5度
A=442:Gの大全音
ほおら、ピタゴラスなら大丈夫じゃない。
ピタゴラスが良いでしょう?
市井のアマチュアさんはピュタゴラス音律の説明ですね。どちらが良い悪いではないと思います。

ヴァイオリンでハ調長音階を純正律とピュタゴラス律で弾くとどうなるかを以下にまとめましたのでご参考下さい。(もし誤りや矛盾があればご指摘下さい)

・調弦
まずヴァイオリンの4弦E、A、D、Gを完全5度調弦します。基音ド(C)は同じAに合わせたヴィオラかチェロのC線と同じで、匿名希望Xさんの言われるよいうにG線開放の完全4度上(3指)上に取ります。音階は純正律では開放弦に対して3度6度を純正に、ピュタゴラスでは4度5度を純正にとることが基本です(各和音がハモルように取ります)。

・純正律音階
C ド: G線 3指 (ピュタゴラス律に同じ)
D レ: D線 開放(ピュタゴラス律に同じ)
E ミ:  D線 1指 G線開放と純正・長6度(ピュタゴラス律より低い。)
F ファ: D線 2指 G線3指と完全4度(ピュタゴラス律に同じ)
G ソ: D線 3指 G線開放と8度(ピュタゴラス律に同じ)
A ラ: D線 4指 G線3指と純正・長6度(ピュタゴラス律より低い)
H シ: A線 1指 D線開放と純正・長6度(ピュタゴラス律より低い)

・ピュタゴラス律音階
C ド:  G線 3指 (純正律に同じ)
D レ: D線 開放(ピュタゴラス律に同じ)
E ミ:  D線 1指 A線開放と完全4度(純正律より高い。)
F ファ: D線 2指 G線3指と完全4度上(純正律に同じ)
G ソ:  D線 3指 G線開放の8度上(純正律に同じ)
A ラ:  A線 開放 (純正律より高い)
H シ: A線 1指  E線開放と完全4度(純正律より高い)

ここで、ラの高さを両者で比較しますと
純正律 5/3= 1.6666 (純正長6度、884セント)
ピュタゴラス律 (9/8)x(3/2)=27/16=1.6875 (ピュタゴラス長6度、 906セント)

因みにミの高さを両者で比較しますと
純正律 5/4 = 1.25 (純正長3度、386セント)
ピュタゴラス律 (9/8)~2=81/64=1.2656 (ピュタゴラス長3度、408セント)

キルンベルガーはこの差を指摘しているわけです。この差22セントはシントニック・コンマと呼ばれています。1/6コンマミーントーンでは、よく使われる5度をコンマの1/6づつ(約4セント)純正より狭くとって(即ち698セント)5度圏を閉じているわけですね。

ところでキルンベルガーと同年代のレオポルド・モーツアルトも純正律を教えているのですが、教本で開放弦を示す0の指番号が振っているのがあったと思います。レオポルドは5度調弦ではなくミーントーン等の古典調律の鍵盤に合わせていた可能性を示唆しています。弦楽器はピュタゴラス律に馴染む5度調弦が行われていたと考えるのが妥当と思いますが、古典調律鍵盤に合わせるスタイルはいつの時代から始まったのでしょうか?
[27713]

ああああーーいやだ

投稿日時:2006年06月01日 22:38
投稿者:匿名希望X(ID:NVI0V5g)
やっぱりついていけません。
ようするに3度(6度)重視の立場
4度5度重視の立場は両立しない。
すべてに八方美人のような音程のとり方は無い。
ということで収めたい。勘弁してください。
もう頭が割れそうです。
ヴァイオリンは聴衆に満足してもらえばそれで善いと思う。
これにて退散します。みなさん、練習しましょう。
それと、人前で立派に演奏して納得してもらいましょう。
終わり
生態活動停止……さようなら
[27714]

Re: ピタゴラス音律は何故美しいか?

投稿日時:2006年06月01日 22:43
投稿者:うーん(ID:MJlZlng)
ゼロビートの再発見のp106では、父モーツアルト前後~ハイドンのころが示唆されているようにも見えます・・

久しぶりにこの本をひっくり返していたら、「昔の人はどんな音程の組み合わせをしたら音楽が美しくなるか研究した」(=音律の研究)という表現にぶつかって、なんだか感心してしまったり。
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