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バイオリンのペグの長さ | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 6 Comments
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バイオリンのペグの長さ

投稿日時:2011年05月08日 23:54
投稿者:JBV(ID:FwUDeTY)
バイオリンのペグは長過ぎても短過ぎても調弦がしにくくなります。長過ぎると調弦時に左手に力が効果的に加わりにくくなりますしペグに無理な力が加わったときにペグが折れやすくなるので要注意です。一方ペグがあまりにも短過ぎるとペグが磨耗したときの調整の余地がなくなってすぐにペグを新品に交換しなくてはならなくなります。
バイオリンのペグの飾り(カラー)とペグボックスの壁面までの距離は、新品のペグの場合、一般的には12ミリぐらいが標準と言われています。
ただ調弦のしやすさ(調弦時の左手の力の入りやすさ)を重視してバイオリンのペグの飾り(カラー)とペグボックスの壁面までの距離を最初の段階で8~9ミリ程度に調整するのを好む人もいます。
バイオリンのペグの飾り(カラー)とペグボックスの壁面までの距離が6~7ミリ程度しかないバイオリンを何丁か弾いたことがありますがたしかに調弦はしやすかったです。しかしながらペグが磨耗してもっと深く入っていったときに調整する余地があまり残っていないように感じました。
バイオリンのペグの飾り(カラー)とペグボックスの壁面までの距離が5ミリ程度になっても、ペグの弦を通す穴にきちんと弦を通して弦を巻くことができるのであれば、そのままそのペグを使用し続けることも可能でしょうが、実際には、それぐらいペグが深くに入っていくと、ペグの弦を通す穴の位置に不都合を生じる場合が多いと思います。ペグの弦を通す穴がペグボックスの内壁に接する、あるいは、内壁の中にもぐりこむようなことになると、まともに弦を巻くことができなくなるからです。
ペグを短めに調整してもらう場合は、ペグが磨耗して深く入っていったときにも弦を通す穴の位置に不都合が生じないように、ペグに弦を通す穴を空けてもらうと良いです。きちんとした職人さんであればその辺の事情を理解した上で作業してくれます。
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Re: バイオリンのペグの長さ

投稿日時:2011年05月09日 01:36
投稿者:JBV(ID:FwUDeTY)
バイオリンのペグの飾り(カラー)とペグボックスの壁面までの距離は、新品のペグの場合、一般的には12ミリぐらいが標準と言われていますが、実際のところどうなのか実測データの一例を示します。
現代ボローニャの名工と称されるロベルト・レガッツィの出来立ての新作を購入したプロバイオリニストの知人に計測させてもらったデータですが、バイオリンのペグの飾り(カラー)とペグボックスの壁面までの距離は、弦によって多少違いがありましたが10~11ミリでした。これは夏の多湿期に計測したので冬の乾燥期であれば0.5ミリ程度短い可能性があります。
なおそのレガッツィのペグは、柘植のペグでしたが、柘植の中でも比較的柔らかめの柘植でした。
演奏頻度にもよりますが柘植のペグだと磨耗や乾燥による収縮などの影響で5年で1~2ミリ程度、ペグが深く入っていきますので、5年後には8~10ミリ程度になると思われます。
実際のところ1年が経過した時点で既に0.5ミリ程度ペグが深く入っていましたので5年で1~2ミリ程度という予想は妥当なところかと思います。
ペグの材質にもよりますが、一般的には、上記の値は最初の1~2年の変動が大きく、その後、変動が徐々に小さくなっていきます。
5年後には8~10ミリ程度になって、その後、あまり変動しなければ、とても調弦しやすい良いペグという状態が長続きするだろうと思います。
新作バイオリンは数年後のペグの磨耗や収縮を想定してペグの長さを長めに設定している場合が多いですが、14ミリ以上だと明らかに長過ぎで調弦しにくいので、最初の段階で10~11ミリ程度がちょうど良いのではないかと思われます。このあたりはペグの材質、乾燥度、楽器本体の乾燥度などが影響しますが、良く乾燥された良質のペグでバイオリン本体の材質も良質で十分に乾燥していれば、最初の時点で10~11ミリ程度がちょうど良いのではないかと思います。
そういう意味では、ロベルト・レガッツィはさすが名工と言われるだけあって、楽器本体の素晴らしさもさることながら、こういったペグのような細かいパーツの調整も絶妙だなと思います。
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Re: バイオリンのペグの長さ

投稿日時:2011年05月09日 08:00
投稿者:JBV(ID:FwUDeTY)
バイオリンのペグの飾り(カラー)とペグボックスの壁面までの距離の実測データですが、製作されてから約10年が経過したシメオネ・モラッシーは、7~8ミリでした。ペグの材質は紫檀(ローズウッド)です。アマチュアの友人が10年ほど使用してきたのでペグが多少磨耗しています。ペグの弦を通す穴の位置からするとまだ余裕があるので、あと2ミリくらいペグが深く入っても大丈夫そうです。
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Re: バイオリンのペグの長さ

投稿日時:2011年05月09日 22:10
投稿者:JBV(ID:FwUDeTY)
バイオリンのペグの飾り(カラー)とペグボックスの壁面までの距離の実測データを追加します。製作されてから約20年が経過したプレミジル・シュピードレンは、6~7ミリでした。ペグの材質は硬めの柘植(ボックスウッド)です。知人のプロ奏者が20年ほど使用してきたのでペグがある程度磨耗しています。ペグの弦を通す穴の位置からするとまだ余裕があるので、あと1.0~1.5ミリくらいペグが深く入っても大丈夫そうです。 知人によるとここ数年はペグの入り具合は特に変動していないそうなので、あと10年くらいはペグを交換せずに行けそうだとのことです。
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Re: バイオリンのペグの長さ

投稿日時:2011年05月10日 13:43
投稿者:ヴェルクシュタット(ID:IkA0aTg)
 私のヴァイオリンのペグには象牙調の飾りの輪がついています。その輪とペグボックスまでを計測したら、A線のペグだけ6ミリで他のペグは7ミリでした。楽器は30年ほど前に作られたドイツの工房製のヴァイオリンで私が約25年ほど弾いてきました。ペグは黒檀製です。
 最初の頃と比べるとペグが縮んで奥に入ってきてますが使用上は全く支障ありません。むしろ最初の頃よりも今の方がペグがよく馴染んでいてチューニングもやりやすいと言えます。標準が12ミリという話は知りませんでしたが、それだとちょっと長過ぎるような気がします。
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Re: バイオリンのペグの長さ

投稿日時:2011年05月12日 17:16
投稿者:くるみ餅(ID:FwUDeTY)
・バイオリンのペグの飾り(カラー)とペグボックスの壁面までの距離は、新品のペグの場合、一般的には12ミリぐらいが標準
 というのを曲解(誤った解釈)している職人を見かけたので皆様に注意を促したいと思います。

新品のペグは材質や熟成度にもよりますが、ペグの加工・調整後(ヴァイオリンに装着後)2~3年するとペグが乾燥して縮んだりペグ穴が拡がったりして当初よりも1~2ミリ深く入っていきます。そのように1~2ミリ深く入って、バイオリンのペグの飾り(カラー)とペグボックスの壁面までの距離が10ミ程度になったときが、まさに「弾き頃」でペグの動きがスムースに安定して調弦もしやすくなるわけです。

ところが、
・バイオリンのペグの飾り(カラー)とペグボックスの壁面までの距離は12ミリぐらいが理想的
 と曲解(誤った解釈)をしている職人がいて、ペグの加工・調整後(ヴァイオリンに装着後)2~3年するとペグが乾燥して縮んだりペグ穴が拡がったりして当初よりも1~2ミリ深く入っていく2ミリ分を考慮してその分ペグを長くして、最初の段階で14ミリ程度に設定している例を見かけました。
その職人は、最終的に12ミリになるのが理想的だと解釈しているのでしょうが、実際にヴァイオリンを弾く人であれば、最終的に12ミリ程度になるよりも、最終的に10ミリ程度になる方が、調弦のし易さの点でもペグの強度や歪みにくさの点でも理想的であるということを見落としています。

ペグが長過ぎると、(テコの原理を思い浮かべていただけば良くわかるかと思いますが)調弦の際に、ペグ自体にもペグ穴にも余計な負荷がかかりますので、ペグが歪み易くなりますし、そもそもペグが長過ぎると調弦がやりにくいものです。

最近いろいろなヴァイオリンを弾く機会がありましたが、最終的に上記の値が7~8ミリ程度で安定しているペグが最も調弦しやすく、ペグも歪みにくくて良いと思います。

最終的に7~8ミリになるようにするとなると、最初の段階では10ミリ程度に設定するのが望ましいということになります。

なお、「ペグの先端の(ペグボックスの壁からの)飛び出し具合」については、1年間の中で空気が最も乾燥する時期(湿度25%程度)において、1~1.5ミリ程度が望ましいと思います。単純に見た目の美しさだけであれば、0ミリ~0.3ミリぐらいが美しいですが、調弦のスムースさ、ペグの動きの安定性、ペグの歪みの少なさ、天候の変動に対する安定性、美観などを考慮すると飛び出しは1.0~1.5ミリ程度が好ましいと思います。
ペグの材質や熟成度にもよりますが、乾燥期(湿度25%程度)にペグボックスの壁面から1.5ミリ飛び出しているペグでも、多湿期(湿度70%程度)には飛び出しが1.0ミリ前後まで小さくなります。

3ミリ以上飛び出していると美観が悪くなりますが、実用上(演奏上)問題が無ければ、飛び出した部分を切り落としてもらったり削ってもらったりする必要はありません。
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Re: バイオリンのペグの長さ

投稿日時:2011年05月15日 21:33
投稿者:カレーパン(ID:FwUDeTY)
先日、海外のある製作家のオールドレプリカの新作ヴァイオリンと、同じ製作家のオールドレプリカではない新作ヴァイオリンの2台を、比較・試奏する機会がありました。

同じ製作家の新作ヴァイオリンでも、オールドレプリカとそうでないものとでは、見た目にかなり違いがあって面白かったのですが、特に面白かったのは、ペグのカラーとペグボックスの壁面の距離が、オ-ルドレプリカの方が2~3ミリ短かったことでした。本物のオールドヴァイオリンの場合、ペグが短めであることが多いので、それを模倣したのだと思います。

オールドレプリカでない新作らしい新作ヴァイオリンは10ミリ程度なのに対して、オールドレプリカの方は7~8ミリ程度でした。ペグの材質はどちらも柘植で、製作者自身がペグの加工・調整を行なったと考えられます。

同じ製作家の新作ヴァイオリン同士の比較でしたので、ペグの加工精度等の条件はほぼ同一と考えられますが、やはり、ペグのカラーとペグボックスの壁面の距離が7~8ミリのオールドレプリカの方が、ペグをつまみ易く、調弦がし易かったです。

このオールドレプリカは、5~10年後には、ペグが乾燥によって収縮したり磨耗によって細くなったりして、ペグのカラーとペグボックスの壁面の距離が、5~6ミリになるだろうと思いますが、ペグの弦を通す穴はそれを見越した場所に空けてありましたので、大丈夫だと思います。

本物のオールドヴァイオリンで4ミリ程度しかないヴァイオリンを弾いたことがありますが、4ミリまで来ると、手先の感覚でも、ペグがちょっと短いな、という感じがわかります。調弦がしにくいということはなく、普通に調弦できましたが、普段の自分の楽器とは違った感覚がありました。なので、4ミリあたりが限界値(許容できる最小値)なのかなと思います。

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