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弓の買い替え | ヴァイオリン掲示板

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雑談・その他 4 Comments
[2745]

弓の買い替え

投稿日時:2003年02月02日 20:59
投稿者:KIWA(ID:FjUYcTA)
今、弓の買い替えを考えています。
先生に同行いただくのが難しい状況ですので自分一人で選ばねば
ならないのですが、自信がありません。

皆様、買い替えの時はどの辺りに注意を払われて
弓を選ばれているのでしょうか?
フランスの弓がよいと聞きますが、そうなのでしょうか?
【ご参考】
[2747]

Re: 弓の買い替え

投稿日時:2003年02月02日 21:29
投稿者:まい(ID:FUMGFyM)

私は仕事がらここ2年で総数で数百~千本から200本位を選別しました。
バイオリンに関って24年になりますが自分の過去の経験に
この2年の記憶を付加し「まとめ」にしてみました。
(これは書物からの知識ではないです。)
以下は個人的な認識も多いと思いますので
識者の方の御指導を伺いたいです。


● 選別ポイント
真後ろから見て左右の曲がり、捻れが無い。
速弓でバタつかない、
スピカートの切れ味が良い、
スピカートのきっかけが弓先でも掴み易い、
スピカートの繋ぎ技がこなせ、中速のスピカートで安定した刻みが出来る、
実重量でなく弾くとき重く感じなく右指に負担が少ない、
重心が元にあまり近くない、
58g以上63g以下、
吸い付き感の良さ (本体と喧嘩しない)、
弓の音色の良いもので楽器を声枯れさせないもの。
出来る限り腰の強さを維持していること。


● 素材(フェルナンブーコ)材について。
知る限りでは大きく分けて2種類のフェルナンブーコ材と
贋フェルナンブーコがありました。

非常に硬く弾力性に富む材と比較的柔らかい材があります。
一般的に弾力性に富む材が高級とされ、高値で取引されますが
でも気が付いた事は腰が強い弓程音色に乏しい事です。
本当は両立して欲しいのですが全体的には音色と腰は実際
同時に求める事が難しい。

フェルナンブーコ材には独特の皺模様がありますが
コレがハッキリしている程良いものと考えられ、
高値で取引されるようです。
でも、実際の良い材の中には皺模様がハッキリしているものと
そうでない材があるようです。

贋フェルナンブーコ材にも同じ皺がありますが本物と比べると
弓の音色が悪い、材を粉にして水漬けすると見分ける事が出来る、
という事が判りました。

節には許される節とそうでない節があります。
棹の上にチョコンと小さくある見分け易い節は無難な方で
直径が3センチ以上の節は要注意です。
時には直径が10センチ以上の節があり、
少し見ただけでは見抜けない節もありました。
許される節でも弓先の方にある節は避ける方が良いようです。
また、色の深すぎる弓はこの判別を困難にします。

● 横曲がりについて。
馬毛を緩めた状態で横曲がりしていたり捻れている弓は避けます。
毛を緩めた状態で弓が真っ直ぐで毛を張った状態の時だけ曲がる
弓の場合は毛の左右のテンションバランスがずれているだけなので
毛を交換するだけで直る場合が殆どです。
棹が曲がってしまった弓でも貴重な弓の場合、
馬毛のテンション調整で運弓時の歪みを相殺します。

● 重さ。
個人的には実重量は基準内で重め、
実際弾く重さ(負担)は非常に軽いものが良いと感じます。
重心を弓先に移動しますと吸い付き感が増します。
でも反対にスピカ-トの切れ味が悪く、移弦を困難にしますので
必用以上にはしない方が良いです。
重心が元に近い場合は上記の逆の関係になりますが
実際はあまり心地良い感触になってくれません。
軽い実重量で腰が強い弓程良いという意見は
腕の重みのある方に通用する話で女性の初心者で
腕に力が無いと感じている方などは反って実重量の
しっかりある弓をお薦めします。


● スピカ-ト操作
時々あっと驚く弓があります。
比較的弓先で全ての速度のスピカ-トをコントロール出来る弓です。
このような弓は珍しく弾いていて気持ちが良いものですね。
後、ルッジェーロ・スタッカートやリコッシュ・サルターとのような
一方向への跳ね技の操作性と安定性も実際に弾いて
見ておくのが良いと思います。
弓長よりも長い振幅の全弓スピカ-トで弓が横ブレしない点を
確かめるのもやって損は無いと思います。
(但し、初心者は楽器を壊す危険があるので要注意!)

● 吸い付き感
弓の重心を弓先へ移動しますとバイオリン、
ビオラの場合は吸い付き感が増します。
でも本当の意味での吸い付き感の良さは
チェロやベースのように本体を立てた楽器で試すと判りますが
重心問題とはまた別の感触です。
弓を弾くと不思議と弓が本体に少し引き寄せられる感じがして
本体と弓がとても良い振動のフィードバックを構成している
感じが伝わって来ます。
逆に本体と弓が喧嘩とまでは行かないまでも合わない場合もあります。
吸い付き感は弓と本体との相性の問題の1つでもありますので弓単体で
言い切れる事柄かどうかは疑問です。


● あっちを立てればこっちが立たないジレンマ

弓の音色と腰の強さの両立
自己資金力と性能の両立


● 弓の音色操作

弓の音色を向上させたい時は馬毛の張りをやや弱目にする。


● フランス弓 と ドイツ弓

音色を取るか腰を取るかでどっちを選ぶか決めます。
両立させる場合は大きな金額になる事を覚悟して下さい。
安く済ませる方法として2種の性質の違った弓を
各々持ってお互いの欠点を補う方法もあります。
[2753]

Re: 弓の買い替え

投稿日時:2003年02月03日 22:35
投稿者:KIWA(ID:OQBWk0A)
まい様、解りやすく、かつ丁寧なご指導有難うございます。
厚かましくも更に質問させてください。

フランス弓は音色がよく、ドイツ弓は腰が強いのが特徴なのですか?

資金は大きな問題です。
予算を決めておかないと誘惑に負ける危険性が高いので
自己予算を決めてから探しに行こうと思ってます。が、
先生に伺うとバイオリン本体の最低でも半額はする弓でないと・・・と
おっしゃられます。この予算の立て方は良いものなのでしょうか?
実際、皆さんは予算を決められる時、本体価格の何分の一などと
目安にされているのでしょうか?

新作弓でもよいのがあるけれど、オールドの弓には及ばず
オールド弓はやはり良い!とも聞きます。
バイオリンが新しいものなので弓も新作弓を探そう!と
考えるのは安直でしょうか?

ご意見お聞かせいただけると嬉しいです。
[2755]

Re: 弓の買い替え

投稿日時:2003年02月03日 23:43
投稿者:まい(ID:MoY3cDc)
弓ですが本体の半額位を考えるのは決しておかしくないです。

古紙に古墨の相性というのと同じかも知れませんが
不思議と似た共通点はバイオリンと弓にもあるのかも知れませんね。
新作楽器と新作弓も良い組み合わせ例が生まれると思います。

私は以前60万円程の新作ドイツ弓を持っていたんです。
腰の強さと運動性は抜群で満足していましたが
それで175X製の某イタリア製を弾いていて気が付いた事は、
「弾けば弾く程、本体が声枯れして行く」現象でした。
所謂、楽器負けというやつです。
そこでVOIRINに切替えて徹底的に相性と音色の良さを
実感させられました。ただ、反対に
腰の強さは犠牲にせざるを得ませんでした。

用途が室内楽系だと音色の良い弓を重視し、
オーケストラ目的でしたらもっと腰の強い弓が
合っているのでは?と思います。

ペガットーは未経験ですが、トルテは試した事があって
音色の艶と弾性に富む性質がキンキラ音のイタリア楽器を
あたかも暴れ馬を落着かせるかの如く大人しくさせてしまいました。

でもそのトルテでも折る奴がいます。毛の張りすぎや落下は命取りです。
目の前でトルテを落下させて偶々セーフで命拾いした方を知っています。
私は以下の利用者ではないですが御参考までに紹介致します。
http://www.tka.co.jp/

高額弓を買う時期は右親指無しで弓がしっかり持てる頃にした方が良いと思います。
(この説明していると切りが無いので先生とも良く相談してみて下さいね。)
[2768]

Re: 弓の買い替え

投稿日時:2003年02月04日 22:13
投稿者:KIWA(ID:EgQSCSI)
まいさん、アドバイス有難うございます。
ご教授頂いたことを頭に入れ、
自分の愛器にあう弓を求めてさ迷いたいと思います。