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ヴァイオリン弦「ヘリコア」について | ヴァイオリン掲示板

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ヴァイオリン弦「ヘリコア」について

投稿日時:2001年08月06日 20:39
投稿者:克彦(ID:EVFVkyQ)
 こんばんは,札幌の克彦です。

 このたび,アメリカのダダリオ社のヴァイオリン弦「ヘリコア」を試してみたのでレポートいたします。

 ヘリコアは,スチール弦に分類されていますが,ヘリコアのコア(芯材)は,毛髪のように細いスチールフィラメントを束ねたもので,従来のスチール弦(スチールの単線)とは異なります。

 僕は,ヘリコアを購入する前に,ネット上でヘリコアの情報を集めました。使用されている方々にお聞きした限りでは,ヘリコアの性能を高く評価していて満足されている方が多かったのですが,中には,ヘリコアは若干音量が小さく感じられるとおっしゃる方がいました。

 アメリカのダダリオ社のホームページのヘリコアの説明を読むと,「耳元では音量が小さく感じられるが,コンサートホールいっぱいに鳴り響かせることができる。」(原文を多少意訳しております)と書かれていました。ヘリコアは,耳元でのザラザラという雑音感が少ないという特性があるようですが,それがかえって耳元での音量が物足りないという印象につながっているようです。ホームページを見る限り,これはメーカー側でも予想しているようです。

 アメリカの会社のホームページなので,僕達日本人が読むと大げさすぎて思わず笑ってしまうような表現もあります。「極めて素早い反応,前例がないくらいに容易なボウイング」,「あらゆる演奏状態においても極めて安定しており,大変寿命が長い」などという表現は,いかにもアメリカ人らしい(ちょっとオーバーな)表現だと思います。

 ただ,弦のテンションが(ポンド表示で)明記されており,こうした詳細な情報開示は,さすが情報先進国アメリカです。これによると,ヘリコアはスチール弦としては,テンション(張りの強さ)があまり高くないようです。最も一般的なナイロン弦であるドミナントと同じくらいのテンションだと思われます。

 一般的には,弦のテンション(張り)が強い方が大きな音が出ますが,強過ぎると楽器が負けて音がつぶれる可能性があります。200年以上経過した古い楽器の場合,弦のテンションが高すぎると楽器を痛める可能性があります。新作楽器や,多少古くても健康状態が良い楽器の場合は,弦の張りの強さはそれほど気にしなくても大丈夫だと思います。
 ヘリコアを使用している方々が特に高く評価している点は,音色のクリアさ(雑音感の少なさ)と音程の安定感で,1度調弦をしたら,その日の練習中には,ほとんど音程が狂わないようです。また,部屋の気温や湿度が多少変わっても,ほとんど影響を受けないとのことです。

 このように,使っている人の評判は非常に良いのですが,ヴァイオリンの世界では,ヘリコアの知名度・人気度はいまひとつのようです。(ヴィオラやチェロの世界では,ヘリコアは結構人気があるようです。)

 
 前置きが長くなりましたが,僕が実際に使用してみた感想を書きます。

 パッケージを開けて弦を取り出すと,その異常なまでの柔らかさに驚かされます。最も太いG線でもフニャフニャとしていてヒモのようです。弦の太さは,最も多く使用されているナイロン弦「ドミナント」と比べると,A・D線がやや細いですが,E・G線は標準的な太さだと思います。

 E線は,スチールの単線とアルミ巻きのものが選べますが,僕は他社の弦でもE線はアルミ巻を愛用しているので,そちらを購入しました。ボールエンドとループエンドが共用なので,ループエンドにするには,ボールを取り外して使います。「つまようじ」をボールの穴に入れて軽くひねってやると簡単に外れます。

 弦が非常に柔らかいので,ペグ(糸巻き)に弦を巻くときの感触(手応え)も柔らかく感じます。(もちろん,最終的に張り上がるところまで巻いていくと差はなくなります)弦が柔らかいので,1度弦をはずして巻き直すときにも,弦に「くせ」がつかず巻き直しやすいです。調弦しやすいようにペグの止まる位置を調整するために,何度か巻き直すことがあると思いますが,ヘリコアはそのあたりの微調整がしやすくてとても扱いやすいと思います。

 僕は,ヘリコアの「ミディアム・テンション」を買いましたが,弦のテンション(張力)は,ドミナントやインフェルト・レッドとほぼ同じくらいか,少し弱めだと思います。弦を押さえたときの感触は,ドミナントやインフェルト・レッドよりも柔らかく感じられ,例えば,速いテンポの音階を弾いたり,3・4重音を押さえるときや,超ハイポジションを押さえるときなどに,楽に弦が押さえられるように感じます。

 弦を張ってから弦の伸びが収まるまでの時間(馴染むまでの時間)は,非常に短いです。張った直後にありがちな弦の伸びによる音程の低下が少なく,数時間で演奏可能な状態なレベルになります。ほぼ1日たつと伸びが収まって安定し,以後はその安定した状態がキープされます。安定した後は,練習中に気温や湿度が多少変化しても,音程の狂いはほとんどありません。練習中の調弦の回数は,半分くらいに減りました。また,ドミナントのように,張ってから2~3日は感じられるガサガサとした音のツブが荒い感じは,ヘリコアの場合はほとんど感じられません。短時間で馴染む点や音程の安定感では,ドミナントやインフェルト・レッドといったナイロン弦よりも,だいぶ優れているように感じます。

 調弦については,ドミナントやインフェルト・レッドとはだいぶ違った感触があります。弦の伸びが少ないので,調弦のときにペグ(糸巻き)をごくわずかに回しただけでもダイレクトに音程が変わります。最初はシビアな感じがしますが,すぐに慣れますし,慣れてしまうと反応がダイレクトなので微調整も容易です。

 音色は,ザラザラとした雑音感がほとんどなく,透明感のあるクリアな音色だと思います。明るい音色という点では,ドミナントも明るい音色ですが,ドミナントのような「からっとした」「ドライな」感じではなく,もう少しおとなしい感じです。E線やA線のような高音域の弦では,(鈴を振ったような心地良い)キラキラ(シャリシャリ)とした音が出ます。D線やG線のような低音域の弦では,ドミナントの方が若干太くて力強い音色のように感じますが,ヘリコアは,芯のあるしっかりとした音で実用上は問題ありません。どの弦も発音が明瞭でもやもやとした感じがなく,倍音も豊かで音程感も良いと思います。

 レスポンスはドミナントやインフェルト・レッドよりも鋭敏に感じます。特に,軽いスピカートなどでの弦の反応(応答性)は,ドミナントやインフェルト・レッドよりも優れていると思います。

 フラジオレット(ハーモニクス)は非常に出し易く,より透明度の高い「笛の音」が出るように思います。フラジオレットを弾くときは,ちょっとした力加減でかすれることがありますが,ヘリコアの場合はかすれずらいので,フラジオレットの音階が,以前よりだいぶ弾き易くなりました。

 ピチカートは豊かに響きます。3和音・4和音をはじいたときの音量のバランスも良いです。長く使っても切れることはないと聞いていたので,(指が痛くなるくらい)思いきり強くはじいてみましたが,かなりの音量が出ます。また,はじいた後の余韻が自然な感じで心地良いです。

 音量は,耳元での音量はドミナントに比べると少しだけ小さく感じますが,インフェルト・レッドよりは大きく感じます。聴いている人が感じる音量は,広い場所に持っていって比べる必要がありますが,それほど変わらないのではないかと思います。音量については,必要十分な音が出ていると思います。音の芯がしっかりしているので,遠達性は優れている(遠鳴りする)と思います。

 4弦のバランスについては,チタン巻きのD線がわずかに強く感じられます。正確に言うと,D線がわずかに強いというよりは,G線がわずかに弱いのです。そう感じられる原因は,ヘリコアのG線が音量的にも音色的にも少しおとなしいためだと思います。ヘリコアのG線は,強く弾いても荒々しさがなく,透明感のある柔らかい音なので,音に太さや力強さが感じられない傾向があります。ヘリコアのG線は,チェロやビオラを思わせるような太くて力強い音を出すのには向いていませんが,実用上の音量は十分で,柔らかさと適度な透明感があり,なかなか魅力的な音だと思います。3和音・4和音を弾いたときの4弦のバランスは良好で満足できるレベルだと思います。

 アルミ巻きのE線は,明るい音色で必要十分な音量があり,キンキンとした(金属的な)感じがなくてとても良いと思います。僕のヴァイオリンは,4弦ともドミナントを張ったときに,ちょうど4弦のバランスが良くなるように調整してもらっていますが,そのままの状態でヘリコアに替えてもバランスは良好で全く問題ありません。

 その他の特徴としては,あまり強い力を出さなくても大きな音が出せるので,右手が楽になったように思います。どの弦もそうですが,特にG線は,ドミナントやインフェルト・レッドに比べると,軽い圧力でも無理なくスーッと音が出てくるように思います。ヘリコアだと,少し弱めの圧力で弾いても十分な音量が出るので,弓の毛を少し弱めに張って弾くことができます。これは,弦のテンションが弱めに設定されているからだと思います。

 また,3和音や4和音を弾いたときにも,弦のテンションが弱めに設定されていることを感じます。弓の毛を弱めに張っても,3和音を弾くときの弓の毛のつぶれ具合が少なくて,より少ない力で和音を弾くことが可能です。

 定価は4本セットで5,400円で,ドミナントより少々高いですが,インフェルト・レッドとほぼ同じ価格で,オブリガートやエヴァ・ピラッツィに比べるとだいぶ安いです。

 以前から使用されている方のご意見では,ヘリコアはドミナントよりも長く使えるということですが,耐久性(音色の持続性)については,これから3ヶ月くらい使ってみて判断したいと思います。

 価格を含めて総合的に評価すると,ヘリコアは非常に性能の良いバランスのとれた弦だと思います。一般的に,スチール弦というと,「安物=初心者用=音が悪い」というイメージがありますが,ヘリコアは従来のスチール弦とは全く異なっており,かなり高性能な弦だと思います。ドミナントやインフェルト・レッドなどのナイロン弦から張り替えた場合にも違和感はありませんし,価格が比較的安いので,まだお使いになったことのない方には,(他社の弦と混ぜて使うと違和感があると思われるので4本セットで)お試しいただきたいと思います。

 以前から長くヘリコアをご愛用されている方がいらっしゃったら,僕の説明では足りないところを補足していただけると助かります。また,この文章を読んで,ヘリコアをお試しになられる方がいたら,ご感想など寄せていただけるとうれしく思います。

 それでは,また。
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【ご参考】
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ヘリコア初体験←ただしヴィオラ(笑)

投稿日時:2001年09月25日 23:08
投稿者:yc(ID:QoBHBTg)
近々人前で演奏しなければならない機会が複数あるため、
数年振りに弦を交換しました。ただし、ヴィオラです。
最初は強い音が欲しいと思い、スチール弦のヤーガーを買ってみたのですが、
これが大失敗!低音の2弦で張力が足りず、びろんびろんで使い物に
なりません(私のヴィオラは385mmと小さいことも一因)。

ショックでしたが、気を取り直して買い直すことにしました。
これまでのドミナントに不足を感じていたので何か別の弦にしたいと思い、
いろいろ調べました。その過程で、かのマイスター佐々木氏のサイトに
興味深いデータを見つけました。
http://www.din.or.jp/~sasakivn/report/saitenschpan.htm
今回はとにかく強い張力が欲しいという事情から、コレルリアリアンスが
欲しかったのですが、楽器屋さんに在庫がなかったため、
ヘリコアを買ってみました。

感想ですが、素直にバランス良く音が出る印象です。音の強さでは
幾分ドミナントに分がありますが、素直なレスポンスや音色の濁りの無さなど、
優れた点もあると思いました。何より値段が安いので、総合的に見て
充分満足のいくものでした。

以上、ご報告でした。
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ヴィオラ用ヘリコア

投稿日時:2001年09月28日 18:40
投稿者:克彦(ID:FGcimAA)
 こんばんは,札幌の克彦です。

 ycさんへ,ヴィオラ用のヘリコアを購入されたとのことですね。ヘリコアは,ヴィオラやチェロを弾いている方々の間では,知名度も高く,使っている方も多いようです。

 ヴィオラ用でも,ヘリコアの特徴である雑音の少ないクリアな音や素直なレスポンスという特性があるようですね。

 ヴィオラで,ボディーレングス(胴体の長さ)が385ミリだと小さ目のヴィオラですね。それくらいの大きさだと,ヴァイオリンから持ち替えたときの違和感は少なそうですね。

 ヴァイオリン用ヘリコアもお試し下さい。それでは,また。
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張り替え後1ヶ月経過

投稿日時:2001年10月21日 13:22
投稿者:克彦(ID:JTMTlgQ)
 こんにちは,札幌の克彦です。

 ヘリコアを張り替えてから,1ヶ月が経過しました。弦のコンディションは非常に良く,僕自身が十分にヘリコアに慣れてきたこともあり,ますます気に入っています。

 先日,ヴァイオリンの展示会に行ったのですが,その展示会の中でも高価な楽器には,オリーヴ(高級ガット弦)が張られていました。一般的に,ガット弦は,レスポンスが早いと言われており,実際に弾いてみると,たしかに,ヘリコアよりもわずかにレスポンスが鋭い(素早い)感じがしました。

 ただ,試奏している短時間のうちにも,徐々に音程が下がるのが気になります。ヘリコアだと,1度調弦を合わせたら,少なくとも1時間くらいは正しい音程を維持してくれますが,オリーヴは10~20分に1回は調弦する必要を感じました。

 あと,オリーヴは,音量もやや不足しているように思いました。ザラザラという雑音感も,ヘリコアに比べるとだいぶ多かったです。

 自分の楽器でオリーヴを試したわけではないので,音量の不足や雑音感の多さに関しては,楽器の違いを考慮する必要がありますが,(楽器の違いの影響がほとんどない)音程の安定性に関しては,ヘリコアは抜群に優れていることを実感しました。

 今回展示会でオリーヴ以外にもいろんな弦を弾きましたが,弦によって,ボウイングを微妙に変える必要があることを,再度実感しました。これは弦の硬さ・張力(張りの強さ)などの違いによるものだと思います。

 こうした弾き比べをして,ヘリコアがいかに優れているかを実感できたのは,大きな収穫でした。

 それでは,また。
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Re: ヴァイオリン弦「ヘリコア」について

投稿日時:2001年10月22日 01:30
投稿者:yc(ID:KWgyZpk)
克彦さん、こんにちは。

確かに、弦によって弾き方を変える必要はありますね。
その理由は克彦さんのおっしゃる通りだと私も思います。
私はヴァイオリンでE線以外に複数銘柄の弦を張ったことが
ありませんが、ヴィオラで現在上2本と下2本に別銘柄の弦を
張っています。下2本はヘリコアです。ヘリコアが比較的楽に
音を出すことができるのに対し、2番線(D)のヤーガーはテンションが
高いのか、きちんと鳴らすためにはかなり気を使います。

そういえば、実は今日(昨日)演奏会本番だったのですが、
これまで弾いてきてヘリコアのC線はそこそこ満足のいく鳴りが
あったなぁ、と思い返してみて感じます。最初はドミナントの方が
鳴っていたように思ったのですが、今日のリハーサル、本番を
思い出してみると、これまでドミナントで感じた、C線をいくら
一生懸命鳴らしてもいまひとつ音が出てこない、という現象が
ありませんでした。鳴りだけの問題ではなく、音質など、トータルで
バランスが良いのかな?と思っています。
[387]

本当ですか?

投稿日時:2001年10月26日 10:55
投稿者:がん(ID:NzYggZM)
ガセだったらごめんなさい。
ヘリコアを輸入している会社が倒産して、弦の国内供給が
現在の楽器店のストックのみで止まっていると聞いていたのですが、
本当ですか?
もしかすると、他の会社も輸入しているのかもしれないのですが。
それによっては、まとめ買いを考えています。
どなたか、知っている方いますか?
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「ヘリコア」の輸入元について

投稿日時:2001年10月26日 12:40
投稿者:克彦(ID:NGcSZgA)
 こんにちは,札幌の克彦です。
 
 がんさんへ,はじめまして。ご質問の件ですが,ヘリコアなどのダダリオ社の弦は,以前は南洋貿易が輸入元でした。事情は良くわかりませんが,南洋貿易に代わって,今年から,白川総業(ヴァイオリン関係の輸入に関する老舗の会社)ともう1社(名前を忘れました)が輸入元になっています。

 僕は,4弦ともヘリコアを愛用しております。E線に関してはヘリコアは2種類ありますが,僕は,ヘリコアのアルミ巻きのE線を使用しています。
 
 ところが,これはたいていお店に在庫がない場合が多く(スチールの単線よりも値段が高いからか?),いつも注文して取り寄せしてもらっています。今のところは,注文して2~3週間で届くので,問題は生じていません。

 もしご心配であれば,2~3セット買い置きしておくのも得策だと思います。僕は,切れた時に備えて,あるいは,演奏会前などに張り替えたいときのために,いつも手元に2セット(E線は5~6本)ストックするようにしています。

 ところで,がんさんは,現在ヘリコアを使用されていますか?もし,そうであれば,ぜひ,アルミ巻きのE線をお試し下さい。値段はスチールの単線より少し高いですが,長持ちしますし,音色もマイルドで心地良いです。

 それでは,また。
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「ヘリコア」の輸入元について(補足)

投稿日時:2001年10月26日 18:16
投稿者:克彦(ID:IjQ2YwA)
 こんにちは,札幌の克彦です。がんさんへ,先ほどのレスに若干補足します。
 
 ダダリオ社の弦の正規輸入代理店は,東京の㈱白川総業と,大阪の㈱タツノヤ商会の2社です。

 どちらの会社も,小売というよりは卸売の業者(卸問屋)で,全国に手広く販路を持っているようですので,以前よりも,ヘリコアが入手しやすくなるのではないかと考えています。

 なお,ヘリコアの4本セットの定価は,E線がスチール単線のセットは,5,400円,E線がアルミ巻きのセットは,5,900円となっています。(以前は,E線がスチール単線のセットの定価が6,000円でしたので,少し安くなりました。)

 音が良くて,耐久性が極めて長いことを考慮すると,ヘリコアの値段は安いように思います。

 それでは,また。
[392]

ヘリコアに合う松脂

投稿日時:2001年10月28日 19:56
投稿者:克彦(ID:FWIJQZA)
 こんばんは,札幌の克彦です。
 
 今日は,ヘリコアに合う(と思われる)松脂をご紹介します。

 僕は,この1年間は,金粉が入っているLiebenzeller(リーベンツェラー:ドイツ製:定価3,500円)という松脂を使用してきました。さすがに値段が高いだけあって,性能は申し分なく,大変気に入っています。弓の毛に塗った感じは,サラサラとしていますが,適度にしっとりとした感じのある松脂です。音色的には,雑音の少ないクリアで明るい音で,多少落ち着いた音色も持ち合わせていると思います。

 ヘリコアは,ザラザラとした雑音が非常に少ないクリアな音色,明るくて透き通るような音色が特徴ですが,ぐっと胸に響くような「深み」や荒々しい「力強さ」に若干欠けるところがあるのも事実です。

 そこで,「Liebenzellerのようなサラッとした松脂は,そうしたヘリコアの長所を伸ばすことはできても,短所を補うことはできないのではないか。」と考え,このたび,違う松脂を試してみました。

 試してみたのは,㈱アルシェの「ARCHET101(布袋入り:定価2,000円)」という松脂です。カタログによると「ARCHET201」は,「しっとりとした感じで,重厚感のある音色が出る」とのことです。用途としては,基本的にはビオラ・チェロ向きのようですが,ヴァイオリンにも使えるとのことです。

 僕は,以前「ARCHET201(アルミケース入り:定価3,500円)」という松脂を使っていました。「ARCHET201」は,「さらさらとした感じで,明るくきれいな音が出る」という特徴があり,前述のLiebenzellerとは甲乙つけ難い良質の松脂で,これも気に入っています。「ARCHET201」は,基本的にはヴァイオリン向きですが,ビオラ・チェロにも使用できるとのことです。

 前置きが長くなりましたが,「ARCHET101」でヘリコアを弾くと,より力強い音が出るように感じます。音色は,Liebenzellerに比べると若干暗くなったように感じますが,けして暗い音色ではなく,適度に明るい音色という感じです。

 「ARCHET101」に変えてから,全体的に音量が増した感じがしますが,特に,低音弦(D・G線)では,Liebenzellerに比べて,音の太さ・力強さが増した感じがします。弦へのひっかかりが良いので,3重音・4重音を弾いたときなど,低音の響きがブォーンと力強く残ってくれるので,和音の厚みが増したように感じます。

 また,しっかりと弦を鳴らしきることができるので,音の深みも増したように感じます。

 弦へのひっかかりが良いので,スピカートは小気味良くキザムことができますし,スタカートもカチッと決め易いように思います。

 Liebenzellerに比べると,音のクリアさ(透明感)はわずかに失われた感じがしますが,ヘリコアはもともと非常にノイズが少なくてクリアな音色なので,けして耳障りなノイズは感じられません。

 なお,「ARCHET101」は,丸く平べったい形状で,適度にしっとり感がある性質なので,とても塗り易い松脂です。また,弾いているときに,松脂が弓の毛から取れづらい(落ちにくい)ように思います。

 ヘリコアをご使用されている方で,ヘリコアの音量や音の太さ(力強さ),あるいは,音の深みに多少不満をお持ちの方は,違う松脂をお試しになることをお薦めします。その際には,ぜひ,「ARCHET101(赤い布袋入り)」をお試しいただけたら,と思います。

 それでは,また。
[404]

ヘリコア・ヘヴィーテンション

投稿日時:2001年11月09日 20:26
投稿者:克彦(ID:JFN0KYA)
 こんばんは,札幌の克彦です。このたび,ヘリコアのヘヴィーテンションを試しました。試したのは,D・G線です。

4本ともヘリコアのミディアムテンションを使用していて,とても気に入っていたのですが,低音弦であるD・G線に,もう少し太いパワフルな音を求めたくなりました。ヘリコアの使用者の方に相談したところ,ヘヴィーテンションを薦められたので試すことにしました。

 さて,ヘリコアのヘヴィーテンションですが,見た目は,D線はミディアムテンションとほとんど変わりませんが,G線はわずかに太いです。

 ヘヴィーテンションということで,弦の張りの強さは増していますが,弦を押さえたときの感触は,それほど変わらないように思います。ややG線が太くなって張りが強くなった感じがしますが,ミディアムテンションから替えた場合でも違和感はなく,相変わらずしなやかで押さえ易いです。

 さて,音についてですが,音量は若干大きくなりましたが,音が大きくなって力強くなったというよりも,音が太くなったような感じがします。また,ヘヴィーテンションのD・G線は,フォルテシモで弾いたときに底力(余裕)が感じられ,音に深みがあるように思います。

 なお,D・G線をヘヴィーテンションに替えてから,ミディアムテンションのE・A線の音量も増しました。一般的に,D線にテンションの強い弦を張ると,E・A・G線の音量も増すと言われていますが,このたびは大いにそれを実感しました。特に,E線の音量・響きが増した感じがします。そのため,ヘヴィーテンションのD・G線に負けずに,十分に力強い音が出ます。

 E線は約2週間,A線は約1ヶ月半,それぞれ使用したものですが,取り替えたばかりの新品のヘヴィーテンションのD・G線に音量的に負けていないので,ミディアムのE線・A線は良く鳴る力強い弦なのだと思います。

 僕は,E線はアルミ巻きのものを使用していますが,とにかく良く鳴り,それでいてキンキンとした感じが全くなくてマイルドな音色なので,大変気に入っています。アルミ巻きなのでサビがつきにくく,さらに,音色的に寿命が長い(長持ちする)ところも気に入っています。

 ヴァイオリン自体の特性(あるいは弦との相性)によると思いますが,僕の楽器の場合は,D・G線はヘヴィーテンション,E・A線はミディアムテンションにすることにより,4本ともミディアムテンションの場合よりも全体的な音量バランスが良くなり,全体的に音量が豊かになりました。

 ミディアムテンションに比べると,ヘヴィーテンションは,音色のクリアさ(雑音感の少なさ)とレスポンスの鋭さがわずかに失われますが,その分音に太さと深みがでます。この辺は,ヴァイオリンとの相性や演奏者の好みによって選択が分かれるところだと思います。

 ヘヴィーテンションのD・G線は,弦を張ってからわずか2~3時間で弦の伸びが落ち着き,1日たつとほぼ完全に弦の伸びが収まります。ミディアムでもそうでしたが,このように短時間で弦の伸びが収まってくれて,音程が極めて安定しているのは,大変うれしい限りです。

 それでは,また。
[409]

ヘリコアA線・ヘヴィー

投稿日時:2001年11月22日 18:41
投稿者:克彦(ID:JmGTGAk)
 こんばんは,札幌の克彦です。先日ヘリコアのD・G線をヘヴィーテンションに替えて,その結果に大変満足したので,A線にもヘヴィーテンションを張ってみることにしました。

 弦の太さは,ミディアムテンションとそれほど違いませんが,わずかに太いように思います。

 E線(アルミ巻き)はミディアムのままですが,音量A・D・G線がヘヴィーに統一されたことにより,音量のバランスがさらに良くなりました。E線はミディアムのままでも,十分な音量が確保されており,ヘヴィーに替えなくても良いと思っています。4弦ともミディアムだったときは,E・A線(高音弦)に比べ,D・G線(低音弦)の鳴りがややおとなしい感じがしましたが,A・D・G線をヘヴィーにしてからは,4本の弦すべてが,ほぼ均等に力強い音で鳴るようになりました。

 弦を押さえた感触やボウイングの際の弦の反発力から,ミディアムに比べるとヘヴィーは若干張りが強くなったことを実感しますが,違和感を感じるほどではありません。

 ヘヴィーはミディアムに比べて,ヘリコアの特徴である音色のクリアさ(透明感)が若干失われますが,それでも十分にクリアな音色であり,ザラザラとした雑音感はあまり気になりません。

 フォルテシモやスフォルツァンドなど,ここぞというときに強い音が欲しいときには,ヘリコアのヘヴィーは本当に頼りになります。

 ヘリコアのミディアムに対してパワー(音量)の面で不満を持っている方だけでなく,十分に満足されている方にも,ヘヴィーをお試しいただけたら,と思います。

 それでは,また。
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